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ウルティア国戦役編

189 カナタ、ドロップ品を整理する

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 一方、カナタはガーディアの工房で新たな問題に頭を悩ませていた。
カナタの目の前には不確定ガチャオーブが32個と山吹色のゴーレムオーブが15個あった。
20階層のフロアボスを6周したため、ボスドロップで6個、宝箱から9個も山吹色のゴーレムオーブが出ていたのだ。
宝箱から出て来たゴーレムオーブが全部ではないが山吹色のゴーレムオーブだと判明したのは、カナタが【ロッカー】を整理しようとした時だった。

「うーん、不確定オーブはおいおい皆で開けるとして、山吹色のゴーレムオーブを開けると、またメンバーが増えるよな……」

 別に経済的なことやカナタ個人の感情では新たなメンバー追加は問題なく、むしろ大歓迎だった。
だが、外から見れば同じ顔系統で上下3歳差ぐらいの同年代の姉妹が11人+15人いたら、明らかに異常だと思うだろう。
へたするとミューが18人なんて、言い訳出来ないパターンもあり得るのだ。

「オプションならば開いても良いんだけど、【鑑定】Lv.5でもまだ不確定な要素が残ってるんだよな……」

 つまり愛砢人形ラブラドール絡みは確定しているけれど、何が出るかは開けてみないとわからなかったのだ。

「うーん、皆と相談してからにしよう」

 カナタは問題を先送りにすることにした。
カナタは愛砢人形ラブラドールの製造技術を手に入れたことで、もしかすると彼女たちに個性のある顔を持たせることが可能かもしれないと思っていたのだ。

 次にカナタが手を付けたのは、宝箱から出たSRアイテムだった。
宝箱からは一つに一個、必ずSRアイテムが入っていた。
最初の宝箱には【ゴーレム召喚の杖】、その次からにも【ミスリルのインゴット】【ルビーの宝冠】【アダマンタイトの盾】【油田】【魔法障壁プロテクトの指輪】が入っていた。
ここでカナタの目を引いたのは、もちろん【油田】である。
【油田】はその埋蔵量が尽きるまで石油の出るアイテムだった。
この世界では、石油はただの燃える水としてしか見られておらず、本来ならば大ハズレに分類されるものだった。

「【油田】は燃える水が出るとしか説明がないけど、これって石油のことで錬金術の素材になるよね?」

 カナタは知らないはずの知識で石油からプラスチックが作れるという漠然とした思いを抱いていた。
プラスチックが何なのか、それを作る方法すらわからないが、錬金術を使えば便利な素材となるということは、なんとなく理解していた。

「ヒナに渡せば喜びそうだな」

 ある意味混ぜるな危険だと思うが、カナタはヒナに丸投げすることにした。
ヒナならばプラスチックが何なのか良く解ってそうだからだ。

 カナタはここのところ平和な日々を過ごしていた。
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