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ウルティア国戦役編
150 ニク、妹に苛つく
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カナタがつい奴隷たちの前で砢システムを修復してしまったのは拙かった。
肉ゴーレムならまだしも、愛砢人形の姿をしげしげと見て呆気にとられている場合ではなかったのだ。
いかにも使役モンスターという外観の肉ゴーレムとは違い、愛砢人形はただの美少女としか見えないのだ。
カナタは慌てて【ロッカー】からガチャ屋の在庫を出すと愛砢人形に着させた。
それはエッチな下着とバスローブだったので、増々変な方向に誤解を生んでしまっていた。
「ご主人さまのご趣味はやっぱり……♡」
「それで女性ばかりなのね♡」
「私たちも覚悟を決めないとならないのかしら?♡」
「でも、私たちの契約は……」
「あのスキルオーブだけでいったいいくらだと思って?」
「そうか、あれが上乗せされたら……♡」
奴隷の女性たちが言いたい放題だった。
だが、そこには忌避感はなく、むしろ喜んでいる様子なのが問題だった。
まあ、愛砢人形の秘密を丸っと忘れてくれたことがありがたかったのだが。
「所有権登録が完了いたしました。
μは、マスターの指揮下に入ります」
「ミュー?」
カナタはそれを名前かと思ったが、それは愛砢人形の製造タイプの型番だった。
「マスター!」
そこにニクが走り込んで来た。
ニクはミューを目にすると右腕の荷電粒子砲を起動しようとした。
「待て! ニク、味方だ!」
カナタの命令にニクが発射シーケンスを中断する。
カナタが止めなければ大惨事になるところだった。
「あら? α姉さまではないですか。
相変わらずシステム負荷で機能障害ですか?」
ミューがニクにいらん挑発をする。
「μ、廉価版の量産型が指揮タイプの特別仕様機に生意気な口を利くのですか?
私の指揮権限で黙らせてあげましょうか?」
「ちっ、キューブを拡張済みか……。
これだから特別仕様は……」
「もうやめてー」
カナタは愛砢人形の口喧嘩に涙目になっていた。
「「マスターの命令を受諾しました」」
カナタは自分の命令権限が一番上で良かったと胸を撫で下した。
「今後は仲間なのだから喧嘩は駄目だからね」
「「承知しました」」
ニクとミューの愛砢人形の戦闘は、回避された。
このまま実力行使となったら、どのような大惨事になったのか想像も出来なかった。
「ところで、ミューにはオプション兵器は搭載されているの?」
「マスター、私は後期生産シリーズですので、兵器は標準で実装済みです。
タイプαのようなオプション兵装は必要ありません」
ミューがドヤ顔で自慢する。
「性能を落とした廉価装備だけどね」
ニクが珍しく饒舌に嫌味を言う。
「私たちは、自律兵器として洗練され完成されたシリーズだから。
必要十分な性能の兵器を標準装備しているだけだから。
無駄な高性能兵器は必要ないんですよ~だ!」
ミューがあかんべをして反論する。
子供の喧嘩になってきてカナタも頭痛がして来ていた。
しかしミューは表情豊かで面白いとカナタは思った。
「とりあえず、体格が同じニクの服を貸してやって。
直ぐに服を買いにいくから。
外出がバスローブは駄目なんだからね」
「マスターの命令を受諾しました。
マスターの命令とあらば仕方ありません」
「私は気にしませんよ。
服選びのセンスが悪くても」
カナタはニクたちの喧嘩を「痴話喧嘩だ」と微笑ましそうに見ている女性たちに聞こえるように説明台詞を吐いた。
戦力が増えたのは良いが、この姉妹はあまり仲が良くないようで前途多難だった。
肉ゴーレムならまだしも、愛砢人形の姿をしげしげと見て呆気にとられている場合ではなかったのだ。
いかにも使役モンスターという外観の肉ゴーレムとは違い、愛砢人形はただの美少女としか見えないのだ。
カナタは慌てて【ロッカー】からガチャ屋の在庫を出すと愛砢人形に着させた。
それはエッチな下着とバスローブだったので、増々変な方向に誤解を生んでしまっていた。
「ご主人さまのご趣味はやっぱり……♡」
「それで女性ばかりなのね♡」
「私たちも覚悟を決めないとならないのかしら?♡」
「でも、私たちの契約は……」
「あのスキルオーブだけでいったいいくらだと思って?」
「そうか、あれが上乗せされたら……♡」
奴隷の女性たちが言いたい放題だった。
だが、そこには忌避感はなく、むしろ喜んでいる様子なのが問題だった。
まあ、愛砢人形の秘密を丸っと忘れてくれたことがありがたかったのだが。
「所有権登録が完了いたしました。
μは、マスターの指揮下に入ります」
「ミュー?」
カナタはそれを名前かと思ったが、それは愛砢人形の製造タイプの型番だった。
「マスター!」
そこにニクが走り込んで来た。
ニクはミューを目にすると右腕の荷電粒子砲を起動しようとした。
「待て! ニク、味方だ!」
カナタの命令にニクが発射シーケンスを中断する。
カナタが止めなければ大惨事になるところだった。
「あら? α姉さまではないですか。
相変わらずシステム負荷で機能障害ですか?」
ミューがニクにいらん挑発をする。
「μ、廉価版の量産型が指揮タイプの特別仕様機に生意気な口を利くのですか?
私の指揮権限で黙らせてあげましょうか?」
「ちっ、キューブを拡張済みか……。
これだから特別仕様は……」
「もうやめてー」
カナタは愛砢人形の口喧嘩に涙目になっていた。
「「マスターの命令を受諾しました」」
カナタは自分の命令権限が一番上で良かったと胸を撫で下した。
「今後は仲間なのだから喧嘩は駄目だからね」
「「承知しました」」
ニクとミューの愛砢人形の戦闘は、回避された。
このまま実力行使となったら、どのような大惨事になったのか想像も出来なかった。
「ところで、ミューにはオプション兵器は搭載されているの?」
「マスター、私は後期生産シリーズですので、兵器は標準で実装済みです。
タイプαのようなオプション兵装は必要ありません」
ミューがドヤ顔で自慢する。
「性能を落とした廉価装備だけどね」
ニクが珍しく饒舌に嫌味を言う。
「私たちは、自律兵器として洗練され完成されたシリーズだから。
必要十分な性能の兵器を標準装備しているだけだから。
無駄な高性能兵器は必要ないんですよ~だ!」
ミューがあかんべをして反論する。
子供の喧嘩になってきてカナタも頭痛がして来ていた。
しかしミューは表情豊かで面白いとカナタは思った。
「とりあえず、体格が同じニクの服を貸してやって。
直ぐに服を買いにいくから。
外出がバスローブは駄目なんだからね」
「マスターの命令を受諾しました。
マスターの命令とあらば仕方ありません」
「私は気にしませんよ。
服選びのセンスが悪くても」
カナタはニクたちの喧嘩を「痴話喧嘩だ」と微笑ましそうに見ている女性たちに聞こえるように説明台詞を吐いた。
戦力が増えたのは良いが、この姉妹はあまり仲が良くないようで前途多難だった。
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