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南部辺境遠征編
102 カナタ、出撃する
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カナタたちは中央城壁のバルコニーから階段を駆け降りて正門を出ると、担当と決まった左翼7番の枡形に急いだ。
7番は中央から遠い場所だったが、陣地構築のおかげで未だ城壁まで辿り着いた魔物はおらず、魔物に邪魔されることなく移動できていた。
「俺たちはここだ、一気に叩き他も廻るぞ!」
途中にはディーンたちが担当する30番があり、カナタたちは彼らとはそこで別れた。
魔物は中央ほど強い傾向があるらしく、ディーンはカナタたちに楽な方を譲ったつもりだった。
カナタたちは、そのまま先へと進み7番の枡形に辿り着いた。
そこでは、弓手と魔術師が魔物をけん制し、近接職3人が斬りかかるというギリギリの攻防が行われていた。
「ニクは上空警戒と、後方の魔物へのけん制をよろしく。
サキと僕は下に降りて近接職の援護をする」
「マスターの命令を受諾。突出します」
ニクは壁の上を伝って迷路になっている部分まで前進し、そこから荷電粒子砲を撃って魔物を減らし始めた。
サキとカナタは枡形の階段を降りて行くと近接職の援護に向かった。
「引き受けます。下がって」
サキが正面で耐えていた盾職の冒険者に声をかける。
カナタはその隙を作るために【ファイアボール】を無詠唱で魔物の顔に放った。
飛んで行った【ファイアボール】が魔物の顔に当たり爆炎が上がる。
「!」
爆炎が晴れたとき、魔物の頭は消えて無くなっていた。
牽制のつもりだったのだが、カナタの魔力量が尋常ではなく、低級魔法にもかかわらずとんでもない威力を発揮したのだ。
呪いの影響が薄くなったことで、カナタは勇者の身体の能力を引き出していた。
「バカな! あいつはオーガだぞ?」
どうやらBクラスの魔物が紛れ込んでいたらしい。
そのオーガに対して3人で斬りあえていたとは、ここ担当の冒険者もなかなかの実力者だった。
その冒険者が驚愕するほど、カナタの魔法の威力は異常だった。
「それより、直ぐに後退して休息して!
どうやら、異常事態で魔物の数が調査結果よりも多いらしい」
そうこう言っているうちに、次の魔物が進んで来た。
「またオーガよ!」
壁の上の女性魔術師が恐怖に叫ぶ。
しかし、正面に出たサキが剣を抜き一閃、一瞬でオーガを斬り捨てた。
「ここは私だけで問題ないかな?
ご主人さまは、魔法で他の場所の援護に行ってください」
サキに言われて、カナタもニク同様壁の上から【ファイアボール】を撃つことにした。
7番の枡形はサキ1人で担当することになり、カナタは冒険者の後退に付き添って階段を登った。
「これポーションです」
「すまない。おい、これ」
カナタはギルド職員から預かったハイポーションとマナポーションをダースで冒険者に渡した。
冒険者は後方で休んでいる負傷者にもポーションを渡して休憩をとりはじめた。
これで再戦力化できれば7番の護りを任せられる人材たちだろう。
「うわー! ゴーストだ!」
「拙い、物理攻撃が効かない!」
「気をつけろ、エナジードレインを使うぞ!」
「こいつら壁をすり抜けて来るぞ!」
10番の枡形から悲鳴が上がった。
ゴーストなどの死霊系魔物は物理攻撃が効かなかった。
しかも壁をすり抜けて来るので陣地の利を得られない。
倒すには回復魔法と聖属性の魔法か、聖属性が付与された魔法武器を使わなければならない。
「ニク、どうにかならないか?」
カナタが前方に突出しているニクに叫ぶ。
しかし、ニクは首を横に振るだけだった。
皆がニクの攻撃を魔法だと思っているが、ニクの攻撃は科学の粋を集めた超兵器によるものだ。
聖属性などありはせず、一番苦手な敵が死霊系であり相性が最悪だった。
カナタは自分のステータスに【回復(微小)】があることを思い出した。
「回復は死霊系特効があったはず。
やってみるか」
死んでいる幽霊を回復させると攻撃になるというのはRPGのお約束だ。
だが、カナタのは【回復(微小)】、通用するのかという不安があった。
カナタはダメ元で【回復(微小)】を使ってみた。
カナタの魔力量なら効果が出るかもと思ったからだ。
シュン!
カナタが使った【回復(微小)】によりゴーストの身体に穴が開いた。
確かに効果があった。
だが、その範囲が問題だった。
(微小)の制限は効果範囲に及んでいたのだ。
回復の威力は甚大だが、その効果が及ぶ範囲が小さすぎた。
これではゴーストの弱点にピンポイントで当たらなければ倒すことは出来そうになかった。
「ダメか」
早く対処しないとエナジードレインで冒険者に脱落者が増える。
カナタは思案したうえ、携帯ガチャ機に課金することを決意した。
「ここでどうにかするには課金して効く魔法を手に入れるしかない!」
狙うは聖属性と上級回復魔法。
果たして、いくら課金すれば出るのだろうか?
それはカナタの幸運値と女神様次第だった。
7番は中央から遠い場所だったが、陣地構築のおかげで未だ城壁まで辿り着いた魔物はおらず、魔物に邪魔されることなく移動できていた。
「俺たちはここだ、一気に叩き他も廻るぞ!」
途中にはディーンたちが担当する30番があり、カナタたちは彼らとはそこで別れた。
魔物は中央ほど強い傾向があるらしく、ディーンはカナタたちに楽な方を譲ったつもりだった。
カナタたちは、そのまま先へと進み7番の枡形に辿り着いた。
そこでは、弓手と魔術師が魔物をけん制し、近接職3人が斬りかかるというギリギリの攻防が行われていた。
「ニクは上空警戒と、後方の魔物へのけん制をよろしく。
サキと僕は下に降りて近接職の援護をする」
「マスターの命令を受諾。突出します」
ニクは壁の上を伝って迷路になっている部分まで前進し、そこから荷電粒子砲を撃って魔物を減らし始めた。
サキとカナタは枡形の階段を降りて行くと近接職の援護に向かった。
「引き受けます。下がって」
サキが正面で耐えていた盾職の冒険者に声をかける。
カナタはその隙を作るために【ファイアボール】を無詠唱で魔物の顔に放った。
飛んで行った【ファイアボール】が魔物の顔に当たり爆炎が上がる。
「!」
爆炎が晴れたとき、魔物の頭は消えて無くなっていた。
牽制のつもりだったのだが、カナタの魔力量が尋常ではなく、低級魔法にもかかわらずとんでもない威力を発揮したのだ。
呪いの影響が薄くなったことで、カナタは勇者の身体の能力を引き出していた。
「バカな! あいつはオーガだぞ?」
どうやらBクラスの魔物が紛れ込んでいたらしい。
そのオーガに対して3人で斬りあえていたとは、ここ担当の冒険者もなかなかの実力者だった。
その冒険者が驚愕するほど、カナタの魔法の威力は異常だった。
「それより、直ぐに後退して休息して!
どうやら、異常事態で魔物の数が調査結果よりも多いらしい」
そうこう言っているうちに、次の魔物が進んで来た。
「またオーガよ!」
壁の上の女性魔術師が恐怖に叫ぶ。
しかし、正面に出たサキが剣を抜き一閃、一瞬でオーガを斬り捨てた。
「ここは私だけで問題ないかな?
ご主人さまは、魔法で他の場所の援護に行ってください」
サキに言われて、カナタもニク同様壁の上から【ファイアボール】を撃つことにした。
7番の枡形はサキ1人で担当することになり、カナタは冒険者の後退に付き添って階段を登った。
「これポーションです」
「すまない。おい、これ」
カナタはギルド職員から預かったハイポーションとマナポーションをダースで冒険者に渡した。
冒険者は後方で休んでいる負傷者にもポーションを渡して休憩をとりはじめた。
これで再戦力化できれば7番の護りを任せられる人材たちだろう。
「うわー! ゴーストだ!」
「拙い、物理攻撃が効かない!」
「気をつけろ、エナジードレインを使うぞ!」
「こいつら壁をすり抜けて来るぞ!」
10番の枡形から悲鳴が上がった。
ゴーストなどの死霊系魔物は物理攻撃が効かなかった。
しかも壁をすり抜けて来るので陣地の利を得られない。
倒すには回復魔法と聖属性の魔法か、聖属性が付与された魔法武器を使わなければならない。
「ニク、どうにかならないか?」
カナタが前方に突出しているニクに叫ぶ。
しかし、ニクは首を横に振るだけだった。
皆がニクの攻撃を魔法だと思っているが、ニクの攻撃は科学の粋を集めた超兵器によるものだ。
聖属性などありはせず、一番苦手な敵が死霊系であり相性が最悪だった。
カナタは自分のステータスに【回復(微小)】があることを思い出した。
「回復は死霊系特効があったはず。
やってみるか」
死んでいる幽霊を回復させると攻撃になるというのはRPGのお約束だ。
だが、カナタのは【回復(微小)】、通用するのかという不安があった。
カナタはダメ元で【回復(微小)】を使ってみた。
カナタの魔力量なら効果が出るかもと思ったからだ。
シュン!
カナタが使った【回復(微小)】によりゴーストの身体に穴が開いた。
確かに効果があった。
だが、その範囲が問題だった。
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