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ガチャ屋開業編
070 カナタ、決意する
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鉱山ダンジョンの入り口に戻って来るまでに、カナタ一行はストーンゴーレムを追加で10体倒していた。
ストーンゴーレムは大銅貨数枚とガチャオーブをドロップしていた。
今回のカナタ一行の収入は、Nオーブ×53、HNオーブ×60と大銅貨94枚、銅貨256枚だった。
ストーンゴーレム30体とマッドゴーレム1体、その他獣系魔物を82匹倒した結果だ。
冒険者の倣いとして、Nオーブを100DG、HNオーブを1000DGに換算して計算すると、硬貨と合わせて7万4956DGということになる。
カナタ一行は、1日の宿泊料に銀貨32枚――3万2000DG――を使用しているので、黒字ということになる。
しかし、カナタの裏技である携帯ガチャ機を使うと、NオーブはHNオーブに、HNオーブはRオーブ――1万DG換算――に1UPするのだ。
その結果、合計予想額は66万2656DGとなる。
これはガチャ屋での1日の収入が16万DG程度だったので、なんと4倍以上の結果だ。
しかも、ガチャオーブを開いた結果が反映されていないので、カナタの幸運値ならとんでもない結果となりかねない。
オーブの金額換算は、経験則から来る最低金額であるのだ。
それより低い金額の物が出ることもあるが、概ねそれ以上が約束されている。
「来て良かった。HNオーブが手に入った。
これを携帯ガチャ機に装填したら、Rオーブがゲットできる!」
また知らないはずの知識でゲットなどと口走ってしまうカナタだったが、これは重要な点だった。
継続的にHNオーブが手に入れば、1UPでRオーブが手に入るのと同じなのだ。
Rオーブから出て来るアイテムの相場は1万~10万DGは固い。
2つでガチャ屋1日の収入を超えることすら有り得るのだ。
「ご主人さま、でもHNオーブがドロップしたのは、ご主人さまが倒した魔物だけですよ?
私とニクさんが倒した魔物はNオーブしかドロップしてません。
それに普通の冒険者たちは、DGしかドロップしないこともザラだそうですよ?」
ヨーコが言う通り、ここにもカナタでなければならないという弊害があった。
ガチャ屋の運営もカナタがいないとハズレガチャからアイテム補充が出来ない。
鉱山ダンジョンでのオーブ獲得もカナタでなければ高レアリティのオーブは望めない。
そして、グリーンバレーでのハズレオーブ回収もカナタの【転移】と【ロッカー】が必要だった。
どれもカナタ有りきで、カナタが居なければ何も出来ない状態だった。
「この構造はどうにかしないと、ガチャ屋を開いた根本的な部分に関わるね……」
カナタは気付いてしまった。
今一番お荷物になっているのはガチャ屋だと。
ガチャ屋を開くために店員が必要で、その生活基盤を支えるためのお屋敷を管理するメイドが必要になり、さらにその護衛が必要になっている。
もしかしなくても、お店=屋敷の購入代金に奴隷の購入代金、それをそのまま持っていれば、別に慌ててお金を稼がなくても良かったのだ。
冒険者として普通に宿屋をとり、我が家――ファーランド領――へと帰る旅をすれば良かった。
ララとルルは行きがかり上生活の責任を取らなければならなかったろうが、ファーランド家に帰れば、いくらでも仕事は与えられた。
「よし、これからはスキルを使って僕の能力をみんなに分け与えるようにしよう。
スキルガチャ連発で錬金術やら付与魔法なんて手に入れたから出来るはずだ」
しかし、カナタは全てを投げ出すような考えには至らなかった。
ガチャ屋を開いた責任、奴隷を雇った責任はカナタ自身にある。
だったら、カナタが居なければ回らないという現状を変えればいい。
そうカナタは思ったのだ。
家に帰るというのがカナタの第一目標だったが、別に帰れなくても連絡さえ取れれば良いとカナタは思うようになった。
むしろ、父親――呪い――と離れている現状は、今まで生きてきた中で一番体調が良かったのだ。
いつか、父親の呪いを解くアイテムが手に入るかもしれない。
その時まで、カナタは家出を続けても良いかと思っていた。
「あ、(確かエリクサーって手に入ったよね?)あれで父様の呪いって治らないのかな?」
しかし、エリクサーを他人の手に委ねるわけにはいかなかった。
領の境界でたまたま荷を調べられ、鑑定した結果がエリクサーだったなら、人を殺してでも奪おうとするのがエリクサーだ。
その存在が知られてしまえば、エリクサーを奪うために国家間で戦争が起きかねないレベルのものなのだ。
人を助けるはずの神話級ポーションが、それ以上の人に死を齎すことになる。
なんとも困った存在だった。
こんな危険なものは、他人には任せずにカナタ自身が実家まで届ける必要があった。
カナタなら【ロッカー】内に秘匿して運べるのだ。
「どうしよう。実家に帰ろうか?
いや、僕には皆を養う義務がある。
それが奴隷を雇った者の責任なんだ」
カナタは、実家に帰るよりグラスヒルで生活することを選んだ。
そしてガチャ屋の経営をカナタ無しでも軌道に乗せる。
新たな目標に向けカナタは進むことを決めた。
ストーンゴーレムは大銅貨数枚とガチャオーブをドロップしていた。
今回のカナタ一行の収入は、Nオーブ×53、HNオーブ×60と大銅貨94枚、銅貨256枚だった。
ストーンゴーレム30体とマッドゴーレム1体、その他獣系魔物を82匹倒した結果だ。
冒険者の倣いとして、Nオーブを100DG、HNオーブを1000DGに換算して計算すると、硬貨と合わせて7万4956DGということになる。
カナタ一行は、1日の宿泊料に銀貨32枚――3万2000DG――を使用しているので、黒字ということになる。
しかし、カナタの裏技である携帯ガチャ機を使うと、NオーブはHNオーブに、HNオーブはRオーブ――1万DG換算――に1UPするのだ。
その結果、合計予想額は66万2656DGとなる。
これはガチャ屋での1日の収入が16万DG程度だったので、なんと4倍以上の結果だ。
しかも、ガチャオーブを開いた結果が反映されていないので、カナタの幸運値ならとんでもない結果となりかねない。
オーブの金額換算は、経験則から来る最低金額であるのだ。
それより低い金額の物が出ることもあるが、概ねそれ以上が約束されている。
「来て良かった。HNオーブが手に入った。
これを携帯ガチャ機に装填したら、Rオーブがゲットできる!」
また知らないはずの知識でゲットなどと口走ってしまうカナタだったが、これは重要な点だった。
継続的にHNオーブが手に入れば、1UPでRオーブが手に入るのと同じなのだ。
Rオーブから出て来るアイテムの相場は1万~10万DGは固い。
2つでガチャ屋1日の収入を超えることすら有り得るのだ。
「ご主人さま、でもHNオーブがドロップしたのは、ご主人さまが倒した魔物だけですよ?
私とニクさんが倒した魔物はNオーブしかドロップしてません。
それに普通の冒険者たちは、DGしかドロップしないこともザラだそうですよ?」
ヨーコが言う通り、ここにもカナタでなければならないという弊害があった。
ガチャ屋の運営もカナタがいないとハズレガチャからアイテム補充が出来ない。
鉱山ダンジョンでのオーブ獲得もカナタでなければ高レアリティのオーブは望めない。
そして、グリーンバレーでのハズレオーブ回収もカナタの【転移】と【ロッカー】が必要だった。
どれもカナタ有りきで、カナタが居なければ何も出来ない状態だった。
「この構造はどうにかしないと、ガチャ屋を開いた根本的な部分に関わるね……」
カナタは気付いてしまった。
今一番お荷物になっているのはガチャ屋だと。
ガチャ屋を開くために店員が必要で、その生活基盤を支えるためのお屋敷を管理するメイドが必要になり、さらにその護衛が必要になっている。
もしかしなくても、お店=屋敷の購入代金に奴隷の購入代金、それをそのまま持っていれば、別に慌ててお金を稼がなくても良かったのだ。
冒険者として普通に宿屋をとり、我が家――ファーランド領――へと帰る旅をすれば良かった。
ララとルルは行きがかり上生活の責任を取らなければならなかったろうが、ファーランド家に帰れば、いくらでも仕事は与えられた。
「よし、これからはスキルを使って僕の能力をみんなに分け与えるようにしよう。
スキルガチャ連発で錬金術やら付与魔法なんて手に入れたから出来るはずだ」
しかし、カナタは全てを投げ出すような考えには至らなかった。
ガチャ屋を開いた責任、奴隷を雇った責任はカナタ自身にある。
だったら、カナタが居なければ回らないという現状を変えればいい。
そうカナタは思ったのだ。
家に帰るというのがカナタの第一目標だったが、別に帰れなくても連絡さえ取れれば良いとカナタは思うようになった。
むしろ、父親――呪い――と離れている現状は、今まで生きてきた中で一番体調が良かったのだ。
いつか、父親の呪いを解くアイテムが手に入るかもしれない。
その時まで、カナタは家出を続けても良いかと思っていた。
「あ、(確かエリクサーって手に入ったよね?)あれで父様の呪いって治らないのかな?」
しかし、エリクサーを他人の手に委ねるわけにはいかなかった。
領の境界でたまたま荷を調べられ、鑑定した結果がエリクサーだったなら、人を殺してでも奪おうとするのがエリクサーだ。
その存在が知られてしまえば、エリクサーを奪うために国家間で戦争が起きかねないレベルのものなのだ。
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いや、僕には皆を養う義務がある。
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