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家出編
034 ルルとララ、神スキルに驚く
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カナタはウッドランド家の一室――といっても普通の一軒家なみのスィート――に、暫く滞在することが決まった。
さらに、グラスヒルまで来たことで、父親の呪いの影響が弱まり、カナタの幸運値は50を超えた。
これは、先にガチャオーブの中身が良くなった時と同様の数値のため、カナタはガチャ屋を正式に開業することに決めた。
ガチャ屋とは、ハズレオーブを安く――といっても相場より高く――仕入れて、それを携帯ガチャ機の恩恵で1UP以上の付加価値を付けて開き、出て来たアイテムを売って、その差額で儲けるという仕組みだ。
カナタは今、447個のハズレオーブを携帯ガチャ機に装填し、100連ガチャや10連ガチャのメリットも享受して最高SRの当たりを確定させた上でガチャを引くのだ。
どっぱーーーーーーーーーーーーーーーーん!
今回ガチャ機の設定は自動開放解除にしていた。
なぜなら、447個のオーブが自動的に開かれて、アイテムが目の前に出てきてしまっては、その物量で収拾がつかなくなるからだ。
この広い――20畳ぐらいある――リビングでも、さすがに何が起きるかわからない。
前回、宿屋でガチャを引いた時は、これを考慮していなかったが、ハズレの小さなタワシや歯ブラシがほとんどで、偶然最悪の事態を回避出来ただけなのだ。
あとでそれらが全て当たりだったらどうなっていたのかと背筋が寒くなったのだ。
今回はカナタの幸運値は52であり、間違いなくHN以上が確定する。
それが447個である。その物量に警戒しない方がおかしいだろう。
実は1度に回すのは100連ガチャ1回にすれば良かったのだが、カナタはそこまで考えが及んでいなかった。
そのためシステムメッセージが「連続で引きますか?」と聞いて来ていたのだが、そんな配慮をカナタはスルーしてしまっていた。
さらに、あと53個ハズレオーブを集めれば500連ガチャのメリットもあったのだが、そこまではカナタも知る由がなかった。
携帯ガチャ機からは、改めてオーブが排出された。
前回は、このオーブを再装填すればもっと儲かるとカナタが思ったため、オーブが自動で開放されてしまったが、今回は設定どおりにオーブはそのまま排出された。
このGRスキルには、どうやら神様の意思が後付けでも反映されるらしい。
カナタは既に再装填は無理と認識していたので気付いていなかったが、このオーブは携帯ガチャ機に再装填出来ないようになっていた。
なんのことはない、携帯ガチャ機がオーブの再装填を拒否する仕様になっただけだ。
「ご主人様、これがご主人様のスキルですか?」
「私達はどうすればいいの……」
ララとルルは膨大なアイテムオーブの山に呆然としていた。
ララは、暫くしてカナタが自分たちに見せてくれたスキルの偉大さと、自分たちを信用して見せてくれたことに恍惚とした。
一方ルルは、これからこの膨大なアイテムオーブをどうしろと言われるのかと、戦々恐々とした。
姉妹でもここに性格の違いが出ていた。
「さあ、ララとルル、手伝ってくれ。
とりあえず開ける前に仕分けよう」
「承知しました。ご主人様♡」「……」
ララは嬉々として作業に入ったが、ルルは携帯ガチャ機から排出された447個のオーブの山に長い作業になりそうだと溜め息をついていた。
ニクは言われなくても作業を手伝ってくれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
数時間後、仕分けが完了した。
オーブの色と刻印で分けたところ、まず色は赤399個、銅39個、銀8個、金が1個だった。
本来ならR確定が4個とSR確定が4個のはずだったので、明らかに当たりが多い。
これは100連ガチャにR確定要素もあったことと、カナタの幸運値が50オーバーだったことに起因している。
しかも500連ガチャでも確率が上がるだけのURが当たっている。
「ご主人様、URオーブなんて初めて見ました♡」
「凄い……」
ララとルルも驚愕の結果だった。
「ご主人様、このオーブにもう1回スキルを使ったら……」
ララがカナタと同じ不正を思いつき口にした。
「ああ、それ禁止になってるんだ。
流石にこれ以上欲をかいたらいけないよ」
「奴隷の分際で烏滸がましいことを申しました。お許しください」
ララは良かれと思って提案したのだが、それが欲をかく行為だとカナタに指摘され、恥ずかしくて顔を赤くした。
「別に気にしなくていいよ?」
カナタはそのララの様子を気にすることなく作業に戻った。
「それじゃあ、刻印別はどうなっているかな?」
赤399個のアイテムオーブ中、スライム系52個、植物系113個、動物系108個、虫系73個、ゴーレム系43個、その他10個だった。
アイテムオーブなのは最初からわかっているので以下割愛。
「数が多いからみんなで開けようか。
まずはスライム系から行こうか」
カナタは携帯ガチャ機で抽選が終わっているので、誰がオーブを開いても同じだと思っていた。
ところが実際は……。
カナタが開けたスライム系赤のオーブは、ほぼ高級シャンプーと高級リンスが出て来た。
ララが開けた同オーブは、たまに高級シャンプーと高級リンスで、ほとんどが高級石鹸だった。
ルルが開けた同オーブは、たまにトリートメントで、ほとんどがスライムの核だった。
ニクが開けた同オーブは、ほぼスライムの核とスライムの皮という結果だ。
アイテムの価値としては、トリートメント>高級シャンプー>=高級リンス>高級石鹸>スライムの核>スライムの皮、となる。
HNアイテム 高級シャンプー
女性の髪が綺麗に洗える
貴族の女性に人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム 高級リンス
女性の髪に艶と輝きを与える
貴族の女性に人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム 高級石鹸
香水のような良い香りのする石鹸
貴族の女性に人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム トリートメント
女性の髪を修復し艶と輝きを与える
貴族の女性にとても人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム スライムの核
魔道具の材料として使われる
安い魔道具によく使われている
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム スライムの皮
ビニールのような材料として使われる
そこそこの需要がある
スライム系の魔物が良くドロップする
「こんなバラつきが出るとは思わなかった。
もしかして僕が開けた方が価値があるものが出る?
幸運値が関係しているのかな?
いや違う、そうなるとルルの高低差が説明できない」
どうやら開く人物の幸運値でもアイテムが変わるのかもしれなかった。
他にも、ルルのようにたまに大当たりを引く要素があるのかもしれない。
今まではカナタ1人で作業をしていたので、これは気付かなかったことだった。
「ルルの当たりは気になるところだけど、総額で言えば僕が開けた方が良さそうだ。
よし、僕がオーブを開けるから、ニクにララとルルはアイテムを【ロッカー】に入れてくれるかな」
こうしてカナタはアイテムオーブを開ける地道な作業を始めた。
さらに、グラスヒルまで来たことで、父親の呪いの影響が弱まり、カナタの幸運値は50を超えた。
これは、先にガチャオーブの中身が良くなった時と同様の数値のため、カナタはガチャ屋を正式に開業することに決めた。
ガチャ屋とは、ハズレオーブを安く――といっても相場より高く――仕入れて、それを携帯ガチャ機の恩恵で1UP以上の付加価値を付けて開き、出て来たアイテムを売って、その差額で儲けるという仕組みだ。
カナタは今、447個のハズレオーブを携帯ガチャ機に装填し、100連ガチャや10連ガチャのメリットも享受して最高SRの当たりを確定させた上でガチャを引くのだ。
どっぱーーーーーーーーーーーーーーーーん!
今回ガチャ機の設定は自動開放解除にしていた。
なぜなら、447個のオーブが自動的に開かれて、アイテムが目の前に出てきてしまっては、その物量で収拾がつかなくなるからだ。
この広い――20畳ぐらいある――リビングでも、さすがに何が起きるかわからない。
前回、宿屋でガチャを引いた時は、これを考慮していなかったが、ハズレの小さなタワシや歯ブラシがほとんどで、偶然最悪の事態を回避出来ただけなのだ。
あとでそれらが全て当たりだったらどうなっていたのかと背筋が寒くなったのだ。
今回はカナタの幸運値は52であり、間違いなくHN以上が確定する。
それが447個である。その物量に警戒しない方がおかしいだろう。
実は1度に回すのは100連ガチャ1回にすれば良かったのだが、カナタはそこまで考えが及んでいなかった。
そのためシステムメッセージが「連続で引きますか?」と聞いて来ていたのだが、そんな配慮をカナタはスルーしてしまっていた。
さらに、あと53個ハズレオーブを集めれば500連ガチャのメリットもあったのだが、そこまではカナタも知る由がなかった。
携帯ガチャ機からは、改めてオーブが排出された。
前回は、このオーブを再装填すればもっと儲かるとカナタが思ったため、オーブが自動で開放されてしまったが、今回は設定どおりにオーブはそのまま排出された。
このGRスキルには、どうやら神様の意思が後付けでも反映されるらしい。
カナタは既に再装填は無理と認識していたので気付いていなかったが、このオーブは携帯ガチャ機に再装填出来ないようになっていた。
なんのことはない、携帯ガチャ機がオーブの再装填を拒否する仕様になっただけだ。
「ご主人様、これがご主人様のスキルですか?」
「私達はどうすればいいの……」
ララとルルは膨大なアイテムオーブの山に呆然としていた。
ララは、暫くしてカナタが自分たちに見せてくれたスキルの偉大さと、自分たちを信用して見せてくれたことに恍惚とした。
一方ルルは、これからこの膨大なアイテムオーブをどうしろと言われるのかと、戦々恐々とした。
姉妹でもここに性格の違いが出ていた。
「さあ、ララとルル、手伝ってくれ。
とりあえず開ける前に仕分けよう」
「承知しました。ご主人様♡」「……」
ララは嬉々として作業に入ったが、ルルは携帯ガチャ機から排出された447個のオーブの山に長い作業になりそうだと溜め息をついていた。
ニクは言われなくても作業を手伝ってくれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
数時間後、仕分けが完了した。
オーブの色と刻印で分けたところ、まず色は赤399個、銅39個、銀8個、金が1個だった。
本来ならR確定が4個とSR確定が4個のはずだったので、明らかに当たりが多い。
これは100連ガチャにR確定要素もあったことと、カナタの幸運値が50オーバーだったことに起因している。
しかも500連ガチャでも確率が上がるだけのURが当たっている。
「ご主人様、URオーブなんて初めて見ました♡」
「凄い……」
ララとルルも驚愕の結果だった。
「ご主人様、このオーブにもう1回スキルを使ったら……」
ララがカナタと同じ不正を思いつき口にした。
「ああ、それ禁止になってるんだ。
流石にこれ以上欲をかいたらいけないよ」
「奴隷の分際で烏滸がましいことを申しました。お許しください」
ララは良かれと思って提案したのだが、それが欲をかく行為だとカナタに指摘され、恥ずかしくて顔を赤くした。
「別に気にしなくていいよ?」
カナタはそのララの様子を気にすることなく作業に戻った。
「それじゃあ、刻印別はどうなっているかな?」
赤399個のアイテムオーブ中、スライム系52個、植物系113個、動物系108個、虫系73個、ゴーレム系43個、その他10個だった。
アイテムオーブなのは最初からわかっているので以下割愛。
「数が多いからみんなで開けようか。
まずはスライム系から行こうか」
カナタは携帯ガチャ機で抽選が終わっているので、誰がオーブを開いても同じだと思っていた。
ところが実際は……。
カナタが開けたスライム系赤のオーブは、ほぼ高級シャンプーと高級リンスが出て来た。
ララが開けた同オーブは、たまに高級シャンプーと高級リンスで、ほとんどが高級石鹸だった。
ルルが開けた同オーブは、たまにトリートメントで、ほとんどがスライムの核だった。
ニクが開けた同オーブは、ほぼスライムの核とスライムの皮という結果だ。
アイテムの価値としては、トリートメント>高級シャンプー>=高級リンス>高級石鹸>スライムの核>スライムの皮、となる。
HNアイテム 高級シャンプー
女性の髪が綺麗に洗える
貴族の女性に人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム 高級リンス
女性の髪に艶と輝きを与える
貴族の女性に人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム 高級石鹸
香水のような良い香りのする石鹸
貴族の女性に人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム トリートメント
女性の髪を修復し艶と輝きを与える
貴族の女性にとても人気がある
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム スライムの核
魔道具の材料として使われる
安い魔道具によく使われている
スライム系の魔物が良くドロップする
HNアイテム スライムの皮
ビニールのような材料として使われる
そこそこの需要がある
スライム系の魔物が良くドロップする
「こんなバラつきが出るとは思わなかった。
もしかして僕が開けた方が価値があるものが出る?
幸運値が関係しているのかな?
いや違う、そうなるとルルの高低差が説明できない」
どうやら開く人物の幸運値でもアイテムが変わるのかもしれなかった。
他にも、ルルのようにたまに大当たりを引く要素があるのかもしれない。
今まではカナタ1人で作業をしていたので、これは気付かなかったことだった。
「ルルの当たりは気になるところだけど、総額で言えば僕が開けた方が良さそうだ。
よし、僕がオーブを開けるから、ニクにララとルルはアイテムを【ロッカー】に入れてくれるかな」
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