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家出編
012 カナタ、外の世界の厳しさを知る
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美味しい匂いに誘われたのは冒険者パーティーだった。
魔物が跳梁跋扈する森林で焼き肉をしているカナタのような呑気な冒険者は、危機意識の低い金持ちのお坊っちゃんパーティーと相場が決まっていた。
そこに寄ってくる冒険者パーティーとなると、あわよくば金持ちのお坊っちゃんを殺して金や装備を手に入れようとする山賊兼業冒険者か、お節介にも忠告のうえ護衛してあげようと思った気の良い冒険者の二択だった。
今回寄って来たのは、残念なことに前者の山賊兼業冒険者だった。
深い森林の中、魔物に襲われて亡くなったのか、人に襲われて亡くなったのか区別はつかないのだ。
彼らはカナタを発見すると、その幸運に思わず舌なめずりした。
カナタは貴族服の上に子供用の皮の鎧を着ている。
子供は成長が早く、子供用の皮の鎧などあっと言う間に着れなくなる。
それをあつらえるという事は、金がある証拠だった。
それだけで金持ちのお坊っちゃんと認定出来た。
しかも、子供一人だけで、護衛の冒険者なり騎士も居ない状態だ。
彼らはカナタを取り囲むような配置に付き、代表の中年冒険者が偶然を装ってカナタの前に出て来るという手口をとった。
「坊っちゃん、このような危険な森の中で焼き肉とは、ちょいと危険じゃないですかね?
良い匂いが森中に広がってますぜ」
カナタは、目の前に中年の冒険者が現れるまで、【魔力探知】をすっかりし忘れていたことに気付いた。
それほど焼き肉は美味しく、カナタは夢中になっていたのだ。
カナタは慌てて【魔力探知】をかける。
すると、自分を囲むように冒険者が配置されていることに気付いた。
(囲まれてる? まさかこの人たちは……)
「どうやら、気付いたようだな」
カナタが顔色を変えたのを見て、中年の冒険者の顔つきが変わる。
自分たちがただの冒険者ではないことにカナタが気付いたと中年の冒険者は察したのだ。
その顔は既に親切な冒険者ではなく、犯罪に手を染めたゴロツキそのものだった。
「おい、お前ら、出てこい!」
カナタが【魔力探知】で得た情報通り、カナタを囲むように手下が木の影から草むらから現れる。
カナタは中年含めて合計6人に囲まれていた。
「というわけだ。死ぬか身ぐるみ剥がれるか選びな」
中年の冒険者、いや山賊は、ニヤニヤしながらカナタに要求した。
この世界では、お金を【お財布】というスキルで収納するのが常識だ。
【お財布】スキルは神様がもたらしたDGというお金専用の収納スキルで、本人の意思でないと中身のお金を取り出すことが出来ない。
つまり、殺してしまうとDGは【お財布】スキルと共に消えてしまい、手に入れることは出来ないのだ。
なので、本人の意思で【お財布】からDGを出すか、取引の機能でDGを【お財布】間で渡すという手続きが必要になる。
ただし、本人が意図せず【お財布】の中身を残したまま亡くなった場合、神様によりその家族の【お財布】にDGが均等割りで渡されることがある。
そのまるで相続のような現象は、亡くなった本人の善行如何によるものだと囁かれている。
なので、このような山賊にDGを渡すというケースは、カナタ本人の意思により渡す以外は有り得ないのだ。
「おら、財布を出せ」
中年の山賊は、腰の剣に手をかけながらカナタを脅す。
しかし、カナタはそれどころではなかった。
【魔力探知】で違う脅威を見つけてしまっていたからだ。
それはヴァルチャードッグ、ハゲタカ犬とも腐肉あさりとも称される魔物だった。
腐った肉の臭いに敏感で、その臭いに誘われて寄ってくる2mほどの大きさの魔物だった。
この魔物たちが、カナタが捨てたオーク肉(腐敗)に呼び寄せられた者たちだった。
カナタは、あまりにも外の世界の危険性に無知だったので、二重にしくじっていたのだ。
腐肉あさりと呼ばれるヴァルチャードッグだが、実は群れによる狩りも得意としていた。
その獲物として人間は格好のターゲットだった。
そのヴァルチャードッグがカナタ含めて山賊をターゲットとして接近していた。
その数20。
中年の山賊は、カナタが自分たちを恐れず、違う脅威に怖がっている様子に気付いた。
そして、自ら【気配察知】をかけてヴァルチャードッグの存在に気付いた。
その中年の様子に手下も脅威に気付き始めた。
「お頭! どうしやすか?」
手下が山賊丸出しで尋ねる。
魔物が跳梁跋扈する森林で焼き肉をしているカナタのような呑気な冒険者は、危機意識の低い金持ちのお坊っちゃんパーティーと相場が決まっていた。
そこに寄ってくる冒険者パーティーとなると、あわよくば金持ちのお坊っちゃんを殺して金や装備を手に入れようとする山賊兼業冒険者か、お節介にも忠告のうえ護衛してあげようと思った気の良い冒険者の二択だった。
今回寄って来たのは、残念なことに前者の山賊兼業冒険者だった。
深い森林の中、魔物に襲われて亡くなったのか、人に襲われて亡くなったのか区別はつかないのだ。
彼らはカナタを発見すると、その幸運に思わず舌なめずりした。
カナタは貴族服の上に子供用の皮の鎧を着ている。
子供は成長が早く、子供用の皮の鎧などあっと言う間に着れなくなる。
それをあつらえるという事は、金がある証拠だった。
それだけで金持ちのお坊っちゃんと認定出来た。
しかも、子供一人だけで、護衛の冒険者なり騎士も居ない状態だ。
彼らはカナタを取り囲むような配置に付き、代表の中年冒険者が偶然を装ってカナタの前に出て来るという手口をとった。
「坊っちゃん、このような危険な森の中で焼き肉とは、ちょいと危険じゃないですかね?
良い匂いが森中に広がってますぜ」
カナタは、目の前に中年の冒険者が現れるまで、【魔力探知】をすっかりし忘れていたことに気付いた。
それほど焼き肉は美味しく、カナタは夢中になっていたのだ。
カナタは慌てて【魔力探知】をかける。
すると、自分を囲むように冒険者が配置されていることに気付いた。
(囲まれてる? まさかこの人たちは……)
「どうやら、気付いたようだな」
カナタが顔色を変えたのを見て、中年の冒険者の顔つきが変わる。
自分たちがただの冒険者ではないことにカナタが気付いたと中年の冒険者は察したのだ。
その顔は既に親切な冒険者ではなく、犯罪に手を染めたゴロツキそのものだった。
「おい、お前ら、出てこい!」
カナタが【魔力探知】で得た情報通り、カナタを囲むように手下が木の影から草むらから現れる。
カナタは中年含めて合計6人に囲まれていた。
「というわけだ。死ぬか身ぐるみ剥がれるか選びな」
中年の冒険者、いや山賊は、ニヤニヤしながらカナタに要求した。
この世界では、お金を【お財布】というスキルで収納するのが常識だ。
【お財布】スキルは神様がもたらしたDGというお金専用の収納スキルで、本人の意思でないと中身のお金を取り出すことが出来ない。
つまり、殺してしまうとDGは【お財布】スキルと共に消えてしまい、手に入れることは出来ないのだ。
なので、本人の意思で【お財布】からDGを出すか、取引の機能でDGを【お財布】間で渡すという手続きが必要になる。
ただし、本人が意図せず【お財布】の中身を残したまま亡くなった場合、神様によりその家族の【お財布】にDGが均等割りで渡されることがある。
そのまるで相続のような現象は、亡くなった本人の善行如何によるものだと囁かれている。
なので、このような山賊にDGを渡すというケースは、カナタ本人の意思により渡す以外は有り得ないのだ。
「おら、財布を出せ」
中年の山賊は、腰の剣に手をかけながらカナタを脅す。
しかし、カナタはそれどころではなかった。
【魔力探知】で違う脅威を見つけてしまっていたからだ。
それはヴァルチャードッグ、ハゲタカ犬とも腐肉あさりとも称される魔物だった。
腐った肉の臭いに敏感で、その臭いに誘われて寄ってくる2mほどの大きさの魔物だった。
この魔物たちが、カナタが捨てたオーク肉(腐敗)に呼び寄せられた者たちだった。
カナタは、あまりにも外の世界の危険性に無知だったので、二重にしくじっていたのだ。
腐肉あさりと呼ばれるヴァルチャードッグだが、実は群れによる狩りも得意としていた。
その獲物として人間は格好のターゲットだった。
そのヴァルチャードッグがカナタ含めて山賊をターゲットとして接近していた。
その数20。
中年の山賊は、カナタが自分たちを恐れず、違う脅威に怖がっている様子に気付いた。
そして、自ら【気配察知】をかけてヴァルチャードッグの存在に気付いた。
その中年の様子に手下も脅威に気付き始めた。
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手下が山賊丸出しで尋ねる。
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