145 / 169
第四章 ルナトーク王国奪還戦編
145 占領軍分遣艦隊2
しおりを挟む
飛行機械に魔導砲を撃ち込むことでキルナール王国の艦隊からの長距離魔導砲攻撃を止めることが出来た。
僚艦2艦が撃沈されたが、強化された防御魔法陣により、その直撃も躱すことが出来ると確認されたため、我が分遣艦隊は当初の目的よりも早いが敵艦隊に向け進路を変えて吶喊することにした。
このまま敵艦隊が長距離魔導砲を撃てないなら、この後射程距離に捉えるのはこちらも同時となり、敵艦隊に魔導砲で一矢報いることが出来るだろう。
少しでも敵艦隊を足止め出来れば、主力艦隊が北からなだれ込むはずだった。
混戦状態になれば数の利で勝つことも可能だろう。
もし、こちらが先に動いたことを主力艦隊が知り呼応してくれれば、こちらに対処するために回頭した敵艦隊の横腹を主力艦隊が突いてくれることだろう。
「あのハダルが上げている黒煙。
あれが主力艦隊からも見えていれば司令は動いてくれるはずだ」
まさに占領軍分遣艦隊は、決死の覚悟で吶喊していた。
敵艦隊との距離が38kmにまで狭まった。
その時、地平線の彼方に浮上する陸上戦艦が見えた。
見たことのあるシルエットだが艦尾が異様に長い。
「あれはニムルドか?
新装備といい、まさか改造されているのか!」
その技術力に恐怖を覚える。
残念ながら、こちらの魔導砲では威力が減衰し当たっても破壊は望めない距離だ。
「拙い。長距離攻撃が来るぞ!」
敵艦隊には、50kmの距離を越えてこちらの陸上戦艦を破壊し得る魔導砲が存在している。
その魔導砲がまたこちらに向かうとなれば、防御魔法陣に更なる魔力エネルギーを注がなければならない。
これは何度も出来るものではないため、なるべく回数を減らしたいところだが、使用をケチってやられたのでは本末転倒となる。
いつ壊れるかわからないがやるしかないのだ。
すると敵艦からの光条が北へと向かうのが見えた。
「しまった。敵艦の目標は主力艦隊だ!」
我が分遣艦隊は、敵からの長距離攻撃があることを知っているが、主力艦隊は未だその存在を知らないはずだった。
いつ壊れるかわからない防御魔法陣に無駄な魔力エネルギーは注ぎ込んでいないだろう。
「牽制攻撃だ! 魔導砲発射。
攻撃が効かなくても良い。嫌がらせになるだけでいい!」
「魔導砲、魔力エネルギー不足で発射不能!」
残念なことに、防御魔法陣に魔力エネルギーを回したせいで魔導砲が発射不能となっていた。
その間にも敵艦は15発ほどの魔導砲を主力艦隊に撃ち込んでいた。
主力艦隊がいるであろう地点からハダルと同様の黒いキノコ雲がいくつも上がっていた。
「おのれ! こちらに通信手段があればむざむざとやられはしなかったものを」
分遣艦隊司令ダッソーは悔しさに唇を噛んだ。
「機関増速だ! 壊れても構わん!
なんとてでも一矢報いるのだ!」
その時、地平線の彼方から7つの噴煙が上がった。
4つは主力艦隊に向かい、残る3つはこちらに向かって来た。
「なんだあれは?」
そう思っているうちに3つの飛翔体がガニメデ、ドゥーベ、アダラにあっと言う間に迫る。
一番先行していた三番艦アダラに飛翔体が浮上するとそのまま中央に突っ込んだ。
ドーーーーーーーーーーーーン!
物凄い爆発音がするとアダラがゆっくり墜落していく。
「拙い! 迎撃……」
ダッソーはその後を言うことが出来なかった。
敵が放った飛翔体はそのまま四番艦ガニメデ、五番艦ドゥーベに直撃し撃沈したのだった。
せっかく魔力エネルギーを注いだ防御魔法陣はその飛翔体の速度に機能せず、炸薬の爆発は陸上戦艦の心臓部を破壊しつくしていた。
ここに旧ルナトーク王国占領軍分遣艦隊は、その役目を全う出来ないまま全艦撃沈されたのだった。
僚艦2艦が撃沈されたが、強化された防御魔法陣により、その直撃も躱すことが出来ると確認されたため、我が分遣艦隊は当初の目的よりも早いが敵艦隊に向け進路を変えて吶喊することにした。
このまま敵艦隊が長距離魔導砲を撃てないなら、この後射程距離に捉えるのはこちらも同時となり、敵艦隊に魔導砲で一矢報いることが出来るだろう。
少しでも敵艦隊を足止め出来れば、主力艦隊が北からなだれ込むはずだった。
混戦状態になれば数の利で勝つことも可能だろう。
もし、こちらが先に動いたことを主力艦隊が知り呼応してくれれば、こちらに対処するために回頭した敵艦隊の横腹を主力艦隊が突いてくれることだろう。
「あのハダルが上げている黒煙。
あれが主力艦隊からも見えていれば司令は動いてくれるはずだ」
まさに占領軍分遣艦隊は、決死の覚悟で吶喊していた。
敵艦隊との距離が38kmにまで狭まった。
その時、地平線の彼方に浮上する陸上戦艦が見えた。
見たことのあるシルエットだが艦尾が異様に長い。
「あれはニムルドか?
新装備といい、まさか改造されているのか!」
その技術力に恐怖を覚える。
残念ながら、こちらの魔導砲では威力が減衰し当たっても破壊は望めない距離だ。
「拙い。長距離攻撃が来るぞ!」
敵艦隊には、50kmの距離を越えてこちらの陸上戦艦を破壊し得る魔導砲が存在している。
その魔導砲がまたこちらに向かうとなれば、防御魔法陣に更なる魔力エネルギーを注がなければならない。
これは何度も出来るものではないため、なるべく回数を減らしたいところだが、使用をケチってやられたのでは本末転倒となる。
いつ壊れるかわからないがやるしかないのだ。
すると敵艦からの光条が北へと向かうのが見えた。
「しまった。敵艦の目標は主力艦隊だ!」
我が分遣艦隊は、敵からの長距離攻撃があることを知っているが、主力艦隊は未だその存在を知らないはずだった。
いつ壊れるかわからない防御魔法陣に無駄な魔力エネルギーは注ぎ込んでいないだろう。
「牽制攻撃だ! 魔導砲発射。
攻撃が効かなくても良い。嫌がらせになるだけでいい!」
「魔導砲、魔力エネルギー不足で発射不能!」
残念なことに、防御魔法陣に魔力エネルギーを回したせいで魔導砲が発射不能となっていた。
その間にも敵艦は15発ほどの魔導砲を主力艦隊に撃ち込んでいた。
主力艦隊がいるであろう地点からハダルと同様の黒いキノコ雲がいくつも上がっていた。
「おのれ! こちらに通信手段があればむざむざとやられはしなかったものを」
分遣艦隊司令ダッソーは悔しさに唇を噛んだ。
「機関増速だ! 壊れても構わん!
なんとてでも一矢報いるのだ!」
その時、地平線の彼方から7つの噴煙が上がった。
4つは主力艦隊に向かい、残る3つはこちらに向かって来た。
「なんだあれは?」
そう思っているうちに3つの飛翔体がガニメデ、ドゥーベ、アダラにあっと言う間に迫る。
一番先行していた三番艦アダラに飛翔体が浮上するとそのまま中央に突っ込んだ。
ドーーーーーーーーーーーーン!
物凄い爆発音がするとアダラがゆっくり墜落していく。
「拙い! 迎撃……」
ダッソーはその後を言うことが出来なかった。
敵が放った飛翔体はそのまま四番艦ガニメデ、五番艦ドゥーベに直撃し撃沈したのだった。
せっかく魔力エネルギーを注いだ防御魔法陣はその飛翔体の速度に機能せず、炸薬の爆発は陸上戦艦の心臓部を破壊しつくしていた。
ここに旧ルナトーク王国占領軍分遣艦隊は、その役目を全う出来ないまま全艦撃沈されたのだった。
0
お気に入りに追加
813
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界で作ろう!夢の快適空間in亜空間ワールド
風と空
ファンタジー
並行して存在する異世界と地球が衝突した!創造神の計らいで一瞬の揺らぎで収まった筈なのに、運悪く巻き込まれた男が一人存在した。
「俺何でここに……?」「え?身体小さくなってるし、なんだコレ……?[亜空間ワールド]って……?」
身体が若返った男が異世界を冒険しつつ、亜空間ワールドを育てるほのぼのストーリー。時折戦闘描写あり。亜空間ホテルに続き、亜空間シリーズとして書かせて頂いています。採取や冒険、旅行に成長物がお好きな方は是非お寄りになってみてください。
毎日更新(予定)の為、感想欄の返信はかなり遅いか無いかもしれない事をご了承下さい。
また更新時間は不定期です。
カクヨム、小説家になろうにも同時更新中
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる