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第一部 始動
第5話 ゲームルール説明
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テレビに映し出されたのは、真っ白い壁を背にして立つ男の姿だった。スオウもよく知る男である。このゲームの話を持ちかけてきた『死神の代理人』こと――紫人である。
「お集まりのみなさん、こんばんは。『死神の代理人』である紫人です。全員欠けることなくお集まりいただいたみたいで大変感謝しております」
サラリーマン然としたスーツ姿と、その馬鹿丁寧な口調は相変わらずである。
「今宵、みなさまがたには、自らの命を懸けた壮大なゲームに挑戦していただきます。そのゲームの名前は――『デス13ゲーム』」
何人かの参加者たちの口から、声にはならない小さなどよめきが起きた。
「今から『デス13ゲーム』についてご説明をいたします。もしも分からない点がございましたら、説明が終わったあとに随時お聞きいたしますので、一度最後までゲームの説明にお付き合いください」
紫人はそこでみなの反応をうかがうように一呼吸入れてから、さらに話を続けた。
「『デス13ゲーム』のルールは単純にして明快であります。これからこの場所で、13時間無事に生き残るか、あるいは13時間の間にランダムに発動する13個のデストラップを無事にすべて回避して生き残るか、あるいは13人の中で最後の1人として生き残るか、以上の三つのルールの内、どれかひとつでもクリアした者が勝者となります。つまり、13時間が経過していなくとも13個のデストラップをすべて回避した時点で、あるいは、13時間が経過していなくとも生き残った参加者が最後の1人となった時点で、ゲームは終了となります。それと、これは言うまでもないことですが、外部に助けを求める行為は全面禁止とさせていただきます。言葉で聞くと難しく感じるかもしれませんが、今までに3時間でゲームをクリアした者もいますので、ぜひみなさん、クリア時間の最短記録の更新を目指してください。──以上で簡単ではありますが、ゲームの説明は終わりとさせていただきます。では、なにかご質問のある方がいたら、どうぞご遠慮なく申し出てください。教えられる範囲内のことであれば、こちらは包み隠さずすべてお話しします」
「ゲームのルールはだいたいのところ分かりました。ただ、あなたの言ったデストラップというのが分からないのですが?」
参加者の中で自然とリーダー格になっていた五十嵐が、最初に口を開いた。テレビに向かって話しかけると、部屋のどこかに隠しマイクが仕込まれているのか、画面内の紫人が答えた。
「デストラップというのは、文字通り『死の罠』です。つまりあなたがたを死に追いやる罠ということです」
「死――!」
「命を懸けたゲームですから、トラップにかかった者は紛れもなく、かなりの高確率で死ぬと思ってください」
「いや……確かに命を懸けたゲームであると聞かされてはいたけど……」
五十嵐が言葉に詰まった。顔色も冴えない。死という単語を聞いて、怖気づいたのかもしれない。
「そのデストラップがどんなものなのかは、もちろん俺たちには教えてくれないんだよな」
五十嵐に代わって、瓜生が話を再開した。
「ええ。それを話してしまったら、ネタバラしになってしまいますから」
「でもよ、俺たちが相手をするのは、本物かどうかは別として、死神様なんだろう?」
「はい、そうです。本物の死神です。むろん、信じるかどうかは参加者のみなさまの信仰心しだいですが」
「じゃあ、その死神様が用意したデストラップを、俺たちみたいな人間ごときが回避出来るものなのか? それが出来ないとなると、このゲームは始めから結果が見えているようなものだからな」
「そうよ。ただの人間が死神を相手にしてに敵うわけないじゃない!」
以外にも大きな声を出したのはミネだった。この中では一番体力的に不安がある参加者であることは間違いない。それでも敢えて声を上げたということは、このゲームに並々ならぬ意欲があるということなのだろう。
「小金寺さんのご指摘はごもっともです。ですから、デストラップには参加者側に対して、ひとつのアドバンテージが設けられております」
「アドバンテージってなにかしら? 私は横文字は苦手なのよ」
「バアさん、アドバンテージというのは、簡単に言えば、有利な点っていう意味だよ」
言葉は荒っぽいが、優しくミネに教える瓜生だった。
「失礼しました。それではミネさんにも分かりやすい言葉でご説明しますね。――参加者側に有利な点を示すことによって、死神との絶対的な差を無くすということです」
「それって、具体的にどういうことなのさ?」
「このデストラップが発動する際には、その前に必ずそれと分かるなんらかの前兆が起こります。その前兆を見逃さないことです。それによってデストラップへの前準備が出来るというわけです」
「なるほどね。バアさんもこれで分かったかい?」
「なんとなくだけどね」
「つまりだな、バアさんにも分かるように言うと、赤信号の前に点灯する黄信号みたいなものさ。デストラップが発動する前には、必ず注意を喚起する黄信号に似た前兆が起きるってことらしいぜ」
「はい、そういうことになります。わたくしにかわってご説明していただきありがとうございます」
「まあ、たしかにそれならば、こちら側にもなんらかの対処の仕様があるわけだね」
ミネは納得したようだった。
「では、他にご質問はありますか?」
テレビ画面の中で紫人が参加者全員の顔を見回すように頭を左右に振る。
「デストラップは死神が起こすものと言ったが、物理的な限界はあるのかな?」
ソファから立ち上がって質問したのは、あの異彩な雰囲気をまとった白髪の男だった。
「物理的と言うのはどういう意味でしょうか?」
「相手が死神だとしたら、突然なにも無かった空間に炎を起こしたり、突然バケモノに襲われたり、そんな風にされたら、いくら前兆があってもこちらとしては防ぎようがないと思ってね」
「なるほど。分かりました。そういう心配はありませんので安心して下さい。デストラップはあくまでも現実世界における物理法則にのっとり発動いたします。突然ドラゴンが現われて、参加者が食べられてしまってゲーム終了、というようなことはありません。仮に、突然炎が生まれたとしたら、そこには炎を生み出すだけのなんらかの要素があったときだけです」
「いいだろう。その言葉を信用することにするよ」
白髪男はそれで満足したのか、ソファに座り直した。
「では他にデストラップについてのご質問はありますか?」
紫人が再び全員の顔を見回す。
「無いようでしたら、デストラップ以外の質問があれば――」
「はい。いいかな」
スオウは教室でもないのに挙手をした。
「どうぞ。どのようなご質問でしょうか?」
「勝者の報酬について詳しく聞きたい。あんたはおれに命を懸けたゲームに勝利すれば、妹の命を救えると言ったが、それは間違いないんだよな?」
「はい。前に言ったことに間違えはございません」
「ゲームに勝利したら、すぐに助けてもらえるのか?」
「はい、その点についてはお約束致します」
「分かった――」
スオウが納得しかけたとき、紫人が口を挟んできた。
「ただし、その時点で対象者が生きていることが絶対条件となります」
「はあ? 生きているってどういうことだよ?」
「あなたが今夜、このゲームの勝者になったとして、そのときに妹さんの命がすでに尽きていたとしたら、助けることは出来ないという意味です」
「おい待てよ。そんなこと聞いていないぞ!」
「残念ながら、死神の力は現世でしか威力がありません。過去において死んでしまった者を、生き返らせるということは不可能だと覚えておいてください」
「ていうことは、おれの妹の命がこれから13時間後まで持ちこたえていればいいということだよな?」
「はい、そうなります」
「だったら、一秒でも早くゲームを始めようぜ」
「そうですね。そろそろゲームの方を始め――」
「ちょっと待って!」
今までテレビの画面を食い入るように見つめていた女性が、テレビが置かれた壁際まで駆け寄ってきた。自己紹介がまだ済んでいない女性の内の一人である。年齢は二十代半ばくらい。体のラインに余裕を持たせたような、ゆったりとした上品な花柄のワンピースを着ている。
「私もどうしても聞きたいことがあるの!」
女性は切羽詰まったような口調で続けた。
「命を救うということは、体の怪我や障害も救ってくれるって理解していいの?」
「はい、大丈夫ですよ。ただし、さきほどの命の件と同様に、すでに無くなってしまっている部位については、救うことは出来ません。具体的に言うと、事故で切断してしまった足を治すということは出来ません。逆に言いますと、欠損していなければ、怪我であったり、難病の原因自体を取り除くことは可能でございます。敢えて詳細に話すことはしませんが、ここにいるみなさんが助けたいであろう人間については、それぞれ全員調査済みですので、間違いなく助けることが出来ると断言いたします。もちろん、ゲームの勝者になることが絶対条件ですがね」
「分かりました……」
女性はそれで理解したのか、お腹の辺りをさすりながらテレビから離れていく。
「今度こそ本当にゲームを――」
「そういえば、勝者の人数に上限ってあるんですか? さっきのルール説明だと、13人全員が生き残る可能性もあると思うんだけど」
イツカがさらっと話に割り込んできた。
「あっ、それを忘れていました」
「これって最重要事項だと思うんだけど」
「はい。あの……すみません」
まるで出来の悪い上司と出来が良すぎる部下のような二人のやりとりである。
「勝者の上限ですが、13人です。つまり、みなさん全員が勝ち残る可能性もあるということです。その場合はもちろん全員の望みを叶えることが出来ます」
「13人が協力してゲームをクリア出来たら、死神の負けゲームっていうわけね」
「はい、そういうことになります」
「じゃあ、わたしも頑張らないと」
まるで緊張感が感じられない声でイツカは言った。
「では、ゲームを始めることにいたしますが、みなさん準備の方は大丈夫ですか?」
ホールにいる全員に緊張感がはしった。
スオウは知らぬうちに両手の拳を強く握り締めていた。
「それではただ今から、命を懸けた『デス13ゲーム』を始めます。これ以降の連絡はすべてわたくしからのメールのみになります。では生きていらっしゃれば、ゲーム終了時にまたお会いしましょう。わたくしはこれで去ります。死神は特等席でゲームを観覧していますので、みなさまのご活躍を期待していますね」
紫人の話が終わると同時に、テレビの画面が元のニュース映像に切り替わった。
「お集まりのみなさん、こんばんは。『死神の代理人』である紫人です。全員欠けることなくお集まりいただいたみたいで大変感謝しております」
サラリーマン然としたスーツ姿と、その馬鹿丁寧な口調は相変わらずである。
「今宵、みなさまがたには、自らの命を懸けた壮大なゲームに挑戦していただきます。そのゲームの名前は――『デス13ゲーム』」
何人かの参加者たちの口から、声にはならない小さなどよめきが起きた。
「今から『デス13ゲーム』についてご説明をいたします。もしも分からない点がございましたら、説明が終わったあとに随時お聞きいたしますので、一度最後までゲームの説明にお付き合いください」
紫人はそこでみなの反応をうかがうように一呼吸入れてから、さらに話を続けた。
「『デス13ゲーム』のルールは単純にして明快であります。これからこの場所で、13時間無事に生き残るか、あるいは13時間の間にランダムに発動する13個のデストラップを無事にすべて回避して生き残るか、あるいは13人の中で最後の1人として生き残るか、以上の三つのルールの内、どれかひとつでもクリアした者が勝者となります。つまり、13時間が経過していなくとも13個のデストラップをすべて回避した時点で、あるいは、13時間が経過していなくとも生き残った参加者が最後の1人となった時点で、ゲームは終了となります。それと、これは言うまでもないことですが、外部に助けを求める行為は全面禁止とさせていただきます。言葉で聞くと難しく感じるかもしれませんが、今までに3時間でゲームをクリアした者もいますので、ぜひみなさん、クリア時間の最短記録の更新を目指してください。──以上で簡単ではありますが、ゲームの説明は終わりとさせていただきます。では、なにかご質問のある方がいたら、どうぞご遠慮なく申し出てください。教えられる範囲内のことであれば、こちらは包み隠さずすべてお話しします」
「ゲームのルールはだいたいのところ分かりました。ただ、あなたの言ったデストラップというのが分からないのですが?」
参加者の中で自然とリーダー格になっていた五十嵐が、最初に口を開いた。テレビに向かって話しかけると、部屋のどこかに隠しマイクが仕込まれているのか、画面内の紫人が答えた。
「デストラップというのは、文字通り『死の罠』です。つまりあなたがたを死に追いやる罠ということです」
「死――!」
「命を懸けたゲームですから、トラップにかかった者は紛れもなく、かなりの高確率で死ぬと思ってください」
「いや……確かに命を懸けたゲームであると聞かされてはいたけど……」
五十嵐が言葉に詰まった。顔色も冴えない。死という単語を聞いて、怖気づいたのかもしれない。
「そのデストラップがどんなものなのかは、もちろん俺たちには教えてくれないんだよな」
五十嵐に代わって、瓜生が話を再開した。
「ええ。それを話してしまったら、ネタバラしになってしまいますから」
「でもよ、俺たちが相手をするのは、本物かどうかは別として、死神様なんだろう?」
「はい、そうです。本物の死神です。むろん、信じるかどうかは参加者のみなさまの信仰心しだいですが」
「じゃあ、その死神様が用意したデストラップを、俺たちみたいな人間ごときが回避出来るものなのか? それが出来ないとなると、このゲームは始めから結果が見えているようなものだからな」
「そうよ。ただの人間が死神を相手にしてに敵うわけないじゃない!」
以外にも大きな声を出したのはミネだった。この中では一番体力的に不安がある参加者であることは間違いない。それでも敢えて声を上げたということは、このゲームに並々ならぬ意欲があるということなのだろう。
「小金寺さんのご指摘はごもっともです。ですから、デストラップには参加者側に対して、ひとつのアドバンテージが設けられております」
「アドバンテージってなにかしら? 私は横文字は苦手なのよ」
「バアさん、アドバンテージというのは、簡単に言えば、有利な点っていう意味だよ」
言葉は荒っぽいが、優しくミネに教える瓜生だった。
「失礼しました。それではミネさんにも分かりやすい言葉でご説明しますね。――参加者側に有利な点を示すことによって、死神との絶対的な差を無くすということです」
「それって、具体的にどういうことなのさ?」
「このデストラップが発動する際には、その前に必ずそれと分かるなんらかの前兆が起こります。その前兆を見逃さないことです。それによってデストラップへの前準備が出来るというわけです」
「なるほどね。バアさんもこれで分かったかい?」
「なんとなくだけどね」
「つまりだな、バアさんにも分かるように言うと、赤信号の前に点灯する黄信号みたいなものさ。デストラップが発動する前には、必ず注意を喚起する黄信号に似た前兆が起きるってことらしいぜ」
「はい、そういうことになります。わたくしにかわってご説明していただきありがとうございます」
「まあ、たしかにそれならば、こちら側にもなんらかの対処の仕様があるわけだね」
ミネは納得したようだった。
「では、他にご質問はありますか?」
テレビ画面の中で紫人が参加者全員の顔を見回すように頭を左右に振る。
「デストラップは死神が起こすものと言ったが、物理的な限界はあるのかな?」
ソファから立ち上がって質問したのは、あの異彩な雰囲気をまとった白髪の男だった。
「物理的と言うのはどういう意味でしょうか?」
「相手が死神だとしたら、突然なにも無かった空間に炎を起こしたり、突然バケモノに襲われたり、そんな風にされたら、いくら前兆があってもこちらとしては防ぎようがないと思ってね」
「なるほど。分かりました。そういう心配はありませんので安心して下さい。デストラップはあくまでも現実世界における物理法則にのっとり発動いたします。突然ドラゴンが現われて、参加者が食べられてしまってゲーム終了、というようなことはありません。仮に、突然炎が生まれたとしたら、そこには炎を生み出すだけのなんらかの要素があったときだけです」
「いいだろう。その言葉を信用することにするよ」
白髪男はそれで満足したのか、ソファに座り直した。
「では他にデストラップについてのご質問はありますか?」
紫人が再び全員の顔を見回す。
「無いようでしたら、デストラップ以外の質問があれば――」
「はい。いいかな」
スオウは教室でもないのに挙手をした。
「どうぞ。どのようなご質問でしょうか?」
「勝者の報酬について詳しく聞きたい。あんたはおれに命を懸けたゲームに勝利すれば、妹の命を救えると言ったが、それは間違いないんだよな?」
「はい。前に言ったことに間違えはございません」
「ゲームに勝利したら、すぐに助けてもらえるのか?」
「はい、その点についてはお約束致します」
「分かった――」
スオウが納得しかけたとき、紫人が口を挟んできた。
「ただし、その時点で対象者が生きていることが絶対条件となります」
「はあ? 生きているってどういうことだよ?」
「あなたが今夜、このゲームの勝者になったとして、そのときに妹さんの命がすでに尽きていたとしたら、助けることは出来ないという意味です」
「おい待てよ。そんなこと聞いていないぞ!」
「残念ながら、死神の力は現世でしか威力がありません。過去において死んでしまった者を、生き返らせるということは不可能だと覚えておいてください」
「ていうことは、おれの妹の命がこれから13時間後まで持ちこたえていればいいということだよな?」
「はい、そうなります」
「だったら、一秒でも早くゲームを始めようぜ」
「そうですね。そろそろゲームの方を始め――」
「ちょっと待って!」
今までテレビの画面を食い入るように見つめていた女性が、テレビが置かれた壁際まで駆け寄ってきた。自己紹介がまだ済んでいない女性の内の一人である。年齢は二十代半ばくらい。体のラインに余裕を持たせたような、ゆったりとした上品な花柄のワンピースを着ている。
「私もどうしても聞きたいことがあるの!」
女性は切羽詰まったような口調で続けた。
「命を救うということは、体の怪我や障害も救ってくれるって理解していいの?」
「はい、大丈夫ですよ。ただし、さきほどの命の件と同様に、すでに無くなってしまっている部位については、救うことは出来ません。具体的に言うと、事故で切断してしまった足を治すということは出来ません。逆に言いますと、欠損していなければ、怪我であったり、難病の原因自体を取り除くことは可能でございます。敢えて詳細に話すことはしませんが、ここにいるみなさんが助けたいであろう人間については、それぞれ全員調査済みですので、間違いなく助けることが出来ると断言いたします。もちろん、ゲームの勝者になることが絶対条件ですがね」
「分かりました……」
女性はそれで理解したのか、お腹の辺りをさすりながらテレビから離れていく。
「今度こそ本当にゲームを――」
「そういえば、勝者の人数に上限ってあるんですか? さっきのルール説明だと、13人全員が生き残る可能性もあると思うんだけど」
イツカがさらっと話に割り込んできた。
「あっ、それを忘れていました」
「これって最重要事項だと思うんだけど」
「はい。あの……すみません」
まるで出来の悪い上司と出来が良すぎる部下のような二人のやりとりである。
「勝者の上限ですが、13人です。つまり、みなさん全員が勝ち残る可能性もあるということです。その場合はもちろん全員の望みを叶えることが出来ます」
「13人が協力してゲームをクリア出来たら、死神の負けゲームっていうわけね」
「はい、そういうことになります」
「じゃあ、わたしも頑張らないと」
まるで緊張感が感じられない声でイツカは言った。
「では、ゲームを始めることにいたしますが、みなさん準備の方は大丈夫ですか?」
ホールにいる全員に緊張感がはしった。
スオウは知らぬうちに両手の拳を強く握り締めていた。
「それではただ今から、命を懸けた『デス13ゲーム』を始めます。これ以降の連絡はすべてわたくしからのメールのみになります。では生きていらっしゃれば、ゲーム終了時にまたお会いしましょう。わたくしはこれで去ります。死神は特等席でゲームを観覧していますので、みなさまのご活躍を期待していますね」
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