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第二章

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「やっぱり、小さくても山は山ね、足ば悪いし傾斜になってるから、結構来るわ」
 まだそれほど登っていないのに、少し息が上がり始めた。
「まぁ、他の貴族令嬢なら、もっと早くに音を上げるでしょう、いや山に入ろうとはしないでしょうか」
 マークが少し楽しそうな表情で言った。本当は淑女としておとなしくしていてほしい、と願いつつ、だんだん、それは無理だという事が分かってきて、諦めてきているかもしれない。そういえば山に行くのも、それほど反対をされていないような気がする。
「少し休みますか?」
「まだまだよ」
 私は力強くそう言う。マークが「そうですか」と微笑むと、密着する様に私の隣へ位置取り、私の腰に後ろから手を当てて、押すようにしてくれた。
「あぁ、ありがとう」
「転がり落ちてもらっても、嫌ですからね」
 マークが苦笑する。まだそこまで限界ではない。
「もうちょっと、鍛えないといけないわね」
 国を作るのに、体力が無いとやっていけないだろう。問題が山積みだから、こうやっていろいろな所に出向く事も多いだろうし、危険な事もあるかもしれない。
「得意分野で補うという方法もありますよ」
「得意分野?」
「希少魔法テイムがあるのですから、適材適所の魔物に力を貸してもらえば」
「あぁ、確かにね」
 こういう山こそ、イズに乗せてもらったら、すぐ頂上までたどり着けそうだ。トラが山の中を得意としているか分からないけど。
「でも、問題もあるのよね」
「問題ですか?」
「都合よく魔物に力が借りれるかどうかわからない……テイムってね、契約は魔物、一体としか出来ないのよ……あんまり知られてないけど」
「そうなのですか? ではセフィは今、他の魔物をテイムできないのですか?」
「そうでもないのよ」
 どう説明しようか。実は私も完全にわかっているわけではない。そもそも、テイムの使い手がほとんどいないせいで、いまいち、魔法としての発展を進んでいないし、昔からあるテイムの技法の研究も進んでいない。私は少し考えた後、言葉を続ける。
「契約がテイムの最上級よ、契約者同士で離れていても繋がっていて、場所も分かるし、喋る事もできる……契約した魔物の特性を受けられるというのもある……らしい」
「らしい?」
「この辺はよくわかっていないのよ、希少魔法の弊害ね」
「なるほど」
 山道を進みながら喋ると、結構きつくなって私の息が上がる。それを見てマークが「話がてら少し休みますか?」と問いかけてきた。
「そうね」
 私は立ち止まって、深呼吸をした。その間に、マークが倒れた木に懐から出した布を乗せて、座っても汚れないようにしてくれる。
「ありがとう」
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