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第二章

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「シルクさん、私も、休息には賛成です、想像以上に馬が消耗しています、影の魔物の襲撃が、堪えているようです」
 その言葉に考え込んだシルクが、ややあって、ドレグを呼んだ。
「話は分かりましたぞ」
 フム、とドレグが考え込む。
「馬に無理をさせて、進むのは得策とは言えませんな、しかしながら、遅れているのも事実」
「攻撃のタイミングが遅れると有利に立ち回れませんね」
 エネリーもそう言って、一緒に考え始める。私にはよくわからない部分があるけど、口をはさみづらい。攻撃のタイミングというのはなんだろう。
「今ここで考えても、仕方がないかもしれませんな、目的地に近づいたタイミングで、作戦を練り直すか、そのまま決行するか、決めますぞ」
 ドレグの言葉に私は、小さくガッツポーズをする。お昼ごはんだ。そんな私のウキウキした態度を見て、シルクが呆れたように、小さくため息をつく。
「まぁいいではありませんか」
 見かねたドレグが、シルクにそう言った。
「リコ様の明るさで、精神的に支えられますぞ、重く考えすぎますな」
「そうっす、焦りは禁物っす」
 ニールがドレグに同意する。それを見て、ドレグが「ニールはただ休みたいだけだろう」と小言を言われた。
「ニールはさっきから、休めてないよね」
 少し笑いながら、私はニールにそう言ってやった。正直にニールは頭を縦に振る。必死で馬車を追いかけた後、休みなしで、歩いて、ドレグに小言を言われ。休めていないと言えばそうである。
 私達は街道から、馬車をズラして停めた。道を通る者は、おそらくいないのだけど、一応、道の真ん中で馬車を停めるのは、気がひける。
「やっと休めるっす」
 ニールが気の抜けた声をあげながら、草地に寝ころんだ。
「気を抜きすぎだぞ、ニール」
 ドレグが諫めると、エネリーが「休憩中ですから」と微笑み、ドレグがそれを見て、少し低めの唸り声をあげて、黙った。一応、兵士の三人は、順番に休憩を取って、常に見張りをしてくれるらしい。私とシルクは馬車の中で休む。
「なんか、申し訳ないね、私達だけ優遇されてるみたいで」
「その分、危険な所に、特攻させられますからね」
 苦笑しながら、私は「そうか」と呟く。
「シルクも戦うの?」
 手早く、食事の準備をしながら、シルクが応える。
「後方で待機です、突っ込むのはリコ様だけです」
 なんか嫌な事実だけど仕方ない。
「というか、いろいろ教えてもらっていないけど、どんな作戦なの? この旅のスケジュールとか」
 私は目の前に出された、サンドイッチを見ながら言った。
「あなたが寝ぼけていなければ、朝にその話を、部屋に来ていたクロエ様が、伝えるはずでした」
「え?! 来てたの?」
 衝撃の真実だった。クロエが朝に私の部屋に来ていたらしい。全然、気づかなかった。私は急に恥ずかしくなる。
「起こしてよぉ」
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