変態ストーカーの専属BGにはなりません!

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「明日、黒崎くん来んの?」
「うん、たぶんな」
「久しぶりだよな。あれ以来じゃん、7日間の情事」
「……その、売れないポルノ映画のタイトルみたいな言い方止めてくれる?」
「晃良くんは詳しく教えてくんなかったけどさぁ。ダダ漏れだったもんな、相手から」
「そうそう。有栖くんに逐一報告してくれてたからな。実況中継みたいだったよね」
「…………」

 そう。先月、仕事でアメリカへと渡った晃良は、なんやかんやと色々あり、予想外に早く黒崎と結ばれた。しかし、帰宅した晃良を待っていたのは、2人で過ごした休暇の7日間についてなぜか細かく把握をしていた尚人と涼だった。

 どうやら、晃良の知らないところで黒崎が有栖へと2人に起きたことについて情報を漏らしていたらしかった。

 あいつ、殺す。

 それを知ったとき、黒崎に殺意を覚えたのは言うまでもない。全面的に尚人と涼に弄られるのは自分なのだ。

 最初はブリブリと黒崎に腹を立てていたのだが。

 腹を立てて黒崎を頭に思い浮かべる度に。あの2人きりで過ごした長い時間も頭をよぎった。それを繰り返すにつれて、晃良の中の黒崎への想いが膨らんで、黒崎に対する怒りは小さくなっていった。

『アキちゃん、どこ行くの?』

 ベッドから晃良が出る度に、腕を捕まえられ、引き寄せられて同じ質問をされた。

『トイレだって』
『えー、ほんとに? どっか行かない?』
『行かないって。なんでそうなんだよ』
『アキちゃん、急に消えるかもしれないじゃん』
『…………』

 7日間一緒に過ごしてみて気づいたこと。黒崎は結構な寂しがり屋だったということ。そして。昔、晃良が施設から突然消えたことを今でもトラウマとして抱えていること。

 自分にとって何よりも大切な人がふといなくなってしまう気持ちはどんな感じなのだろう。

 以前、黒崎が拉致されたときに晃良が感じた、恐怖にも似た慟哭どうこくのような辛さと似ているのだろうか。

 晃良の腕を強くつかむ黒崎の手にそっと触れる。じっとこちらを見る黒崎の唇に優しくキスを落とした。

『大丈夫。俺はどこにも行かないから』

 黒崎がそっと笑った。晃良も微笑み返した。

 と、思い出す分には甘々に思えるエピソードの裏に、『アキちゃんがどこにも行かないからって裸でキスしてくれた』とか、『その後、結局アキちゃんがエロすぎるから引っ張ってもう1回エッチした~』とか逐一有栖にメールしていたという腹立たしい事実があるのだが。
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