変態ストーカーの専属BGにはなりません!

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Going out with you ⑭

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 イタリア定番のスイーツであるディラミスにアイスが添えられたデザートを食べ、ゆっくりと食後のコーヒーを飲んでからレストランを出た。黒崎の行きたかった庭園以外に寄りたいところも特になかったので、レストラン周辺にある店舗を目的もなくただ見て回った。

 うして歩いている内に大きめの公園に行き当たった。少し散歩をして時間を潰そうと、公園に足を踏み入れる。その頃には空港に向かわなくてはいけない時間まで一時間ほどになっていた。

「あれ? 祭り?」

 公園の開けた広場で何かを催しており、色々な屋台が出店していた。どうやら昔ながらの遊びや食べ物を楽しむための小さなイベントらしい。平日の午後なのに、カップルや子供連れ、お年寄りなどでイベントは盛況していた。晃良たちも、屋台を見て回ることにした。

「おっ、射的」

 屋台の1つに、温泉街などでよく見かける射的の店があった。ちょうど学校帰りの時間だったためか、小学生の男の子たちがその店に群がるように集まっていた。小遣いを出して射的に挑戦しているらしい。

 弾は10発。標的を10個倒せば1等。あとは倒れる数で順位が決まるようだ。並べられている賞品は今どき珍しくシンプルなものばかりだった。駄菓子やヨーヨー、回しゴマなど。最近は子供たちの目が肥えてきたこともあり、1等となるとゲーム機など高価な景品が主流だったりするが、この店の1等となっていたのは、大人の上半身がすっぽり隠れるくらいの巨大な動物のぬいぐるみだった。何種類かあるらしく、どんな動物がいるのか一つ一つ眺めていると、あるぬいぐるみに目が止まった。

「なあ。あれ、お前に似てない?」

 晃良が指を差したのは白ギツネのぬいぐるみだった。シュッとした輪郭に、細い目。すました顔をしていて他のぬいぐるみと比べるとあまり可愛らしいとは言えないのだが、逆に愛嬌あいきょうがある。

「えー、似てないって」
「そうか? あの、ちょっとふてぶてしそうな顔とかそっくりだろ」
「アキちゃん……何気にディスるのやめて」

 そんな会話を店の前でしていると、小学生の集団の一番後ろで、その白ギツネのぬいぐるみを物欲しそうに見つめている体の小さな男の子に気づいた。一瞬、女の子と思うくらい華奢きゃしゃな可愛らしい子だった。その男の子の隣に、友達であろう背の高いりんとした顔つきの気の強そうな男の子も立っていた。

「あれ、欲しいの?」

 背の高い方の子が小さな男の子に話しかけた。

「うん……。でもお金ないから」

 そう小さな男の子が答えると、背の高い男の子はポケットからお金を取り出して数え始めた。

「だめだ。ここで使うと、たこ焼きが買えない」
「うん、わかってる。たこ焼き2人で食べるの楽しみにしてたもんね」
「買いに行こう」
「うん」

 そう会話をしながら、2人は射的の店を離れていった。その後ろ姿を目で追う。小学生の今どきの小遣い事情はわからないが、先ほどから惜しみなく金を使っている他の小学生に対して、あの2人はどうやら自由にできる金があまりないようだ。事情のある家庭の子供たちなのかもしれない。2人の姿が施設時代の自分と重なった。
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