67 / 239
Going out with you ⑫
しおりを挟む
黒埼は少し考えるような表情をした後、ニヤリと笑って晃良を見た。
「やっぱ、教えられないかなぁ。怒られるし」
「……お前、なんでニヤついての?」
「でもぉ。アキちゃんが俺の家族になってくれたら、教えてもいいよ」
「は?」
「アキちゃんを信用してないわけじゃないけど。やっぱり関係ない人間には教えられないし。だけど、アキちゃんが俺の専属ボディーガードになってくれて、そんでついでに俺と結婚とかしてくれたら、もう隠す必要もないし」
「……じゃあ、教えてくれなくていい」
「なんで? あんな興味ありそうだったくせに」
「てかさ、お前、そんな国家の極秘案件を簡単に漏らそうとしていいのかよ。結婚しようがなんだろうが、ダメだろ、そんなあっさりは」
「まあ、国家の極秘案件……と言われればそうなのかな。だけど、あと数年したら関係なくなると思うし」
「それ……あと数年で使用されるってことか?」
「え? うーん、どうだろ? まだできるかもわからないし。研究段階だから」
「……よく見えねぇな、実態が」
「そう? そんな複雑じゃないけど。だけど、今は極秘事項には変わんないから。知りたい奴いっぱいいるみたいだけどな」
「まあ、そうだろうな。だからお前、要人になってるわけだし」
そこで、会話に集中し過ぎてパスタをフォークに巻いたまま手が止まっていたことに気づいた。温かい内にと口に運ぶ。
うまっ。
そのあまりのうまさに驚いた。晃良が注文したのはトマトベースのスパゲティーパスタだった。具材には旬の野菜とベーコン、あとはモッツラレラチーズがふんだんに使われている。それぞれの素材の旨味がしっかり伝わってきて、そこにモッツアレラチーズの優しい味が絶妙なバランスでアクセントになっている。
「凄ぇ、うまいんだけど」
「食材とかかなりこだわって、手間暇かけて作ってるらしいから」
「なるほどな」
その後、晃良は、黒崎と会話をするという本来の目的をそっちのけで、パスタを夢中で食べ進めることになった。黒埼も、そんな晃良を嬉しそうに見ながら箸を進めていた。
結局そのまま大して会話もせずに、パスタを食べ終えてしまった。それに気づいた晃良はこれではいけないと、のんびりとデザートを待つ間、質問を再開した。
「表向きの研究は何してんの?」
「ああ、脳関係の研究」
「……さすがインテリだな」
「そう?」
「お前って、研究所に勤めてんだろ? 立ち位置ってどこら辺なの?」
「俺? 今はマネージャーだけど」
「それって凄いんじゃねぇの?」
「どうだろ? 他にもマネージャークラスはいっぱいいるし、そうでもないと思うけど。まあ、一応、所属研究室のトップだから、あんまり怒られないのはいいけど」
その代わり、下から凄ぇ文句言われてそうだな。
勝手に抜け出したり、我儘を言ったり、好き放題している姿が目に浮かぶ。有栖が上手くフォローしているのだろうが、有栖がいなかったら黒埼はかなりの敵を作ったに違いない。
黒埼は昔からこんな我儘し放題な性格だったのだろうか。養子に出されたとき、黒埼の養父母はなぜ黒埼を選んだのだろう。
「なあ。お前の養父母ってどんな人たちなの?」
「ふつうのアメリカ人のおじさんとおばさん」
「だけど、大富豪なんだろ?」
「まあ……何個か会社は持ってるよ。政界の知り合いも多いみたいだし。俺もよくパーティーとか付き合わされる」
「いい人たちか?」
「そうだな。俺がやりたいことは何でもさせてくれたし。医者になりたいって言ったときも、軍に入りたいって言ったときも、反対は一切なかったし」
「そうなのか」
「ん。だから感謝はしてるよ。全く血も繋がってない自分をちゃんと育ててくれたから」
「……そうか」
「やっぱ、教えられないかなぁ。怒られるし」
「……お前、なんでニヤついての?」
「でもぉ。アキちゃんが俺の家族になってくれたら、教えてもいいよ」
「は?」
「アキちゃんを信用してないわけじゃないけど。やっぱり関係ない人間には教えられないし。だけど、アキちゃんが俺の専属ボディーガードになってくれて、そんでついでに俺と結婚とかしてくれたら、もう隠す必要もないし」
「……じゃあ、教えてくれなくていい」
「なんで? あんな興味ありそうだったくせに」
「てかさ、お前、そんな国家の極秘案件を簡単に漏らそうとしていいのかよ。結婚しようがなんだろうが、ダメだろ、そんなあっさりは」
「まあ、国家の極秘案件……と言われればそうなのかな。だけど、あと数年したら関係なくなると思うし」
「それ……あと数年で使用されるってことか?」
「え? うーん、どうだろ? まだできるかもわからないし。研究段階だから」
「……よく見えねぇな、実態が」
「そう? そんな複雑じゃないけど。だけど、今は極秘事項には変わんないから。知りたい奴いっぱいいるみたいだけどな」
「まあ、そうだろうな。だからお前、要人になってるわけだし」
そこで、会話に集中し過ぎてパスタをフォークに巻いたまま手が止まっていたことに気づいた。温かい内にと口に運ぶ。
うまっ。
そのあまりのうまさに驚いた。晃良が注文したのはトマトベースのスパゲティーパスタだった。具材には旬の野菜とベーコン、あとはモッツラレラチーズがふんだんに使われている。それぞれの素材の旨味がしっかり伝わってきて、そこにモッツアレラチーズの優しい味が絶妙なバランスでアクセントになっている。
「凄ぇ、うまいんだけど」
「食材とかかなりこだわって、手間暇かけて作ってるらしいから」
「なるほどな」
その後、晃良は、黒崎と会話をするという本来の目的をそっちのけで、パスタを夢中で食べ進めることになった。黒埼も、そんな晃良を嬉しそうに見ながら箸を進めていた。
結局そのまま大して会話もせずに、パスタを食べ終えてしまった。それに気づいた晃良はこれではいけないと、のんびりとデザートを待つ間、質問を再開した。
「表向きの研究は何してんの?」
「ああ、脳関係の研究」
「……さすがインテリだな」
「そう?」
「お前って、研究所に勤めてんだろ? 立ち位置ってどこら辺なの?」
「俺? 今はマネージャーだけど」
「それって凄いんじゃねぇの?」
「どうだろ? 他にもマネージャークラスはいっぱいいるし、そうでもないと思うけど。まあ、一応、所属研究室のトップだから、あんまり怒られないのはいいけど」
その代わり、下から凄ぇ文句言われてそうだな。
勝手に抜け出したり、我儘を言ったり、好き放題している姿が目に浮かぶ。有栖が上手くフォローしているのだろうが、有栖がいなかったら黒埼はかなりの敵を作ったに違いない。
黒埼は昔からこんな我儘し放題な性格だったのだろうか。養子に出されたとき、黒埼の養父母はなぜ黒埼を選んだのだろう。
「なあ。お前の養父母ってどんな人たちなの?」
「ふつうのアメリカ人のおじさんとおばさん」
「だけど、大富豪なんだろ?」
「まあ……何個か会社は持ってるよ。政界の知り合いも多いみたいだし。俺もよくパーティーとか付き合わされる」
「いい人たちか?」
「そうだな。俺がやりたいことは何でもさせてくれたし。医者になりたいって言ったときも、軍に入りたいって言ったときも、反対は一切なかったし」
「そうなのか」
「ん。だから感謝はしてるよ。全く血も繋がってない自分をちゃんと育ててくれたから」
「……そうか」
5
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
当たって砕けていたら彼氏ができました
ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。
学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。
教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。
諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。
寺田絋
自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子
×
三倉莉緒
クールイケメン男子と思われているただの陰キャ
そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。
お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。
お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる