43 / 239
Don't believe in never ⑪
しおりを挟む
「晃良くん、電気消すよ」
「うん」
結局、晃良は尚人の部屋にお世話になることになった。黒埼の未練がましい視線を浴びながらさっさと寝室に入った。クイーンサイズの尚人のベッドにパジャマで潜り込む。普段は下着1枚で寝ることも多いのだが、一応相手がいるので今日はパジャマを身に着けることにした。電気を消した後、尚人もベッドに入ってきた。
「そういえば、晃良くんと一緒に寝るのって初めてじゃない?」
「そうだったか?」
「うん。同じ部屋とか雑魚寝とかはあったけど、同じベッドではないよ」
「付き合い長いのにな」
「そうだね」
尚人が暗闇の中、ふっと笑う気配がした。
「晃良くん、結局、エッチできなかったね、今日も」
「そうなんだよなぁ。黒埼に邪魔されたからな」
「どれくらい振りだっけ?」
「うーんと、2ヶ月ぐらい?」
「そっか。晃良くんにしては長いね」
「そうだろ?」
「うん。なんやかんやで、晃良くんってモテるもんね」
「どうだろ? まあ、すぐ振られるんだけど、すぐ見つかんだよな」
「それって、男運はあるってことだよね、きっと」
「でもそのツキももうないぞ、きっと。黒埼に潰されるから」
「じゃあ、やっぱり黒埼くんとしたらいいじゃん」
「……嫌」
「嫌って言ってるわりには、なんか距離縮まってない?」
「……そんなことない」
「そう?」
「ただ……過去のことは、できたら思い出してやりたいとは思ってる」
「……そっか」
「ん」
そこで急に、尚人が体を起こして晃良に覆い被さってきた。晃良は暗闇に慣れてきた目で尚人を見上げる。
「どした?」
「俺さぁ、思ったんだけど。晃良くんがそんなに欲求不満だったら、俺が手伝ってもいいよね」
「は? 尚人?」
「うん。だって、涼ちゃんは無理だけど、俺はできるじゃん。俺、晃良くんは全然いけるし」
「はあ……」
そう言われて改めて考えてみると、確かに尚人はまあまあ晃良好みの男前だし、気も合う。近すぎて恋愛対象として意識していなかったが、普通にどこかで会っていれば、そういう仲になっていたかもしれない。
「お前、固定は作んないんだろ?」
「そうだけど、晃良くんが本当に不満解消したいんだったら協力するよ。晃良くんが情のないエッチが嫌なのは知ってるけど、恋愛じゃなくても友情でもいいんじゃない? 別に」
「だから、それが『セフレ』なんだろ? お前の不特定多数の」
「まあ。でも、晃良くんは不特定多数じゃなくて、特別な『セフレ』にするから。大事にするよ」
そこで暫く見つめ合う。こんな風に尚人に迫られて、拒否できる奴はいるのだろうか。
「うん」
結局、晃良は尚人の部屋にお世話になることになった。黒埼の未練がましい視線を浴びながらさっさと寝室に入った。クイーンサイズの尚人のベッドにパジャマで潜り込む。普段は下着1枚で寝ることも多いのだが、一応相手がいるので今日はパジャマを身に着けることにした。電気を消した後、尚人もベッドに入ってきた。
「そういえば、晃良くんと一緒に寝るのって初めてじゃない?」
「そうだったか?」
「うん。同じ部屋とか雑魚寝とかはあったけど、同じベッドではないよ」
「付き合い長いのにな」
「そうだね」
尚人が暗闇の中、ふっと笑う気配がした。
「晃良くん、結局、エッチできなかったね、今日も」
「そうなんだよなぁ。黒埼に邪魔されたからな」
「どれくらい振りだっけ?」
「うーんと、2ヶ月ぐらい?」
「そっか。晃良くんにしては長いね」
「そうだろ?」
「うん。なんやかんやで、晃良くんってモテるもんね」
「どうだろ? まあ、すぐ振られるんだけど、すぐ見つかんだよな」
「それって、男運はあるってことだよね、きっと」
「でもそのツキももうないぞ、きっと。黒埼に潰されるから」
「じゃあ、やっぱり黒埼くんとしたらいいじゃん」
「……嫌」
「嫌って言ってるわりには、なんか距離縮まってない?」
「……そんなことない」
「そう?」
「ただ……過去のことは、できたら思い出してやりたいとは思ってる」
「……そっか」
「ん」
そこで急に、尚人が体を起こして晃良に覆い被さってきた。晃良は暗闇に慣れてきた目で尚人を見上げる。
「どした?」
「俺さぁ、思ったんだけど。晃良くんがそんなに欲求不満だったら、俺が手伝ってもいいよね」
「は? 尚人?」
「うん。だって、涼ちゃんは無理だけど、俺はできるじゃん。俺、晃良くんは全然いけるし」
「はあ……」
そう言われて改めて考えてみると、確かに尚人はまあまあ晃良好みの男前だし、気も合う。近すぎて恋愛対象として意識していなかったが、普通にどこかで会っていれば、そういう仲になっていたかもしれない。
「お前、固定は作んないんだろ?」
「そうだけど、晃良くんが本当に不満解消したいんだったら協力するよ。晃良くんが情のないエッチが嫌なのは知ってるけど、恋愛じゃなくても友情でもいいんじゃない? 別に」
「だから、それが『セフレ』なんだろ? お前の不特定多数の」
「まあ。でも、晃良くんは不特定多数じゃなくて、特別な『セフレ』にするから。大事にするよ」
そこで暫く見つめ合う。こんな風に尚人に迫られて、拒否できる奴はいるのだろうか。
5
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる