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Just the beginning ⑱

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「ちょっと、聞きたいんだけどっ」

 黒崎の興奮を落ち着かせようと、思い切って黒崎に話しかけた。話を延ばして、その間になんとか危機を脱する方法を見つけなければ。

「何?」
「お前、それだけ腕が立つんだから、警護なんて要らねぇだろ。なんでわざわざ俺を雇ったんだ?」
「えー。秘密」

 殺す。

 心の中だけで呟いた。面倒になったので、遠回しな言い方はやめて核心を突いた。

「ていうか、最初から俺が狙いだったんだろ?」
「あ、バレてた?」
「バレるもなにも……今、こうして襲われてんの、俺だしな」
「まあ、そうだよな」
「理由が知りたい」
「なんの?」
「俺が襲われた理由」
「だから秘密だって」

 ギリギリと歯ぎしりしたくなるような気持ちをなんとか抑える。

「……どうせ逃げられねぇし。せめて理由ぐらい教えろよ」
「えー、どうしよっかなぁ」
「…………」
「まあ、でも。アキちゃんの裸見れたしぃ。大サービスで教えてもいいかなぁ」

 もったいぶってなかなか言おうとしない黒崎に、心の中で思いつく限りの悪態を吐きながら、なおも黒埼を説得にかかる。

「言ってくれたほうがお互いのこともっとわかり合えるし、よくないか?」
「わかり……合える?」
「そうそう。俺も、お前のこと知りたいし」

 敵として。

「……俺のこと、知りたい?」
「ん。めちゃくちゃ興味ある」

 にやっと黒崎が笑ったのが、後ろ向きでもわかった。

「わかった。教える。だけど、条件がある」
「……なんだよ」
「今夜は、何もしないつもりだったけど……」

 そう言いながら、黒崎が章良の体をぐっと引き寄せて、自分の体をぴたりと章良の背中に密着させた。

「ちょっと、アキちゃんに触りたい」

 少しでも時間稼ぎになって、少しでも隙ができるチャンスがあるなら。そして、黒埼が自分を狙う理由がわかるなら。体を触られるぐらい我慢できる。いきなり殺されるよりマシだ。

「……好きにしろ」

 章良が了承した途端、黒崎の唇が章良の首筋を這った。舌でゆっくりと味わうように舐められる。

「アキちゃんの汗の味がする」
「……まだ風呂入ってないからな」

 美味すぎるっ、と呟いて、執拗に舌を耳裏と首筋に這わせながら、黒崎の手がすっと章良の腹筋辺りを撫でた。その絶妙な手つきに、不本意ながら章良の下半身が熱くなるのを感じる。反対の手が脇腹を辿って、章良の乳首を親指で軽く転がした。ぴくっ、と章良の体が反応する。

「ここ、敏感?」

 黒崎が今度は人差し指の先を巧みに使って、先をコリコリと掻いた。声を出さないように耐えていたが、敏感な箇所を攻められて、思わず声が漏れる。

「んっ……」
「声も可愛いな」

 もっと聞かせて。そう耳元で囁いて、黒崎が両手で章良の左右の乳首を同時に弄んだ。

「あっ……んっ……」

執拗に乳首を攻められる。時間をかけてゆっくりと。その刺激で、章良の自身はすでに半勃ちの状態になっていた。
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