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確信
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チュッと、誉と軽くキスを交わしてから、密着していた体を離した。服を脱ぎ、ゴムを装着してから、うつ伏せの誉の腰を持ち上げて、自分のモノを誉の孔にあてがった。
「誉……本当に大丈夫か?」
「うん」
「怖くなったり、嫌だったら言え。我慢するな」
「わかってる」
ローションで湿り気を含んだ誉の中にゆっくりと入っていく。誉の様子を見ながら慎重に。
「ん……」
小さく誉が声を上げた。
「痛くないか?」
「うん」
「動かすぞ」
腰を軽く動かして抽送を始める。誉はもちろん経験がないわけではないので、体自体は受け入れることに慣れてはいるだろうが。精神的なものが影響して、いつもより痛みを伴うことはあり得る。女とは違う、愛液などでカバーできない場所を使うのだから。とにかくできる限り誉の負担にならないようにしたい。
「あっ……あっ……」
誉が喘ぎ始める。誉の反応を注意深く窺った。苦痛そうな表情は浮かんでいない。声音も痛みを含んでいるようには聞こえなかった。少しずつ動きを速めていく。
「んっ、あっ、あっ、あっ」
千晃が腰を突き立てる動きに合わせて、リズミカルに誉が声を上げた。ふと繋がった部分に目をやる。ローションが絡んで擦れ合い、くちゅくちゅと卑猥な音を立てている。視覚も聴覚も刺激されて、一気に興奮が増した。
ふと、誉がもぞもぞと右手を所帯なさげに動かしているのに気づいた。ぐっと前屈みになって誉に話しかける。
「前も触って欲しいか?」
「んっ、あっ、あっ……うん……」
少し恥ずかしそうに頷く誉の背中に軽くキスしてから、右手を回して誉のモノを掴んだ。腰の動きに合わせて扱いていく。
「ああんっ、あっ、あっ、ああっ」
誉の声が一際大きくなった。外と中からの両方の刺激に、誉がいやいやと頭を振りながら喘ぎ続ける。掠れた声と2人が:繋がる音がリビングに響く。
「千晃……もっ……あっ……あっ、あっ、やっ、あああ!!」
誉の声に煽られて右手のスピードを上げた。誉のモノがどくどくっと大きく反応したと同時に、誉の欲が飛び散った。ソファの上に激しく散った白濁の液に、誉が慌てた顔をして振り返った。
「千晃、ごめんっ。凄ぇ汚した」
「いいから」
「でも……あっ、あっ」
千晃の限界も近かった。ソファの汚れなど気にする余裕もない。両手で誉の尻を掴み、今度は少し強めに突いた。誉が嫌がったらすぐに止めようと思っていた。余裕のない状態でありながらも、激しくなりすぎないように気をつけながら抽送を続ける。
「んっ、んっ……千晃」
誉が千晃の名前を呼んだ。
「ん?」
「……もっといいから」
「え?」
「もっと、思いっ切り突いていいから」
「……いいのか?」
苦しそうに呼吸をしながらも、誉が振り返って軽く微笑んだ。
「そうして欲しい。千晃ともっと気持ち良くなりたい」
「…………」
思考回路がショートするとはこんな感じだろうか。辛うじて繋いでいた理性の糸がぷつりと切れた気がした。もう何も考えられなくなった。
気づくと、誉が仰向けになり、その上に重なっていた。これ以上できないくらいに、誉の奥へ奥へと体全体で突き続ける。千晃の額から、首筋から、背中から、じんわりと汗が滲んで流れ落ちた。誉は声を上げながら、千晃の首に両腕を回してしがみついていた。
お互いの荒い息がかかる。視線が絡み合う度、唇を重ねた。本能のままに、お互いを求めた。
誉の肌も。声も。熱も。瞳も。唇も。笑顔も。苦しげな表情も。なにもかもが愛おしかった。
どれくらいそうしていただろう。突然、誉が千晃の耳元で掠れた声で訴えた。
「あっ、あっ、千晃っ、もっ、ダメっ、イきそっ……」
その声に煽られるように、ぐっと腰に力を入れて、抽送を速めた。
「あっ、あっ、ああっ、んっ、んっ、うわぁああっ」
叫び声に近い声を上げて、誉が体を仰け反らせた。びくびくと腰を中心に体全体が痙攣したかのように震えた。その震えが収まらぬ内に、千晃は最後の力を振り絞るように腰を動かした。
凄ぇ、気持ちいい。
千晃が絶頂に達するまで。誉は振り絞るような声で何度もイっていた。事が終わり、千晃がそっと繋がりを断つと、意識が混濁したようなとろんとした瞳で、誉が千晃を見上げて微かに微笑んだ。
とても愛しく思えた。
千晃は、やっと触れ合うことができた愛すべき男の額に、優しくキスを落とした。
それからシャワーでお互いの汗を流し、ソファを綺麗にしてから寝室へ入った。
ベッドの上に横たわると、誉を後ろから抱き締める。しばらくずっとそのままでいた。誉の髪を指先で梳くと、くすぐったかったのか、誉がふふっと笑った。
先ほどの激しく濃厚な時間とは対照的に、優しい時間が流れていく。まるで水のように。ゆったりと、なめらかに。千晃はその心地良い感覚に身を委ねた。
やがて。誉の体から力が抜けて、気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。誉が深い眠りに落ちるまで、誉を抱き締め続けた。
こんな日が来るとは想像もしていなかった。
何の希望も持たず、期待もしていなかった1人きりの世界。それが当たり前で、死ぬまで続くと思っていた。
だが今は。それが終わり、誉と千晃の、どこまでも広がる海のように永遠で、温かな世界が始まったように感じている。そしてそれは。
千晃の中で揺るぐことのない、確信へと変わっていった。
「誉……本当に大丈夫か?」
「うん」
「怖くなったり、嫌だったら言え。我慢するな」
「わかってる」
ローションで湿り気を含んだ誉の中にゆっくりと入っていく。誉の様子を見ながら慎重に。
「ん……」
小さく誉が声を上げた。
「痛くないか?」
「うん」
「動かすぞ」
腰を軽く動かして抽送を始める。誉はもちろん経験がないわけではないので、体自体は受け入れることに慣れてはいるだろうが。精神的なものが影響して、いつもより痛みを伴うことはあり得る。女とは違う、愛液などでカバーできない場所を使うのだから。とにかくできる限り誉の負担にならないようにしたい。
「あっ……あっ……」
誉が喘ぎ始める。誉の反応を注意深く窺った。苦痛そうな表情は浮かんでいない。声音も痛みを含んでいるようには聞こえなかった。少しずつ動きを速めていく。
「んっ、あっ、あっ、あっ」
千晃が腰を突き立てる動きに合わせて、リズミカルに誉が声を上げた。ふと繋がった部分に目をやる。ローションが絡んで擦れ合い、くちゅくちゅと卑猥な音を立てている。視覚も聴覚も刺激されて、一気に興奮が増した。
ふと、誉がもぞもぞと右手を所帯なさげに動かしているのに気づいた。ぐっと前屈みになって誉に話しかける。
「前も触って欲しいか?」
「んっ、あっ、あっ……うん……」
少し恥ずかしそうに頷く誉の背中に軽くキスしてから、右手を回して誉のモノを掴んだ。腰の動きに合わせて扱いていく。
「ああんっ、あっ、あっ、ああっ」
誉の声が一際大きくなった。外と中からの両方の刺激に、誉がいやいやと頭を振りながら喘ぎ続ける。掠れた声と2人が:繋がる音がリビングに響く。
「千晃……もっ……あっ……あっ、あっ、やっ、あああ!!」
誉の声に煽られて右手のスピードを上げた。誉のモノがどくどくっと大きく反応したと同時に、誉の欲が飛び散った。ソファの上に激しく散った白濁の液に、誉が慌てた顔をして振り返った。
「千晃、ごめんっ。凄ぇ汚した」
「いいから」
「でも……あっ、あっ」
千晃の限界も近かった。ソファの汚れなど気にする余裕もない。両手で誉の尻を掴み、今度は少し強めに突いた。誉が嫌がったらすぐに止めようと思っていた。余裕のない状態でありながらも、激しくなりすぎないように気をつけながら抽送を続ける。
「んっ、んっ……千晃」
誉が千晃の名前を呼んだ。
「ん?」
「……もっといいから」
「え?」
「もっと、思いっ切り突いていいから」
「……いいのか?」
苦しそうに呼吸をしながらも、誉が振り返って軽く微笑んだ。
「そうして欲しい。千晃ともっと気持ち良くなりたい」
「…………」
思考回路がショートするとはこんな感じだろうか。辛うじて繋いでいた理性の糸がぷつりと切れた気がした。もう何も考えられなくなった。
気づくと、誉が仰向けになり、その上に重なっていた。これ以上できないくらいに、誉の奥へ奥へと体全体で突き続ける。千晃の額から、首筋から、背中から、じんわりと汗が滲んで流れ落ちた。誉は声を上げながら、千晃の首に両腕を回してしがみついていた。
お互いの荒い息がかかる。視線が絡み合う度、唇を重ねた。本能のままに、お互いを求めた。
誉の肌も。声も。熱も。瞳も。唇も。笑顔も。苦しげな表情も。なにもかもが愛おしかった。
どれくらいそうしていただろう。突然、誉が千晃の耳元で掠れた声で訴えた。
「あっ、あっ、千晃っ、もっ、ダメっ、イきそっ……」
その声に煽られるように、ぐっと腰に力を入れて、抽送を速めた。
「あっ、あっ、ああっ、んっ、んっ、うわぁああっ」
叫び声に近い声を上げて、誉が体を仰け反らせた。びくびくと腰を中心に体全体が痙攣したかのように震えた。その震えが収まらぬ内に、千晃は最後の力を振り絞るように腰を動かした。
凄ぇ、気持ちいい。
千晃が絶頂に達するまで。誉は振り絞るような声で何度もイっていた。事が終わり、千晃がそっと繋がりを断つと、意識が混濁したようなとろんとした瞳で、誉が千晃を見上げて微かに微笑んだ。
とても愛しく思えた。
千晃は、やっと触れ合うことができた愛すべき男の額に、優しくキスを落とした。
それからシャワーでお互いの汗を流し、ソファを綺麗にしてから寝室へ入った。
ベッドの上に横たわると、誉を後ろから抱き締める。しばらくずっとそのままでいた。誉の髪を指先で梳くと、くすぐったかったのか、誉がふふっと笑った。
先ほどの激しく濃厚な時間とは対照的に、優しい時間が流れていく。まるで水のように。ゆったりと、なめらかに。千晃はその心地良い感覚に身を委ねた。
やがて。誉の体から力が抜けて、気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。誉が深い眠りに落ちるまで、誉を抱き締め続けた。
こんな日が来るとは想像もしていなかった。
何の希望も持たず、期待もしていなかった1人きりの世界。それが当たり前で、死ぬまで続くと思っていた。
だが今は。それが終わり、誉と千晃の、どこまでも広がる海のように永遠で、温かな世界が始まったように感じている。そしてそれは。
千晃の中で揺るぐことのない、確信へと変わっていった。
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