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からみあう思惑
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私と阿部君のは本物の警察手帳と変わらないもので、明智君のはアメリカンポリスのような金の星型バッジだ。金のバッジはやけに重いので、純金製だろう。重くてじゃまになるよりは、強欲な明智君なら嬉しくて逆に元気になる。警視長も分かっているじゃないか。
ああ、そうそう。バッジを明智君の体に直に付けるのかと心配してくれた人たちに、説明しておかないといけない。明智君はバンダナ型よだれかけを首に掛けているので、これに付けられるのだ。このバンダナは小物入れにもなっているすぐれものだ。ここからは大きい声では言えないが、その中には明智君の全財産の入った貯金通帳とキャッシュカードが入っている。そしてそれを、私は知っている。明智君も私が知っているのを知っている。だけど、私はバンダナの中に何があるのかを知らない体を装わないといけない。明智君も私が何もかも知っているのを知らない体を演じている。それが関係が上手くいくコツなのだ。ついでに、阿部君もすべて知っている。
私たちは笑顔で警察官にお礼を言ってから、阿部君パパの車に向かった。ゆっくりと。この警察官がもしかしたら何か他に忘れてないかと心配してだ。移動中に車の中で食べられるお菓子とか。もしくは、私のサインをねだるのを。しかし、この警察官は恥ずかしがり屋さんだった。いや、真面目なのだ。勤務中だもんな。
車に乗り、すぐに窓を開けた。何も期待していない。それでも警察官の方を見ると、こちらに全速力で来る気配が……。いつの間にか私が開けた窓から一緒に顔を出していた明智君と阿部君と、同じタイミングでため息をついてから、窓を閉めた。次の行き先は病院だったな。もう一般外来の入り口が開いているだろう。
しかし気になる事がある。『名探偵ひまわり』と『名犬あけっちー』が名探偵アピールをしてこないのだ。こいつらがこんなに大人しくしているなんて、不気味以外の何ものでもない。何を企んでいるんだ? 分かったぞ。昼ごはんを何にするか考えているだけだ。探偵には飽きただけだ。自分たちが私のような名探偵にはなれないと、理解したのもあるのだろう。お前たちは、助手と記録係に専念してくれるだけでいい。昼ごはん代くらい出してあげようじゃないか。領収書を持っていけば、警視長が精算してくれる。約束はしていないが、警察及び警視長のために働いているのだから。あっ、そうだ。我々には明智君がいるじゃないか。いくらでも脅し取れるぞ。フフッ。
「リーダー、話があります」
おっ! やはりそうだった。阿部君が自分の実力のなさを認めるなんて、ずいぶん成長したじゃないか。我々が探偵団をしている間は、好きな物を食べさせてやる。財布は日本国だから天井知らずだからな。
「みなまで言うな。阿部君も明智君も100年ほど私に付いて真面目に努力をすれば、私のような名探偵になれるぞ。頑張りたまえ」
「早とちリーダー、『早とちり』と『リーダー』を組み合わせたハイセンスな造語ですけど、理解できましたよね? 明智君は理解してるので、続けますよ。早とちリーダー、もう少し上手に捜査できないんですか?」
え? 阿部君は冗談を言ってるのか? くだらない言葉を作って喜んでいるし。明智君が全く聞いてないのにも気づいてないほど、必死だ。冗談を言って私をリラックスさせてあげようと。いや、違うな。この必死さは、少なくとも冗談ではない。しかし明智君は珍しく中立を保っている。晩ごはんを豪華にすると宣言しておいて良かった。よし、たまには口答えをしてやる。阿部君も晩ごはんを食べていくつもりだから、そこまでの逆襲はしてこない。私がケガをしたなら、料理をする人間がいなくなるからな
「阿部君、負け惜しみはほどほどにしてくれるかい? 第一容疑者の、いや真犯人だっと言って差し支えない悪徳政治家夫人を自白寸前まで追い込んだのは、私だぞ」
「は? 何を寝ぼけたことを。リーダーの力量を見るために、私はあえて口出ししなかったんですよ。結果を言うと、とてもじゃないけどぎりぎり足手まといを卒業できるレベルですね。やっぱり『名探偵ひまわり』と『名犬あけっちー』が最初から顔を出した方が良かったのかな? ねえ、明智君?」
何気に、阿部君までも『名犬あけっちー』と言ったな。ということは明智君自ら『名犬あけっちー』と名乗っているのだ。私と明智君の思考が一緒だと分かって嬉しいぞ。だからこんなにも気が合うのだろう。今はそんな分かりきった事で舞い上がっている場合ではなかったな。それに明智君は私に悲しそうな目を向けつつ、少しづつ阿部君に近寄り始めている。
どこからどうやって手を付けていいのかさえ分からなくて、目立たないようにしていた阿部君が、何を言ってるんだ。明智君なんて、私に嵌められたとはいえ証拠品もどきのボールに何をした? そこまで言うなら、やってみろと言ってやろうかな。いや、それは危険が大きい。万が一何か偶然が1000回くらい重なって事件が解決してしまったら、私の立場がどうしようもなく怪しくなってしまう。阿部君と明智君は能力は私に遠く及ばないくせに、奇跡を呼び起こすことにかけては右に出る者などいない。これは大げさに言ってない。明智君のような犬が存在しているのと、阿部君が動物と当たり前に会話できるだけで、納得していただけるだろう。本人たちはその能力の凄さに無頓着だけど。
なので私は折れる。いつものことだ。慣れている。大事なのはプライドではなくて、結果なのだ。
「もう一度、私にチャンスをください」
あれ? 今、なんか、安堵しなかったか。二人とも。明智君の安堵は、私と阿部君が争いにならなかったからだな。これで豪華な晩ごはんは確保されたのだから。阿部君の安堵は、言わずもがなだ。
これは形勢を一気に逆転するまたとない機会じゃないのか? いや、石橋を叩きまくろう。危険な賭けをせずとも、犯人を上げればいいのだ。それで私は、名ばかりのリーダーから真のリーダーに出世できる。
「次は病院に行って、被害者の様子を見ようと思うけど、いいかい? 身元が判明したとか、意識が戻ったとか、最悪帰らぬ人になったのかを確認のために。身元がまだ分かっていない場合は、明智君頼んだよ」
「まあ、いいんじゃないですか」「ワンワンワーン」
阿部君は、わざと納得のいかない風を出しているな。明智君はやけに上から目線だ。悪徳政治家宅での失態を完全に忘れて、態度が大きくなるのも分かる。明智君にしかできない重要な仕事が待っているのだから。だけど、だからこそ、おおらかな気持ちを忘れてはいけないぞ。明智君、それが大物なのだ。阿部君の悪影響だ。私が帝王学を教えこんできたのが、水の泡になってしまった。
今さら明智君が大物予備軍に戻れないし、大物は私一人で十分だな。そんな事よりも、阿部君に聞いてみたい。阿部君なら、どこに行くのかと。意地でも私と同じ答えは言わないだろう。だからといって、他の合理的な候補地が思い浮かばない。それでも必死に考えた結果、警察署と言うだろう。別にそれが間違っているわけではない。いろいろな情報を聞けるのだから。
しかし阿部君は言ってから気づく。またあの警察署に戻るのかと。警視長の一声で釈放されただけの。そのうち警察署に情報収集のために訪れただろう。その時は、自分は車に残っていれば問題ない。だけど、自分が口に出したとなると、先頭を切っていかないと足元を見られるかもしれない。このリーダーに、と。
警視長の知り合いかとぺこぺこしながら見送ったが、署員は内心じくじたる思いがあっただろう。大した取り調べもせずに重要容疑者を釈放しただけでなく、さらにずぶの素人の分際で自分たちと同じ捜査をする側に回ったのだから。意地でも犯人を先に上げてやると考えているはず。これは、阿部君もうっすらと気づいている。
ちょっとしたきっかけ、もしくは何らかの動機を見つけられると、再び留置所が待っている。被害妄想になると、別件逮捕すら心配してしまう。後ろめたい怪盗活動があるから尚更だ。だから極力、警察署には近づきたくない。でも警察署と言ってしまった。行かないといけない。肝を冷やしながら上の空だから、いつもの強気な態度で臨めない。せっかくの明智君の後光を使うことすら頭にない。署員も積極的に教えてくれない。惨憺たる結果で肩を落としながら警察署を後にする。車で待っていた私と目を合わせようともしない。私が車に残っていたのは、阿部君の命令だ。自分の失態を見られたくないがために。再逮捕されなかった安堵もなくはないが、結果を出せなかった悔しさと恥ずかしさが大きい。
それもこれも、私のせいだと、阿部君は逆恨みする。結果、私はお仕置きされる。正座で阿部君の説教を聞くという。捜査を強制終了させて高給食料を買い出しに行き、私に料理をさせてからだけど。明智君は嘘泣きをしながら、私に嫌がらせをやってくるのだろう。命令されて仕方なくを演じながら。
うん、わざわざ危険を呼ぶ必要はない。次に向かうのは病院というのに反対しているわけではないし。何よりも、阿部君は渋々賛成しておきながら、速攻で阿部君パパに次の行き先を伝えている。パトランプを嬉しそうに抱えている阿部君パパは返事するどころではなかったが。阿部君は身を乗り出し、意味ありげにパトランプを軽く2回叩いた。このパトランプを手に入れたのは、自分の手柄だとでも言っているようだ。阿部君パパも意味ありげに2回頷いた。おそらくだけど、分かってるよありがとうの意思表示だ。
ああ、そうそう。バッジを明智君の体に直に付けるのかと心配してくれた人たちに、説明しておかないといけない。明智君はバンダナ型よだれかけを首に掛けているので、これに付けられるのだ。このバンダナは小物入れにもなっているすぐれものだ。ここからは大きい声では言えないが、その中には明智君の全財産の入った貯金通帳とキャッシュカードが入っている。そしてそれを、私は知っている。明智君も私が知っているのを知っている。だけど、私はバンダナの中に何があるのかを知らない体を装わないといけない。明智君も私が何もかも知っているのを知らない体を演じている。それが関係が上手くいくコツなのだ。ついでに、阿部君もすべて知っている。
私たちは笑顔で警察官にお礼を言ってから、阿部君パパの車に向かった。ゆっくりと。この警察官がもしかしたら何か他に忘れてないかと心配してだ。移動中に車の中で食べられるお菓子とか。もしくは、私のサインをねだるのを。しかし、この警察官は恥ずかしがり屋さんだった。いや、真面目なのだ。勤務中だもんな。
車に乗り、すぐに窓を開けた。何も期待していない。それでも警察官の方を見ると、こちらに全速力で来る気配が……。いつの間にか私が開けた窓から一緒に顔を出していた明智君と阿部君と、同じタイミングでため息をついてから、窓を閉めた。次の行き先は病院だったな。もう一般外来の入り口が開いているだろう。
しかし気になる事がある。『名探偵ひまわり』と『名犬あけっちー』が名探偵アピールをしてこないのだ。こいつらがこんなに大人しくしているなんて、不気味以外の何ものでもない。何を企んでいるんだ? 分かったぞ。昼ごはんを何にするか考えているだけだ。探偵には飽きただけだ。自分たちが私のような名探偵にはなれないと、理解したのもあるのだろう。お前たちは、助手と記録係に専念してくれるだけでいい。昼ごはん代くらい出してあげようじゃないか。領収書を持っていけば、警視長が精算してくれる。約束はしていないが、警察及び警視長のために働いているのだから。あっ、そうだ。我々には明智君がいるじゃないか。いくらでも脅し取れるぞ。フフッ。
「リーダー、話があります」
おっ! やはりそうだった。阿部君が自分の実力のなさを認めるなんて、ずいぶん成長したじゃないか。我々が探偵団をしている間は、好きな物を食べさせてやる。財布は日本国だから天井知らずだからな。
「みなまで言うな。阿部君も明智君も100年ほど私に付いて真面目に努力をすれば、私のような名探偵になれるぞ。頑張りたまえ」
「早とちリーダー、『早とちり』と『リーダー』を組み合わせたハイセンスな造語ですけど、理解できましたよね? 明智君は理解してるので、続けますよ。早とちリーダー、もう少し上手に捜査できないんですか?」
え? 阿部君は冗談を言ってるのか? くだらない言葉を作って喜んでいるし。明智君が全く聞いてないのにも気づいてないほど、必死だ。冗談を言って私をリラックスさせてあげようと。いや、違うな。この必死さは、少なくとも冗談ではない。しかし明智君は珍しく中立を保っている。晩ごはんを豪華にすると宣言しておいて良かった。よし、たまには口答えをしてやる。阿部君も晩ごはんを食べていくつもりだから、そこまでの逆襲はしてこない。私がケガをしたなら、料理をする人間がいなくなるからな
「阿部君、負け惜しみはほどほどにしてくれるかい? 第一容疑者の、いや真犯人だっと言って差し支えない悪徳政治家夫人を自白寸前まで追い込んだのは、私だぞ」
「は? 何を寝ぼけたことを。リーダーの力量を見るために、私はあえて口出ししなかったんですよ。結果を言うと、とてもじゃないけどぎりぎり足手まといを卒業できるレベルですね。やっぱり『名探偵ひまわり』と『名犬あけっちー』が最初から顔を出した方が良かったのかな? ねえ、明智君?」
何気に、阿部君までも『名犬あけっちー』と言ったな。ということは明智君自ら『名犬あけっちー』と名乗っているのだ。私と明智君の思考が一緒だと分かって嬉しいぞ。だからこんなにも気が合うのだろう。今はそんな分かりきった事で舞い上がっている場合ではなかったな。それに明智君は私に悲しそうな目を向けつつ、少しづつ阿部君に近寄り始めている。
どこからどうやって手を付けていいのかさえ分からなくて、目立たないようにしていた阿部君が、何を言ってるんだ。明智君なんて、私に嵌められたとはいえ証拠品もどきのボールに何をした? そこまで言うなら、やってみろと言ってやろうかな。いや、それは危険が大きい。万が一何か偶然が1000回くらい重なって事件が解決してしまったら、私の立場がどうしようもなく怪しくなってしまう。阿部君と明智君は能力は私に遠く及ばないくせに、奇跡を呼び起こすことにかけては右に出る者などいない。これは大げさに言ってない。明智君のような犬が存在しているのと、阿部君が動物と当たり前に会話できるだけで、納得していただけるだろう。本人たちはその能力の凄さに無頓着だけど。
なので私は折れる。いつものことだ。慣れている。大事なのはプライドではなくて、結果なのだ。
「もう一度、私にチャンスをください」
あれ? 今、なんか、安堵しなかったか。二人とも。明智君の安堵は、私と阿部君が争いにならなかったからだな。これで豪華な晩ごはんは確保されたのだから。阿部君の安堵は、言わずもがなだ。
これは形勢を一気に逆転するまたとない機会じゃないのか? いや、石橋を叩きまくろう。危険な賭けをせずとも、犯人を上げればいいのだ。それで私は、名ばかりのリーダーから真のリーダーに出世できる。
「次は病院に行って、被害者の様子を見ようと思うけど、いいかい? 身元が判明したとか、意識が戻ったとか、最悪帰らぬ人になったのかを確認のために。身元がまだ分かっていない場合は、明智君頼んだよ」
「まあ、いいんじゃないですか」「ワンワンワーン」
阿部君は、わざと納得のいかない風を出しているな。明智君はやけに上から目線だ。悪徳政治家宅での失態を完全に忘れて、態度が大きくなるのも分かる。明智君にしかできない重要な仕事が待っているのだから。だけど、だからこそ、おおらかな気持ちを忘れてはいけないぞ。明智君、それが大物なのだ。阿部君の悪影響だ。私が帝王学を教えこんできたのが、水の泡になってしまった。
今さら明智君が大物予備軍に戻れないし、大物は私一人で十分だな。そんな事よりも、阿部君に聞いてみたい。阿部君なら、どこに行くのかと。意地でも私と同じ答えは言わないだろう。だからといって、他の合理的な候補地が思い浮かばない。それでも必死に考えた結果、警察署と言うだろう。別にそれが間違っているわけではない。いろいろな情報を聞けるのだから。
しかし阿部君は言ってから気づく。またあの警察署に戻るのかと。警視長の一声で釈放されただけの。そのうち警察署に情報収集のために訪れただろう。その時は、自分は車に残っていれば問題ない。だけど、自分が口に出したとなると、先頭を切っていかないと足元を見られるかもしれない。このリーダーに、と。
警視長の知り合いかとぺこぺこしながら見送ったが、署員は内心じくじたる思いがあっただろう。大した取り調べもせずに重要容疑者を釈放しただけでなく、さらにずぶの素人の分際で自分たちと同じ捜査をする側に回ったのだから。意地でも犯人を先に上げてやると考えているはず。これは、阿部君もうっすらと気づいている。
ちょっとしたきっかけ、もしくは何らかの動機を見つけられると、再び留置所が待っている。被害妄想になると、別件逮捕すら心配してしまう。後ろめたい怪盗活動があるから尚更だ。だから極力、警察署には近づきたくない。でも警察署と言ってしまった。行かないといけない。肝を冷やしながら上の空だから、いつもの強気な態度で臨めない。せっかくの明智君の後光を使うことすら頭にない。署員も積極的に教えてくれない。惨憺たる結果で肩を落としながら警察署を後にする。車で待っていた私と目を合わせようともしない。私が車に残っていたのは、阿部君の命令だ。自分の失態を見られたくないがために。再逮捕されなかった安堵もなくはないが、結果を出せなかった悔しさと恥ずかしさが大きい。
それもこれも、私のせいだと、阿部君は逆恨みする。結果、私はお仕置きされる。正座で阿部君の説教を聞くという。捜査を強制終了させて高給食料を買い出しに行き、私に料理をさせてからだけど。明智君は嘘泣きをしながら、私に嫌がらせをやってくるのだろう。命令されて仕方なくを演じながら。
うん、わざわざ危険を呼ぶ必要はない。次に向かうのは病院というのに反対しているわけではないし。何よりも、阿部君は渋々賛成しておきながら、速攻で阿部君パパに次の行き先を伝えている。パトランプを嬉しそうに抱えている阿部君パパは返事するどころではなかったが。阿部君は身を乗り出し、意味ありげにパトランプを軽く2回叩いた。このパトランプを手に入れたのは、自分の手柄だとでも言っているようだ。阿部君パパも意味ありげに2回頷いた。おそらくだけど、分かってるよありがとうの意思表示だ。
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