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第四章:新生活の始まり
48 僕は手紙の返事を貰う
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荷物は一旦置いておいて、次は個室へと向かった。
個室は外と同じく白い壁で、シンプルなベッド、机、タンス、本棚が置いてある。
家具をよく見ると、シンプルなデザインだけど安っぽくはなく、良い素材を使った、しっかりした作りの物のように思える。
管理人のスティーブさんに、家具も好きなように変えることができるといわれたけれど、別にこれでもいいかなという気はする。
白い壁は寂しいから、何か壁紙を貼りたいとは思うけれど。
家の中の説明が一通り済んだところで、僕はスティーブさんに向かってお辞儀をした。
「あの、ご説明、ありがとうございました。これからよろしくお願いします」
「いえいえ。ご丁寧にありがとうございます。魔術研究所での生活について書かれた冊子をお渡ししておきますが、何かご不明な点がありましたらご遠慮なくお聞きください」
そうして渡された冊子をパラパラとめくってみると、敷地内にある施設の紹介、色々な部署の紹介、時々聞こえる鐘の意味など、色々なことが書かれているようだ。
スティーブさんが出ていき、家には僕とスタイズさんと、メイドのティムさんが残された。
ティムさんによると、僕たちの今日の予定はもう無いので、好きに過ごしていいらしい。
明日は朝から魔法の訓練があるらしいので、それなりに忙しそうだ。
自分の荷物を片付けたい気もするけれど、別に急ぐ必要は無いだろう。
明日はバタバタとすることになりそうだし、今日はスタイズさんとのんびりお話ししたいと思う。
でも彼はどうなんだろう?
研究所に来たばかりだし、敷地内を見て回りたいとかあるのかな?
そんなことを考えていると、スタイズさんが上着のポケットから封筒を出して僕に渡してくれたんだ。
「セルテ君、レオンさんから君宛ての手紙を預かっていたんだ。どうぞ」
「えっ!? あ、はい……」
僕がかつて住んでいた町の役場で働いていたレオンさん。
父さんが亡くなったことを悲しんで、色々と相談に乗ってくれた人だ。
以前スタイズさんと面談した後、荷物を回収するのをお願いする時に手紙を書いたのだけど、返事が返ってくるとは思っていなかった。
封筒は厚く、中に便箋が沢山入っているようだ。
何が書かれているのだろう……って、既に開封されているし。
誰かが中を見たのだろうか?
眉を顰めて封筒を眺めていると、スタイズさんの穏やかな声が降ってきたんだ。
「外部への情報漏洩や、犯罪組織との結託を防ぐ為に、外部の人間と手紙のやり取りをする際には検閲が入るそうだ。そして不適切な文面があると、その部分が黒く塗り潰されてしまう。その手紙は特に問題は無かったようだが……」
僕がレオンさんとブローディさんに手紙を書いた時に、エイシア様が手紙を読んで修正したのは、そういうことだったのか。
「まぁ、廊下で立ちっぱなしもなんだし、とりあえず楽な服に着替えて、下の部屋のソファーで寛ごう。ティムさん、お茶とお菓子の用意をよろしく」
ティムさんはお辞儀をした後、降りて行ってしまった。
そしてスタイズさんは荷物を置いている部屋からゆったりとした感じの服を持って来て、自分の部屋に入っていった。
確かに魔術士とパートナーの制服は、身体にぴったりと合った厚めの生地のものなので、屋内で寛ぐには向いていないと思う。
僕の部屋着は医務室から持ってきた荷物の中に入っているので、とりあえず鞄を持って自室に入った。
個室は外と同じく白い壁で、シンプルなベッド、机、タンス、本棚が置いてある。
家具をよく見ると、シンプルなデザインだけど安っぽくはなく、良い素材を使った、しっかりした作りの物のように思える。
管理人のスティーブさんに、家具も好きなように変えることができるといわれたけれど、別にこれでもいいかなという気はする。
白い壁は寂しいから、何か壁紙を貼りたいとは思うけれど。
家の中の説明が一通り済んだところで、僕はスティーブさんに向かってお辞儀をした。
「あの、ご説明、ありがとうございました。これからよろしくお願いします」
「いえいえ。ご丁寧にありがとうございます。魔術研究所での生活について書かれた冊子をお渡ししておきますが、何かご不明な点がありましたらご遠慮なくお聞きください」
そうして渡された冊子をパラパラとめくってみると、敷地内にある施設の紹介、色々な部署の紹介、時々聞こえる鐘の意味など、色々なことが書かれているようだ。
スティーブさんが出ていき、家には僕とスタイズさんと、メイドのティムさんが残された。
ティムさんによると、僕たちの今日の予定はもう無いので、好きに過ごしていいらしい。
明日は朝から魔法の訓練があるらしいので、それなりに忙しそうだ。
自分の荷物を片付けたい気もするけれど、別に急ぐ必要は無いだろう。
明日はバタバタとすることになりそうだし、今日はスタイズさんとのんびりお話ししたいと思う。
でも彼はどうなんだろう?
研究所に来たばかりだし、敷地内を見て回りたいとかあるのかな?
そんなことを考えていると、スタイズさんが上着のポケットから封筒を出して僕に渡してくれたんだ。
「セルテ君、レオンさんから君宛ての手紙を預かっていたんだ。どうぞ」
「えっ!? あ、はい……」
僕がかつて住んでいた町の役場で働いていたレオンさん。
父さんが亡くなったことを悲しんで、色々と相談に乗ってくれた人だ。
以前スタイズさんと面談した後、荷物を回収するのをお願いする時に手紙を書いたのだけど、返事が返ってくるとは思っていなかった。
封筒は厚く、中に便箋が沢山入っているようだ。
何が書かれているのだろう……って、既に開封されているし。
誰かが中を見たのだろうか?
眉を顰めて封筒を眺めていると、スタイズさんの穏やかな声が降ってきたんだ。
「外部への情報漏洩や、犯罪組織との結託を防ぐ為に、外部の人間と手紙のやり取りをする際には検閲が入るそうだ。そして不適切な文面があると、その部分が黒く塗り潰されてしまう。その手紙は特に問題は無かったようだが……」
僕がレオンさんとブローディさんに手紙を書いた時に、エイシア様が手紙を読んで修正したのは、そういうことだったのか。
「まぁ、廊下で立ちっぱなしもなんだし、とりあえず楽な服に着替えて、下の部屋のソファーで寛ごう。ティムさん、お茶とお菓子の用意をよろしく」
ティムさんはお辞儀をした後、降りて行ってしまった。
そしてスタイズさんは荷物を置いている部屋からゆったりとした感じの服を持って来て、自分の部屋に入っていった。
確かに魔術士とパートナーの制服は、身体にぴったりと合った厚めの生地のものなので、屋内で寛ぐには向いていないと思う。
僕の部屋着は医務室から持ってきた荷物の中に入っているので、とりあえず鞄を持って自室に入った。
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