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第三章:スタイズとの出会い
38 僕は特別な人の到着に心躍る
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スタイズさんのような堂々とした格好良い男になりたいのに、散髪してもらうくらいで緊張するなんて情けないと思う。
僕は両手で自分の両頬を叩き、アランさんの方を向いた。
「さ、散髪、お願い、しますっ!」
「気合入っていますね、セルテ様。準備をいたしますので、少々お待ち下さい」
アランさんはイズリーさんと一緒に、テーブルやソファーを部屋の端に移動させ始める。
僕も手伝おうとしたんだけど、アランさんに「魔術士様にそのようなことはさせられません!」と止められてしまったんだ。
僕がイズリーさんとアランさんの邪魔にならないように立っていると、二人が準備をしながら話しているのが聞こえてきた。
「セルテ様は恥ずかしがり屋さんだけど、素直で礼儀正しくて優しい方なのよ」
「とても可愛らしいお方だな」
褒めてくれているんだろうけど、「可愛い」か……
はぁ……格好良くなりたいな。
広くなった面談室の真ん中に一人用の椅子を置かれ、そこに僕が座る。
そして僕の肩に大きなケープをかけられて、目の前に大きな鏡が置かれた。
鏡に映っている、白髪で青緑の瞳の少年。
僕が溜息をついて顔を左右に振ると、鏡の中の少年も同じ動きをするので、やっぱりこれが今の僕の姿なんだろう。
そして髪を三ヶ月くらいのあいだ切ってなかったこともあり、全体的にもっさりした感じになっている。
久しぶりに見た自分の顔のはずなのに自分だと思えず、つい眉を顰めてしまった。
アランさんが櫛で僕の髪を梳かしながら、笑顔で話しかけてきた。
「セルテ様。髪型のご希望などは、ございますか?」
髪型……あんまり拘りはないんだよな……
以前学校に通っていた時、僕と同じくらいの背丈の友人が髪を伸ばしていたら「女の子みたいだ」と揶揄われていたのを見たことがあるので、散髪する時は切ってくれる人に「とにかく短くしてほしい」と頼んでいたぐらいだ。
そう伝えると、アランさんが笑顔で頷いたのが鏡越しに見えた。
「そうですね……今のように、おでこや眉に髪がかかっていたり、髪がペタンとした状態ですと、セルテ様のお顔立ちでは可愛らしい感じになってしまいます。思い切っておでこを出して髪に動きを付けましょう。ただ、あまり激しいものにすると、セルテ様の柔らかなイメージからかけ離れてしまいますので、程々にしておきましょうか」
「はい……」
「分け目を少し横にして、大人っぽさを出してみましょう」
「そ、そんな感じで、お願い、します……」
色々と言われたものの、どんな感じになるのかいまいち想像できなかったので、お任せすることにした。
アランさんは鋏を軽快に動かして、少しずつ僕の髪を切っていく。
適当にザクザクと切っているようにしか思えないのに、ちゃんと整っていくのを見ると、やっぱり専門家は凄いなと思ってしまった。
しばらくして、部屋の外からドアをノックする音が聞こえて、「お取込み中のところ、すみません」と男性看護士のライナートさんの声が聞こえてきた。
するとイズリーさんがドアのところに行き、少しだけ開けてライナートさんと話し始めたんだ。
「先程、セルテ様のパートナーのスタイズ様が、研究所の正門に到着された。諸々の手続きを済まされたら、セルテ様を迎えにこちらにいらっしゃるそうだ。もしそれまでにセルテ様の散髪が終わらなかったら、医務室で健康診断を受けて貰うことにするよ」
彼はそう言って、僕の魔術士の制服をイズリーさんに手渡していた。
聞こえてきた二人の会話に、僕の顔が緩んでしまう。
ついにスタイズさんが来てくれたんだ!
僕は両手で自分の両頬を叩き、アランさんの方を向いた。
「さ、散髪、お願い、しますっ!」
「気合入っていますね、セルテ様。準備をいたしますので、少々お待ち下さい」
アランさんはイズリーさんと一緒に、テーブルやソファーを部屋の端に移動させ始める。
僕も手伝おうとしたんだけど、アランさんに「魔術士様にそのようなことはさせられません!」と止められてしまったんだ。
僕がイズリーさんとアランさんの邪魔にならないように立っていると、二人が準備をしながら話しているのが聞こえてきた。
「セルテ様は恥ずかしがり屋さんだけど、素直で礼儀正しくて優しい方なのよ」
「とても可愛らしいお方だな」
褒めてくれているんだろうけど、「可愛い」か……
はぁ……格好良くなりたいな。
広くなった面談室の真ん中に一人用の椅子を置かれ、そこに僕が座る。
そして僕の肩に大きなケープをかけられて、目の前に大きな鏡が置かれた。
鏡に映っている、白髪で青緑の瞳の少年。
僕が溜息をついて顔を左右に振ると、鏡の中の少年も同じ動きをするので、やっぱりこれが今の僕の姿なんだろう。
そして髪を三ヶ月くらいのあいだ切ってなかったこともあり、全体的にもっさりした感じになっている。
久しぶりに見た自分の顔のはずなのに自分だと思えず、つい眉を顰めてしまった。
アランさんが櫛で僕の髪を梳かしながら、笑顔で話しかけてきた。
「セルテ様。髪型のご希望などは、ございますか?」
髪型……あんまり拘りはないんだよな……
以前学校に通っていた時、僕と同じくらいの背丈の友人が髪を伸ばしていたら「女の子みたいだ」と揶揄われていたのを見たことがあるので、散髪する時は切ってくれる人に「とにかく短くしてほしい」と頼んでいたぐらいだ。
そう伝えると、アランさんが笑顔で頷いたのが鏡越しに見えた。
「そうですね……今のように、おでこや眉に髪がかかっていたり、髪がペタンとした状態ですと、セルテ様のお顔立ちでは可愛らしい感じになってしまいます。思い切っておでこを出して髪に動きを付けましょう。ただ、あまり激しいものにすると、セルテ様の柔らかなイメージからかけ離れてしまいますので、程々にしておきましょうか」
「はい……」
「分け目を少し横にして、大人っぽさを出してみましょう」
「そ、そんな感じで、お願い、します……」
色々と言われたものの、どんな感じになるのかいまいち想像できなかったので、お任せすることにした。
アランさんは鋏を軽快に動かして、少しずつ僕の髪を切っていく。
適当にザクザクと切っているようにしか思えないのに、ちゃんと整っていくのを見ると、やっぱり専門家は凄いなと思ってしまった。
しばらくして、部屋の外からドアをノックする音が聞こえて、「お取込み中のところ、すみません」と男性看護士のライナートさんの声が聞こえてきた。
するとイズリーさんがドアのところに行き、少しだけ開けてライナートさんと話し始めたんだ。
「先程、セルテ様のパートナーのスタイズ様が、研究所の正門に到着された。諸々の手続きを済まされたら、セルテ様を迎えにこちらにいらっしゃるそうだ。もしそれまでにセルテ様の散髪が終わらなかったら、医務室で健康診断を受けて貰うことにするよ」
彼はそう言って、僕の魔術士の制服をイズリーさんに手渡していた。
聞こえてきた二人の会話に、僕の顔が緩んでしまう。
ついにスタイズさんが来てくれたんだ!
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