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91話 『選ぶべき道』
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案内された宿屋は特別高級というわけではないが十分綺麗な造りをしていた。たぶんだが、俺たちが気を遣わないようにぎりぎりで線引きしてくれたのかもしれない。
それにリリアと同じ部屋だったがベッドもちゃんと二つ置いてあり、ルークも寝れる十分な広さがあった。
「久しぶりのベッドだ~」
「クゥ~」
嬉しそうにリリアがベッドにダイブすると横でルークもはしゃいでいる。色々ありすぎたし正直俺も疲れた。そんな俺の気もしらず、ミントはもう一つの空いたベッドにうつ伏せで寝転がり足をパタパタさせている。
「それで、次の目的地はどうする?」
「う~んそれなんだがなぁ」
酒場の店主の話ではどうやら以前来たという客は自分を先駆者と名乗り、世界を旅しているとのことだった。
そして次は獣人たちが多く住む魔境辺に向かったらしい。そこは人間界と魔界に繋がる境目あたりのことを指すらしいが今は危険なモンスターが溢れかえっているという。
「リリアの両親か一族かは間違いないんだろうけど……なぜわざわざ危険と言われる魔境辺に行ったのかが気になってな……」
「もしかして、その先駆者って人も本を探してるんじゃない? フラードさんも同じように旅をしていたって言ってたし、もしかしたらみんなで本を探し回ってるのかも」
「だったら尚更俺は近づきたくないんだ。本に対する対抗策はわかったといってもあれほどの力、今度は怪我ですまない可能性だってある」
「でもさー、手掛かりはそれくらいしかないよね?」
そうなんだよなぁ……ほかに手掛かりもないし、じゃあどうするのと言われれば特別何も思いつかない。
「それじゃあ近くまで行くだけいってみるってのはどう? 危なかったら逃げようよ」
「それも考えたんだが予測できない事態も考えられる……そうなればさすがにみんなを守れる自信がない」
「別にそうなったら仕方ないんじゃないの」
他人事のように言うが……リリアには極力危険は避けてほしいと思い始めているのが本音だ。
「ミントの言う通りよ、私たちだっていつまでもレニ君に頼ってばかりいられないもん。何かあったら私たちを置いてってもいいから」
「そんなことできるわけないだろ!!」
まるで見捨ててくれといわんばかりに平然と言われた俺は大きな声をあげてしまった……。すぐに謝ったがリリアは微笑んでいた。
「私はね……レニ君やミント、ルーちゃんみたいに強くないし、魔法だってまだまだ使いこなせない。これからもいっぱい足手まといになると思う。だけど私が原因で進むのをやめるくらいなら見捨ててもらったほうがいいと思ってるの」
「クゥ~」
リリアはそう言い切ると寄り添ってきたルークの頭を撫でる。動揺が顔に出ていたのかミントが俺の前に飛んできた。
「君がどう思ってるかは知らないけど、ここにいる僕らは全員明日死んだとしても君を恨まない。それくらいの覚悟はとっくにしてるんだよ」
ミントがそういうとリリアとルークが頷く。俺が生き残ってしまったらそれこそ誰にも会わせられる顔がなくなってしまうじゃないか。……いっそ恨んでくれたほうが楽なんだが。
「…………頼むから、せめて俺を囮にして逃げてくれ」
「それもいいね。君はどんな相手でも負けそうにないからいざとなったら囮にして逃げよう」
「もうミントってば、レニ君がいないと美味しい料理も食べれなくなっちゃうんだよ」
「あ、それはダメだ。囮になっても頑張って生き延びてよ」
「無茶をいうな。でもいざとなったら――俺もそうさせてもらうかな」
本当に危なくなったらそんな都合よくいかないんだろうけど……。冗談を言い合いながらもみんなしっかり意志を持っているのがわかる。どうしても割り切れていないのは…………俺自身なのかもしれない。
「よし、それじゃあ次の目的地は魔境辺にしよう」
「は~い。そうだ、ここのお風呂大きいんだって!」
「ルークも一緒に入れないか聞いておくから俺はあとでいいよ」
「わかった、ミントはどうする? 一緒に入る?」
あれ……ミントって……この場合は止めるべき? いや、しかしミントは妖精だし人間とはまた感覚が違う可能性も……。
「まだ人がいるだろうし僕も後にしておくよ」
「そっか、それじゃ先に入ってくるね!」
そういってリリアは部屋に備え付けられていた着替えを持ち部屋を出ていった。
「それじゃ俺も入れる時間帯がないか聞いてくるか」
部屋をでて宿のスタッフへ声をかけると、もうすぐお風呂に入る人もいなくなるということで、時間がきたら貸し切りにしてくれるとのことだった。多分だがこれほど融通利かせてくれるのも爺さんのおかげだろうな。
話を聞き安心して部屋に戻ると俺はそのままベッドへ寝転んだ。
それにリリアと同じ部屋だったがベッドもちゃんと二つ置いてあり、ルークも寝れる十分な広さがあった。
「久しぶりのベッドだ~」
「クゥ~」
嬉しそうにリリアがベッドにダイブすると横でルークもはしゃいでいる。色々ありすぎたし正直俺も疲れた。そんな俺の気もしらず、ミントはもう一つの空いたベッドにうつ伏せで寝転がり足をパタパタさせている。
「それで、次の目的地はどうする?」
「う~んそれなんだがなぁ」
酒場の店主の話ではどうやら以前来たという客は自分を先駆者と名乗り、世界を旅しているとのことだった。
そして次は獣人たちが多く住む魔境辺に向かったらしい。そこは人間界と魔界に繋がる境目あたりのことを指すらしいが今は危険なモンスターが溢れかえっているという。
「リリアの両親か一族かは間違いないんだろうけど……なぜわざわざ危険と言われる魔境辺に行ったのかが気になってな……」
「もしかして、その先駆者って人も本を探してるんじゃない? フラードさんも同じように旅をしていたって言ってたし、もしかしたらみんなで本を探し回ってるのかも」
「だったら尚更俺は近づきたくないんだ。本に対する対抗策はわかったといってもあれほどの力、今度は怪我ですまない可能性だってある」
「でもさー、手掛かりはそれくらいしかないよね?」
そうなんだよなぁ……ほかに手掛かりもないし、じゃあどうするのと言われれば特別何も思いつかない。
「それじゃあ近くまで行くだけいってみるってのはどう? 危なかったら逃げようよ」
「それも考えたんだが予測できない事態も考えられる……そうなればさすがにみんなを守れる自信がない」
「別にそうなったら仕方ないんじゃないの」
他人事のように言うが……リリアには極力危険は避けてほしいと思い始めているのが本音だ。
「ミントの言う通りよ、私たちだっていつまでもレニ君に頼ってばかりいられないもん。何かあったら私たちを置いてってもいいから」
「そんなことできるわけないだろ!!」
まるで見捨ててくれといわんばかりに平然と言われた俺は大きな声をあげてしまった……。すぐに謝ったがリリアは微笑んでいた。
「私はね……レニ君やミント、ルーちゃんみたいに強くないし、魔法だってまだまだ使いこなせない。これからもいっぱい足手まといになると思う。だけど私が原因で進むのをやめるくらいなら見捨ててもらったほうがいいと思ってるの」
「クゥ~」
リリアはそう言い切ると寄り添ってきたルークの頭を撫でる。動揺が顔に出ていたのかミントが俺の前に飛んできた。
「君がどう思ってるかは知らないけど、ここにいる僕らは全員明日死んだとしても君を恨まない。それくらいの覚悟はとっくにしてるんだよ」
ミントがそういうとリリアとルークが頷く。俺が生き残ってしまったらそれこそ誰にも会わせられる顔がなくなってしまうじゃないか。……いっそ恨んでくれたほうが楽なんだが。
「…………頼むから、せめて俺を囮にして逃げてくれ」
「それもいいね。君はどんな相手でも負けそうにないからいざとなったら囮にして逃げよう」
「もうミントってば、レニ君がいないと美味しい料理も食べれなくなっちゃうんだよ」
「あ、それはダメだ。囮になっても頑張って生き延びてよ」
「無茶をいうな。でもいざとなったら――俺もそうさせてもらうかな」
本当に危なくなったらそんな都合よくいかないんだろうけど……。冗談を言い合いながらもみんなしっかり意志を持っているのがわかる。どうしても割り切れていないのは…………俺自身なのかもしれない。
「よし、それじゃあ次の目的地は魔境辺にしよう」
「は~い。そうだ、ここのお風呂大きいんだって!」
「ルークも一緒に入れないか聞いておくから俺はあとでいいよ」
「わかった、ミントはどうする? 一緒に入る?」
あれ……ミントって……この場合は止めるべき? いや、しかしミントは妖精だし人間とはまた感覚が違う可能性も……。
「まだ人がいるだろうし僕も後にしておくよ」
「そっか、それじゃ先に入ってくるね!」
そういってリリアは部屋に備え付けられていた着替えを持ち部屋を出ていった。
「それじゃ俺も入れる時間帯がないか聞いてくるか」
部屋をでて宿のスタッフへ声をかけると、もうすぐお風呂に入る人もいなくなるということで、時間がきたら貸し切りにしてくれるとのことだった。多分だがこれほど融通利かせてくれるのも爺さんのおかげだろうな。
話を聞き安心して部屋に戻ると俺はそのままベッドへ寝転んだ。
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