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143話

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「師匠、一杯食わされましたね」

「リッツ……!? まさかあなたの仕業じゃないでしょうね」

「ち、違います! とりあえずウムトの話を聞いてください!」

 こんな状況だしちゃんと落ち着いてからだ。

 ウムトが説明すると師匠はすぐに理解した。

「みたところアンジェロの浄化は狭い範囲であればかなり強力に作用するみたいです。種が成長するまで籠る作戦でしょう」

「こういうときに無事がわかるのは守護者として安心だな」

 おかげでニエが視た予知夢への対策はわかった。

「それで、あなたたちはこの状況を打開する方法を思いついた?」

「それがさっぱり……。これ手甲がもてば穢れを退かすくらいはできると思いますが」

「あの子たちがいつまで耐えられるかわからない以上、うかうかしてられないわね」

 もし浄化が弱まれば中の二人は危険だ。

 できる限り早く解決策をださないと――。

「お前ら、何かあったのか?」

「アルフレッドさん!? なんでここに!」

嬢ちゃんリヤンにこっちの様子をみてきてほしいと頼まれた。安心しろ、全員安全な場所まで送り届けた。ミレイユ、これはいったい何事だ?」

「見ての通り――とはいえないわね」

 師匠はアルフレッドさんに説明した。

 戦力が増えたのは嬉しいが穢れに対する対抗手段がなければ意味がない。

「なんだそんなことか。要は成長を早めればいいだけの話だろう?」

「リッツのスキルで早くはなってるの。それでも一日、下手したら数日かかるから困ってるのよ」

「そんなことか。だったら俺の出番だな」

「えっ、アルフレッドさんもそういうスキルなんですか!?」

「まぁな。さてと、状況が悪化してしまう前にさっさとやってしまいたいが――これ穢ればかりは俺じゃどうにもならん。なんとかしてくれ」

「アル、あなたまさかッ!?」

「おっと詮索はよくないな。余計なことを考えてる時間はないはずだぞ」

「そうですよ師匠、とにかく今は穢れをなんとかしましょう!」

「わかったわ。リッツ、タイミングをみて破壊するわよ。合わせなさい」

「なかなかシビアそうですね……」

「大丈夫、あなたならやれるわ」

 そうだ、俺は師匠の弟子だ。

 教えられたものは全て俺の中にある。

 ニエとアンジェロを助け出しついでに世界を救う。

 正確には世界を救うのはアルフレッドさんになるがそれでいい。

 師匠と一緒に世界を救った英雄としてシリウスに報告すれば、聖人の座も譲れるかもしれないし、そうなったら俺は自由に草巡りができる。

 ……絶対に成功させてやるっ!!
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