くらりねっとのつくもがみ

ティル

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ぷろろーぐ

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小学校のとき、通っていた音楽教室の楽器体験でクラリネットという楽器に出会った。

細身で真っ黒で地味な見た目をしたその楽器は、よくオーボエと間違えられるという。

確かに、クラリネットと聞いてもイメージしづらいけれど、オーボエと言われると黒い縦長の楽器が思い浮かぶ。


「クラリネットの主な用途はバイオリンの代わりで、吹奏楽なんかではメロディーを担当することが多いんだ。オーケストラでも実は真ん中の方で吹いている人がいるんだよ」

と、楽器体験を担当してくれたお兄さんが教えてくれた。

説明をどこか流すように聞いていた私がその楽器と恋に落ちたのはその直後。

お兄さんがお手本にと吹いて聴かせてくれたその音に、私は心を奪われた。

どこか包み込むようなあたたかく深い優しい音色。

バイオリンの代わりと言ってもその音はバイオリンのそれとは似ても似つかない。

小学生ながらこの楽器に惚れ込んだ私は、もともと音楽が好きだったこともあって吹奏楽部に入ることを決意した。
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