あなたが一番嫌いなものは存じておりますのでそれをたくさんあなたにお届けいたしましょう

第七十六話

　ある夜、田舎の村に住む若い女性が、一人で家に帰る途中に不安を感じていました。道は暗く、静まり返っていて、ただ風の音だけが響いていました。彼女は急いで家に帰りたくなり、歩く速度を速めました。

家に着くと、ドアが少しだけ開いていることに気付きました。普段はきちんと閉まっているドアが開いているのは、彼女にとって不安の原因でしたが、中に誰かがいる気配がしないことを確認すると、少し安心して家に入ることにしました。

しかし、家の中に入ると、部屋の電気が全て消えており、薄暗い中に不気味な雰囲気が漂っていました。彼女は電気を点けようとスイッチを探しましたが、手元が震えてうまくいきません。やっとスイッチを見つけて電気を点けると、リビングルームの中央に立っている自分とそっくりな女性の姿を見つけました。

その女性は無表情で、じっと彼女を見つめています。彼女は驚いて声を上げようとしましたが、声が出ません。動こうとするも体が固まってしまい、目を離さずにその女性の姿を見つめるしかありませんでした。

数分の間、彼女はその女性と目を合わせ続けましたが、突然その女性がゆっくりと口を開き始めました。最初はかすかな声で、次第にはっきりとした声で「やっと見つけた」と言いました。

彼女は恐怖でいっぱいになり、必死に家を飛び出しました。外に出ると、月明かりの下に立っているのは、自分自身とそっくりなその女性の姿でした。彼女が振り返ると、家の中には誰もいないことがわかりました。

それ以来、彼女は毎晩、自分とそっくりな女性が現れるという恐怖に悩まされることになりました。何度家に帰っても、必ずその女性が現れるのです。誰も彼女の話を信じてくれず、彼女は一人でその恐怖と向き合わなければならないのです。