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第五話
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私は芹奈、これは私が中学二年生の時に経験したとても奇妙で不気味な怖い話。
その日もいつものように学校から帰ってくると、お兄ちゃんがリビングでゲームをしていた。
「ただいまー」
『おかえり』
お兄ちゃんとそんなやり取りをして自分の部屋に向かうため階段を上ろうとすると、お兄ちゃんに呼び止められた。「あ、芹奈! ちょっと待って!」
「何?」
「実はな……」
何かを言いかけたところで、二階の方からガチャッという音が聞こえてきた。それと同時にお兄ちゃんのスマホが鳴り響く。
「ごめん、電話だわ」そう言ってお兄ちゃんは電話に出た。
「もしもし?……え!? まじかよ……。……わかった、今行く」
どうやら電話の主はお父さんだったみたいで、仕事先からの急な呼び出しがあったらしい。
「悪い芹奈、俺行かないとだから少し留守番しててくれないか?」
「うん、いいけど……どこに行けばいいの?」
「ん~……多分すぐ終わると思うんだけど、ちょっと遠出するかもしれないんだ。とりあえず三十分くらいしたら戻ってくるからさ」
「そうなんだ、わかった」
お兄ちゃんは急いで出かけていった。一人残されたわたしはすることもないので部屋に戻ろうとした時、また二階から物音が聞こえた。今度は玄関の鍵を開ける音も同時に聞こえる。
(誰か帰ってきたのかな?)
そう思って階段を下りると、そこにはお母さんがいた。
「あれ? お母さん帰ってたんだ」
「えぇ、ついさっきね」
お母さんの声はどこか元気がなかった。いつもなら疲れていても笑顔を絶やさない人なのに今日に限って無表情のままだ。そして何故か目の下にクマが出来ているように見えた。「……あの、どうかしたの?」
「いえ、なんでもないわ。それよりちょうど良かった。芹奈にもお願いしたいことがあったの」
「お願い?」
「えぇ、これを見てちょうだい」
そう言ってお母さんが差し出したものは一枚の写真だった。そこに写っていたのは一人の女の子。
「この子……誰?」
写真に映る少女はとても綺麗な顔立ちをした可愛い子だった。髪は長くてさらさらだし、スタイルも抜群。だけど、そんなことはどうでもよかった。問題はその少女の顔にあった。まるで血のような真っ赤に染まった瞳にわたしは恐怖を覚えたのだ。
「……私の娘よ」
「娘さん?」
「そう。名前は彩香っていうの」
「へぇ、珍しい名前なんだね」
「えぇ、私の一番の親友の名前なの」
「親友?……その子は今どこにいるの?」
わたしは疑問に思ったことをそのまま口に出す。するとお母さんは悲しげな顔をして答えてくれた。
「もういないわ」
「えっ……」「死んだのよ。去年……」
「……そっか」
なんとも言えない気持ちになりながらもわたしは気になっていたことを聞くことにした。
「それでお願いって言うのは?」
「実はね、彩香には二人の友達がいたの」
「二人?どんな人たちなの?」
「一人目は花宮優梨っていう女の子で、もう一人は風岡陽太くんっていう男の子よ」
「ふーん……」
「二人は小学校が同じでずっと仲良しだったみたいなの。でもね、ある日突然その二人がいなくなってしまったらしいの」
「いなくなった?どうして?」
「わからないわ。詳しい話は教えてもらえなかったから。ただ言えるのはその日から彩香がおかしくなったということだけ」
「おかしい?どういう風に?」
「それが……よく分からないの。急に部屋に引きこもり始めたり、かと思ったら学校を休んでどこかに出かけたりと……。最初は体調が悪いのかと思っていたけど、どうやら違うみたいで。結局何も言わずに転校していったわ」
「えっ、それってまさか……」「えぇ、きっと彩香は殺されたのだと思うわ。それも、まだ犯人は捕まっていないはずよ」
お母さんの言葉を聞いて背筋が凍るような感覚に襲われた。だってそれはつまり殺人鬼がまだ近くにいるかもしれないってことだから。「だからね、芹奈。もし彩香と仲良くしていたなら、あなたの力になってあげてほしいの」「えっ?」
「実はね、警察から依頼があったの。もしも彩香と関わりのある人がいたら連絡してほしいって」
「そうなんだ」「だからお願い。彩香のことを少しでもいいから覚えていてほしいの」
お母さんは泣きながらわたしに頼み込んできた。それだけ大事な人だったんだろうなって思う。
「うん、わかった。任せて!」
こうしてわたしは彩香ちゃんと関わることになった。だけど、この時は想像すらしていなかった。これから起こる出来事の全てを。
彩香ちゃんのお母さんから頼まれた次の日、わたしは早速行動を開始した。まず初めに彩香ちゃんの通っていた中学校に行ってみることにした。
しかし、学校は夏休み中のため誰もいなかった。仕方なくわたしは家に帰ろうとした時、あることに気づいた。
(あれ……そういえば彩香ちゃんってどこに住んでたんだろう?)
彩香ちゃんの住んでいた場所を知らない。というより彩香ちゃんについてほとんど知らないことにわたしは気づいた。
(彩香ちゃんのこと全然知らなかったんだなぁ)少し寂しい気持ちになる。せっかくならもっと彩香ちゃんと話しておけば良かった。そんな後悔をしながらわたしは帰路に着いた。
家に帰ってから彩香ちゃんのことについて調べてみた。スマホを使ってネット検索をしてみると、すぐにヒットした。
『小学生女児誘拐事件』彩香ちゃんは小学生の時に何者かによって連れ去られたようだ。その後、彩香ちゃんの行方は分かっていないらしい。
(もしかすると彩香ちゃんはその時に殺されちゃったのかな?)
そう考えると胸の奥がきゅっと締め付けられるような感じになった。(あれ……?そういえば、お母さんの話だと犯人はまだ捕まってないって言ってたよね?)
ということは、もしかしたら彩香ちゃんを殺した犯人がまだ近くをうろついている可能性があるんじゃないだろうか。そう考えた瞬間、わたしの身体中に鳥肌が立った。そして同時に恐怖心に襲われる。
だけど、わたしは彩香ちゃんのことを知りたい。そのためにも彩香ちゃんのお母さんの願いを叶えよう。そう心に決め、わたしは彩香ちゃんが住んでいたとされる住所に向かった。
地図を見ながらたどり着いた場所は、どこかの田舎町だった。周りは田んぼだらけだし、街灯もほとんどない。唯一明るいのは目の前にある一軒家の明かりだけだ。
わたしは恐る恐るインターホンを押してみる。しばらく待っても返事はない。仕方ないので、わたしは玄関の扉に手をかけてみた。鍵はかかっておらず、簡単に開けることができた。
「ごめんくださーい」小声で挨拶しながらゆっくりとドアを開ける。そこには靴箱、キッチンがあり、廊下が伸びていた。奥の部屋からは光が漏れている。誰かいるようだ。
「あのー、すみません。どなたかいますか?」わたしは再び声をかける。すると部屋の中から「はい……」と弱々しい女の子の声が聞こえてきた。
「あ、あの……わたしは花宮優梨さんのお知り合いでして、彩香さんについて伺いたくて来ました」わたしは緊張しながらも彩香さんの名前を告げた。すると思いがけず返答が返ってきた。
「……あなたは誰ですか?彩香に何か用でも?」
警戒するような女の子の声だ。「あっ、えっと、花宮優梨さんの友達で……」
「友達?友達なら彩香のことは知ってますよね?もう私には関わらないでください。私にはもう友達はいりませんから」
「いや、でも……」「彩香のことを思い出させたくないんです。もう二度と私の前に現れないでください」
「でも……」
「もう私には関わらないでください。私にはもう友達はいりませんから」
「……」
わたしは何も言えなかった。彩香ちゃんが心配で来たのに、拒絶されてしまったからだ。
「もう私には友達はいりませんから」
「……」
「彩香のことを思い出させないで」
「彩香のことを話さないで」
「彩香に近づかないで」「彩香に話しかけないで」
「彩香に会いに来たなんて言わせない」
「彩香のことは忘れて」
「彩香のことを忘れさせてあげる」
「彩香のことを思い出しちゃダメ」
「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出すな」「彩香のことを思い出させるな」「彩香のことを思い起こさせるな」「彩香のことを思わせるな」「彩香のことを思わすな」「彩香のことを思わせないで」
「彩香のことを思うな」「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことを考えないで」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことを考えるな」──ブツッ わたしはそこで電話を切った。これ以上聞いてられなかった。
彩香ちゃんがどんな人だったのか分からなかった。
彩香ちゃんのお母さんがなぜ彩香ちゃんのことを知りたがっているかも分からない。
そして何より、彩香ちゃんのお母さんが何を考えているか分からなかった。
わたしは、彩香ちゃんを救いたかった。
だけど、その方法は分からなくなってしまった。
わたしは彩香ちゃんを救うことができない。
わたしはただ、彩香ちゃんと仲良くなりたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと話がしたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと遊びたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと一緒にいたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと笑い合いたいだけなのに……。
もうどうしたらいいのか、わたしにはわからない。
あの日から一週間、わたしは一度も外に出ていなかった。
外に出るのが怖かったのだ。また、あんなことが起きるかもしれないと思うと、足がすくんでしまう。
あれ以来、彩香さんからの連絡はない。
もしかしたら、彩香さんの身に何かあったのではないか、という心配は尽きない。
しかし、あの日、彩香さんのお母さんに言われた言葉は、深くわたしの心を傷つけた。わたしは、彩香さんの友達として、彼女の力になりたいと思っていた。それなのに、彼女から拒絶されてしまった。それは、友達として、とても悲しいことだ。
だからと言って、わたしは彩香さんの力になれないことはないだろう。
わたしは、彩香さんに、もう一度会いたい。会って話をしたい。
そう思っていた矢先だった。
ピンポーン! 突然チャイムが鳴った。わたしは、ビクッとした。
「宅配便です」
玄関の向こうから声がした。
「あっ、はい!」わたしは慌てて立ち上がり、玄関の扉を開ける。するとそこには、大きな段ボール箱を持った配達員がいた。
「印鑑お願いします」
「はい……」
荷物を受け取ったものの、差出人の名前がない。わたしはその大きなダンボールを持ち上げようとする。重い……一体なんだろう?こんなに大きなものを買う予定はなかったのだが……。とりあえず部屋の中に持っていくことにした。
「よいしょっと……えっ?」
ダンボールの中を見てみると、その中には、大量のゲームソフトが入っていた。それも、最近発売されたばかりの新作ばかりだ。『モンスターハンター』や、『大乱闘スマッシュブラザーズX』、『ファイナルファンタジーVII』など、どれもこれも有名ソフトばかりだった。しかも全部新品だ。
「どういうこと……?」
わたしは困惑して頭を抱えた。
この量は多すぎるし、それにこんな高価なものをもらってしまったら申し訳ない。「うーん、困ったなぁ」
わたしは頭を悩ませる。
「あ、そうだ!これ、彩香さん宛になってますよ」
わたしはふと思いつき、ダンボールの側面に貼ってある送り状を見た。
「えっ!?」そこに書かれていたのは、彩香さんの名前でもなく、もちろんわたしの名前でもなかった。
「なんで!?」
わたしは混乱する。彩香さんへのプレゼントにしては、あまりにもおかしい。でも、誰か他の人にあげるわけにもいかないし、捨ててしまうこともできない。「どうしようかな……」
わたしは途方に暮れていた。
「彩香のことが気になる?」
「うん」
「彩香のことを思い出すのは辛いでしょう」
「まぁね」
「じゃあやめなさい」
「……」「彩香のことを思い出さないほうが幸せだよ」
「……」
「彩香のことを考えないのが一番幸せなんだよ」
「わかってるわ」
「ならいいけど」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」ブツッ─ 私はそこで電話を切った。
もうこれ以上聞きたくなかった。
彩香ちゃんのお母さんが何を考えているのか分からない。
そして何より、彩香ちゃんがどんな人だったのか分からなかった。彩香ちゃんのお父さんがなぜ彩香ちゃんのことを知りたがっているかも分からない。
そして何より、彩香ちゃんのお父さんが何を考えているか分からなかった。
わたしは、彩香ちゃんを救いたかった。
だけど、その方法は分からなくなってしまった。わたしは彩香ちゃんを救うことができない。
わたしはただ、彩香ちゃんと仲良くなりたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと話がしたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと遊びたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。
わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと笑い合いたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと仲良くなりたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと遊びたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと一緒にいたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと笑い合いたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしていきたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしていたいだけなのに……。
もうどうしたらいいのか、わたしにはわからない。
あの日から一週間、わたしは一度も外に出ていない……。
その日もいつものように学校から帰ってくると、お兄ちゃんがリビングでゲームをしていた。
「ただいまー」
『おかえり』
お兄ちゃんとそんなやり取りをして自分の部屋に向かうため階段を上ろうとすると、お兄ちゃんに呼び止められた。「あ、芹奈! ちょっと待って!」
「何?」
「実はな……」
何かを言いかけたところで、二階の方からガチャッという音が聞こえてきた。それと同時にお兄ちゃんのスマホが鳴り響く。
「ごめん、電話だわ」そう言ってお兄ちゃんは電話に出た。
「もしもし?……え!? まじかよ……。……わかった、今行く」
どうやら電話の主はお父さんだったみたいで、仕事先からの急な呼び出しがあったらしい。
「悪い芹奈、俺行かないとだから少し留守番しててくれないか?」
「うん、いいけど……どこに行けばいいの?」
「ん~……多分すぐ終わると思うんだけど、ちょっと遠出するかもしれないんだ。とりあえず三十分くらいしたら戻ってくるからさ」
「そうなんだ、わかった」
お兄ちゃんは急いで出かけていった。一人残されたわたしはすることもないので部屋に戻ろうとした時、また二階から物音が聞こえた。今度は玄関の鍵を開ける音も同時に聞こえる。
(誰か帰ってきたのかな?)
そう思って階段を下りると、そこにはお母さんがいた。
「あれ? お母さん帰ってたんだ」
「えぇ、ついさっきね」
お母さんの声はどこか元気がなかった。いつもなら疲れていても笑顔を絶やさない人なのに今日に限って無表情のままだ。そして何故か目の下にクマが出来ているように見えた。「……あの、どうかしたの?」
「いえ、なんでもないわ。それよりちょうど良かった。芹奈にもお願いしたいことがあったの」
「お願い?」
「えぇ、これを見てちょうだい」
そう言ってお母さんが差し出したものは一枚の写真だった。そこに写っていたのは一人の女の子。
「この子……誰?」
写真に映る少女はとても綺麗な顔立ちをした可愛い子だった。髪は長くてさらさらだし、スタイルも抜群。だけど、そんなことはどうでもよかった。問題はその少女の顔にあった。まるで血のような真っ赤に染まった瞳にわたしは恐怖を覚えたのだ。
「……私の娘よ」
「娘さん?」
「そう。名前は彩香っていうの」
「へぇ、珍しい名前なんだね」
「えぇ、私の一番の親友の名前なの」
「親友?……その子は今どこにいるの?」
わたしは疑問に思ったことをそのまま口に出す。するとお母さんは悲しげな顔をして答えてくれた。
「もういないわ」
「えっ……」「死んだのよ。去年……」
「……そっか」
なんとも言えない気持ちになりながらもわたしは気になっていたことを聞くことにした。
「それでお願いって言うのは?」
「実はね、彩香には二人の友達がいたの」
「二人?どんな人たちなの?」
「一人目は花宮優梨っていう女の子で、もう一人は風岡陽太くんっていう男の子よ」
「ふーん……」
「二人は小学校が同じでずっと仲良しだったみたいなの。でもね、ある日突然その二人がいなくなってしまったらしいの」
「いなくなった?どうして?」
「わからないわ。詳しい話は教えてもらえなかったから。ただ言えるのはその日から彩香がおかしくなったということだけ」
「おかしい?どういう風に?」
「それが……よく分からないの。急に部屋に引きこもり始めたり、かと思ったら学校を休んでどこかに出かけたりと……。最初は体調が悪いのかと思っていたけど、どうやら違うみたいで。結局何も言わずに転校していったわ」
「えっ、それってまさか……」「えぇ、きっと彩香は殺されたのだと思うわ。それも、まだ犯人は捕まっていないはずよ」
お母さんの言葉を聞いて背筋が凍るような感覚に襲われた。だってそれはつまり殺人鬼がまだ近くにいるかもしれないってことだから。「だからね、芹奈。もし彩香と仲良くしていたなら、あなたの力になってあげてほしいの」「えっ?」
「実はね、警察から依頼があったの。もしも彩香と関わりのある人がいたら連絡してほしいって」
「そうなんだ」「だからお願い。彩香のことを少しでもいいから覚えていてほしいの」
お母さんは泣きながらわたしに頼み込んできた。それだけ大事な人だったんだろうなって思う。
「うん、わかった。任せて!」
こうしてわたしは彩香ちゃんと関わることになった。だけど、この時は想像すらしていなかった。これから起こる出来事の全てを。
彩香ちゃんのお母さんから頼まれた次の日、わたしは早速行動を開始した。まず初めに彩香ちゃんの通っていた中学校に行ってみることにした。
しかし、学校は夏休み中のため誰もいなかった。仕方なくわたしは家に帰ろうとした時、あることに気づいた。
(あれ……そういえば彩香ちゃんってどこに住んでたんだろう?)
彩香ちゃんの住んでいた場所を知らない。というより彩香ちゃんについてほとんど知らないことにわたしは気づいた。
(彩香ちゃんのこと全然知らなかったんだなぁ)少し寂しい気持ちになる。せっかくならもっと彩香ちゃんと話しておけば良かった。そんな後悔をしながらわたしは帰路に着いた。
家に帰ってから彩香ちゃんのことについて調べてみた。スマホを使ってネット検索をしてみると、すぐにヒットした。
『小学生女児誘拐事件』彩香ちゃんは小学生の時に何者かによって連れ去られたようだ。その後、彩香ちゃんの行方は分かっていないらしい。
(もしかすると彩香ちゃんはその時に殺されちゃったのかな?)
そう考えると胸の奥がきゅっと締め付けられるような感じになった。(あれ……?そういえば、お母さんの話だと犯人はまだ捕まってないって言ってたよね?)
ということは、もしかしたら彩香ちゃんを殺した犯人がまだ近くをうろついている可能性があるんじゃないだろうか。そう考えた瞬間、わたしの身体中に鳥肌が立った。そして同時に恐怖心に襲われる。
だけど、わたしは彩香ちゃんのことを知りたい。そのためにも彩香ちゃんのお母さんの願いを叶えよう。そう心に決め、わたしは彩香ちゃんが住んでいたとされる住所に向かった。
地図を見ながらたどり着いた場所は、どこかの田舎町だった。周りは田んぼだらけだし、街灯もほとんどない。唯一明るいのは目の前にある一軒家の明かりだけだ。
わたしは恐る恐るインターホンを押してみる。しばらく待っても返事はない。仕方ないので、わたしは玄関の扉に手をかけてみた。鍵はかかっておらず、簡単に開けることができた。
「ごめんくださーい」小声で挨拶しながらゆっくりとドアを開ける。そこには靴箱、キッチンがあり、廊下が伸びていた。奥の部屋からは光が漏れている。誰かいるようだ。
「あのー、すみません。どなたかいますか?」わたしは再び声をかける。すると部屋の中から「はい……」と弱々しい女の子の声が聞こえてきた。
「あ、あの……わたしは花宮優梨さんのお知り合いでして、彩香さんについて伺いたくて来ました」わたしは緊張しながらも彩香さんの名前を告げた。すると思いがけず返答が返ってきた。
「……あなたは誰ですか?彩香に何か用でも?」
警戒するような女の子の声だ。「あっ、えっと、花宮優梨さんの友達で……」
「友達?友達なら彩香のことは知ってますよね?もう私には関わらないでください。私にはもう友達はいりませんから」
「いや、でも……」「彩香のことを思い出させたくないんです。もう二度と私の前に現れないでください」
「でも……」
「もう私には関わらないでください。私にはもう友達はいりませんから」
「……」
わたしは何も言えなかった。彩香ちゃんが心配で来たのに、拒絶されてしまったからだ。
「もう私には友達はいりませんから」
「……」
「彩香のことを思い出させないで」
「彩香のことを話さないで」
「彩香に近づかないで」「彩香に話しかけないで」
「彩香に会いに来たなんて言わせない」
「彩香のことは忘れて」
「彩香のことを忘れさせてあげる」
「彩香のことを思い出しちゃダメ」
「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出しちゃダメよ」「彩香のことを思い出すな」「彩香のことを思い出させるな」「彩香のことを思い起こさせるな」「彩香のことを思わせるな」「彩香のことを思わすな」「彩香のことを思わせないで」
「彩香のことを思うな」「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」
「彩香のことを思うな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことを考えないで」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことを考えるな」──ブツッ わたしはそこで電話を切った。これ以上聞いてられなかった。
彩香ちゃんがどんな人だったのか分からなかった。
彩香ちゃんのお母さんがなぜ彩香ちゃんのことを知りたがっているかも分からない。
そして何より、彩香ちゃんのお母さんが何を考えているか分からなかった。
わたしは、彩香ちゃんを救いたかった。
だけど、その方法は分からなくなってしまった。
わたしは彩香ちゃんを救うことができない。
わたしはただ、彩香ちゃんと仲良くなりたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと話がしたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと遊びたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと一緒にいたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと笑い合いたいだけなのに……。
もうどうしたらいいのか、わたしにはわからない。
あの日から一週間、わたしは一度も外に出ていなかった。
外に出るのが怖かったのだ。また、あんなことが起きるかもしれないと思うと、足がすくんでしまう。
あれ以来、彩香さんからの連絡はない。
もしかしたら、彩香さんの身に何かあったのではないか、という心配は尽きない。
しかし、あの日、彩香さんのお母さんに言われた言葉は、深くわたしの心を傷つけた。わたしは、彩香さんの友達として、彼女の力になりたいと思っていた。それなのに、彼女から拒絶されてしまった。それは、友達として、とても悲しいことだ。
だからと言って、わたしは彩香さんの力になれないことはないだろう。
わたしは、彩香さんに、もう一度会いたい。会って話をしたい。
そう思っていた矢先だった。
ピンポーン! 突然チャイムが鳴った。わたしは、ビクッとした。
「宅配便です」
玄関の向こうから声がした。
「あっ、はい!」わたしは慌てて立ち上がり、玄関の扉を開ける。するとそこには、大きな段ボール箱を持った配達員がいた。
「印鑑お願いします」
「はい……」
荷物を受け取ったものの、差出人の名前がない。わたしはその大きなダンボールを持ち上げようとする。重い……一体なんだろう?こんなに大きなものを買う予定はなかったのだが……。とりあえず部屋の中に持っていくことにした。
「よいしょっと……えっ?」
ダンボールの中を見てみると、その中には、大量のゲームソフトが入っていた。それも、最近発売されたばかりの新作ばかりだ。『モンスターハンター』や、『大乱闘スマッシュブラザーズX』、『ファイナルファンタジーVII』など、どれもこれも有名ソフトばかりだった。しかも全部新品だ。
「どういうこと……?」
わたしは困惑して頭を抱えた。
この量は多すぎるし、それにこんな高価なものをもらってしまったら申し訳ない。「うーん、困ったなぁ」
わたしは頭を悩ませる。
「あ、そうだ!これ、彩香さん宛になってますよ」
わたしはふと思いつき、ダンボールの側面に貼ってある送り状を見た。
「えっ!?」そこに書かれていたのは、彩香さんの名前でもなく、もちろんわたしの名前でもなかった。
「なんで!?」
わたしは混乱する。彩香さんへのプレゼントにしては、あまりにもおかしい。でも、誰か他の人にあげるわけにもいかないし、捨ててしまうこともできない。「どうしようかな……」
わたしは途方に暮れていた。
「彩香のことが気になる?」
「うん」
「彩香のことを思い出すのは辛いでしょう」
「まぁね」
「じゃあやめなさい」
「……」「彩香のことを思い出さないほうが幸せだよ」
「……」
「彩香のことを考えないのが一番幸せなんだよ」
「わかってるわ」
「ならいいけど」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことを考えるな」
「彩香のことは考えるな」「彩香のことは考えるな」
「彩香のことは考えるな」ブツッ─ 私はそこで電話を切った。
もうこれ以上聞きたくなかった。
彩香ちゃんのお母さんが何を考えているのか分からない。
そして何より、彩香ちゃんがどんな人だったのか分からなかった。彩香ちゃんのお父さんがなぜ彩香ちゃんのことを知りたがっているかも分からない。
そして何より、彩香ちゃんのお父さんが何を考えているか分からなかった。
わたしは、彩香ちゃんを救いたかった。
だけど、その方法は分からなくなってしまった。わたしは彩香ちゃんを救うことができない。
わたしはただ、彩香ちゃんと仲良くなりたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと話がしたいだけなのに。
わたしはただ、彩香ちゃんと遊びたいだけなのに。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。
わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと笑い合いたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと仲良くなりたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと遊びたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと一緒にいたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと笑い合いたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしていきたいだけなのに……。わたしはただ、彩香ちゃんと過ごしていたいだけなのに……。
もうどうしたらいいのか、わたしにはわからない。
あの日から一週間、わたしは一度も外に出ていない……。
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