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第六十二話

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 礼子さんが授業のあと「ちょっと相談したいことがあるの」と言って私を大学の食堂に誘いました。
相談したいってよっぽど大変なことなのかしらと私は思いました。
自動販売機でコーヒーを買うと私達は席について、礼子さんの話を聞くことにしました。
「実はね」と礼子さんが話をきりだすと、私は思わず身を乗り出してしまいました。
「いま私出版社ででアルバイトしてるんだけど、都合があってやめるので替わりにアルバイトやって欲しいの」と礼子さんが話を続けました。
なんだそんな話だったのと私はあっけに取られて話を聞いていました。
「ほかに頼める人居ないし、お願いだから」と言われてなんでアルバイトくらいでそんな大げさに言うのかとびっくりしました。
私が「アルバイトくらいならかまわないけど」と言うと「これから一緒にすぐ来て欲しいの」と言います。
私は礼子さんに連れられて地下鉄に乗ると、すこし離れた駅で降りました。
駅前には大きな書店がたくさんならんでいて、すこし裏にはいると出版社のビルがありました。
礼子さんは私を総務部長さんに紹介してくれました。
すこし話をしてから今日からすぐ仕事して下さいと言われました。
私の席だからと、机の所に連れていかれました。
じゃあ今日はこれ読んでくださいとワープロのマニュアルを渡されました。
大学の情報処理演習で習っているのと同じソフトだったのでこれならすぐできると思いました。
しかしすぐに仕事を始めるよりはワープロのマニュアルを読んでいた方が時間が稼げるからと思いしばらくマニュアルを読むことにしました。
当日はマニュアルを読むだけで終わったので、これでお金がもらえるのだから得をしたと思いました。
翌日からは手書きの草稿を入力する仕事が始まりました。
分量はそれほど多くなかったので私はわざとゆっくり入力することにしました。
ばれたら怒られるかと思いましたが誰も私の仕事ぶりを見ている人などいませんでした。
夕方になって、歓迎会をしますから来て下さいと言われました。
私はただのアルバイトなのにと思いましたが、その会社ではアルバイトの女の子でも歓迎会をするのが当たり前なようでした。
私は適当にほかの人の相手をしていればいいと思いましたが、社員の女性の人が男性社員にお酌をして回っていたので、私もこれはお酌をしなければいけないと思いました。
愛想をふりまいてお酌をして回ると「大学はどこ」と聞かれました。
女子大だ判ると「じゃあ今度合コンをしよう」と男の子が言い出しました。
どうせお酒の席の話だと思って知らん顔していると、他の男の子も声をそろえて私を問いつめて来ました。
私は仕方なく「今度クラブの先輩に頼んでみますね」と返事をしました。
すると男の子達はもう合コンの予定が決まったと思いこんだのか、うれしそうに笑っていました。
歓迎会もようやく終わって帰ろうとすると二次会にしつこく誘われました。
私はなんとか断ろうとしたのですが、無理矢理に連れて行かれました。
小さなクラブのような店は部長さんの行きつけの店らしくて、クラブのママが部長さんと親しげに話していました。
部長のおごりということらしく、同じ課の男の子が代わる代わるカラオケで歌い始めました。
クラブのママがなにか曲を選ぶと部長さんに私とデュエットするように勧めました。
なんだか知らない曲でしたが、部長さんとならんで適当に歌うと部長さんが私の肩から腰を撫で回してきました。
これはセクハラだと思いましたが、なんとか歌が終わるまで我慢しました。
終電でアパートに帰ると明日の締め切りのレポートをなんとか書こうとしましたが、頭が重くなってとても書けませんでした。
しかたなく朝早く起きてレポートを書こうと思って寝ました。
しかし朝起きようと思ってもどうしても起きられませんでした。
大学に行って教室で礼子さんを捕まえて「レポート写させて」となんとか頼み込んで、授業中に礼子さんのレポートを必死で写しました。
なんとか授業の終わりまでにはレポートを写すと、締め切りぎりぎりに提出してほっとしました。



 もうすぐバイトをやめる頃になって社員旅行に誘われました。
いく予定だった人が退社したため人数があまってしまったそうでした。
お金は少しだけだしてくれればいいと言われて行くことにしました。
観光バスは途中で休憩のために茶店のような所に止まりました。
社員の男の人たちはみんなバスから降りて自動販売機のコーヒーを飲んだりしていました。
私も、ウーロン茶を飲んで、土産物をみてあるきました。
バスに乗る前にトイレに寄りました。
女子トイレは混んでいて随分時間がかかりました。
そとに出てみるともう会社の社員は誰もいませんでした。
バスは私をおいて出発してしまったようでした。
私が慌てていると「車で追いかけましょう」と声をかけてくれる男性がいました。
私は車に乗せてもらってバスの後を追いました。



 私を乗せた車はバスのあとを追って走り始めました。
しかしすぐに大きな通りから山の奥に通じる細い道を上っていきました。
大きな湖に湖畔にバンガローがたくさん並んでいるのが見えました。
車はバンガローの近くに止まると、男は私をバンガローの中に連れ込みました。
私はバンガローの窓から外に助けを呼ぼうとしました。
男は私を後ろから抱きかかえて来ました。
私の身体を襲う欲望は、嵐のような激しさでした。
私の身体を包み込んだ欲望の渦は、すぐには激しくならずに、私の感触を楽しんでいるようでした。
しだいに激しさを増す欲望には抵抗する気力もなくなるほどの荒々しさがありました。
今誰が私を支配しているのか、それだけが私の涙を誘う喜びでした。
私の体は空高く放り上げられたまま、落ちることを許されずに回り続けました。
子宮からあふれる潮の流れがつま先から頭のてっぺんまでを奔流となって走り抜けていきました。
意志を失った人形の体を女の宿命が支配し続けました。
このままずっと続くのなら、私の体はもう支配者に屈服するよりないと覚悟しました。
男は私の身体を一撃で貫き通すと、私の身体は震え続けたまま止まらなくなりました。
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