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スタートライン
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さて、カズくんは日に日に状態が良くなっていった。
そして、ある日のこと。
私が面会に行くと、いつもの音が聞こえなかった。音とは人工呼吸器のことである。
私は急いでカズくんのベットへとやってきた。
すると、人工呼吸器の機械はまだあったものの、カズくんの喉から人工呼吸器の管は外れていたのだ。(もちろん、喉には気管のカフは付いていたが)
カズくんも、『よう』と、私に挨拶をする。
「機械取れたの?」
驚いた私がそう聞くと、カズくんはうんうんと頷く。
私は、思わずカズくんには抱きついた。
その後、主治医とのインフォムドコンセプト(IC)が行われた。
主治医からは、
「肺の方は大丈夫です。水も引けて、週3回の透析で済んでいます。人工呼吸器はさずしました」
そう告げられた。
私と車椅子に乗ったカズくんは、ホッとため息をつく。
よかった、よかった。
そんな空気がその場に流れる。
しかし、主治医は慎重に話を進める。
「しかし、今。やっとスタートラインに立っている状態です。今後は腹の方の手術をしていかなければなりません。」
そう。
まだまだ退院までの道のりは遠いのだ。
本来のお腹の手術・・・それは、大変な大仕事である。
何せ、この数ヶ月間で、カズくんは体力も落ちた。そして、再び手術となれば人工呼吸器も再度繋がねばならない。
第一、自分で車椅子にも乗れない人が手術をするのだ。術後の合併症も予想される。
「しかし、やっていくしかないので。頑張りましょう」
主治医はそう言うと、電子カルテからすぐに手術の日程を決め、承諾書を用意する。
そして、私が全ての書類にカズくんの変わりに全て署名をした。
「じゃあ、来週。時間的には6時間くらいで終わると思いますから・・・」
主治医から手術の話をされる。
私もカズくんも、あまり実感がないままその話を30分ほど聞かされたのち解放された。
不安ではある。
でも、カズくんは少し穏やかな表情だった。多分、私も・・・
こうして、カズくんと私は入院してから3ヶ月にして、やっとスタートラインに立ったのである。
そして、ある日のこと。
私が面会に行くと、いつもの音が聞こえなかった。音とは人工呼吸器のことである。
私は急いでカズくんのベットへとやってきた。
すると、人工呼吸器の機械はまだあったものの、カズくんの喉から人工呼吸器の管は外れていたのだ。(もちろん、喉には気管のカフは付いていたが)
カズくんも、『よう』と、私に挨拶をする。
「機械取れたの?」
驚いた私がそう聞くと、カズくんはうんうんと頷く。
私は、思わずカズくんには抱きついた。
その後、主治医とのインフォムドコンセプト(IC)が行われた。
主治医からは、
「肺の方は大丈夫です。水も引けて、週3回の透析で済んでいます。人工呼吸器はさずしました」
そう告げられた。
私と車椅子に乗ったカズくんは、ホッとため息をつく。
よかった、よかった。
そんな空気がその場に流れる。
しかし、主治医は慎重に話を進める。
「しかし、今。やっとスタートラインに立っている状態です。今後は腹の方の手術をしていかなければなりません。」
そう。
まだまだ退院までの道のりは遠いのだ。
本来のお腹の手術・・・それは、大変な大仕事である。
何せ、この数ヶ月間で、カズくんは体力も落ちた。そして、再び手術となれば人工呼吸器も再度繋がねばならない。
第一、自分で車椅子にも乗れない人が手術をするのだ。術後の合併症も予想される。
「しかし、やっていくしかないので。頑張りましょう」
主治医はそう言うと、電子カルテからすぐに手術の日程を決め、承諾書を用意する。
そして、私が全ての書類にカズくんの変わりに全て署名をした。
「じゃあ、来週。時間的には6時間くらいで終わると思いますから・・・」
主治医から手術の話をされる。
私もカズくんも、あまり実感がないままその話を30分ほど聞かされたのち解放された。
不安ではある。
でも、カズくんは少し穏やかな表情だった。多分、私も・・・
こうして、カズくんと私は入院してから3ヶ月にして、やっとスタートラインに立ったのである。
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