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玉生ホーム探検隊
玉生ホーム探検隊 10
しおりを挟むこの家は窓が大きい上に天窓からも光が入るので、基本的に日中は照明が無くてもそう不自由はしないようだ。
しかもこの二階へ上る階段も、キッチンの廊下と同じようにセンサー式で点灯するので、足元の暗さの心配はない。
「向こうは吹き抜けの中二階で、こちらは二階か。ちょっと面白い造りだな」
突き当りの階段を先頭切って上りながら、感心したように駆があちこちに視線を向けている。
まっすぐ上った突き当りの踊り場はやや広めで、窓枠が大きい腰高の出窓なので椅子の代わりにもなりそうだ。
見下ろすと一面に森のような木々が見える窓辺は、クッションでも置けばなかなかいい読書ポイントになるだろう。
そこをさらに逆方向に折り返し、思ったよりも長い階段を進む。
行ったり来たりする階段は、その勾配を緩くする代わりに距離が延びているのは仕方がない。
「余裕がある階段なのはいいけど、それでもちいたまには危ないねえ」
今は和室で茶トラと一緒にいる愛猫を思うと、今から心配な寿尚である。
「二階には上げなければ問題ない。一階で飼う事だ」
「あの茶トラなら首根っこ咥えて、上げ下げするんじゃないか?」
「猫飼うなら縁側のイメージすよね」
「ちいたま一段目にも登れないと思うから、和室と縁側――あ、人がいないと縁側も危ないよねぇ」
みんなの忌憚のない意見に寿尚は改めて思う。
たしかに実家の猫たちが自由に出入りできる場所は人が跨げる程度の柵で仕切っているので、脱走するのは身のこなしが軽い子たちで、チビのうちはチビ部屋に軟禁しているから問題は事前で防げていたのだと。
実際にちいたまを実家で飼うのなら、寿尚が付きっきりの時以外はまだまだチビ部屋で隔離されていたに違いない。
「……一生のお願い。ちいたま用の柵を設置する許可」
特に反対意見も出なかったので、詳しくは部屋割りが確定してからという事で全員が納得したのだった。
そんなこんなで二階に着くと、そこにはフローリングの廊下が一直線に延びていた。
こちらには吹き抜け側の様な天窓は見当たらず、その代わりに頭上に埋め込まれたダウンライトがセンサーで点灯して視界が確保されて、廊下を挟んで両方の壁に並んでいる色違いの扉を確認できた。
左の壁には等間隔に並んだ三つの扉があり、右にはその間に空間がある二つの扉で、その空間の部分はT字の通路になっている。
それぞれの部屋の扉はスモーキーの落ち着いたトーンで、青・緑・白・黄・赤の五色の扉だ。
そして、なんの躊躇もない駆が「全部普通に個室なら、わかりやすくていいな。ちなみにオレは、青が好きだぞ」とノンキな発言と共にまず一番手前、左の白い扉を開いた。
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