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24「そして、ついに」

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【陽キャリーダー】蹴鞠「ど、どうしたんだい物部くん!?」

【紅一点】州都「どうせいつものだろ、放っておこうぜ」

【映えの権化】蝿塚「なになに、映える!?」

【エロ垢】江口「……キモ」

 急にクラスの注目を集めてしまい、僕は戸惑う。

【陽キャリーダー】蹴鞠「もしかして、何か思い付いた?」

「う、うん。もしかしたらやけど、時間の減り方の法則性を見つけたかも知れんくて」

【陽キャリーダー】蹴鞠「それは! 是非、聞かせてくれないかい?」

 天晴あまはるさんの凋落によって、今や名実ともにクラスの中心人物となった爽やかイケメン陽キャリーダーから推挙されてしまい、僕は多少舞い上がりながら、たった今見つけたアイデアを披露する。

【紅一点】州都「……何そのこじ付け」

【陽キャリーダー】蹴鞠「いや、でも現実とぴったり合っているじゃないか! この法則に当てはめると、次に1分減る時刻は――」

 12時45分から(14 - 5)時間後だから、21時45分。

【陽キャリーダー】蹴鞠「決まりだな。今日の21時半に、エントランスに集合だ」



   💭   🔁   ❤×?325



 夕食は豪勢だった、と思う。けど、あまり味がしなかったというか、何を食べたのかほとんど覚えていない。

 大浴場はまぁ、気持ち良かった。
 他クラスの男子たちが自分の……のサイズ比べをやっていて、馬鹿じゃないかと思った。馬子が生きてたら、一緒になって騒いでたかもしれない。
 あと、こんな事態になっていなければ、【801】八坂さんあたりが嬉々として同人のテーマにしていたかも。

 ……ほんの1週間前までは、平和だった。
 星狩さんに対するイジメはあったとは言え、それでもまだ、平和だったんだ。
 それが……的場くんが死に、相曽さんが死に、出目さんが死に、馬肉さんが死んだ。
 馬子? あれは自業自得だ。けど、他の4人は『呪い』によって殺されたんだろう、と思う。
 出目さんと馬肉さんについては飛び降り自殺という手段が用いられたけど、1分間動画はUPされたし。そして逆に、いいねがまだ残っている状態で死んだ馬子については、1分間動画がUPされなかった。

 4人の死は、僕と星狩さんの所為、という事になるのだろうか? 頼々子さんは、まだ来てくれないのだろうか……。
 だ、大丈夫だ。警視庁刑事部捜査4課は、たくさんの『プロ』を擁しているって話だ。きっと、この『呪い』も祓ってくれるはず。だから大丈夫。大丈夫だ。



   💭   🔁   ❤×?325



 ……そうして、21時40分になった。
 旅館のエントランスは2年4組に占拠され、ガヤガヤと騒がしい。
【担任】古井戸先生がキレてたけど、種田の恫喝と蹴鞠くんの説得に圧され、しぶしぶ出て行った。
 あの先生は、未だにこの『呪い』の事を信じていないらしい。あの先生が防壁になって、学校にちゃんとした情報が伝わっていないのかな?
 元々、古井戸先生はホームルームや授業以外では生徒に一切関わろうとしない人だった。きっと生徒に興味が無いんだろう。
 この騒動も、相次ぐ死亡に関しても、『頭のおかしな子供たちが意味不明に騒いでて、迷惑だ』くらいにしか考えていないのかもしれない。

 ――と、益体の無い事を考えているうちに、21時45分になった。

【セミプロダンサー】舞姫「あぁぁ……本当に『54分』になってる!!」

 すかさず僕も、Twittooを確認する。
 ……本当だ。『favo_min』のアカウント名とヘッダ画像が、『いいね❤ × 54分 = 余命』になっている!

【紅一点】州都「なぁなぁ、じゃあ次に『53分』に変わるのはいつだ!?」

【陽キャリーダー】蹴鞠「ええと――」21時45分から(9 – 6)時間後の、「0時45分だな」

【紅一点】州都「ええと、今までマイナス1、2、3、4、5、6と来たから、次は3 ひく 7になるわけだよな? マイナスになったら、どうなっちまうんだ?」

【陽キャリーダー】蹴鞠「それは……どうなるんだろうね」

【紅一点】州都「もしかして、一気に『1分』にまで減っちまったりするのかな? オレ、いいねに余裕ねぇんだけど……」

 州都さんの言葉に、クラスは騒然となる。特に『インスタ女子組』が泣き始めた。

【陽キャリーダー】蹴鞠「いや、いや、いや」なだめる様に大きな声を出す。「案外、反転して『54分』に戻ったりするかもしれないし」

【クラス委員長】長々「いずれにしても、相互いいね体制は維持だ。0時半に再びここに集まるとして、今は解散!」

 長々くんの号令で、クラスは三々五々と散っていった。



   💭   🔁   ❤×?325



 相部屋の連中がずっとダベっていたから、ほとんど眠れなかった。
 そうして僕らは再びエントランスに集まり、もうすぐ0時45分。

【セミプロダンサー】舞姫「じゅーご、じゅーよん――」スマホを覗き込みながらカウントダウンを始める。

 女子数名が同調する。

「「「じゅーう、きゅーう、はーち、なーな――」」」

 何て滑稽な光景だろう。自分たちの余命を、自らカウントダウンするだなんて。
 きっとみんな、心の奥底では信じていないんだ。自分だけは死なないと思っているんだろう。

「「「さーん、にーい、いーち、ゼロ~!」」」

【紅一点】州都「あぁ……くそ。やっぱり減ってる」

【セミプロダンサー】舞姫「え? 次って『52分』だっけ?」

【映えの権化】蝿塚「『51分』って書いてるんだけど?」

【猫可愛がり】猫目「え? え? え? 私の画面には『50分』って書いてある! どういうこと!? 人によって違うの!?」

 猛烈に嫌な予感がして、僕は『favo_min』アカウントの画面を何度も更新してみる。
 あぁ、あぁぁぁ……何て事だろう、何て事だろう!
 画面を更新する度に、『いいね❤ × 47分 = 余命』、『46分』、『45分』、『44分』、『43分』……と減っていっている!
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