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第2章 「私が領主になって無双する話」

97(2,971歳)「幼女少女養殖場」

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「おぇぇええええええええ……」

「うっぷ……」

「げろげろげろ……」

「えーんえーん」

「お家帰してぇ~」

 そして広がる地獄の風景。広場には、陛下やフェッテン様が自ら無力化して運んでくださった伝説の魔獣がそこかしこに転がってる。
 今回の養殖は、チーム・アリス――陛下、フェッテン様、宰相様、パパンとママンとディータとバルトルトさんと3バカトリオにパーティーメンバーとアラクネさん、精鋭従士253名が総出でサポートしてくださる。

 私やディータや他の建築得意勢は幼女少女たちのための豆腐ハウス作成に忙しい。
 なにせ6,152人だからね! 魔の森の中に街ひとつ作るようなもんだよ。

 でも、豆腐ハウスを作る背後ではガン泣きしてる子までいて、さすがにいたたまれなくなったので、

「【フルエリア・パーフェクト・リラクゼーション】!」

 もはや洗脳に近いレベルの強力なリラクゼーションを一発かましておく。まぁ効果は『なぜか急に不安がなくなる』だけであって、副作用は特にないから許してほしい。

「あれ? あたし、どうして泣いてたんだろう?」

「なんか急に気分が良くなった!」

 いたいけな幼女たちは、自分の精神を意図的に操作されているとも知らず、次なるレベリングに励んでいる。健気だねぇ……。


    ◇  ◆  ◇  ◆


「みんなー! ご飯だよー!」

 内部時間で夕方相当になった頃、地面に転がる幼女少女たちへ声をかけると、みんなががばっと顔を上げた。
 ゾンビか! 怖いわ!

 さすがに幼女少女相手なので、精鋭従士を育てる時のようなフル○タルジャケットの某鬼軍曹のマネはせず、優しさ重点で対応する。

「みんなが頑張って倒したドラゴン肉のステーキだよ! すっごくおいしいから食べて食べて! 温かいスープもあるよ! あと美味しいパンには蜂蜜使いたい放題!」

「「「「「きゃ~~~~ッ!!」」」」」

 幼女少女たちからの黄色い声! うむ、女子相手には甘味を与えておけば、とりあえず外れはない!

「デザートには、王家御用達のケーキ食べ放題!」

「「「「「ふぁ~~~~ッ!!」」」」」

 楽しそうで何より。


    ◇  ◆  ◇  ◆


 夜には、できるだけ年少さんと年長さんをセットにして豆腐ハウスを割り当て、チビを始めフェンリル戦闘部隊から来る日も来る日も抜け続ける毛を綺麗に洗浄して作ったフェンリル布団――なんと、ほんのりうっすら輝くんだよ!?――で眠ってもらった。
 日本時代、寝室の電球の真ん中についてる、あの蛍光色の小さな明かり然りで、真っ暗よりは多少明るい方が安心して眠れるらしいしね。まぁ所説あるけど。


    ◇  ◆  ◇  ◆


「じゃあ今日は、【物理防護結界】の練習をしまーす!」

「「「「「はーい!!」」」」」

 内部時間相当での翌朝、幼女少女たちはというと、目が赤い子たちもそこそこいたが、朝っぱらから再びケーキが食べられた所為せいか、暗い表情の子はいない。良かった良かった。

「じゃノティアさん」

「はいはい」

 ステージ上に立つ私とノティアさんが向かい合う。
『はいはい』なんて言いつつも、【物理防護結界】のデモンストレーションのために私に弾丸魔法【ロナ○ド・レイガン】を撃ち込む役を自ら買って出たノティアさん。魔法でディータに負けたことがよほど堪えているらしく、『あたしは魔法職なのよ』感を前面に出してくる。こう言っちゃ失礼かも知れんけど可愛い。

「【ロナ○ド・レ~~~~ガン】!」

 ノティアさんの目の前に100発の弾丸状アースニードルが生成され、猛回転してから射出された。

 ガガガガガガガガガガガガガガンッ!!

 とてつもない音とともに、私の張った【物理防護結界】に激突する。が、私の【物理防護結界】はびくともしない。

「と、こんな感じになります」

「「「「「おぉ~~~~ッ!!」」」」」

「皆さんが聖女になった暁には、これのさらに強い版が使えるようになります。隕石だって跳ね返せるようなやつを!」

「「「「「おぉ~~~~~~~~ッ!!」」」」」

「あと慣れてくれば――【物理防護結界】からのぉ【ウォーターボール】!」

 コップ上にした【物理防護結界】に水を注ぐ。

「容器代わりにも使えます。【ファイアーボール】」

【物理防護結界】を下からあぶって湯を沸かし、

「このように、魔法などで物質を加工したい時なんかに重宝しますね」

「「「「「へぇ~~~~~~~~ッ!!」」」」」

「では訓練始め!」

「「「「「はいっ!!」」」」」


    ◇  ◆  ◇  ◆


 内部時間で3年後、

「魔力養殖の基本はひたすら魔力を消費すること! というわけで、3年もの過酷な訓練を耐え抜いてきた6,152名の聖女候補生たちよ! さぁ、思うさま私を吸いなさい!」

「「「「「【吸魔マナ・ドレイン】!」」」」」

吸魔マナ・ドレイン】は魔法なので当然、MPを消耗する。物凄く吸えば、その分MPを消耗する。けどそれ以上にMP回復する。相手からMPを吸う魔法だから当然だけど。

 ノティアさんやアデスさんの時は最大効率の【鑑定】地獄で養殖してもらったけど、今回はホーリィさんが聖女認定された当時のMP1万弱もあれば十分。
 っていうかそれでもレベル100相当のMP。魔力や魔法力は生まれつきの才能なんかも結構影響するらしいけど、ホーリィさんも生まれながら相当なバケモノだったのね……。

 で、6,152人から容赦なく吸われてる私はというと、ステータスウィンドウを確認すると、おっとMPがミリ減りしてきてる!
 まぁ【1日が10000年にテンサウザンドなる部屋・ルーム】を維持しつつの全力【吸魔マナ・ドレイン】×6,152はキツいか。
 フフフ、こんなこともあろうかと、

「チビ~! チ~ビ~ッ!!」

「わふっ」

 そう、チビも連れて来ているのだ!

「みなさーん、間違ってチビから吸わないようにご注意を!」

 言ってから、私は横座りするチビの脇腹に顔をうずめ、

「スーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 ステータスを確認すると、ミリ減りからミリ回復に転じる。
 どんなもんだい! チビは私の癒し。


    ◇  ◆  ◇  ◆


 そんな修行をさらに数か月ほど。
 6,152名は全員、MP1万超えとなった。

 ステージ上には私が【土魔法】で作った全知全能神ゼニス様の石像。

「では皆さん、今から女神様に謁見しますので、ひざまずき、敬虔な気持ちになって祈ってください」

「「「「「はい!!」」」」」

 意識がフワーってなって、真っ白な不思議空間が現れる。
 顔を上げれば、

「あはっ、あははははっ!」

 腹を抱えて爆笑している女神様。

「ひぃひぃ……私が提案したことですけど、こうして本当にアリスちゃんが6,152人引き連れて来るところを実際に見ることになるとは!」

 私の後ろにいる幼女少女たちが、あまりにフレンドリーな感じの女神様のご様子に、唖然としてる。

「あー……みんな、本物だから大丈夫だよ」

「「「「「は、はぁ……」」」」」

「はー……笑った。やっぱりアリスちゃんはいいですねぇ。ぽちっとな。はい、これでみなさん、称号【聖女】を得ましたよ」

 ウィンドウをポチポチ操作していた女神様がそう言うと、6,152名の姿がぱぁっと輝く。

「わ、ホントに【聖女】になってる!」

「せいじょ? わたしせいじょ?」

「わぁ~~~~っ!」

 幼女少女たち大喜び。

「あざます女神様!」

「いえいえ、あなたには苦労をかけますけど……」

「それは言わないお約束ですよぅ、おとっつぁん」

「うふふ、そうでしたね」

 そんな約束をしたことはないけれど、私のノリに合わせてくれる女神様。

「ではまた後日」

「はい。がんばってください」

「はい!」





***********************************************
追記回数:25,671回  通算年数:2,974年  レベル:5,100

次回、
アリス「アリソン・クエストIV ~導かれし者たち~」
ディータ「いや導かれてないで仕事してくださいよ閣下」
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