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第2章 「私が領主になって無双する話」

77(1,417歳)「領民パワーレベリング!! ~魔法編~」

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 というわけで5歳以上の領民全員の実に9割以上をレベル100にした。
 というか、甘々基準なはずなのにアウト判定された人の多さよ……これでも基準、厳しすぎるのか? 元日本人の感性なのか……まぁ、半年くらい様子を見て、改心してるようなら順次厳しめの【契約】付きでレベリングしてやることとしよう。

 5歳以上の浮浪者・浮浪児は城塞都市に誘致し、冒険者登録の上、私の【土魔法】製豆腐ハウスと井戸を提供し、魔の森の浅いところでの狩りを命じた。レベル100なら死の危険はない。まぁ、余程油断しない限りは。

 5歳以下の浮浪児に関しては現在、領都近郊に新たな教会兼孤児院を建設中。領都の建築ギルドに大枚はたいて超特急で作ってもらってる。
 で、5歳を越えれば今度は辺境伯領都に建設中の『アリス学校』へご招待。レベル100にしつつ読み書き算術を覚えれば、本人の希望に沿いつつ丁稚に出るなり冒険者になるなり他領で生きるなり。なんたってレベル100なんだ。他領では引く手あまただろう。けっして不幸にはなるまいて。
 とりま冒険者にさせた5歳以上の子らにも、希望すれば『アリス学校』に入れるようにしよう。

 そうそう、【従魔テイム】能力適性のある人を探して、鍛えなきゃな。蜂蜜増産はお酒ごらく甘味ごらくにつながるし、魔の森での狩りを積極化させるうえで、犬系ペットも重要だ。

 というわけで、まずは城塞都市の皆々様を第2次レベリング会場へごしょうた~い!


    ◇  ◆  ◇  ◆


「今日は生活に何かと便利な4大属性と治癒の中~上級魔法と、【テイム】魔法を覚えて頂きます。皆さん魔法教本はお持ちですか?」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

 おなじみ城塞都市の中央広場にて。
 私、ノティアさんの魔法組で、領民さんや軍人さん相手に魔法の手ほどきをする。

 あ、私、一応自分のことを『魔法組』だと分類してる。

 近接物理組……フェッテン様、パパン、ホーリィさん、リスちゃん、トニさん、ジルさん、チビ始めフェンリル組。
 遠距離物理組……ママン、アニさん。
 タンク組……バルトルトさん。
 治癒ヒーラー組……ホーリィさん、バルトルトさん。
 必殺仕事人組……アラクネさん。
 万能魔法組……私、ノティアさん、前世のディータきゅん。

 まぁ私は万能魔法組といいつつ、【アイテムボックス】無双キャラなのは自覚してるよ。攻撃手段が初手【首狩りアイテムボックス】だし。

 そうそう、前世のディータは強かった! 何かに特化することもなく、全属性の攻撃・治癒・補助・生活魔法を難なくこなしていたよ。
 今世のディータはまだ2歳だけど、早く一緒に養殖したいなぁ……。

 そんなこんなで連日、魔法講習を続けていく。


    ◇  ◆  ◇  ◆


「じゃ今日は【アイテムボックス】を。これはホント便利ですよ! そこそこの容量と時間停止機能まで使えるようになったら、物流とか兵站とかの概念が崩れます。辺境伯領の物流産業が終わりを告げますが、なに、他の産業をたくさん立ち上げてますのでご心配には及びません。
 もし【アイテムボックス】の所為せいで職を失った! って人がいましたら、我が家の人材募集にご応募ください。仕事とお金はいくらでもありますから」


    ◇  ◆  ◇  ◆


「今日は【飛翔】! これは旅客産業クラッシャーどころか馬の存在意義が疑われかねない魔法で、【アイテムボックス】とのコンボで行商人キラーですねぇ。でも、皆さんも空を自由に飛びたくないですか? ――はい! タケ○プター! ……忘れてください。
 ただこの魔法、魔力管理だけはしっかりやってくださいね。上空で魔力切れになったら真っ逆さまですから。まぁレベル100の体力なら、即死はしないでしょうが……治癒魔法の訓練は怠らないように」

 MP管理は大事。古事記にもそう書かれている。


    ◇  ◆  ◇  ◆


「これぞ物流・旅客・兵站・間諜産業のラスボス! 【瞬間移動】です! 大人数を一緒に連れて行けるレベルになれば、籠城しているお城に兵士・武器・食料その他を送り込み放題ですよ! 『戦争』壊れます。怖いですねぇ。
 ただ、これは正直覚えるのが難しい。覚えれたらラッキーくらいの感じで、できなくても落ち込まないでくださいね。あと使えるようになった人には、王国に対して悪意を持って使うことを禁止する【契約】をさせてもらいます。逃げないで下さいよ?」


    ◇  ◆  ◇  ◆


 そんなある日の朝、

『ピロピロピロッ!』

 むぉっ!?
 陛下付きのブルーバードちゃんから緊急通報!
 なんだなんだ!? 『視界共有』すると、いつもの略式謁見室で陛下がブルーバードちゃんに対して『アリスアリスアリス!』と叫んでいるらしき映像。

【瞬間移動】!

「そな、そなた! 無茶をやるなら事前に相談せよと言っておろうが!」

「へ?」

「ジークフリートから聞いたぞ! なんでも領民全員を英雄レベルの100に上げ、大容量【アイテムボックス】や【瞬間移動】までも仕込んでいるというではないか!」

「は、はぁ……まずかったですか?」

「国がひっくり返るわ!」

「いやぁちゃんと【契約】で縛ってますので大丈夫でしょう」

「はぁ~~~~……フェッテンからいろいろ聞いたが、そなたが非常識だというのは本当のことらしいな!」

「えへへ……」

「褒めとらんわ!」

「ご、ごめんなさいぃ……」

「対魔王国のために従士を鍛えるのならまだしも、領民全員をレベル100の【瞬間移動】持ちにするなど、他の領主を刺激するじゃろう!」

「【瞬間移動】は難易度が高いので、全員は無理ですよ」

「そういうことを言っておるのではない!」

「ご、ごめんなさいぃ……」

「ふぅ……王家並びに信頼のおける貴族家からもいくらか人を出し、お主の『ぱわーレベリング』とやらに参加させるからな! そなたが【勇者】だと判明したあとならまだしも、貴族家には力の均衡というものがある程度必要なのじゃ」

「わ、分かりました!」


    ◇  ◆  ◇  ◆


 てなわけで、領主や冒険者、商売人としても働きつつも、全国を回ってパワーレベリングの日々。
 あまりに手が足りないので、本来魔法職でない人もかき集め、講師の布陣フェッテン様(!?)、パパン、ママン、バルトルトさん、3バカトリオ、ホーリィさん(身バレ云々言ってるヒマがなくなった)、ノティアさん、リスちゃん、アラクネさん、私の12名。
 うっうっ……前世の従士108名が恋しい……。

 そんなこんなで鍛えに鍛えた1年。

 我が領民のレベル100要員はすべからく、全属性の中~上級を使いこなし、荷馬車レベル以上の容量の【アイテムボックス】を持ち、【飛翔】を操るようになった。【アイテムボックス】に関しては、何割かの人は聖級に相当する『時間停止機能付き』となった。
 他領から選出された人々もだいたい同じ感じ。

 我が領民の【従魔テイム】能力者は数百人規模となり、各都・街・村で養蜂係になってもらった。移住に際してはできるだけ本人の希望を聞いたうえで、家族ごと移ってもらうように配慮した。

【瞬間移動】は数十名が使えるようになり、こちらも本人ともよく相談の上、できるだけ各都・街・村に人数比で均等にバラけてもらうことにした。

 なお、辺境伯領からはありとあらゆるスラムが一掃され、善人判定の浮浪者と浮浪児は全員レベル100の冒険者として自立するか、『アリス学校』に入るか、孤児院に入った。

 今では領内の食糧事情は大幅改善し、どんなに小さな街の宿でも、どんなに貧しい村の村長宅でも、十分な量のオーク肉やミノタウロス肉、漁村では大海蛇シーサーペント肉が出てくるようになった。乱獲されすぎて魔物の絶滅を危惧するレベルだ。

 まぁ絶滅したらしたで冒険者たちは魔物が無尽蔵にいる魔の森に張りつけばよいし、肉はレベル100の行商人が輸送すればよい。
 前世で死ぬほど苦労させられた――というか最後は死んだ――魔物の集団暴走スタンピードのことを思うと、ガチで絶滅させてもいいくらいだ。

 我が領において、『領民が魔物の影におびえる』時代は終わった!
 これにて、『ラスボス手前の領民レベリング大作戦』、完遂!

 どやぁっ!!


    ◇  ◆  ◇  ◆


 6歳の春。
 じたく上空から城塞都市を眺めると、至るところで人が浮いたり飛んだり、【テレキネシス】で畑を耕しながら【ウォーターシャワー】で水撒きしたり、【アイテムボックス】で大荷物をででんと出したり……という魔法王国的な光景が繰り広げられている。

 満足して自室に戻ると、ディータきゅん3歳がそこにいた。

「おねぇさま! ぼく れべりんぐ したい!」

 おや? この展開……1年、早くない?





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追記回数:20,001回  通算年数:1,418年  レベル:2,200

次回、アリスが領民を養殖して回る姿を、領民の皆さんが語ります。
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