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最終話 これからの人生
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ローゼンハイム伯爵領は大陸の沿岸部にある。
海から吹いてくる潮風の匂いは懐かしく、丘の上から青い屋根の街並みは美しい。
港町は漁師の元気な声や貿易商人たちの活気ある呼び込みな声で満ちている。
木陰では若い衆が悪だくみをして、主婦たちが夫の悪口に花を咲かせる。
元気に駆け回る子供たちがきゃっきゃと騒いで剣術ごっこにいそしむ。
十年ぶりとなる故郷の街を見て、私はまだ実感が沸かなかった。
(変わった……のかしら。よく分からないわ)
故郷にいる時は遊び惚けていたものだけど、大人になってから来るのは初めて。
色んなものの見方が変わってしまった今、かつてと同じ景色を見ているか分からない。
「あ、お嬢様。見えてきましたよ!」
「……うん」
私はごくりと唾を飲んだ。
馬車の窓から顔を出し、髪を抑えて前を見る。
十年ぶりとなる我が家は何も変わっていない。
侯爵家ほど大きくはないけど二階建ての大きな屋敷だ。
二つある西棟と東棟は渡り廊下で繋がっていて、家で暴れた私とお兄様が喧嘩をしたとき、二人揃ってあそこに立たされたっけ。冬の潮風が堪えて、二人で身を寄せ合ったことを覚えている。
「……帰ってきちゃった」
どくん、どくん、と心臓の音がうるさい。
ただ家族に会うだけなのに緊張して吐きそう。
いっそのこと永遠に着かなければいいのになんて思ったけど、私の願いはむなしく、馬車は一分と絶たずに伯爵家の玄関前に立ってしまう。
「お嬢様、おかえりなさいませ。お元気そうで何よりです」
「……ただいま。あなたも元気そうね。ジェファ」
門衛の人に挨拶をした私は玄関の前で立ちすくんだ。
屋敷を見上げる。既に門は開いていて、あとは私が踏み出せばいいだけだ。
なのに足は鉛がついたみたいに重くて、一歩も動くことが出来なかった。
喧嘩別れしたことを思い出す。
実家の借金を無くすために私がやったことを、お父様はまだ怒っているだろうか。
あんなにも反対したのにロレンスと結婚したことを、お母様は悲しんでいるだろうか。
「やっぱり……」
今さら、どんな顔をして会えばいいのだろう。
「やっぱり、やめておこうかな……」
「──ユフィリア?」
心臓が跳ねた。
思わず顔をあげれば、伯爵家の玄関から見覚えのある女性が現れた。
色褪せたプラチナブロンドの髪は白に近く、目じりには皺が寄っている。
私と同じ空色の目がまたたくまに潤んで、くしゃりと歪められ、彼女は口元を両手で覆った。
「お母様……」
「ユフィリア、ユフィリアなの?」
こくり。と頷く。
お母様が後ろを振り向くと、筋骨隆々の偉丈夫が現れた。
赤茶色の短髪は刈りあげられ、口元が震えた。
「……ユフィリア」
「お父様……」
二人とも、少し老けたかしら。
十年も会っていなかったのだ。無理はないけど。
私は近付いて来た二人に震える唇を開いて言った。
「あの、手紙で伝えたけど。実は離婚することになって……」
恥ずかしい。
私、いまどんな顔をしてるんだろう。
「もちろん、二人が嫌なら宿屋に泊まるわ……でも……」
突然、お父様が抱きしめて来た。
「え」
「よく帰って来た!!」
耳元で大きな声で叫んで、お父様は手に力を入れる。
(泣いてる、の?)
「すまない……俺たちが不甲斐ないばかりに、お前には苦労を掛けた……本当に……すまない……!」
私は目を瞬いた。
「怒って、ないの……?」
「怒るものか!」
怒られると思っていた。
「もっと早く迎えに行きたかった。だが何度手紙を送っても、お前には届かなくて」
もうお前はうちの娘じゃないって、言われると思っていた。
「帰ってくれて、ありがとう……」
お父様は身体を離して、私の頭を優しく撫でてくれた。
お母様を見る。お母様は私を抱きしめて「ごめんね」と謝罪した。
「あなたが大変な時に力になれなくて、ごめんなさい」
「ぁ……」
「大変だったね。よく頑張ったね」
「……っ」
まぶたが熱くなって、私はお母様の肩に顔をうずめた。
「……うん」
お母様の服を掴む。
三十歳のいい大人なのに、涙が止まらない。
「私……頑張った……頑張ったよ……」
お母様は私の背中をぽんぽんと叩いたあと、言った。
「おかえりなさい、ユフィリア」
「ぁ……」
二人は優しく微笑んでいる。
私はきゅっと唇を結んで、開いて、閉じて。
「ただいま……」
あぁ、ようやく帰って来た。
「ただいま、お父様、お母様」
境界を越えて、実家に足を踏み入れた。
──三か月後。
春を寿ぐ春節祭のパーティー会場にはたくさんの貴族たちが集まっていた。
豪華なシャンデリアに照らされた貴族たちが思い思いに花を咲かせる。
社交界に出るのは久しぶりだけど、あんまり変わってないな……。
「行けるか、ユフィ?」
「はい、お父様」
私は息を整えて順番を待つ。
招待状を確認した扉番の人が、高らかに声をあげた。
「ロンディウム伯爵、ロンディウム伯爵令嬢の入場です!」
一瞬で百以上の視線が私に集まってくる。
社交界場に入場すると、どこからか感嘆の息が聞こえて来た。
「すごい……ユフィリア様……すごく綺麗……」
「ほんと……同じ三十歳とは思えないわ……」
今日、私が着ている白地にアメジスト色の花柄が入ったドレス。
宝石は控えめにして、袖にはフリルをつけてある。
(ちょっと着飾りすぎたかしら……うぅ、いい年して恥ずかしいわ)
でも、周りの反応を見るとそう悪くはなさそう。
お父様が王都で有名なデザイナーに頼んだと聞いた時は不安だったけど。
「ユフィリア様、離婚してからますます磨きがかかってないか?」
「そうね。離婚してからのほうが綺麗かも」
「夫を捨てた女がどんなものかと思ったけど……まぁ夫がアレなら仕方ないわよね」
「ロレンス様、ユフィリア様に逃げられたんだって?」
「仕方ないよ。酒癖も悪いし、キャロライン夫人のこともあったし」
「妻を放置した上に愛人まで作ってたんだろ? 英雄なんて名ばかりのクズじゃん」
いつもなら、離婚した夫人に対して社交界は厳しい。
アカシア教の戒律に反しているし、女のほうに問題があると言われるのが常だからだ。
でも、キャロライン夫人のこともあって、私に寄せられる声の多くは好意的だった。
「一度浮気されると、もう信じられなくなるのよね……ユフィリア様に同情するわ」
「英雄なんて結婚するものじゃないわね。遠くで見るだけで十分」
「まぁ、今のロレンス様に観賞価値はないと思うけどね~顔も怪物みたいらしいし」
「あはは! 言えてる!」
「今じゃ酒浸りで家から出ないらしいわ。領民から苦情がすごくて没落もまじかだって」
(ちょっと同情するけど……根も葉もない噂じゃないし)
あえて否定する必要はないだろう。
私が彼に未練があるなんて思われても困るし、同情もしない。
「そういえば、キャロライン夫人と言えば──」
そんな声が聞こえて、あら?と私は今さら気付いた。
ロレンスが「消えた」と言ってから今まで会ったことはなかったが……。
(あの人は、今どこにいるのかしら?)
◆◇◆◇
同時刻。
王城の城門では一人の門番がうんざりした顔で平民の相手をしていた。
「だから、たとえ貴族の方でも招待状を持たない方は入る事が出来ませんと申し上げています」
「なんですって」
老婆である。
艶を失った髪に痩せ細った骨のような身体。
老いに蝕まれ眼窩がおちくぼんだ、美しさのかけらもない老婆である。
着ているものが上等なドレスでなければ、誰も彼女を貴族と認めないだろう。
「この私を誰だと思ってるの? キャロラインよ。いいから通しなさい!」
老婆はしわがれた声で叫んだ。
「お断りいたします」
兵士は胡散臭そうな目で見つめた。
「そもそも本当にキャロライン夫人ですか?」
「な、なに」
「私の知るキャロライン夫人は凛としていて、肌に張りがあり、何よりもっと若かったように思いますが」
「……っ」
「ずいぶんと、その……老けていらっしゃるのですね?」
ぶふ、と誰かが噴き出した。
くすくす、くすくす、と周りで通行する貴族たちが彼女を笑いものにする。
彼女が本物だと主張すればするほど、みじめに縮こまった。
「わ、私はキャロラインよ……キャロラインなのよ……」
「本当だとしたら捕まえなきゃなりませんね。なにせ裁判所の命令で告訴された重罪人ですから」
槍を持った近衛たちが現れてキャロラインは悲鳴をあげた。
何度も転びながら、ひいひい、ぜぇぜぇ、と息を荒立てて逃げ去って行く。
その後、彼女の姿を見た者はどこにも居なかった。
◆◇◆◇
「ユフィリア、どうしたの?」
「え? あぁ、うん。なんでもないわ」
春節祭のパーティーには親友たちもやってきていた。
私は彼女たちの夫を挨拶をして、他愛もない話をしながら視線で周囲を見る。
その様子をマリーに訝しまれたけど、やっぱり気になった。
(いない……)
どこをお見渡してもルガール様の姿が見えない。
扉番の人の声には耳を傾けていたけど、ルガール様は来ていなかったし。
だとしたら元々会場に入っていて、休憩室にいる可能性も高いけど。
(約束……忘れたのかしら)
今日、このパーティーで迎えに来るという約束。
私はこの日のために魔塔のことや魔法使いのことをいっぱい勉強した。
お化粧は念入りにしたし、ドレスもお小遣いをはたいていい物を買ったつもりだ。
(やっぱりこんなおばさんなんて……)
その時、美しいバイオリンの音色が広間に流れ始めた。
管楽器の演奏をはじめ、フルートの音色が音高く耳朶を震わせる。
「ダンスタイムだわ。ユフィリアは誰と踊る?」
「えっと……」
「ユフィリア、先ほどから君を見ている令息たちがちらちらいるよ」
ビアンカが囁いた。
確かに私のことをちらちら見ている人が居るのは知っているけど……
噂の渦中にある私と話したい人たちだし、私が虐められている時に何もしてくれなかった人たちだ。
「失礼、ユフィリア嬢」
そのうちの一人が私のところにやってきた。
きざな金髪の男は高飛車に私に手を差し出してくる。
「よろしければ、私と一緒にダンスを踊る栄誉を賜れませんか」
「……」
私は周りを見渡す。
誰もが興味津々でこちらを見ていて、とても断れそうな雰囲気ではない。
仕方ない。ここは一曲だけ踊ってやり過ごそう──
「失礼。その女性は僕と先約がありまして」
「え」
横から手が伸びて来た。
いつかのように突然現れた魔法使いは私の手を握って言った。
「お待たせしてすみません、ユフィリア様」
「ルガール様……」
ルガール様の額にはうっすらと汗がにじんでいる。
後ろからやってきたミーシャ様が仕方なさそうに肩を竦めた。
「もう大変でした。兄様ったら、どんな服を着ていくか悩んで小一時間も机の上で」
「ミーシャ。お願いだからやめてくれ」
ルガール様の耳はほんのり赤く染まっている。
(……着ていく服を悩んだ? 私のために? 小一時間も?)
心臓が、うるさい。
身体が火照って内側から燃えてしまいそう。
ルガール様の可愛いお顔に、胸がきゅんとときめいてしまった。
「る、ルガール公爵様……失礼しましたっ」
相手の方はルガール様だと分かるとすぐに逃げて行ってしまった。
結局はゴシップの種とダンスを踊りたかった野次馬だったんだろう。
「お久しぶりですね、ユフィリア様」
「はい」
「お元気そうで何よりです」
「ルガール様も」
いまはもう挨拶すらもどかしかった。
ダンスホールに響くオーケストラの音色さえも聞こえない。
私と彼がここにいる。それだけがこの世界の真実だった。
「本当に、迎えに来てくれたんですね」
「もちろんです。そう言ったでしょう」
「そうですけど」
私もこんな歳だし……といじけたように呟くと、彼は微笑んだ。
「ユフィリア様のように美しい女性は他にいませんよ。少なくとも俺にとっては一番です」
「……っ、そ、そうですか。お世辞でも嬉しいです」
「お世辞ではありません」
遅れてやってきた魔法使い様は私の前で膝をつく。
私の手の甲に口付けて、彼は真剣なまなざしで言った。
「ユフィリア様。どうか僕と、お付き合いして頂けませんか」
好きです、と小声でささやかれた私は口を両手で覆った。
付き合ってほしい、その言葉の意味は「ダンスを」というわけじゃないだろう。
アメジストの瞳が甘い熱をはらんでいるのをみた私は顔が沸騰した。
「……はい」
差し出された手を取る。
手袋越しなのに、鼓動の音が伝わってくるほどに熱い。
「こんな私ですが……」
「俺は、こんなあなたが良いんです」
ルガール様は少年のように微笑んだ。
ダンスをする貴婦人たちの中に飛び込む。
ミーシャ様が手を振り上げ、光の花火をダンスホールに打ち上げた。
舞踏会は色めき立ち、管楽器が奏でられる。
きらきらと光が舞う幻想的な風景の中、私たちはダンスを始めた。
バイオリンの音色に合わせてステップを踏み、くるりとターン。
強引に抱き寄せたルガール様が、私の耳元でささやいた。
「もう、離しませんから」
「……はい」
十二歳も年下の魔法使いに、私の心はすっかり奪われてしまった。
彼の目を見るだけで顔が熱くなり、年甲斐もなく胸がときめいてしまう。
半年前は死にたいとすら思っていた私だけど……
「よろしくお願いしますね、ルガール様」
これからの人生が、楽しみになった。
完
--------------------------------------------------------------
作者あとがき
ご愛読ありがとうございました!
お楽しみいただけましたでしょうか。
連載中もたくさんの感想、とても励みになりました。
最後まで見て感想などありましたら、ぜひ頂ければ嬉しいです。
ここからは宣伝です。
講談社Palcyやpixvコミック様で「成金令嬢の幸せな結婚~金の亡者と罵られた令嬢は父親に売られて辺境の豚公爵と幸せになる~」のコミカライズが連載中です!
無料で読めますので興味のある方はぜひお楽しみくださいませ。
次はファンタジーものを書こうかなぁと思ってます。
季節の変わり目ですが、皆さまも体調にはお気を付けください。
それでは、またどこかでお会い出来れば幸いです。
10/21山夜みい
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海から吹いてくる潮風の匂いは懐かしく、丘の上から青い屋根の街並みは美しい。
港町は漁師の元気な声や貿易商人たちの活気ある呼び込みな声で満ちている。
木陰では若い衆が悪だくみをして、主婦たちが夫の悪口に花を咲かせる。
元気に駆け回る子供たちがきゃっきゃと騒いで剣術ごっこにいそしむ。
十年ぶりとなる故郷の街を見て、私はまだ実感が沸かなかった。
(変わった……のかしら。よく分からないわ)
故郷にいる時は遊び惚けていたものだけど、大人になってから来るのは初めて。
色んなものの見方が変わってしまった今、かつてと同じ景色を見ているか分からない。
「あ、お嬢様。見えてきましたよ!」
「……うん」
私はごくりと唾を飲んだ。
馬車の窓から顔を出し、髪を抑えて前を見る。
十年ぶりとなる我が家は何も変わっていない。
侯爵家ほど大きくはないけど二階建ての大きな屋敷だ。
二つある西棟と東棟は渡り廊下で繋がっていて、家で暴れた私とお兄様が喧嘩をしたとき、二人揃ってあそこに立たされたっけ。冬の潮風が堪えて、二人で身を寄せ合ったことを覚えている。
「……帰ってきちゃった」
どくん、どくん、と心臓の音がうるさい。
ただ家族に会うだけなのに緊張して吐きそう。
いっそのこと永遠に着かなければいいのになんて思ったけど、私の願いはむなしく、馬車は一分と絶たずに伯爵家の玄関前に立ってしまう。
「お嬢様、おかえりなさいませ。お元気そうで何よりです」
「……ただいま。あなたも元気そうね。ジェファ」
門衛の人に挨拶をした私は玄関の前で立ちすくんだ。
屋敷を見上げる。既に門は開いていて、あとは私が踏み出せばいいだけだ。
なのに足は鉛がついたみたいに重くて、一歩も動くことが出来なかった。
喧嘩別れしたことを思い出す。
実家の借金を無くすために私がやったことを、お父様はまだ怒っているだろうか。
あんなにも反対したのにロレンスと結婚したことを、お母様は悲しんでいるだろうか。
「やっぱり……」
今さら、どんな顔をして会えばいいのだろう。
「やっぱり、やめておこうかな……」
「──ユフィリア?」
心臓が跳ねた。
思わず顔をあげれば、伯爵家の玄関から見覚えのある女性が現れた。
色褪せたプラチナブロンドの髪は白に近く、目じりには皺が寄っている。
私と同じ空色の目がまたたくまに潤んで、くしゃりと歪められ、彼女は口元を両手で覆った。
「お母様……」
「ユフィリア、ユフィリアなの?」
こくり。と頷く。
お母様が後ろを振り向くと、筋骨隆々の偉丈夫が現れた。
赤茶色の短髪は刈りあげられ、口元が震えた。
「……ユフィリア」
「お父様……」
二人とも、少し老けたかしら。
十年も会っていなかったのだ。無理はないけど。
私は近付いて来た二人に震える唇を開いて言った。
「あの、手紙で伝えたけど。実は離婚することになって……」
恥ずかしい。
私、いまどんな顔をしてるんだろう。
「もちろん、二人が嫌なら宿屋に泊まるわ……でも……」
突然、お父様が抱きしめて来た。
「え」
「よく帰って来た!!」
耳元で大きな声で叫んで、お父様は手に力を入れる。
(泣いてる、の?)
「すまない……俺たちが不甲斐ないばかりに、お前には苦労を掛けた……本当に……すまない……!」
私は目を瞬いた。
「怒って、ないの……?」
「怒るものか!」
怒られると思っていた。
「もっと早く迎えに行きたかった。だが何度手紙を送っても、お前には届かなくて」
もうお前はうちの娘じゃないって、言われると思っていた。
「帰ってくれて、ありがとう……」
お父様は身体を離して、私の頭を優しく撫でてくれた。
お母様を見る。お母様は私を抱きしめて「ごめんね」と謝罪した。
「あなたが大変な時に力になれなくて、ごめんなさい」
「ぁ……」
「大変だったね。よく頑張ったね」
「……っ」
まぶたが熱くなって、私はお母様の肩に顔をうずめた。
「……うん」
お母様の服を掴む。
三十歳のいい大人なのに、涙が止まらない。
「私……頑張った……頑張ったよ……」
お母様は私の背中をぽんぽんと叩いたあと、言った。
「おかえりなさい、ユフィリア」
「ぁ……」
二人は優しく微笑んでいる。
私はきゅっと唇を結んで、開いて、閉じて。
「ただいま……」
あぁ、ようやく帰って来た。
「ただいま、お父様、お母様」
境界を越えて、実家に足を踏み入れた。
──三か月後。
春を寿ぐ春節祭のパーティー会場にはたくさんの貴族たちが集まっていた。
豪華なシャンデリアに照らされた貴族たちが思い思いに花を咲かせる。
社交界に出るのは久しぶりだけど、あんまり変わってないな……。
「行けるか、ユフィ?」
「はい、お父様」
私は息を整えて順番を待つ。
招待状を確認した扉番の人が、高らかに声をあげた。
「ロンディウム伯爵、ロンディウム伯爵令嬢の入場です!」
一瞬で百以上の視線が私に集まってくる。
社交界場に入場すると、どこからか感嘆の息が聞こえて来た。
「すごい……ユフィリア様……すごく綺麗……」
「ほんと……同じ三十歳とは思えないわ……」
今日、私が着ている白地にアメジスト色の花柄が入ったドレス。
宝石は控えめにして、袖にはフリルをつけてある。
(ちょっと着飾りすぎたかしら……うぅ、いい年して恥ずかしいわ)
でも、周りの反応を見るとそう悪くはなさそう。
お父様が王都で有名なデザイナーに頼んだと聞いた時は不安だったけど。
「ユフィリア様、離婚してからますます磨きがかかってないか?」
「そうね。離婚してからのほうが綺麗かも」
「夫を捨てた女がどんなものかと思ったけど……まぁ夫がアレなら仕方ないわよね」
「ロレンス様、ユフィリア様に逃げられたんだって?」
「仕方ないよ。酒癖も悪いし、キャロライン夫人のこともあったし」
「妻を放置した上に愛人まで作ってたんだろ? 英雄なんて名ばかりのクズじゃん」
いつもなら、離婚した夫人に対して社交界は厳しい。
アカシア教の戒律に反しているし、女のほうに問題があると言われるのが常だからだ。
でも、キャロライン夫人のこともあって、私に寄せられる声の多くは好意的だった。
「一度浮気されると、もう信じられなくなるのよね……ユフィリア様に同情するわ」
「英雄なんて結婚するものじゃないわね。遠くで見るだけで十分」
「まぁ、今のロレンス様に観賞価値はないと思うけどね~顔も怪物みたいらしいし」
「あはは! 言えてる!」
「今じゃ酒浸りで家から出ないらしいわ。領民から苦情がすごくて没落もまじかだって」
(ちょっと同情するけど……根も葉もない噂じゃないし)
あえて否定する必要はないだろう。
私が彼に未練があるなんて思われても困るし、同情もしない。
「そういえば、キャロライン夫人と言えば──」
そんな声が聞こえて、あら?と私は今さら気付いた。
ロレンスが「消えた」と言ってから今まで会ったことはなかったが……。
(あの人は、今どこにいるのかしら?)
◆◇◆◇
同時刻。
王城の城門では一人の門番がうんざりした顔で平民の相手をしていた。
「だから、たとえ貴族の方でも招待状を持たない方は入る事が出来ませんと申し上げています」
「なんですって」
老婆である。
艶を失った髪に痩せ細った骨のような身体。
老いに蝕まれ眼窩がおちくぼんだ、美しさのかけらもない老婆である。
着ているものが上等なドレスでなければ、誰も彼女を貴族と認めないだろう。
「この私を誰だと思ってるの? キャロラインよ。いいから通しなさい!」
老婆はしわがれた声で叫んだ。
「お断りいたします」
兵士は胡散臭そうな目で見つめた。
「そもそも本当にキャロライン夫人ですか?」
「な、なに」
「私の知るキャロライン夫人は凛としていて、肌に張りがあり、何よりもっと若かったように思いますが」
「……っ」
「ずいぶんと、その……老けていらっしゃるのですね?」
ぶふ、と誰かが噴き出した。
くすくす、くすくす、と周りで通行する貴族たちが彼女を笑いものにする。
彼女が本物だと主張すればするほど、みじめに縮こまった。
「わ、私はキャロラインよ……キャロラインなのよ……」
「本当だとしたら捕まえなきゃなりませんね。なにせ裁判所の命令で告訴された重罪人ですから」
槍を持った近衛たちが現れてキャロラインは悲鳴をあげた。
何度も転びながら、ひいひい、ぜぇぜぇ、と息を荒立てて逃げ去って行く。
その後、彼女の姿を見た者はどこにも居なかった。
◆◇◆◇
「ユフィリア、どうしたの?」
「え? あぁ、うん。なんでもないわ」
春節祭のパーティーには親友たちもやってきていた。
私は彼女たちの夫を挨拶をして、他愛もない話をしながら視線で周囲を見る。
その様子をマリーに訝しまれたけど、やっぱり気になった。
(いない……)
どこをお見渡してもルガール様の姿が見えない。
扉番の人の声には耳を傾けていたけど、ルガール様は来ていなかったし。
だとしたら元々会場に入っていて、休憩室にいる可能性も高いけど。
(約束……忘れたのかしら)
今日、このパーティーで迎えに来るという約束。
私はこの日のために魔塔のことや魔法使いのことをいっぱい勉強した。
お化粧は念入りにしたし、ドレスもお小遣いをはたいていい物を買ったつもりだ。
(やっぱりこんなおばさんなんて……)
その時、美しいバイオリンの音色が広間に流れ始めた。
管楽器の演奏をはじめ、フルートの音色が音高く耳朶を震わせる。
「ダンスタイムだわ。ユフィリアは誰と踊る?」
「えっと……」
「ユフィリア、先ほどから君を見ている令息たちがちらちらいるよ」
ビアンカが囁いた。
確かに私のことをちらちら見ている人が居るのは知っているけど……
噂の渦中にある私と話したい人たちだし、私が虐められている時に何もしてくれなかった人たちだ。
「失礼、ユフィリア嬢」
そのうちの一人が私のところにやってきた。
きざな金髪の男は高飛車に私に手を差し出してくる。
「よろしければ、私と一緒にダンスを踊る栄誉を賜れませんか」
「……」
私は周りを見渡す。
誰もが興味津々でこちらを見ていて、とても断れそうな雰囲気ではない。
仕方ない。ここは一曲だけ踊ってやり過ごそう──
「失礼。その女性は僕と先約がありまして」
「え」
横から手が伸びて来た。
いつかのように突然現れた魔法使いは私の手を握って言った。
「お待たせしてすみません、ユフィリア様」
「ルガール様……」
ルガール様の額にはうっすらと汗がにじんでいる。
後ろからやってきたミーシャ様が仕方なさそうに肩を竦めた。
「もう大変でした。兄様ったら、どんな服を着ていくか悩んで小一時間も机の上で」
「ミーシャ。お願いだからやめてくれ」
ルガール様の耳はほんのり赤く染まっている。
(……着ていく服を悩んだ? 私のために? 小一時間も?)
心臓が、うるさい。
身体が火照って内側から燃えてしまいそう。
ルガール様の可愛いお顔に、胸がきゅんとときめいてしまった。
「る、ルガール公爵様……失礼しましたっ」
相手の方はルガール様だと分かるとすぐに逃げて行ってしまった。
結局はゴシップの種とダンスを踊りたかった野次馬だったんだろう。
「お久しぶりですね、ユフィリア様」
「はい」
「お元気そうで何よりです」
「ルガール様も」
いまはもう挨拶すらもどかしかった。
ダンスホールに響くオーケストラの音色さえも聞こえない。
私と彼がここにいる。それだけがこの世界の真実だった。
「本当に、迎えに来てくれたんですね」
「もちろんです。そう言ったでしょう」
「そうですけど」
私もこんな歳だし……といじけたように呟くと、彼は微笑んだ。
「ユフィリア様のように美しい女性は他にいませんよ。少なくとも俺にとっては一番です」
「……っ、そ、そうですか。お世辞でも嬉しいです」
「お世辞ではありません」
遅れてやってきた魔法使い様は私の前で膝をつく。
私の手の甲に口付けて、彼は真剣なまなざしで言った。
「ユフィリア様。どうか僕と、お付き合いして頂けませんか」
好きです、と小声でささやかれた私は口を両手で覆った。
付き合ってほしい、その言葉の意味は「ダンスを」というわけじゃないだろう。
アメジストの瞳が甘い熱をはらんでいるのをみた私は顔が沸騰した。
「……はい」
差し出された手を取る。
手袋越しなのに、鼓動の音が伝わってくるほどに熱い。
「こんな私ですが……」
「俺は、こんなあなたが良いんです」
ルガール様は少年のように微笑んだ。
ダンスをする貴婦人たちの中に飛び込む。
ミーシャ様が手を振り上げ、光の花火をダンスホールに打ち上げた。
舞踏会は色めき立ち、管楽器が奏でられる。
きらきらと光が舞う幻想的な風景の中、私たちはダンスを始めた。
バイオリンの音色に合わせてステップを踏み、くるりとターン。
強引に抱き寄せたルガール様が、私の耳元でささやいた。
「もう、離しませんから」
「……はい」
十二歳も年下の魔法使いに、私の心はすっかり奪われてしまった。
彼の目を見るだけで顔が熱くなり、年甲斐もなく胸がときめいてしまう。
半年前は死にたいとすら思っていた私だけど……
「よろしくお願いしますね、ルガール様」
これからの人生が、楽しみになった。
完
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作者あとがき
ご愛読ありがとうございました!
お楽しみいただけましたでしょうか。
連載中もたくさんの感想、とても励みになりました。
最後まで見て感想などありましたら、ぜひ頂ければ嬉しいです。
ここからは宣伝です。
講談社Palcyやpixvコミック様で「成金令嬢の幸せな結婚~金の亡者と罵られた令嬢は父親に売られて辺境の豚公爵と幸せになる~」のコミカライズが連載中です!
無料で読めますので興味のある方はぜひお楽しみくださいませ。
次はファンタジーものを書こうかなぁと思ってます。
季節の変わり目ですが、皆さまも体調にはお気を付けください。
それでは、またどこかでお会い出来れば幸いです。
10/21山夜みい
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(2023.2.3)
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完結おめでとうございます!
とっても面白かったです。
楽しく拝読させていただきました。
ありがとうございました(^^)v
みこと
ご愛読ありがとうございました!!
感想嬉しいです(*´꒳`*)
完結おめでとうございます。
ルガール様なかなか来なくてヤキモキしましたよ。
今後の二人も気になります〜!後でこっそり番外編お待ちしてます(*^^*)甘々生活みたい〜〜!!
ご愛読ありがとうございました!
番外編がんばります〜〜!( ´ ▽ ` )
いつもご指摘ありがとうございます!
ほんと助かってるので、また気軽に言ってくださいね~~!笑