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本編
ダンジョンって不思議なんだよ!
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初ダンジョン攻略中の三巳とレオがいます。
ダンジョンと化した洞窟はとっても入り組んでいて迷路の様で楽しいです。
『んあっ!』
しかも何故かトラップまで有りました。
三巳は踏んでしまったスイッチからソーっと脚を退かします。
『いや踏んだ時点で起動してるだろ』
今更慎重になっても遅いってものです。
レオは警戒を高めて周囲を確認します。すると奥の方からゴロゴロと音が聞こえて来ました。
『丸岩系か』
全く動じず奥を注視していれば、真っ直ぐ伸びたちょっと坂道になっている奥から何かが見えてきました。丸い大きな岩が壁や天井を擦りながら向かって来ています。
『玉ー♪』
そしてボール大好き三巳が反応して突撃しに行きました。ワフワフと鼻息荒く尻尾を振っています。そして玉が転がる速度より速かった三巳は、
ドッカーン!
という轟音を立てて真ん中を突き破ってしまいました。
『いや何でそうなるんだ』
レオが頭を抱えたくなったのも仕方ありません。
けれどもそれ以上に三巳は突然無くなった玉に、悲しそうな顔で耳と尻尾をシュンと垂れ下げています。勿論自業自得です。
暫くフンフン壊れた丸岩を嗅いでいましたが、何も変化はありません。仕方なく三巳はトボトボとレオの元に帰って来ました。
『玉無くなっちゃったんだよ』
『そりゃ、あの勢いで突っ込めばな』
『うぬ。今度は止めてみせるんだよ』
意気込む三巳でしたが丸岩の罠はそう何度もあるものではありません。気合いも虚しく少し変わったエリアにやって来ました。
『川だ』
洞窟の側面に沿って小川が流れています。
顔を入れて覗いて見ると太陽も無いのに水草が生えています。そしてあるのは水草だけではありませんでした。
『ぶばっ!?ぶばび!』
『いや何言ってるかまるでわからん』
レオの冷静なツッコミに三巳は顔を上げると興奮した顔で肉球で川を指します。
『鰻がいたんだよ!』
『鰻?あの不味いやつか』
どうやらレオは食べた事があるらしく、珍しく顔を顰めました。きっととても不味かったのでしょう。
けれども前世日本人の三巳はそれに大いに首を傾げます。
『鰻重はとってもとっても美味しいんだよ』
ジュルリと涎を垂らして言う三巳の言葉は説得力があります。レオは美味しい物を美味しく食べる三巳を見てきているからです。
『へえ。そりゃ興味あるな』
不味い物がどうやったら美味しくなるのか想像も付きません。レオは川を覗き込んで鰻の影を追います。
影は三巳達の気配に気付いたのか、逃げる様に深い場所へと泳いで行ってしまいました。
『追うか』
『うぬ!』
という訳で急遽鰻狩りに出発です。
三巳の頭ではもう鰻が鰻重にしか見えていません。
追い掛けて追い掛けて。気付いたら明るい場所に来ていました。
『にゅあ。天井空いてる』
そうです。上はポッカリと空いていて、太陽が中をサンサンと照らしていたのです。
『あれ?雨いつの間に上がったんだ?』
不思議がる三巳にレオは軽く頭を振ります。
『いや、本当の空じゃねえな。ダンジョンてのは時折りそんな現象も見せるらしい』
『ほえー』
結局不思議現象だという事でマジマジと空を見上げます。けれども本物の空にしか見えません。だって洞窟の外では鳥も空を飛んでいるのです。
三巳はあの鳥も幻かと勘繰って良く見ますが、やっぱり本物にしか見えません。
『どう見ても本物のトンビなんだよ』
『トンビ?へえ、俺にもまだ知らねえ鳥がいたのか』
『うぬぅ?見た事ない?ジャングルにはいないのかな?』
不思議がる三巳ですが実は不思議でも何でもありません。モンスター蔓延る世界で普通のトンビが悠々と空を駆けられる訳がないのです。
つまりそれこそが本物ではない確証になるのですが、
『三巳の山でもそいえば見た事ないかも?』
三巳は全く気付きません。
レオもトンビが何かわからないので、
『そうか』
とだけ言ってトンビを見ます。しかし良く見ても凡そモンスターに対抗出来る要素が発見出来ず、謎生物として認定しました。
『うーにゅ。しかし広いんだよ。そんなにおっきな洞窟じゃなかったのになー。ダンジョンって面白いなー』
特にトンビには拘りがない三巳は、早々に空を見飽きて周りを探検しだします。
空間は円形に広がり、日が当たる場所では草花が生えています。辿って来た川は中心部に向かい、真ん中辺りで小さな池を形成していました。他には川が無いので池が行き止まりの様です。
『鰻って川のイメージ強いけど、池にもいるんかな?』
レオは未だにトンビを見ていたので1人で池を観察です。
池は透明度が高く、池の底が良く見えました。
『はわー凄いんだよ。水草もそこに隠れてる魚も丸見えなんだよ』
これでは狙われ放題じゃないかと、鰻を獲りに来た筈の三巳が魚達を心配します。
三巳の言葉にレオも気付いて池の底を見に来ました。
『へえ、こりゃ凄ぇ。ジャングルじゃあこーは行かねえな』
水に鼻を近付けてクンクン嗅いでみます。
『ま、毒は無いわな』
水草も魚も元気に泳いでいます。一応安全を確認しただけなのです。
レオは一口飲んでみて味も問題ない事を確かめてから喉を潤しました。
三巳もそれを見て喉を潤します。
『うぬ。普通の水』
どうやら回復の泉では無い様で、ちょっぴしガッカリです。
『回復の泉無くなってないといーな』
とっても神秘的でお気に入りの観光スポットなのです。無くなったら悲しいですし、リリもきっとガッカリするでしょう。
『ん?回復の泉もあんのか』
『ダンジョンになる前はあったんだよ』
『なら有るさ。てか其処が原点の可能性もあるわな』
レオの言葉に三巳は成る程と合点がいきます。
確かに回復の泉は魔力が満ちていましたからね。
『見つかるといーんだよ』
『そりゃ広さによって難易度高えな』
『?洞窟はそんなに広くなかったんだよ。分かれ道はあったけど』
『ダンジョンは元の広さに起因しねえんだと。だからまぁ、踏破してみねえと広さはわかんねえんだ』
『ほぇー。そなのかー』
しかしそうなると心配になってくる事があります。
『夕ご飯までに帰れるかな?』
きっと今日もクロが美味しいご飯を作ってくれます。早く帰ってレオを紹介しないとレオの分がありません。
心配が心配を呼んで喉をクルクル鳴らしてしまいます。
『あー……。ま、今日は何の準備もしてねえし、探検は明日以降でも良いんじゃねえのか』
『ん!それもそーなんだよ!』
という訳でこの日は鰻だけ獲ってお家に帰るのでした。
なお鰻はクロが美味しく鰻重にしてくれました。
ダンジョンと化した洞窟はとっても入り組んでいて迷路の様で楽しいです。
『んあっ!』
しかも何故かトラップまで有りました。
三巳は踏んでしまったスイッチからソーっと脚を退かします。
『いや踏んだ時点で起動してるだろ』
今更慎重になっても遅いってものです。
レオは警戒を高めて周囲を確認します。すると奥の方からゴロゴロと音が聞こえて来ました。
『丸岩系か』
全く動じず奥を注視していれば、真っ直ぐ伸びたちょっと坂道になっている奥から何かが見えてきました。丸い大きな岩が壁や天井を擦りながら向かって来ています。
『玉ー♪』
そしてボール大好き三巳が反応して突撃しに行きました。ワフワフと鼻息荒く尻尾を振っています。そして玉が転がる速度より速かった三巳は、
ドッカーン!
という轟音を立てて真ん中を突き破ってしまいました。
『いや何でそうなるんだ』
レオが頭を抱えたくなったのも仕方ありません。
けれどもそれ以上に三巳は突然無くなった玉に、悲しそうな顔で耳と尻尾をシュンと垂れ下げています。勿論自業自得です。
暫くフンフン壊れた丸岩を嗅いでいましたが、何も変化はありません。仕方なく三巳はトボトボとレオの元に帰って来ました。
『玉無くなっちゃったんだよ』
『そりゃ、あの勢いで突っ込めばな』
『うぬ。今度は止めてみせるんだよ』
意気込む三巳でしたが丸岩の罠はそう何度もあるものではありません。気合いも虚しく少し変わったエリアにやって来ました。
『川だ』
洞窟の側面に沿って小川が流れています。
顔を入れて覗いて見ると太陽も無いのに水草が生えています。そしてあるのは水草だけではありませんでした。
『ぶばっ!?ぶばび!』
『いや何言ってるかまるでわからん』
レオの冷静なツッコミに三巳は顔を上げると興奮した顔で肉球で川を指します。
『鰻がいたんだよ!』
『鰻?あの不味いやつか』
どうやらレオは食べた事があるらしく、珍しく顔を顰めました。きっととても不味かったのでしょう。
けれども前世日本人の三巳はそれに大いに首を傾げます。
『鰻重はとってもとっても美味しいんだよ』
ジュルリと涎を垂らして言う三巳の言葉は説得力があります。レオは美味しい物を美味しく食べる三巳を見てきているからです。
『へえ。そりゃ興味あるな』
不味い物がどうやったら美味しくなるのか想像も付きません。レオは川を覗き込んで鰻の影を追います。
影は三巳達の気配に気付いたのか、逃げる様に深い場所へと泳いで行ってしまいました。
『追うか』
『うぬ!』
という訳で急遽鰻狩りに出発です。
三巳の頭ではもう鰻が鰻重にしか見えていません。
追い掛けて追い掛けて。気付いたら明るい場所に来ていました。
『にゅあ。天井空いてる』
そうです。上はポッカリと空いていて、太陽が中をサンサンと照らしていたのです。
『あれ?雨いつの間に上がったんだ?』
不思議がる三巳にレオは軽く頭を振ります。
『いや、本当の空じゃねえな。ダンジョンてのは時折りそんな現象も見せるらしい』
『ほえー』
結局不思議現象だという事でマジマジと空を見上げます。けれども本物の空にしか見えません。だって洞窟の外では鳥も空を飛んでいるのです。
三巳はあの鳥も幻かと勘繰って良く見ますが、やっぱり本物にしか見えません。
『どう見ても本物のトンビなんだよ』
『トンビ?へえ、俺にもまだ知らねえ鳥がいたのか』
『うぬぅ?見た事ない?ジャングルにはいないのかな?』
不思議がる三巳ですが実は不思議でも何でもありません。モンスター蔓延る世界で普通のトンビが悠々と空を駆けられる訳がないのです。
つまりそれこそが本物ではない確証になるのですが、
『三巳の山でもそいえば見た事ないかも?』
三巳は全く気付きません。
レオもトンビが何かわからないので、
『そうか』
とだけ言ってトンビを見ます。しかし良く見ても凡そモンスターに対抗出来る要素が発見出来ず、謎生物として認定しました。
『うーにゅ。しかし広いんだよ。そんなにおっきな洞窟じゃなかったのになー。ダンジョンって面白いなー』
特にトンビには拘りがない三巳は、早々に空を見飽きて周りを探検しだします。
空間は円形に広がり、日が当たる場所では草花が生えています。辿って来た川は中心部に向かい、真ん中辺りで小さな池を形成していました。他には川が無いので池が行き止まりの様です。
『鰻って川のイメージ強いけど、池にもいるんかな?』
レオは未だにトンビを見ていたので1人で池を観察です。
池は透明度が高く、池の底が良く見えました。
『はわー凄いんだよ。水草もそこに隠れてる魚も丸見えなんだよ』
これでは狙われ放題じゃないかと、鰻を獲りに来た筈の三巳が魚達を心配します。
三巳の言葉にレオも気付いて池の底を見に来ました。
『へえ、こりゃ凄ぇ。ジャングルじゃあこーは行かねえな』
水に鼻を近付けてクンクン嗅いでみます。
『ま、毒は無いわな』
水草も魚も元気に泳いでいます。一応安全を確認しただけなのです。
レオは一口飲んでみて味も問題ない事を確かめてから喉を潤しました。
三巳もそれを見て喉を潤します。
『うぬ。普通の水』
どうやら回復の泉では無い様で、ちょっぴしガッカリです。
『回復の泉無くなってないといーな』
とっても神秘的でお気に入りの観光スポットなのです。無くなったら悲しいですし、リリもきっとガッカリするでしょう。
『ん?回復の泉もあんのか』
『ダンジョンになる前はあったんだよ』
『なら有るさ。てか其処が原点の可能性もあるわな』
レオの言葉に三巳は成る程と合点がいきます。
確かに回復の泉は魔力が満ちていましたからね。
『見つかるといーんだよ』
『そりゃ広さによって難易度高えな』
『?洞窟はそんなに広くなかったんだよ。分かれ道はあったけど』
『ダンジョンは元の広さに起因しねえんだと。だからまぁ、踏破してみねえと広さはわかんねえんだ』
『ほぇー。そなのかー』
しかしそうなると心配になってくる事があります。
『夕ご飯までに帰れるかな?』
きっと今日もクロが美味しいご飯を作ってくれます。早く帰ってレオを紹介しないとレオの分がありません。
心配が心配を呼んで喉をクルクル鳴らしてしまいます。
『あー……。ま、今日は何の準備もしてねえし、探検は明日以降でも良いんじゃねえのか』
『ん!それもそーなんだよ!』
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