311 / 345
本編
ロダのお仕事
しおりを挟む
ロダは今山の巡回をしています。
三巳の巡回とは違い、モンスター達の様子を見る為ではありません。山では理由なくモンスターが他者を襲う事が無いからです。
とはいえ肉食のモンスターにとって動物は勿論。人族や獣人族、妖精族もご飯になるから身を守る術は必須です。
「最近、僕モンスターに殺気向けられた事無いなぁ」
ボヤくロダはもう成人しているので近場はよく1人で巡回しています。つまり近場とはいえお腹空かせた子にとっては格好の獲物なのです。
「もう少し奥へ行ってみようか。でもこれ以上は皆からの支援が遅れるし、行方不明になったら捜索大変になるからな」
良い子の、いえ今はもう良い大人のロダは決まりを守ります。これがロウ村長なら嬉々として奥へ奥へと進んでいた事でしょう。
「まあ元々の仕事は植生や地盤の調査だし、安全な分には良いか」
言いながらロダはサクサクと巡回を続けていきます。
地脈や水脈を辿り、脆くなっている場所が無いか確認し、時折怪我をしている動物やモンスターを見ると手当てしています。
「今日は多いな。最近は台風も無かった筈だけど、どうしたんだろ」
お腹を怪我して痛そうに震える猿に、ロダは近くに生えている薬草を取りながら近付きます。
警戒心の強い猿は震える体で「きーきー」と威嚇します。
「大丈夫。これ位なら治るよ」
歯を剥き出しにする猿の背をそっとさすり、お腹の汚れを水魔法で洗います。そして擦り潰した薬草をぬりました。
「き!?ぎぃー!」
「染みるけど今は我慢してね」
暴れる猿の背を摩りながら薬草をヌリヌリと容赦なく塗っていく様は、一見すると鬼の様です。
塗り終わったら痛みと暴れで疲れた猿がグッタリしていました。
そして大人しくなった猿の横で今度は水球を作り出します。途中で消えない様に周囲から集めた水です。それに余った薬草を入れました。
薬草は水球にプカプカと浮かぶと、ジワリ、ジワリと成分を溶け出し始めます。少しすると水球は淡い緑色になりました。
ロダは薬草を取り出すとその水球を弱る猿の口に少しずつ流し込みます。
「きっ!?き、き?キ……」
初めは拒んだ猿でしたが、舌に触れた水が美味しいと感じて自ら飲み干しました。
「ミント水をヒントに作った薬草水だったけど、ヴィーナの民って早々怪我しないから君達ばかりに使ってるな」
満足そうにお腹を見せる猿に、ロダは苦笑して猿を抱き上げます。そして近くの木のウロにそっと寝かしつけました。
「もう少し元気になるまで安静にね」
もう一度背中を摩ってその場を後にするロダです。
猿はその背に親愛の情を乗せて見送り、「キィ」とお礼を述べるのでした。
さて、そんな感じで巡回を続けるロダでしたが、ふと好戦的な視線を感じて立ち止まりました。
視線は値踏みをする様にロダを見て来ます。
「さっきの傷は爪痕だったな」
殆どが打撲でしたが、中型以上の生き物には爪や牙の傷がありました。
「……三巳の結界内で、珍しいな」
ロダは一度村に戻るべく踵を返すと、視線は強くなって粘着質に追い掛けて来ます。
他の国なら街に入らない様にする所ですが、ここは三巳の山なので心配いりません。
ロダは視線にこそ晒されていましたが無事に村へと帰って来ました。そしてその足でロウ村長の元へ行きます。
「うん?早いなロダ」
普段と変わらない調子のロダでしたが、ロウ村長は何かを感じ取り燻しがります。
片眉を上げるロウ村長に、ロダは頷くとチラリと視線の来る方に視線のみを返します。
ロウ村長は正確に読み取り頷きました。
「わかった。勝ってこい」
「うん。行ってくる」
ロダは頷き返して視線の来る方へ踵を返して村から出て行きます。
残ったロウ村長はニヤリと笑うと、村の中でも一番山を見渡せる高い場所へと向かいました。高い場所からはロダの様子が木々の隙間から見えます。
勿論、ロダの向かう先にいる者もです。
「はてさて、どうなる事かな」
面白そうに言うロウ村長には心配のしの字もありません。しかし静かに魔力は練り始めるのでした。
ロダは焦るでも無くただ淡々と視線を追って進みます。
視線はブレる事も移動する事も無く静かに、しかし熱くロダを持ち受けています。
何者にも邪魔をされない安全な山では、直ぐに視線の主へと辿り着きました。
「何か用かな」
その主に言葉を掛けるロダですが、返答が返って来るとは思っていません。
何故ならその相手はモンスターだったからです。
交わせる言葉は無くとも相手が戦いを挑んで来ているのは伝わります。
「僕、無駄な争いはしたく無いんだけど」
「グルルゥ!」
静かに去る様促しますが、モンスターはなおも好戦的に挑んで来ます。
「君が山の子達を傷付けたの?弱い者虐めはここじゃ出来ないから、今みたいに戦いを挑んで、あの子達は応じたのかな」
問い掛けはモンスターがニヤリと笑った事で答えとなりました。
「そっか。まあロウ村長も君みたいな人だからね。モンスターにもそういう子がいるとは初めて知ったけど」
言ってロダは構えました。
モンスターは嬉しそうに臨戦体勢になります。
「物事の限度っていうの、一度覚えようか」
ロダはそう言うとアッと言う間に距離を詰めて掌底を叩き出します。
モンスターは思ったより速いと感じたのか、一瞬驚き体をビクッとさせましたが、直ぐにその場から離れました。
しかしロダはそれを予見していた様に蹴りを繰り出します。
それも何とか避けたモンスターでしたが、避けた先の足場に運悪く石が飛び出ていて体勢を崩してしまいます。
すかさずロダが上から抑え込み、魔法で上体を固定します。そして逃げようと脚で地面を掻いて暴れるモンスターを見下ろし、スッと目を細めました。
「いくら同意の上でも、動けなくなる怪我を負わせるのは駄目だよ。わかるかな?わからないならわかるまで痛みを知ろうか」
実は静かに怒っていたロダです。
バシン!と大きな音が森に響きました。
「ぴぎゃん!?」
音と同時にモンスターは涙目で叫びます。
「痛い?でも君に傷付けられた子達はもっと痛かったし、動けない体で怖い思いもしたんだよ」
ロダが言いながらまたもやバシン!と音を響かせます。
「ぴぎゃん!」
音と同時に鳴くモンスターは、動く後ろ脚を痛みでピン!と伸ばしています。その上のお尻は少し赤くなり始めています。
お仕置きのお尻叩きです。
「今度からルールを決めて、ちゃんとお互いが元気に終わる様に出来るよね?」
フルフルと震えるモンスターがチラリとロダを見上げると、
「ぴっ!?」
そこには般若がいました。
正確には顔は穏やかに微笑んでいます。しかしそこから醸し出されるオーラがお説教モードのオカンな般若だったのです。
モンスターはそこに実家の両親を見て青くなりました。慌ててコクコク頷くと、ロダは怒りを収めて解放してくれます。
「わかれば良いよ。でも傷付けちゃった子達にはちゃんとごめんなさいしようね。僕が見つけた子達の治療は終わってるけど、他にもいるかもだから一緒に行こう」
ロダはヨロヨロと立ち上がったモンスターの背を優しく撫でると微笑みます。
モンスターはシュンとして反省を示すと、頷いて一緒にごめんなさいをしに行くのでした。
三巳の巡回とは違い、モンスター達の様子を見る為ではありません。山では理由なくモンスターが他者を襲う事が無いからです。
とはいえ肉食のモンスターにとって動物は勿論。人族や獣人族、妖精族もご飯になるから身を守る術は必須です。
「最近、僕モンスターに殺気向けられた事無いなぁ」
ボヤくロダはもう成人しているので近場はよく1人で巡回しています。つまり近場とはいえお腹空かせた子にとっては格好の獲物なのです。
「もう少し奥へ行ってみようか。でもこれ以上は皆からの支援が遅れるし、行方不明になったら捜索大変になるからな」
良い子の、いえ今はもう良い大人のロダは決まりを守ります。これがロウ村長なら嬉々として奥へ奥へと進んでいた事でしょう。
「まあ元々の仕事は植生や地盤の調査だし、安全な分には良いか」
言いながらロダはサクサクと巡回を続けていきます。
地脈や水脈を辿り、脆くなっている場所が無いか確認し、時折怪我をしている動物やモンスターを見ると手当てしています。
「今日は多いな。最近は台風も無かった筈だけど、どうしたんだろ」
お腹を怪我して痛そうに震える猿に、ロダは近くに生えている薬草を取りながら近付きます。
警戒心の強い猿は震える体で「きーきー」と威嚇します。
「大丈夫。これ位なら治るよ」
歯を剥き出しにする猿の背をそっとさすり、お腹の汚れを水魔法で洗います。そして擦り潰した薬草をぬりました。
「き!?ぎぃー!」
「染みるけど今は我慢してね」
暴れる猿の背を摩りながら薬草をヌリヌリと容赦なく塗っていく様は、一見すると鬼の様です。
塗り終わったら痛みと暴れで疲れた猿がグッタリしていました。
そして大人しくなった猿の横で今度は水球を作り出します。途中で消えない様に周囲から集めた水です。それに余った薬草を入れました。
薬草は水球にプカプカと浮かぶと、ジワリ、ジワリと成分を溶け出し始めます。少しすると水球は淡い緑色になりました。
ロダは薬草を取り出すとその水球を弱る猿の口に少しずつ流し込みます。
「きっ!?き、き?キ……」
初めは拒んだ猿でしたが、舌に触れた水が美味しいと感じて自ら飲み干しました。
「ミント水をヒントに作った薬草水だったけど、ヴィーナの民って早々怪我しないから君達ばかりに使ってるな」
満足そうにお腹を見せる猿に、ロダは苦笑して猿を抱き上げます。そして近くの木のウロにそっと寝かしつけました。
「もう少し元気になるまで安静にね」
もう一度背中を摩ってその場を後にするロダです。
猿はその背に親愛の情を乗せて見送り、「キィ」とお礼を述べるのでした。
さて、そんな感じで巡回を続けるロダでしたが、ふと好戦的な視線を感じて立ち止まりました。
視線は値踏みをする様にロダを見て来ます。
「さっきの傷は爪痕だったな」
殆どが打撲でしたが、中型以上の生き物には爪や牙の傷がありました。
「……三巳の結界内で、珍しいな」
ロダは一度村に戻るべく踵を返すと、視線は強くなって粘着質に追い掛けて来ます。
他の国なら街に入らない様にする所ですが、ここは三巳の山なので心配いりません。
ロダは視線にこそ晒されていましたが無事に村へと帰って来ました。そしてその足でロウ村長の元へ行きます。
「うん?早いなロダ」
普段と変わらない調子のロダでしたが、ロウ村長は何かを感じ取り燻しがります。
片眉を上げるロウ村長に、ロダは頷くとチラリと視線の来る方に視線のみを返します。
ロウ村長は正確に読み取り頷きました。
「わかった。勝ってこい」
「うん。行ってくる」
ロダは頷き返して視線の来る方へ踵を返して村から出て行きます。
残ったロウ村長はニヤリと笑うと、村の中でも一番山を見渡せる高い場所へと向かいました。高い場所からはロダの様子が木々の隙間から見えます。
勿論、ロダの向かう先にいる者もです。
「はてさて、どうなる事かな」
面白そうに言うロウ村長には心配のしの字もありません。しかし静かに魔力は練り始めるのでした。
ロダは焦るでも無くただ淡々と視線を追って進みます。
視線はブレる事も移動する事も無く静かに、しかし熱くロダを持ち受けています。
何者にも邪魔をされない安全な山では、直ぐに視線の主へと辿り着きました。
「何か用かな」
その主に言葉を掛けるロダですが、返答が返って来るとは思っていません。
何故ならその相手はモンスターだったからです。
交わせる言葉は無くとも相手が戦いを挑んで来ているのは伝わります。
「僕、無駄な争いはしたく無いんだけど」
「グルルゥ!」
静かに去る様促しますが、モンスターはなおも好戦的に挑んで来ます。
「君が山の子達を傷付けたの?弱い者虐めはここじゃ出来ないから、今みたいに戦いを挑んで、あの子達は応じたのかな」
問い掛けはモンスターがニヤリと笑った事で答えとなりました。
「そっか。まあロウ村長も君みたいな人だからね。モンスターにもそういう子がいるとは初めて知ったけど」
言ってロダは構えました。
モンスターは嬉しそうに臨戦体勢になります。
「物事の限度っていうの、一度覚えようか」
ロダはそう言うとアッと言う間に距離を詰めて掌底を叩き出します。
モンスターは思ったより速いと感じたのか、一瞬驚き体をビクッとさせましたが、直ぐにその場から離れました。
しかしロダはそれを予見していた様に蹴りを繰り出します。
それも何とか避けたモンスターでしたが、避けた先の足場に運悪く石が飛び出ていて体勢を崩してしまいます。
すかさずロダが上から抑え込み、魔法で上体を固定します。そして逃げようと脚で地面を掻いて暴れるモンスターを見下ろし、スッと目を細めました。
「いくら同意の上でも、動けなくなる怪我を負わせるのは駄目だよ。わかるかな?わからないならわかるまで痛みを知ろうか」
実は静かに怒っていたロダです。
バシン!と大きな音が森に響きました。
「ぴぎゃん!?」
音と同時にモンスターは涙目で叫びます。
「痛い?でも君に傷付けられた子達はもっと痛かったし、動けない体で怖い思いもしたんだよ」
ロダが言いながらまたもやバシン!と音を響かせます。
「ぴぎゃん!」
音と同時に鳴くモンスターは、動く後ろ脚を痛みでピン!と伸ばしています。その上のお尻は少し赤くなり始めています。
お仕置きのお尻叩きです。
「今度からルールを決めて、ちゃんとお互いが元気に終わる様に出来るよね?」
フルフルと震えるモンスターがチラリとロダを見上げると、
「ぴっ!?」
そこには般若がいました。
正確には顔は穏やかに微笑んでいます。しかしそこから醸し出されるオーラがお説教モードのオカンな般若だったのです。
モンスターはそこに実家の両親を見て青くなりました。慌ててコクコク頷くと、ロダは怒りを収めて解放してくれます。
「わかれば良いよ。でも傷付けちゃった子達にはちゃんとごめんなさいしようね。僕が見つけた子達の治療は終わってるけど、他にもいるかもだから一緒に行こう」
ロダはヨロヨロと立ち上がったモンスターの背を優しく撫でると微笑みます。
モンスターはシュンとして反省を示すと、頷いて一緒にごめんなさいをしに行くのでした。
10
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
料理人がいく!
八神
ファンタジー
ある世界に天才料理人がいた。
↓
神にその腕を認められる。
↓
なんやかんや異世界に飛ばされた。
↓
ソコはレベルやステータスがあり、HPやMPが見える世界。
↓
ソコの食材を使った料理を極めんとする事10年。
↓
主人公の住んでる山が戦場になる。
↓
物語が始まった。
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。
碧
児童書・童話
異世界転生したものの、チートもなければ、転生特典も特になし。チート無双も冒険もしないけど、現代知識を活かしてマイペースに生きていくゆるふわ少年の日常系ストーリー。テンプレっぽくマヨネーズとか作ってみたり、書類改革や雑貨の作成、はてにはデトックス効果で治療不可の傷を癒したり……。チートもないが自重もない!料理に生産、人助け、溺愛気味の家族や可愛い婚約者らに囲まれて今日も自由に過ごします。ゆるふわ癒し系異世界ファンタジーここに開幕!
王都から追放されて、貴族学院の落ちこぼれ美少女たちを教育することになりました。
スタジオ.T
ファンタジー
☆毎日更新中☆
護衛任務の際に持ち場を離れて、仲間の救出を優先した王都兵団のダンテ(主人公)。
依頼人を危険に晒したとして、軍事裁判にかけられたダンテは、なぜか貴族学校の教員の職を任じられる。
疑問に思いながらも学校に到着したダンテを待っていたのは、五人の問題児たち。彼らを卒業させなければ、牢獄行きという崖っぷちの状況の中で、さまざまなトラブルが彼を襲う。
学園魔導ハイファンタジー。
◆◆◆
登場人物紹介
ダンテ・・・貴族学校の落ちこぼれ『ナッツ』クラスの担任。元王都兵団で、小隊長として様々な戦場を戦ってきた。戦闘経験は豊富だが、当然教員でもなければ、貴族でもない。何かと苦労が多い。
リリア・フラガラッハ・・・ナッツクラスの生徒。父親は剣聖として名高い人物であり、剣技における才能はピカイチ。しかし本人は重度の『戦闘恐怖症』で、実技試験を突破できずに落ちこぼれクラスに落とされる。
マキネス・サイレウス・・・ナッツクラスの生徒。治療魔導師の家系だが、触手の召喚しかできない。練習で校舎を破壊してしまう問題児。ダンテに好意を寄せている。
ミミ・・・ナッツクラスの生徒。猫耳の亜人。本来、貴族学校に亜人は入ることはできないが、アイリッシュ卿の特別措置により入学した。運動能力と魔法薬に関する知識が素晴らしい反面、学科科目が壊滅的。語尾は『ニャ』。
シオン・ルブラン・・・ナッツクラスの生徒。金髪ツインテールのムードメーカー。いつもおしゃれな服を着ている。特筆した魔導はないが、頭の回転も早く、学力も並以上。素行不良によりナッツクラスに落とされた。
イムドレッド・ブラッド・・・ナッツクラスの生徒。暗殺者の家系で、上級生に暴力を振るってクラスを落とされた問題児。現在不登校。シオンの幼馴染。
フジバナ・カイ・・・ダンテの元部下。ダンテのことを慕っており、窮地に陥った彼を助けにアカデミアまでやって来る。真面目な性格だが、若干天然なところがある。
アイリッシュ卿・・・行政司法機関「賢老院」のメンバーの一人。ダンテを牢獄送りから救い、代わりにナッツクラスの担任に任命した張本人。切れ者と恐れられるが、基本的には優しい老婦人。
バーンズ卿・・・何かとダンテを陥れようとする「賢老院」のメンバーの一人。ダンテが命令違反をしたことを根に持っており、どうにか牢獄送りにしてやろうと画策している。長年の不養生で、メタボ真っ盛り。
ブラム・バーンズ・・・最高位のパラディンクラスの生徒。リリアたちと同学年で、バーンズ家の嫡子。ナッツクラスのことを下に見ており、自分が絶対的な強者でないと気が済まない。いつも部下とファンの女子生徒を引き連れている。
おさがしの方は、誰でしょう?~心と髪色は、うつろいやすいのです~
ハル*
ファンタジー
今日も今日とて、社畜として生きて日付をまたいでの帰路の途中。
高校の時に両親を事故で亡くして以降、何かとお世話になっている叔母の深夜食堂に寄ろうとした俺。
いつものようにドアに手をかけて、暖簾をぐぐりかけた瞬間のこと。
足元に目を開けていられないほどの眩しい光とともに、見たことがない円形の文様が現れる。
声をあげる間もなく、ぎゅっと閉じていた目を開けば、目の前にはさっきまであった叔母さんの食堂の入り口などない。
代わりにあったのは、洞窟の入り口。
手にしていたはずの鞄もなく、近くにあった泉を覗きこむとさっきまで見知っていた自分の姿はそこになかった。
泉の近くには、一冊の本なのか日記なのかわからないものが落ちている。
降り出した雨をよけて、ひとまずこの場にたどり着いた時に目の前にあった洞窟へとそれを胸に抱えながら雨宿りをすることにした主人公・水兎(ミト)
『ようこそ、社畜さん。アナタの心と体を癒す世界へ』
表紙に書かれている文字は、日本語だ。
それを開くと見たことがない文字の羅列に戸惑い、本を閉じる。
その後、その物の背表紙側から出てきた文字表を見つつ、文字を認識していく。
時が過ぎ、日記らしきそれが淡く光り出す。
警戒しつつ開いた日記らしきそれから文字たちが浮かび上がって、光の中へ。そして、その光は自分の中へと吸い込まれていった。
急に脳内にいろんな情報が増えてきて、知恵熱のように頭が熱くなってきて。
自分には名字があったはずなのに、ここに来てからなぜか思い出せない。
そしてさっき泉で見た自分の姿は、自分が知っている姿ではなかった。
25の姿ではなく、どう見ても10代半ばにしか見えず。
熱にうなされながら、一晩を過ごし、目を覚ました目の前にはやたらとおしゃべりな猫が二本足で立っていた。
異世界転移をした水兎。
その世界で、元の世界では得られずにいた時間や人との関わりあう時間を楽しみながら、ちょいちょいやらかしつつ旅に出る…までが長いのですが、いずれ旅に出てのんびり過ごすお話です。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる