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本編
海の宝探し
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グランの海は沖縄のように澄んだ綺麗な海です。
そんな海の浅瀬で三巳とクロが海の中の砂の上をキョロキョロと見ています。
「この辺は人通りが多いから見つからねえかも、な」
パラソルの下でその様子を見ているレオがポツリと呟きます。敷物の上で座るレオも水着を着ていますが、海に入る気はなさそうです。
「くっくっく。クロはわかっておる様だがのう。三巳に合わせておるのだろうな。ほんに愛いのう」
同じくパラソルの下で優雅に寝そべる美女母が、レオに応える様に喉で笑いながら言います。美女母の目から見れば、愛娘と遊ぶデレデレな父親全開です。
因みに美女母の水着はとてもセクシーな水着です。それをクロから受け取ったパーカーで隠しています。
「父ちゃん!あっち行ってみよ!あっち!」
近くには無さそうだと判断した三巳が、クロの腕を引っ張ってゴツゴツとした岩がある方へ向かいました。
「今度こそ見つかると良いがのう」
「そーだな」
あくまでも一緒にはしゃぐ気のない2人を他所に、三巳はズンズンバシャバシャとはしゃぎまくりです。
そんな三巳に腕を引っ張られるクロは終始嬉しそうにニコニコしていました。
「あっ。蟹っ」
岩場の近くまで来ると、先程まで居なかった小さな生き物がチラホラ見つかります。
「あっあっあー。隠れちゃった」
けれども彼等は人の気配に敏感で、直ぐに隙間に入って逃げてしまいます。
けれどもその様子も可愛らしくて頬が緩みます。
「うにゅ。安全第一大事なんだよ。これからも捕まらないよーになー」
隙間に向かって三巳が言うと、隙間からニョキッと小さな鋏が出て来ました。そしてフリフリと横に振っています。
「ふふふ。三巳に有難うって言っているのかな?」
「うにゅふふふー♪バイバイなんだよ♪」
気分上々な三巳は手を振り返して貝探しを続けました。
「んーみゅ。普通の貝殻はいっぱい見つけたんだけどなー」
「そうだねぇ。透明な貝殻は無いねぇ」
しかし探せど探せど玻璃貝は見つかりません。
「グランの人達はどーやって見つけてるんだろ」
「戻って聞いてみるかい?」
「んにゃ。まだいーんだよ。もうちょっと自力で頑張りたい」
「ふふふ、そうだね。自分で見つけた方が楽しいものね」
という訳で海に潜って浅瀬をキョロキョロします。
グランの海には貝や蟹の他にもヒトデやウミウシが居て、少し離れた所には珊瑚礁が広がり色とりどりの魚達が楽しそうに泳いでいます。それらを見ているだけでも楽しいですが、折角なので玻璃貝は見つけたい所存です。
(おや)
水中メガネで海の底を見ていたクロが何かに気が付きました。
チラリと三巳を見るとまだまだキョロキョロが止まりません。
クロはソッと目線を戻すとニッコリと笑いました。髭も嬉しそうに海に泳いでいる様です。
「三巳や、見つかったかい?」
顔を上げたクロは三巳に声を掛けます。
三巳も顔を上げると首を横に振りました。
「んーにゃ。中々に難しくて手強いんだよ」
「う~ん。玻璃貝は透明だからねぇ。海の透明に重なってしまうのかも知れないね」
「そっかー。それもそーなんだよ。んーみゅ、だったらグランの人達は何で気付けるんだろ」
「そうだねぇ。自分からここに居るよって教えてくれるのかねぇ」
腕を組み、考え込んだ三巳でしたが、クロの言葉にハッとします。その動きに合わせてお水に濡れてビシャビシャな耳と尻尾も水滴を撥ねて立ち上がるので、クロが愛娘の可愛らしさに打ちのめされています。
三巳はそんな親バカなクロを尻目にまた海に潜って行きました。
そして水面から太陽の位置と、海に差し込む光を良ぉく観察します。
「うばっ!」
そしてそれは漸く見つける事が出来たのです。
海面から降り注ぐ光の柱。それらの殆どが砂の中へと吸収されていきますが、一部分だけ他と違う場所がありました。
それは光を反射し、波の動きに合わさる様に、キラリ、キラリと小さな七色の輝きを放っていたのです。
三巳はそーっと近寄り間近で良く観察をします。
(うな。三巳の影で見えなくなる。うはっ。でもこーして光に当てるとキラキラして綺麗なんだよっ)
暫く海の中の綺麗な輝きを堪能してからソッとキラキラした物を手に取り海面から顔を上げました。そしてそれをクロに見せに行きます。
「父ちゃん!玻璃貝見ーつけた!なんだよ♪」
「ふふふっ。やったねぇ三巳!」
「うにゅ!うへへへー♪」
太陽にかざしてキラキラキラリ。三巳は玻璃貝に住んでいる生き物がいないのを確認して大事に尻尾収納へ仕舞いました。
「玻璃貝は二枚貝なのかな?」
手に入れたのはレンズの様に真ん丸で、しかし内側には蛤やアサリの様に接続する部分がありました。という事は何処かにもう片方もあるかもしれません。
見付け方をマスターした三巳はクロと一緒にご機嫌で貝殻探しを続行し、手のひらいっぱいに見つける事が出来たのでした。
そんな海の浅瀬で三巳とクロが海の中の砂の上をキョロキョロと見ています。
「この辺は人通りが多いから見つからねえかも、な」
パラソルの下でその様子を見ているレオがポツリと呟きます。敷物の上で座るレオも水着を着ていますが、海に入る気はなさそうです。
「くっくっく。クロはわかっておる様だがのう。三巳に合わせておるのだろうな。ほんに愛いのう」
同じくパラソルの下で優雅に寝そべる美女母が、レオに応える様に喉で笑いながら言います。美女母の目から見れば、愛娘と遊ぶデレデレな父親全開です。
因みに美女母の水着はとてもセクシーな水着です。それをクロから受け取ったパーカーで隠しています。
「父ちゃん!あっち行ってみよ!あっち!」
近くには無さそうだと判断した三巳が、クロの腕を引っ張ってゴツゴツとした岩がある方へ向かいました。
「今度こそ見つかると良いがのう」
「そーだな」
あくまでも一緒にはしゃぐ気のない2人を他所に、三巳はズンズンバシャバシャとはしゃぎまくりです。
そんな三巳に腕を引っ張られるクロは終始嬉しそうにニコニコしていました。
「あっ。蟹っ」
岩場の近くまで来ると、先程まで居なかった小さな生き物がチラホラ見つかります。
「あっあっあー。隠れちゃった」
けれども彼等は人の気配に敏感で、直ぐに隙間に入って逃げてしまいます。
けれどもその様子も可愛らしくて頬が緩みます。
「うにゅ。安全第一大事なんだよ。これからも捕まらないよーになー」
隙間に向かって三巳が言うと、隙間からニョキッと小さな鋏が出て来ました。そしてフリフリと横に振っています。
「ふふふ。三巳に有難うって言っているのかな?」
「うにゅふふふー♪バイバイなんだよ♪」
気分上々な三巳は手を振り返して貝探しを続けました。
「んーみゅ。普通の貝殻はいっぱい見つけたんだけどなー」
「そうだねぇ。透明な貝殻は無いねぇ」
しかし探せど探せど玻璃貝は見つかりません。
「グランの人達はどーやって見つけてるんだろ」
「戻って聞いてみるかい?」
「んにゃ。まだいーんだよ。もうちょっと自力で頑張りたい」
「ふふふ、そうだね。自分で見つけた方が楽しいものね」
という訳で海に潜って浅瀬をキョロキョロします。
グランの海には貝や蟹の他にもヒトデやウミウシが居て、少し離れた所には珊瑚礁が広がり色とりどりの魚達が楽しそうに泳いでいます。それらを見ているだけでも楽しいですが、折角なので玻璃貝は見つけたい所存です。
(おや)
水中メガネで海の底を見ていたクロが何かに気が付きました。
チラリと三巳を見るとまだまだキョロキョロが止まりません。
クロはソッと目線を戻すとニッコリと笑いました。髭も嬉しそうに海に泳いでいる様です。
「三巳や、見つかったかい?」
顔を上げたクロは三巳に声を掛けます。
三巳も顔を上げると首を横に振りました。
「んーにゃ。中々に難しくて手強いんだよ」
「う~ん。玻璃貝は透明だからねぇ。海の透明に重なってしまうのかも知れないね」
「そっかー。それもそーなんだよ。んーみゅ、だったらグランの人達は何で気付けるんだろ」
「そうだねぇ。自分からここに居るよって教えてくれるのかねぇ」
腕を組み、考え込んだ三巳でしたが、クロの言葉にハッとします。その動きに合わせてお水に濡れてビシャビシャな耳と尻尾も水滴を撥ねて立ち上がるので、クロが愛娘の可愛らしさに打ちのめされています。
三巳はそんな親バカなクロを尻目にまた海に潜って行きました。
そして水面から太陽の位置と、海に差し込む光を良ぉく観察します。
「うばっ!」
そしてそれは漸く見つける事が出来たのです。
海面から降り注ぐ光の柱。それらの殆どが砂の中へと吸収されていきますが、一部分だけ他と違う場所がありました。
それは光を反射し、波の動きに合わさる様に、キラリ、キラリと小さな七色の輝きを放っていたのです。
三巳はそーっと近寄り間近で良く観察をします。
(うな。三巳の影で見えなくなる。うはっ。でもこーして光に当てるとキラキラして綺麗なんだよっ)
暫く海の中の綺麗な輝きを堪能してからソッとキラキラした物を手に取り海面から顔を上げました。そしてそれをクロに見せに行きます。
「父ちゃん!玻璃貝見ーつけた!なんだよ♪」
「ふふふっ。やったねぇ三巳!」
「うにゅ!うへへへー♪」
太陽にかざしてキラキラキラリ。三巳は玻璃貝に住んでいる生き物がいないのを確認して大事に尻尾収納へ仕舞いました。
「玻璃貝は二枚貝なのかな?」
手に入れたのはレンズの様に真ん丸で、しかし内側には蛤やアサリの様に接続する部分がありました。という事は何処かにもう片方もあるかもしれません。
見付け方をマスターした三巳はクロと一緒にご機嫌で貝殻探しを続行し、手のひらいっぱいに見つける事が出来たのでした。
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