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本編
リリの告白
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「本当に行ってしまうのかい?」
街の噴水広場で恰幅の良いおばさんが眉をハの字に下げています。
おばさんだけではありません。広場には多くの人が集まって、同じく眉をハの字に下げています。
「ええ。今まで本当に良くしてくれてありがとう。
でも民主制となったリファラに、旧時代の象徴たる私はいない方が良いわ。ただお墓参りはしたいし、山の民にいっぱいリファラの良い所を紹介したいから里帰りはさせてね」
「そんなの当たり前だよ。姫様の故郷はリファラなんだから」
「皆……ありが……」
リファラの民のあたたかい言葉に、じ~んと感動したリリは目に涙を浮かべてお礼を言おうとしました。けれども次の
「お嫁に行ってしまうのは寂しいけど、女の子だものねぇ」
という言葉に、
「へ?」
と目をパチクリさせて止まってしまいます。
「そうだな。娘を嫁に出す気分だが、ロダ君なら姫様を任せられる」
「ふわっ!?」
更に追随する様に放たれた強面のおじさんの言葉にビクリと顔を真っ赤にさせ、
「結婚式には呼んでくださいね。必ず行きますから」
「ほぇっ!?」
リリの母程の年齢の女性達から囲まれ言われて肩を跳ねさせ、
「ああ、でもお山は結界が有るんだっけねぇ。
それじゃあここでも結婚式を準備して待ってるからお山での式が終わったら新婚旅行がてら帰って来ておくれね」
「し、しんこっ……!ふしゅぅぅ~~……」
全員一致でリリの国出=ロダとの結婚が確固たる決まり事と疑わない目に、到頭腰から力が抜けて恥ずかしさのあまりに顔を覆ってしまいました。
「リリ、お話終わった?」
「ほにゃあああああ!?」
「わあああっ!?」
そこにひょっこり顔を出したロダに思わず奇声を上げてしまうのも無理からぬ事でしょう。
突然ビクンと顔を上げて大きな声を出されたロダもまた、肩をビクンとさせて大きな声を上げるのでした。
2人のまだお付き合いしていないが故の恥じらいを、周りの大人達が「どうどう」と落ち着かせるのは少し時間を要しました。
「落ち着いたかね」
「ごめんなさい。僕まで……」
「ロダは悪く無いわっ。私がビックリして大きな声あげちゃったから……」
ロダが眉尻を下げて謝るので、リリも眉尻を下げてロダの服をキュッと握って首を振ります。そしてちょっと前の自分を思い出してまたしてもふしゅ~っと顔を赤くして俯いてしまいました。
ロダはリリのその仕草が可愛らしくて悶えています。
(あああ~リリ可愛いっっ!)
そしてその様子を見ていた周囲がほっこりした顔で笑み崩れました。
「ロダ坊」
2人の世界を邪魔するのは気が引けましたが、大工の親方が皆を代表して一歩前に出ました。
「親方?」
いつになく真面目なキリリとした顔に、ロダはどうしたのかと首を傾げます。
そんなロダの戸惑いを他所に、親方は深く頭を下げました。
「姫様は儂等の宝だ。どうか、幸せにしてやって欲しい」
深く思いの籠った言葉に、ロダは目を大きく広げます。そして周りを囲むリファラの民が揃って頭を深く下げたのを見て、その思いを収める様に一度目を閉じました。
「僕は」
そう言って目を開けたロダは、大人の男の顔で柔和な笑みを浮かべていました。
「リリが大好きです」
「……!ロダ……」
ゆったりとした物言いに、リファラの民はパラパラと頭を上げます。
「リリが幸せになる為に、僕は出来うる全ての力を尽くすと誓う」
最後の言葉はリリの目をしっかりと見て、服を掴むリリの手を上からそっと重ねて言いました。
その暖かな瞳にリリの胸はドキドキと高鳴ります。
「返事はゆっくりで良いって言ったあの日から、僕の気持ちは変わってないよ。
ううん、寧ろもっともっと大好きになってる」
沢山の大好きを貰ったリリは幸せが溢れて言葉もありません。
ただじっとロダの瞳から目が離せないでいました。
「でもそれは僕の気持ちだから、リリはリリの思う通りにして欲しい」
そしてロダの言葉が一歩引いたものだと感じた瞬間。
「私も……!」
リリは思わず身を寄せて目と目がくっつきそうな程近寄ります。
「リリ?」
そしてロダのビックリして状況が分からず狼狽える声と、
「ロダが好き!」
リリの声は重なりました。
その熱い思いの籠った声と、間近で見るリリの熱の籠った綺麗な瞳は、
「……っ!?」
ロダの言葉を失わせるのにとてもとても効果的でした。
暫くはハクハクと言葉にならない声を、出すのか、出さないのかと繰り返していたロダです。でも目は決してリリから離しません。
リリの言葉を反芻し、その意味が理解出来たロダは、
ボンッ!!
という音が出る位に真っ赤になって湯気を噴出させました。
その様子にリリも真っ赤な顔を照れさせます。
「姫様おめでとむがっ」
「しー!今はしー!」
「2人の世界だからね!」
そして周囲に人がいた事を思い出して2人して慌てるのでした。
街の噴水広場で恰幅の良いおばさんが眉をハの字に下げています。
おばさんだけではありません。広場には多くの人が集まって、同じく眉をハの字に下げています。
「ええ。今まで本当に良くしてくれてありがとう。
でも民主制となったリファラに、旧時代の象徴たる私はいない方が良いわ。ただお墓参りはしたいし、山の民にいっぱいリファラの良い所を紹介したいから里帰りはさせてね」
「そんなの当たり前だよ。姫様の故郷はリファラなんだから」
「皆……ありが……」
リファラの民のあたたかい言葉に、じ~んと感動したリリは目に涙を浮かべてお礼を言おうとしました。けれども次の
「お嫁に行ってしまうのは寂しいけど、女の子だものねぇ」
という言葉に、
「へ?」
と目をパチクリさせて止まってしまいます。
「そうだな。娘を嫁に出す気分だが、ロダ君なら姫様を任せられる」
「ふわっ!?」
更に追随する様に放たれた強面のおじさんの言葉にビクリと顔を真っ赤にさせ、
「結婚式には呼んでくださいね。必ず行きますから」
「ほぇっ!?」
リリの母程の年齢の女性達から囲まれ言われて肩を跳ねさせ、
「ああ、でもお山は結界が有るんだっけねぇ。
それじゃあここでも結婚式を準備して待ってるからお山での式が終わったら新婚旅行がてら帰って来ておくれね」
「し、しんこっ……!ふしゅぅぅ~~……」
全員一致でリリの国出=ロダとの結婚が確固たる決まり事と疑わない目に、到頭腰から力が抜けて恥ずかしさのあまりに顔を覆ってしまいました。
「リリ、お話終わった?」
「ほにゃあああああ!?」
「わあああっ!?」
そこにひょっこり顔を出したロダに思わず奇声を上げてしまうのも無理からぬ事でしょう。
突然ビクンと顔を上げて大きな声を出されたロダもまた、肩をビクンとさせて大きな声を上げるのでした。
2人のまだお付き合いしていないが故の恥じらいを、周りの大人達が「どうどう」と落ち着かせるのは少し時間を要しました。
「落ち着いたかね」
「ごめんなさい。僕まで……」
「ロダは悪く無いわっ。私がビックリして大きな声あげちゃったから……」
ロダが眉尻を下げて謝るので、リリも眉尻を下げてロダの服をキュッと握って首を振ります。そしてちょっと前の自分を思い出してまたしてもふしゅ~っと顔を赤くして俯いてしまいました。
ロダはリリのその仕草が可愛らしくて悶えています。
(あああ~リリ可愛いっっ!)
そしてその様子を見ていた周囲がほっこりした顔で笑み崩れました。
「ロダ坊」
2人の世界を邪魔するのは気が引けましたが、大工の親方が皆を代表して一歩前に出ました。
「親方?」
いつになく真面目なキリリとした顔に、ロダはどうしたのかと首を傾げます。
そんなロダの戸惑いを他所に、親方は深く頭を下げました。
「姫様は儂等の宝だ。どうか、幸せにしてやって欲しい」
深く思いの籠った言葉に、ロダは目を大きく広げます。そして周りを囲むリファラの民が揃って頭を深く下げたのを見て、その思いを収める様に一度目を閉じました。
「僕は」
そう言って目を開けたロダは、大人の男の顔で柔和な笑みを浮かべていました。
「リリが大好きです」
「……!ロダ……」
ゆったりとした物言いに、リファラの民はパラパラと頭を上げます。
「リリが幸せになる為に、僕は出来うる全ての力を尽くすと誓う」
最後の言葉はリリの目をしっかりと見て、服を掴むリリの手を上からそっと重ねて言いました。
その暖かな瞳にリリの胸はドキドキと高鳴ります。
「返事はゆっくりで良いって言ったあの日から、僕の気持ちは変わってないよ。
ううん、寧ろもっともっと大好きになってる」
沢山の大好きを貰ったリリは幸せが溢れて言葉もありません。
ただじっとロダの瞳から目が離せないでいました。
「でもそれは僕の気持ちだから、リリはリリの思う通りにして欲しい」
そしてロダの言葉が一歩引いたものだと感じた瞬間。
「私も……!」
リリは思わず身を寄せて目と目がくっつきそうな程近寄ります。
「リリ?」
そしてロダのビックリして状況が分からず狼狽える声と、
「ロダが好き!」
リリの声は重なりました。
その熱い思いの籠った声と、間近で見るリリの熱の籠った綺麗な瞳は、
「……っ!?」
ロダの言葉を失わせるのにとてもとても効果的でした。
暫くはハクハクと言葉にならない声を、出すのか、出さないのかと繰り返していたロダです。でも目は決してリリから離しません。
リリの言葉を反芻し、その意味が理解出来たロダは、
ボンッ!!
という音が出る位に真っ赤になって湯気を噴出させました。
その様子にリリも真っ赤な顔を照れさせます。
「姫様おめでとむがっ」
「しー!今はしー!」
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