迷子のコロポックルさん

蒼穹月

文字の大きさ
上 下
4 / 5

出会い

しおりを挟む
 キラキラ光る太陽サンサン。葉っぱのお家からお顔を出せば、今日も青空良い天気。
 昨日はお体とお洋服を川で洗って綺麗になった僕。うぅ~んと背伸びをすればお背中もグググと伸びる。

 「今日は誰かとおしゃべりしたいな」

 寝なれない葉っぱのお布団で固まった体を解し、昨日見つけた木の実を食べる。これも知らない木さんがくれた木の実みたいに大きいけれど、こっちはちゃんと切り分けられたよ。黄色っぽい?オレンジっぽい?そんなお色の木の実。食べてみたら甘くって美味しくって直ぐ好きになっちゃった。
 朝も食べたら幾つか小さい塊に切ってお弁当に持って行こうね。次行く所でご飯があるとは限らないもの。

 「知らないお花も沢山。やっぱり知らない世界に来ちゃったのかなぁ」

 独りぼっちで寂しくて、おしゃべりするお友達もいないから独り言が増えちゃう。

 「大きい植物が多いね。巨人さんの世界かなぁ。でも昨日出会ったのは言葉はわからないけれど人間さんだったよね」

 でも髪の毛はキラキラ金色の人間さんや茶色い人間さん、それにお目々が青い人間さんやお肌が焦げてる人間さんが多かった。
 僕が知っている人間さんは黒髪黒目が多い。髪の毛は染めてる人間さんもいるから茶色い人間さんや金色の人間さんもいたけれど、あれは偽物のお色だから。でも昨日の人間さんは元々のお色っぽい。
 そう言えば……。人間さんが多い街の中や港の中でああいう人間さん見た事あったかも。遠目だから言葉は聞いた事無かったけれど、もしかしたらおんなじだったりして?ちょっと遠くを見つめて思い出そうとしたけど……、たまにしか行ってないからうろ覚えだな~。

 「うぅ~ん。今日はどっちに行こう」

 右を見て、左を見て、もう一度右を見て。
 蕗の葉よりもおっきい葉っぱからお顔を覗かせてチラリ。人間さんの街を見渡した。
 うぅ~ん。やっぱり言葉がわかる気がしない。

 「***」

 そうそう皆こんな感じのお舌がこんがらがりそうな言葉を使っているよ。

 「***」

 うぅ~ん。あうは?あるは?

 「***」

 あろは?うん。これが一番近い気がする。言っている人間さんが多いからもしかしたら挨拶かな?

 「***」

 うん。わかったってば。あろはでしょ。
 ……。
 ……。
 ……。
 うん?
 僕ってば何だかお背中ゾワゾワしちゃう。
 そういえばさっきからものすごぉ~くお近く様で聞こえている。
 僕ってばピルピル震えながらゆっくり後ろを振り向いたよ。だって人間さんの子供は容赦がないから怖いんだよ。
 振り向いた先にいたのは……。うん?人間さん?それとも僕とおんなじコロポックル?
 後ろを向いて案の定誰かがいて、ソロソロと視線を上げたんだけれど上げた視線は僕の頭より少し上止まり。人間さんの子供位かそれより低い背丈なんだけれど……。お顔がおじさん。

 「***」

 ニコニコと頭をなでなでしてくるおじさん。さっきから聞こえたお声はおじさんのものみたい。

 「あろは?」

 聞こう聞き真似で返せばニッコリ笑顔を深めてくれたよ。

 「********」
 「うぴゃっ!」

 うわ~ん何言っているのかわかんないよう。
 僕が困ってしまってわんわん泣き出しちゃったからおじさんお話止めてお眉を下げちゃった。

 「ご、ごめんなさ……。ぅぅ~僕おじさんの言葉わかんないよぅ」

 えぐえぐお喉を引っかからせていると、おじさんが僕の頭をポンポンして涙もグイグイ拭ってくれる。人間さんかコロポックルかわからないけれどとっても良い人なのはわかって一安心。

 「ありがとう」

 ニコッて返せばおじさんも安心してニコッてしてくれた。

 「ありがとー。こにちわー」
 「うぴゃっ!」

 おんなじ言葉だ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...