忠犬ネルビーの大冒険

蒼穹月

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そして日常へ

雪の種類

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 冬ってこんなに寒くなるんだな。
 初めて新雪に触れた日からいっぱいの日が過ぎた。あの日が一番寒いと思っていたのに、まだまだ寒くなっておれはビックリだ。
 最近はおれの寝床で寝るのも寒くて、リリと一緒に寝てる。
 リリと寝るのは好きだ。ぎゅーって体いっぱいで抱きしめてくれる。
 リリにぎゅーってされるとポカポカあったかくて気持ち良いんだぞ。

 「うふふ。ネルビーの尻尾、元気ね。でもあんまり動かすと冷たい空気がお布団に入っちゃうわよ?」
 『きゅ~、それは困る。おれ尻尾我慢する』

 嬉しいと尻尾振っちゃう。でも冷たいのはダメだ。
 おれは頑張って、頑張って尻尾を抑えた。でも先っぽだけ言う事聞いてくれない。

 「ふふ。ネルビーが嬉しいと私も嬉しい」
 『わふ~、リリ寒く無いか?』

 おれは毛があるからリリ程寒くない。でもリリもおれの毛に顔を埋めて「あったかい」って。

 『明日は雪積もるかな』

 雪は楽しい。雪の上を駆け回ると体も熱くなって寒いのどっか行っちゃうんだ。
 なのにここのとこずっと新しい雪降ってなくて、地面の雪はカチンコチンになっちゃった。氷よりは柔らかいけど、でも硬くておれの足がちょっと冷たくて痛い。

 「そうね。積もったばかりの雪で雪だるま作ったり、鎌倉作ったり。楽しい事いっぱいだわ」
 『落ちてくる雪もいろんな形あって楽しいぞ!』
 「うん。どれもキラキラで綺麗」
 『今日は久し振りに降るって三己が言ってた。どんな雪なのか楽しみだ』
 「ふふふ。それじゃあ明日の為にも今日は寝ましょうか」
 『わうっ!おれ寝る!』

 明日が楽しみだ!



 明日が来て目が覚めたおれは、一目散に外に向かった。
 そんでいつも通り雪の上を駆け回ろうと思ったのに……。おれ埋まった!

 『わう!?のれないっ!ばふっ!?わぷっ!?』

 いつもならどんなに柔らかい雪の日でも足が埋まるだけなのに。今日の雪はなんだか変だ。さらさらしてて掴みどころがないってやつだ。

 「おー。昨日は寒かったからなー。粉雪じゃ今日は雪だるま無理だなー」
 『粉雪?』

 雪の中で雪と戦ってたら三己の声がした。
 おれはもそもそと雪の中を泳いで家に戻ってどういう事か聞いてみた。

 「良く冷えた空気だと細かいサラサラの雪が降るんだよ。初めて降った雪は大きくて重みがあったろ?あれはまだ冬の初めで気温もそんなに低くなかったからなんだよ」

 確かに今思えばあの時はまだ冷たいけど耐えれた。

 『それじゃ今日は駆け回れないのか……』

 新雪の上におれの跡を残して駆け回るの楽しいんだけどな。

 「にししっ、その代わり埋まって遊ぶのには最適だぞ」

 埋まって、遊ぶ。
 おれはさっき雪の中を泳いだの思い出した。
 あの時は訳がわからなくていっぱいいっぱいだったけど、思い返せば確かに楽しい。

 『おれ!雪で泳ぐ!』
 「おー、どうせなら子供達と遊ぶともっと楽しいぞー。三己位大きいと埋もれきれなくて微妙だからなー」

 そう言って雪に入った三己。確かに上だけ出ててちょっと面白い。
 仕方ないからこの日は子供達の子守りを買って出てあげたんだぞ。えっへん。
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