5 / 5
トを追って
能才
しおりを挟む
長い髪を整え、サリュは集会所を出る。まだ薄暗い空に、サリュは余計に眠気を感じた。どれだけ寝たのかサリュには分からなかったが、まだ眠いのは確かだった。
「しっかり家の戸が閉まってるね! これで安心だよお! 」
とウサギが言った。ウサギは眠気を感じないのか。サリュはウサギの声質からそんな事を思った。村はすっかりとひとけが無くなり、静まり返っている。
「サリュ! 広場みたいなところに行こう! そこでヤツらと戦うんだ! 」
と、ウサギは言って歩き出した。 戦う? サリュは自分の行動を後悔した。そうなるのであれば、寝る前から気持ちを整えていれば良かったと。眠気に負けたサリュは悔いた。そもそもで、ウサギの言っている内容と声質が合っていない。眠い。戦うとは何だ。どうやって。危ないじゃないか。サリュは、様々な思いが頭に浮かんだが、どれも処理が追いつかず苛立ちを感じた。だがら、サリュは取り敢えずウサギに着いて行く事にした。何も考えずに。
少し歩くと、家の建っていない開けた場所に出た。
「サリュ! ここでヤツらを待とう! サリュは地面に寝てればいいさ! あ、そうだった。戦うには武器が必要だね! サリュ、ちゃんとキャッチしてね! 」
とウサギは言うと、ぴょんと跳ね上がり、空中で一回転をした。何も考えていなかったサリュは、慌てて反射的に落ちてきたモノを左手で掴んだ。それは、ウサギではなかった。銀色に輝く綺麗な小刀だった。
「ナイスキャッチ! サリュ! さあ、はやく寝て! あと少ししたらヤツらがくるはずさ! 」
小刀から、甲高く鬱陶しい声がする。サリュは、この小刀がウサギだという事は分かったが、理屈は全く分からなかった。先程から寝転ぶ事を急かされているサリュであったが、理屈が分からずウサギに聞いた。
「あなたは、一体…? 」
ウサギは直ぐさま答える。この問いも待っていたかのように。
「サリュ! ぼくは、サリュにとって魔法であって、サリュにとっての科学だよ! 」
得意満面とその言葉が小刀から聞こえる。サリュは小刀をまじまじと見たが、その答えに納得する事は無かった。魔法と科学は相反するモノなのに。サリュは、そう考えていた。
理屈が理解できない時、行動する事が得策だ。という事をサリュは知っていた。だから、ウサギに言われた通り、地面に仰向けの状態で寝転んだ。空はまだ薄暗かった。サリュは土の臭いを感じた。こんな臭いを感じるのは、サリュがまだ泥団子を作っていた頃以来だ。そんな事をサリュが思っていると
「サリュ! 寝てって言ったけど、ほんとに寝ちゃったらダメだからね! あっ、あと、ぼくは背中の後ろに隠して持っていて! 」
とウサギが笑いながら言った。そんな小刀から聞こえる笑い声に、サリュの不安と緊張は少し和らいだ様に、サリュは感じた。笑い声は、不安と緊張を緩和する。サリュはそんな事も知っていた。未だに、ウサギが何を企んでいるのか分からなかったが、どうにかなるのではないかとサリュは考えていた。
「しっかり家の戸が閉まってるね! これで安心だよお! 」
とウサギが言った。ウサギは眠気を感じないのか。サリュはウサギの声質からそんな事を思った。村はすっかりとひとけが無くなり、静まり返っている。
「サリュ! 広場みたいなところに行こう! そこでヤツらと戦うんだ! 」
と、ウサギは言って歩き出した。 戦う? サリュは自分の行動を後悔した。そうなるのであれば、寝る前から気持ちを整えていれば良かったと。眠気に負けたサリュは悔いた。そもそもで、ウサギの言っている内容と声質が合っていない。眠い。戦うとは何だ。どうやって。危ないじゃないか。サリュは、様々な思いが頭に浮かんだが、どれも処理が追いつかず苛立ちを感じた。だがら、サリュは取り敢えずウサギに着いて行く事にした。何も考えずに。
少し歩くと、家の建っていない開けた場所に出た。
「サリュ! ここでヤツらを待とう! サリュは地面に寝てればいいさ! あ、そうだった。戦うには武器が必要だね! サリュ、ちゃんとキャッチしてね! 」
とウサギは言うと、ぴょんと跳ね上がり、空中で一回転をした。何も考えていなかったサリュは、慌てて反射的に落ちてきたモノを左手で掴んだ。それは、ウサギではなかった。銀色に輝く綺麗な小刀だった。
「ナイスキャッチ! サリュ! さあ、はやく寝て! あと少ししたらヤツらがくるはずさ! 」
小刀から、甲高く鬱陶しい声がする。サリュは、この小刀がウサギだという事は分かったが、理屈は全く分からなかった。先程から寝転ぶ事を急かされているサリュであったが、理屈が分からずウサギに聞いた。
「あなたは、一体…? 」
ウサギは直ぐさま答える。この問いも待っていたかのように。
「サリュ! ぼくは、サリュにとって魔法であって、サリュにとっての科学だよ! 」
得意満面とその言葉が小刀から聞こえる。サリュは小刀をまじまじと見たが、その答えに納得する事は無かった。魔法と科学は相反するモノなのに。サリュは、そう考えていた。
理屈が理解できない時、行動する事が得策だ。という事をサリュは知っていた。だから、ウサギに言われた通り、地面に仰向けの状態で寝転んだ。空はまだ薄暗かった。サリュは土の臭いを感じた。こんな臭いを感じるのは、サリュがまだ泥団子を作っていた頃以来だ。そんな事をサリュが思っていると
「サリュ! 寝てって言ったけど、ほんとに寝ちゃったらダメだからね! あっ、あと、ぼくは背中の後ろに隠して持っていて! 」
とウサギが笑いながら言った。そんな小刀から聞こえる笑い声に、サリュの不安と緊張は少し和らいだ様に、サリュは感じた。笑い声は、不安と緊張を緩和する。サリュはそんな事も知っていた。未だに、ウサギが何を企んでいるのか分からなかったが、どうにかなるのではないかとサリュは考えていた。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる