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エディの告白
シーナの水着は……
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そして翌日、夏休みの初日だ。朝から夏の日差しが肌を刺す。集合時間は九時。待ち合わせ場所に一番に着いたのはエディ……では無かった。
「シーナ!」
「あら、おはようエディ」
現在時刻は八時四十分。待ち合わせの時間までにはまだ二十分もある。自分が一番乗りだとばかり思っていたエディはシーナに言った。
「随分早いね」
「みんなを待たせちゃったら悪いと思って。せっかく誘ってもらったんだもの」
やっぱり良い子だなと思うエディに微笑みながらシーナは言った。
「エディも随分早いのね。早く来ておいて良かったわ」
その微笑みにすっかりやらてしまったエディは何か話したくても言葉が出て来ない。待ち望んだ時間だというのに……もじもじしているうちに聞き覚えのある声が聞こえた。
「お~っす エディにシーナ、早いな~」
「おはよう、待たせちゃったかしら?」
デイブとミレアがやって来たのだ。そして時間ギリギリになって
「ごめんごめん、遅くなっちゃった」
ルークとステラが小走りで現れた。
「ごめんなさい。お弁当作ってたら遅くなっちゃって」
「時間ぴったりだ。謝る事無いぜ」
謝るステラにデイブが言うとミレアも笑顔で言った。
「そうよ。お弁当作ってきてくれたんでしょ?」
「うん、たくさん作ってきたから遠慮無く食べてね」
「おう、楽しみだぜ」
「じゃあ行きましょうか」
例によって湖まで長い道のりを歩く。先刻の失態を取り戻すべくエディはシーナに一生懸命話しかけた。正直うっとおしいぐらいに。だが、それに嫌な顔を見せず話を聞き、時には相槌を打ち、時には笑顔を見せて応えるシーナ。それはエディにとって夢の様な時間だった。
やがて湖に到着。ステラにとっては長い道のりだったが、エディにとってはあっという間の道のりだった。
「あんた達、覗いたら殺すからね」
水着に着替える為、ミレア・ステラ・シーナが茂みへ消える。デイブは今回も水着を着込んで来たらしい。
「デイブ、毎回毎回暑くないの?」
水着に着替えながらルークが聞くとデイブは不敵な笑みを浮かべて答えた。
「この暑さ、蒸れ具合こそ夏の醍醐味ってヤツよ」
「また訳のわからない事を……」
エディが呆れた顔をするが、デイブは豪快に笑った。
「まぁ良いじゃねぇか。楽しんだ者勝ちってコトよ。んじゃ、先行くぜ!」
満面の笑顔でまた一人先に湖に飛び込むデイブにルークもすっかり呆れた顔となった。
「やれやれ…… ミレアを待つって考えはまったく無いみたいだね」
「まあ長い付き合いだからね。でも今は恋仲なんだから、少しは考えてあげないとダメだよね」
そんな事を話ながらルークとエディが着替えを済ませ、少し待つとミレアの声が聞こえた。
「おっ待たせ~」
テンションの高いミレアの声と共に水着に着替えた三人の女の子が茂みから出て来たのだ。ステラは白のワンピース、ミレアは赤のセパレーツ。これらは以前、五人でバーベキューに来た時と同じものだった。そしてエディの目を釘付けにしたのはもちろんシーナの水着姿だ。
シーナの水着は紺色のローレグタイプのワンピース。しかも、胸のところには名前が書かれた白い布が縫い付けられている。早い話がスクール水着、所謂スク水だった。かわいい水着のステラとミレアの少し後ろを恥ずかしそうに歩くシーナを見てエディが言った。
「シーナは真面目なんだね。今日は学園の行事じゃ無いんだから学園指定の水着じゃなくてもよかったのに」
「アンタたち相手には学園の水着で十分ってコトよ」
ミレアが悪づくが、エディはさらっと言った。
「でも、シーナが着るとかわいいよ」
「じゃあ何? 私が着るとかわいく無いっての?」
エディの言葉にミレアが噛み付いた。デイブが普段からミレアにそういう事を言っていればこんな事にはならなかっただろうが……
「いや……そういう事じゃ無いけど……」
言葉に困るエディにルークが助け舟を出した。
「そんな事無いよ。ミレアだってかわいいよ」
「じゃあ、私は?」
『かわいい』という言葉にステラまでもが珍しく乗っかってきた。
「も、もちろんステ……メイティもかわいいよ」
焦ったルークは危うく皆の前で『ステラ様』と言ってしまうところだった。そんな中、デイブは一人水に浸かって呑気なものだ。
「はっはっはっ 女は怖ぇな。まあいいから早く来いよ。気持ち良いぜ」
幸せそうにバチャバチャと水飛沫を上げて誘うデイブに。ルーク達は顔を見合わせて頷いた。
「そうね、行きましょうか」
「うん、いこう!」
五人は歓声を上げて湖に向かって駆け出した。
「シーナ!」
「あら、おはようエディ」
現在時刻は八時四十分。待ち合わせの時間までにはまだ二十分もある。自分が一番乗りだとばかり思っていたエディはシーナに言った。
「随分早いね」
「みんなを待たせちゃったら悪いと思って。せっかく誘ってもらったんだもの」
やっぱり良い子だなと思うエディに微笑みながらシーナは言った。
「エディも随分早いのね。早く来ておいて良かったわ」
その微笑みにすっかりやらてしまったエディは何か話したくても言葉が出て来ない。待ち望んだ時間だというのに……もじもじしているうちに聞き覚えのある声が聞こえた。
「お~っす エディにシーナ、早いな~」
「おはよう、待たせちゃったかしら?」
デイブとミレアがやって来たのだ。そして時間ギリギリになって
「ごめんごめん、遅くなっちゃった」
ルークとステラが小走りで現れた。
「ごめんなさい。お弁当作ってたら遅くなっちゃって」
「時間ぴったりだ。謝る事無いぜ」
謝るステラにデイブが言うとミレアも笑顔で言った。
「そうよ。お弁当作ってきてくれたんでしょ?」
「うん、たくさん作ってきたから遠慮無く食べてね」
「おう、楽しみだぜ」
「じゃあ行きましょうか」
例によって湖まで長い道のりを歩く。先刻の失態を取り戻すべくエディはシーナに一生懸命話しかけた。正直うっとおしいぐらいに。だが、それに嫌な顔を見せず話を聞き、時には相槌を打ち、時には笑顔を見せて応えるシーナ。それはエディにとって夢の様な時間だった。
やがて湖に到着。ステラにとっては長い道のりだったが、エディにとってはあっという間の道のりだった。
「あんた達、覗いたら殺すからね」
水着に着替える為、ミレア・ステラ・シーナが茂みへ消える。デイブは今回も水着を着込んで来たらしい。
「デイブ、毎回毎回暑くないの?」
水着に着替えながらルークが聞くとデイブは不敵な笑みを浮かべて答えた。
「この暑さ、蒸れ具合こそ夏の醍醐味ってヤツよ」
「また訳のわからない事を……」
エディが呆れた顔をするが、デイブは豪快に笑った。
「まぁ良いじゃねぇか。楽しんだ者勝ちってコトよ。んじゃ、先行くぜ!」
満面の笑顔でまた一人先に湖に飛び込むデイブにルークもすっかり呆れた顔となった。
「やれやれ…… ミレアを待つって考えはまったく無いみたいだね」
「まあ長い付き合いだからね。でも今は恋仲なんだから、少しは考えてあげないとダメだよね」
そんな事を話ながらルークとエディが着替えを済ませ、少し待つとミレアの声が聞こえた。
「おっ待たせ~」
テンションの高いミレアの声と共に水着に着替えた三人の女の子が茂みから出て来たのだ。ステラは白のワンピース、ミレアは赤のセパレーツ。これらは以前、五人でバーベキューに来た時と同じものだった。そしてエディの目を釘付けにしたのはもちろんシーナの水着姿だ。
シーナの水着は紺色のローレグタイプのワンピース。しかも、胸のところには名前が書かれた白い布が縫い付けられている。早い話がスクール水着、所謂スク水だった。かわいい水着のステラとミレアの少し後ろを恥ずかしそうに歩くシーナを見てエディが言った。
「シーナは真面目なんだね。今日は学園の行事じゃ無いんだから学園指定の水着じゃなくてもよかったのに」
「アンタたち相手には学園の水着で十分ってコトよ」
ミレアが悪づくが、エディはさらっと言った。
「でも、シーナが着るとかわいいよ」
「じゃあ何? 私が着るとかわいく無いっての?」
エディの言葉にミレアが噛み付いた。デイブが普段からミレアにそういう事を言っていればこんな事にはならなかっただろうが……
「いや……そういう事じゃ無いけど……」
言葉に困るエディにルークが助け舟を出した。
「そんな事無いよ。ミレアだってかわいいよ」
「じゃあ、私は?」
『かわいい』という言葉にステラまでもが珍しく乗っかってきた。
「も、もちろんステ……メイティもかわいいよ」
焦ったルークは危うく皆の前で『ステラ様』と言ってしまうところだった。そんな中、デイブは一人水に浸かって呑気なものだ。
「はっはっはっ 女は怖ぇな。まあいいから早く来いよ。気持ち良いぜ」
幸せそうにバチャバチャと水飛沫を上げて誘うデイブに。ルーク達は顔を見合わせて頷いた。
「そうね、行きましょうか」
「うん、いこう!」
五人は歓声を上げて湖に向かって駆け出した。
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