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魔法王国アルテナでの日々

ルーク達の前に現れたのは

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「よかったらボクのサンドイッチも食べてよ」

「えっ いいの? じゃあ私のおにぎりと交換しましょ」

「じゃあボクはお肉と交換してもらおうかな」

 皆でお弁当を食べる時にありがちな光景が繰り広げられる中、デイブは一人葛藤していた。

「……うーん」

「あれ デイブ、どうしたの?」

 デイブが難しい顔をしているのに気付いたルークが尋ねるが、デイブは眉間に皺を寄せたまま自分の弁当と向き合い、一人でブツブツと何やら呟いている。

「サンドイッチと交換するとなるとやっぱりハンバーグか? いやコレは俺の大好物だし……かといってこのフライは……」

 何の事はない、デイブは交換の品を何にしようかと真剣に悩んでいただけだった。そんなデイブを見かねたルークは笑顔で弁当箱を差し出した。

「いいよ、交換なんかしなくても。こんなにたくさんあるんだから、きっとみんなにも分けてあげろって事なんだよ。兄さん、友達と一緒にご飯食べるのは大事な事だっていつも言ってるもの」

「そ、そうか? なら遠慮無く」

 ルークの好意に喜び、嬉しそうにサンドイッチに手を伸ばしたデイブはパク付くなり声を上げた。

「美味ぇ!」

「本当、美味しいわね」

「何か気品のある味がするね。こんなの初めてだよ」

 ミレアとエディも絶賛の声を上げた。ルークも一つを手に取り、頬張ってみたところ、エディの言う『気品のある味』というのが理解出来た様な気がした。そのサンドイッチは怪我が治るまでお城で世話になっていた時に出してくれた食事と似た味付けだったのだ。ルークは思った。

 ――お城の材料を使ったからかな?でも、こっちの方が美味しい気がするな。兄さんが作ってくれたからかな? 外でみんなと食べてるからかな? ――

          *

 四人が輪になって弁当を食べているとどこからともなく声が聞こえてきた。

「楽しそうだね」

「うん、楽しいよ」

「ああ、楽しいぜ」

「ええ、楽しいわよ」

「うん、楽しいな」

 ルーク達四人はその声に同時に応えた。どういう訳か四人共、どこからともなく聞こえてきた誰の声ともわからない声に自然と応えてしまったのだ。

「それは結構だね」

 するとまた声がした。と同時に四人の輪の真ん中に小さな影が現れた。

「やあ、はじめましてだね。声は聞いてると思うけど」

 何の前触れも無く姿を現した声の主に四人の心は震えた。

「き、君って……」

 ミレアが震える声で言おうとしたが、感激するやら興奮するやらで言葉にならない。すると声の主はニコっと笑い、その口から期待通りの言葉が発せられた。

「そうだよ。君たちの言う精霊ってヤツ。ボクは風の精霊シルフ」



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