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入れ替わりマニュアル…って、こんなの無理!!

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「なんかさー……部室臭くない?」

「あーなんか昨日からじゃない?窓開けとく?」

ドキ……昨日……!

「そうそう、なんか…イカみたいな……」
「てか、これって……じゃ……」
「ええー!瑠花やめてよー!
ここに男子来るわけないじゃんー!」
「非処女発言とかやめてよね~」

ドキ…ドキ……

あいつが外してたバスト用ホルダーをつけ、着替えながら、部員の会話に聞き耳を立ててしまった。

うわ……それって、絶対、オレじゃん……。

いや、オレだって、あのニオイ嗅ぐまでは……知らなかったってか……////

いやでもあのニオイ、家の中でも嗅いだことあるな……

ってことは、そういうことで……

……うわー考えたくなかった//////


「……純、顔赤くない?
具合悪い??」

「あ、いえ!
大丈夫ッス!キャプテン!!」

部室に入ってきたキャプテンに顔を覗かれて、慌てて頭を下げた。


「そう……なんかあったら言ってよね?
てか、外で……また来てるけど……」


「!?」


ちょうど着替え終わって、慌てて外に出る。

体育館上にある部室からは、あいつがどこにいるかすぐに分かった。

「亜貴!」

呼ぶと、チラッとこちらを見てシカトされた。

今日はちゃっかりジャージを着て、今も悠長に靴紐を結んでいる。

あいつ……バスケやる気か!?

遊びのくせに、ふざけやがって……!


階段を駆け下りて、亜貴のところまで来て、腕を引いて立たせた。

「ちょっと来い」

「…………」


まだ部活は始まらない。

さっさと、こいつを始末しなくては。



***



「……何?」

「何じゃねぇだろ…」

オレたちは人目に付かぬように、あの桜の木のところに来ていた。

「何しに来てんだよ」

「バスケ部の体験入部」

「昨日ので終わりだろ?
なんでまた来てんだって聞いてんだよ」

「いつまた入れ替わるか分かんねーし、近くにいた方が安心だろ?」

「全っっっ然安心じゃねーから!!
オレがお前に迷惑してんの、分かんねーの!?
いい加減にしろよ!
頭いいならそれぐらい分かるだろ!?」

腕を組み、罵声を放った。

だが、怒れば怒るほど反応がない。

「いいか!?
3年はもうインターハイ賭けた最後の大会なのっ!!
お前みたいな半端もんが入って来たらみんなにも迷惑かかるし、ハッキリ言ってお荷物になる!!
オレで遊ぶのは最悪構わないけど、部活にまで入って来んなよ!!」

「……それは、理央が近くにいるからか?」

「はぁ!?」

「俺といるとこ見られたくなくて、そう思ってんじゃねーの?」

目も合わせずに、ゆっくりこちらに歩いてくる。

「武田先輩は、関係ない……!」

なんだか圧を感じて、後退る。


「俺にはそう見えないけど」


壁に手をつけて、挟まれる。

「何かと意識してるとことか、やっぱり女だよな。
強がって楯突いて、理央の話になると途端に弱くなる。
お前もその辺の女と同じ、片想いの自分に恋い焦がれるタイプか。
ヘドが出る」

「っ………そんなんじゃ……!」

なんか、攻められてるけど……

ふと、我に変える。

え、趣旨変わってない!?

「お前が女をどう思ってようがカンケーねーよ!!
別に、そう思うなら勝手にしろ!
オレは……」


「あんたは理央と釣り合わない」


顔に、冷たい風が吹いた。
春なのに、北風……?
あ、日陰だからか。

相変わらず無表情で、真っ直ぐ俺を見る亜貴。

なんだか、真実を告げられた気がして、胸が痛くなった。


「……んなの……」


ズキッ……


胸の奥で、どこかが叫んで、それと同時に、頭の血管がプツッと切れた音が聞こえた。


「んなこと分かってるよ!!
何!?
そんな貶すためにわざわざ来てんの!?
ふざけんな!
いいよオレは!!
男っぽいし!
別に告白しようとか、んなこと考えてねーし、どうなったって構わない!
バラしたきゃバラせば!?
オレは、別に、そんなんでへこたれないから!」


胸を張って、ガンを飛ばして、全力をぶつけた。

怒鳴りすぎて息が切れる。

涼しげな顔のこいつは、さっきまで饒舌だった口を閉じた。


勝ったか……!

今度こそ、負かしたか!?

こいつに響いたか!?


フッと笑みがこぼれる。


ーーのもつかの間。


ムニ……。


亜貴の手が、胸を摘んだ。


…………。


「……何してんの?」

「いや、あんまり胸を張るから、触って欲しいのかと」

「いや、離せよ」

「やっぱ男の手だとちゃんと掴めるな」

ムカッ!

こいつ……話聞いてなかったのか!!

「いい加減……」

「俺は女は嫌いだ」

「は?」

何急に……

手首を握って離れさせたところで、急にそんなことを言う。

「けど、あんたは、他と違う。
そうやって、殻にこもるしな。
自分で気付いてないんだろうけど」

殻に……?
いつ殻にこもったよ!?

「まぁ、もうちょっと周り見たら?」

「何?」

手を離れて、亜貴はさっさと歩いてく。


「俺のこと、見てな」


亜貴はほんの少し振り返ってニヤリと笑った。

悪魔の微笑み。

マジで、こいつやべぇ。

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