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和解には毒を
揺るがないから
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「興味ありません」
「……はい?」
今まで真剣な顔をしていた安形は私の返事にガクッと崩れた。
いつもの間抜けなーー角の無い姿を見て、内心ホッとして、安形の服を確認する。
そこまで日が出てないのでまだ湿っているが、体温で温めればなんとかなる感じな気がする。
「私は、テルさんのことを知りたいとは思いません。
テルさんが何を抱えていようが、それは私が背負うべきモノじゃないからです。
例え、いくら身体を重ねたとしても、私はテルさんの心まで受け入れるつもりは毛頭ないです。
私が好きなのは、栄司だから」
まるで、自分に言い聞かせているようだ、と自分でも思ってしまった。
でも、不思議と、言葉にするとホッとするものだ。
今こうして安形と話している間も、栄司の顔が浮かんで来ると心臓がキュッと痛くなる。
それは、間違いなく背徳感だけではない。
私の想いは、変わっていない証拠だ。
元々私は何人もの人と身体の関係を持った人間だ。
その中で、栄司に出会い、本当の恋をした。
心を捧げているのは、彼にだけだ。
そう思ったら、ますます胸が熱くなった。
今の私には、余裕がある。
振り返り、取り込んだ服を安形の方に投げて、真っ直ぐ見つめた。
「でも、テルさんが話したいなら、聞いてあげなくもないですよ」
不敵に笑う私を見て、キョトンとする安形に、1本取ったとばかりに思わずニヤけた。
それを見た安形は少しふてくされて、赤い顔を逸らしながら「なんだよそれ」と呟きながらも、手に顎を乗せてまた口を開いた。
「……なんか、今の空気で話す内容じゃ無いんだけど」
「ええ、どうぞ」
窓を閉めて改めて「お茶でも出します?」とおちょくりながら台所へ向かう。
「はぁ……大学入ってから、結構女と遊んでたの。
それだけ」
「それだけ、ですか?」
少し早口に言う安形に、やかんに水を入れ終えた私は聞き返してしまった。
今の暴露は安形なりに、恥ずかしがるところだったのだろうか。
「そうだよ。
俺、こう見えて結構モテてさ。
まぁ、大学デビューだったんだけど。
ほぼ毎日取っ替え引っ替えでいい思いしてたわけ。
だから女のイイところはよく知ってるし、どうすれば落ちるかもよく分かってるつもり」
めんどくさそうに、だけど割と丁寧に語り始める安形に、吹き出しそうになるのを堪えた。
あくまで、本人にとっては重要で、大真面目な話なのだ。
……下ネタ話すこと以外は反抗期の子供のようだが。
「まぁそれも早くに飽きて……だから愛華ちゃんに興味があったんだよね」
「私に?」
「『簡単にヤらせてくれる氷の華』って。
どんな感じなのか」
コンロに火をつけたところで、ハッとすると、いつの間にか安形は背後に立ち、私の肩に触れていた。
また……!
「……はい?」
今まで真剣な顔をしていた安形は私の返事にガクッと崩れた。
いつもの間抜けなーー角の無い姿を見て、内心ホッとして、安形の服を確認する。
そこまで日が出てないのでまだ湿っているが、体温で温めればなんとかなる感じな気がする。
「私は、テルさんのことを知りたいとは思いません。
テルさんが何を抱えていようが、それは私が背負うべきモノじゃないからです。
例え、いくら身体を重ねたとしても、私はテルさんの心まで受け入れるつもりは毛頭ないです。
私が好きなのは、栄司だから」
まるで、自分に言い聞かせているようだ、と自分でも思ってしまった。
でも、不思議と、言葉にするとホッとするものだ。
今こうして安形と話している間も、栄司の顔が浮かんで来ると心臓がキュッと痛くなる。
それは、間違いなく背徳感だけではない。
私の想いは、変わっていない証拠だ。
元々私は何人もの人と身体の関係を持った人間だ。
その中で、栄司に出会い、本当の恋をした。
心を捧げているのは、彼にだけだ。
そう思ったら、ますます胸が熱くなった。
今の私には、余裕がある。
振り返り、取り込んだ服を安形の方に投げて、真っ直ぐ見つめた。
「でも、テルさんが話したいなら、聞いてあげなくもないですよ」
不敵に笑う私を見て、キョトンとする安形に、1本取ったとばかりに思わずニヤけた。
それを見た安形は少しふてくされて、赤い顔を逸らしながら「なんだよそれ」と呟きながらも、手に顎を乗せてまた口を開いた。
「……なんか、今の空気で話す内容じゃ無いんだけど」
「ええ、どうぞ」
窓を閉めて改めて「お茶でも出します?」とおちょくりながら台所へ向かう。
「はぁ……大学入ってから、結構女と遊んでたの。
それだけ」
「それだけ、ですか?」
少し早口に言う安形に、やかんに水を入れ終えた私は聞き返してしまった。
今の暴露は安形なりに、恥ずかしがるところだったのだろうか。
「そうだよ。
俺、こう見えて結構モテてさ。
まぁ、大学デビューだったんだけど。
ほぼ毎日取っ替え引っ替えでいい思いしてたわけ。
だから女のイイところはよく知ってるし、どうすれば落ちるかもよく分かってるつもり」
めんどくさそうに、だけど割と丁寧に語り始める安形に、吹き出しそうになるのを堪えた。
あくまで、本人にとっては重要で、大真面目な話なのだ。
……下ネタ話すこと以外は反抗期の子供のようだが。
「まぁそれも早くに飽きて……だから愛華ちゃんに興味があったんだよね」
「私に?」
「『簡単にヤらせてくれる氷の華』って。
どんな感じなのか」
コンロに火をつけたところで、ハッとすると、いつの間にか安形は背後に立ち、私の肩に触れていた。
また……!
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