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海と祭りと弾丸と
酔いと接触
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「はい、ウーロン茶でよかった?」
「ありがとうございます」
ホテルの外にあるバーベキューハウスで、みんなで夕食。
1団体だが結構広くて、ベンチも囲むように配置されていて過ごしやすい。
屋台で少し食べてしまった分、すぐにお腹が満たされて、私は先に輪から外れた。
それに気付いたらしいテルさんが、飲み物を持って私の横に座った。
「あーもうちょっと愛華ちゃんの浴衣姿、見てたかったなぁ」
「何言ってるんですか。
あれはレンタルだし夕食の時間決まってたんだから、返すに決まってるでしょう。
わざわざお金まで出さなくても……」
「でも、冗談抜きで似合ってたよ」
フフッとまた笑う安形。
なんで、当たり前のように隣に安形がいるのだろう?
そんな疑問も、別にいいかと思った。
照明が少ない分、なんだかキャンプファイアーをしている気分だ。
1年生も2年生の一部も、だいぶお酒が回ったらしく、デロデロの状態で話している。
火で熱が上がるから、余計に酔いが回りやすいのだろう。
鐘崎は、その酔った状態の田村の介抱で忙しそうだし、莉奈さんは焼きに火がついて残り僅かなお肉を1人で焼いてみんなに配っている。
なんだか、不思議だ。
私が今ここにいることも。
夢じゃないか、心配になるくらい自然で、当たり前のように感じてしまう。
「栄司のこと見てるの?」
「っ、そんなことないですよ」
私はウーロン茶に口付けた。
ん?なんかスースーする。
ハッカでも入ってるんだろうか。
「仲直りしなくていいの?
栄司、勘違いするんじゃない?」
「勘違い?」
「俺と愛華ちゃん、付き合うんじゃないかって」
ドキッ……!
「っ……!そんなわけないじゃないですか!」
「そう?さっきの神社行く前とか、見てた?
相当ビックリしてたよ」
「だって、それはテルさんが……」
あの神社の言い伝えみたいなのがあって、好きな人の幸せを願うと叶うとか。
それには好きな人がいない状態でお祈りしなくちゃダメだとか言うから……。
「あ、やっぱり信じた?
ごめん、流石にデマ」
「は?」
「そうなのねー。
やっぱりそういうところ純粋だからねー」
「……嘘つき」
ムカっとしたら喉が渇いて、またゴクゴクと喉を通した。
やっぱりスースーする。
ウーロン茶じゃないんじゃないのか?
「ごめんごめん」
「…好きな人のことだったら、なんでもしたいじゃないですか。
ホント、人の気持ち弄ぶの上手ですよね」
ムッとしながらテルさんを睨むと、テルさんはハハッと笑った。
「そうだねー。
おかげでさっきは大成功だったよ。
栄司、めちゃくちゃポカンとしてた」
「……テルさん、酔ってます?」
「え?何が?」
「なんか、笑い方違うなぁって、思って」
「まぁ、酒は入ってるし、多少はね。
俺としては、愛華ちゃんといるとだいぶ自分が変わる気がするんだけど」
「………どういう意味ですかそれ」
頬が熱い。
手を置いて、ふぅと息を吐いた。
ここまで火の熱が届くのかも。
「例えば、愛華ちゃんに触って欲しいとか」
「え……」
頬につけていた手を掴まれたと思えば、安形の頬に手を乗せられる。
ドキッ……
顔を上げると、珍しく真っ直ぐな瞳で見つめる安形がいた。
「……それ、冗談ですよね?」
目を逸らすと、安形はフフッと笑う。
「俺が本気だったら、どうするの?」
「あ……」
耳元で囁かれて、声が漏れる。
変だ。
鐘崎じゃないのに。
ドキドキして、心臓が痛い。
「……愛華ちゃん、俺のことも好きになってるでしょ」
「え?」
私が、安形を、好き?
「違います……」
「じゃあ、抵抗したら?」
ムッとして、安形を見る。
その色っぽい瞳に、胸がギュッと痛んだ。
「そうじゃないと、キスしちゃうよ?」
「っ………」
ジッと見つめたまま、安形が近づいて来る。
ああ、なんか、おかしい。
ドキドキが、止まらない。
「……俺とキス、出来るの?」
なんで、こんな話になったんだっけ?
ちゃんと、思い出せない……。
けど、出来るかと、挑発されたら……。
「……出来るよ」
「え……っ」
もう片方の頬に手を寄せて、目を閉じて、唇に私のそれを重ねた。
口を開いて覆うように、キスをする。
チュ…チュ……
凄く、ドキドキが、止まらない。
安形が私の腕を掴んだのが分かった。
一度口が開いたのが分かって、グッと深くキスをする。
クチュ……チュパ……
「っは……」
「…………」
安形の吐息。
鐘崎と違った声。
こんな声、出すんだ。
……あれ、なんで、テルさんにキスしてるんだろう?
隙間にねじ込むように、舌を入れると、安形の舌に触れて、ほんの少しピクッと跳ねた。
それが少し嬉しくて、キスを楽しむ。
クチュ……チュ……
なんだか、もう色々なことがどうでもよくて、フワフワしてて。
あ、これ、夢なんだ。
妙にリアルな夢だなぁ。
どうせなら、テルさんじゃなくて、鐘崎くんとキスしたかったなぁ……。
「秦さんダメ!」
「っ…ふぇ……?」
後ろから羽交い締めにされるように引き離されて、思わず間抜けな声が漏れた。
ヤダ、これ自分の声?
「鐘崎、くん……?」
「あ……」
鐘崎は気まずそうに目を逸らす。
「やべーリアルチュー見ちゃったよー」
「え、これどういう状況?」
「テルさんに秦さんキスしてたでしょ」
「つまり、2人はそういう関係?」
「え、じゃあなんで栄司が止めるの?」
「これ、修羅場でしょ……」
代わる代わる声がして、ハッとする。
ヤダ、私…自分から、テルさんにキスしてた……?
「やっぱり氷の華の噂はホント?」
「いや、そうでしょ」
「今のエロすぎてビックリ…」
「っ……」
どうしよう。
安形を見ると、下を向いたまま、顔を上げない。
なんで、キスなんかしたんだっけ?
なんで、テルさんと……。
私が好きなのは、鐘崎くんなのに……。
最悪、だ。
「……ちょっと出よう」
「え?」
鐘崎は手を握って、私を連れ出した。
その手が強くて、恐い。
鐘崎に、また嫌なところを見せてしまった。
結局私は変わってない。
誰とでもキスしてしまう女なんだ……。
「ありがとうございます」
ホテルの外にあるバーベキューハウスで、みんなで夕食。
1団体だが結構広くて、ベンチも囲むように配置されていて過ごしやすい。
屋台で少し食べてしまった分、すぐにお腹が満たされて、私は先に輪から外れた。
それに気付いたらしいテルさんが、飲み物を持って私の横に座った。
「あーもうちょっと愛華ちゃんの浴衣姿、見てたかったなぁ」
「何言ってるんですか。
あれはレンタルだし夕食の時間決まってたんだから、返すに決まってるでしょう。
わざわざお金まで出さなくても……」
「でも、冗談抜きで似合ってたよ」
フフッとまた笑う安形。
なんで、当たり前のように隣に安形がいるのだろう?
そんな疑問も、別にいいかと思った。
照明が少ない分、なんだかキャンプファイアーをしている気分だ。
1年生も2年生の一部も、だいぶお酒が回ったらしく、デロデロの状態で話している。
火で熱が上がるから、余計に酔いが回りやすいのだろう。
鐘崎は、その酔った状態の田村の介抱で忙しそうだし、莉奈さんは焼きに火がついて残り僅かなお肉を1人で焼いてみんなに配っている。
なんだか、不思議だ。
私が今ここにいることも。
夢じゃないか、心配になるくらい自然で、当たり前のように感じてしまう。
「栄司のこと見てるの?」
「っ、そんなことないですよ」
私はウーロン茶に口付けた。
ん?なんかスースーする。
ハッカでも入ってるんだろうか。
「仲直りしなくていいの?
栄司、勘違いするんじゃない?」
「勘違い?」
「俺と愛華ちゃん、付き合うんじゃないかって」
ドキッ……!
「っ……!そんなわけないじゃないですか!」
「そう?さっきの神社行く前とか、見てた?
相当ビックリしてたよ」
「だって、それはテルさんが……」
あの神社の言い伝えみたいなのがあって、好きな人の幸せを願うと叶うとか。
それには好きな人がいない状態でお祈りしなくちゃダメだとか言うから……。
「あ、やっぱり信じた?
ごめん、流石にデマ」
「は?」
「そうなのねー。
やっぱりそういうところ純粋だからねー」
「……嘘つき」
ムカっとしたら喉が渇いて、またゴクゴクと喉を通した。
やっぱりスースーする。
ウーロン茶じゃないんじゃないのか?
「ごめんごめん」
「…好きな人のことだったら、なんでもしたいじゃないですか。
ホント、人の気持ち弄ぶの上手ですよね」
ムッとしながらテルさんを睨むと、テルさんはハハッと笑った。
「そうだねー。
おかげでさっきは大成功だったよ。
栄司、めちゃくちゃポカンとしてた」
「……テルさん、酔ってます?」
「え?何が?」
「なんか、笑い方違うなぁって、思って」
「まぁ、酒は入ってるし、多少はね。
俺としては、愛華ちゃんといるとだいぶ自分が変わる気がするんだけど」
「………どういう意味ですかそれ」
頬が熱い。
手を置いて、ふぅと息を吐いた。
ここまで火の熱が届くのかも。
「例えば、愛華ちゃんに触って欲しいとか」
「え……」
頬につけていた手を掴まれたと思えば、安形の頬に手を乗せられる。
ドキッ……
顔を上げると、珍しく真っ直ぐな瞳で見つめる安形がいた。
「……それ、冗談ですよね?」
目を逸らすと、安形はフフッと笑う。
「俺が本気だったら、どうするの?」
「あ……」
耳元で囁かれて、声が漏れる。
変だ。
鐘崎じゃないのに。
ドキドキして、心臓が痛い。
「……愛華ちゃん、俺のことも好きになってるでしょ」
「え?」
私が、安形を、好き?
「違います……」
「じゃあ、抵抗したら?」
ムッとして、安形を見る。
その色っぽい瞳に、胸がギュッと痛んだ。
「そうじゃないと、キスしちゃうよ?」
「っ………」
ジッと見つめたまま、安形が近づいて来る。
ああ、なんか、おかしい。
ドキドキが、止まらない。
「……俺とキス、出来るの?」
なんで、こんな話になったんだっけ?
ちゃんと、思い出せない……。
けど、出来るかと、挑発されたら……。
「……出来るよ」
「え……っ」
もう片方の頬に手を寄せて、目を閉じて、唇に私のそれを重ねた。
口を開いて覆うように、キスをする。
チュ…チュ……
凄く、ドキドキが、止まらない。
安形が私の腕を掴んだのが分かった。
一度口が開いたのが分かって、グッと深くキスをする。
クチュ……チュパ……
「っは……」
「…………」
安形の吐息。
鐘崎と違った声。
こんな声、出すんだ。
……あれ、なんで、テルさんにキスしてるんだろう?
隙間にねじ込むように、舌を入れると、安形の舌に触れて、ほんの少しピクッと跳ねた。
それが少し嬉しくて、キスを楽しむ。
クチュ……チュ……
なんだか、もう色々なことがどうでもよくて、フワフワしてて。
あ、これ、夢なんだ。
妙にリアルな夢だなぁ。
どうせなら、テルさんじゃなくて、鐘崎くんとキスしたかったなぁ……。
「秦さんダメ!」
「っ…ふぇ……?」
後ろから羽交い締めにされるように引き離されて、思わず間抜けな声が漏れた。
ヤダ、これ自分の声?
「鐘崎、くん……?」
「あ……」
鐘崎は気まずそうに目を逸らす。
「やべーリアルチュー見ちゃったよー」
「え、これどういう状況?」
「テルさんに秦さんキスしてたでしょ」
「つまり、2人はそういう関係?」
「え、じゃあなんで栄司が止めるの?」
「これ、修羅場でしょ……」
代わる代わる声がして、ハッとする。
ヤダ、私…自分から、テルさんにキスしてた……?
「やっぱり氷の華の噂はホント?」
「いや、そうでしょ」
「今のエロすぎてビックリ…」
「っ……」
どうしよう。
安形を見ると、下を向いたまま、顔を上げない。
なんで、キスなんかしたんだっけ?
なんで、テルさんと……。
私が好きなのは、鐘崎くんなのに……。
最悪、だ。
「……ちょっと出よう」
「え?」
鐘崎は手を握って、私を連れ出した。
その手が強くて、恐い。
鐘崎に、また嫌なところを見せてしまった。
結局私は変わってない。
誰とでもキスしてしまう女なんだ……。
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