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ライバルと答え
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…………決めなくちゃ、と思っていたはずなのに………。
気づけば放課後になっていた。
先生が、とりあえず体験入部的にやってみたらと、瑞希ちゃんと私を部活に呼んでくれた。
体育着を来て、私は女子の部活に混じってみた。
………が。
隣の男テニの視線が……熱い。
「ヤベー。
安藤さんがテニスするって……」
「上手いのかな?」
「ずば抜けて可愛い…」
「なんか顔赤くね?」
「赤面性なんだってさ」
誰だ……そんな嘘ついたの。
「金田瑞希です!
よろしくお願いします!」
瑞希ちゃんが頭を下げると、みんなが拍手をした。
「この前応援来てくれた子だよね!?」
「はい!あの試合見て、テニスが好きになりました!」
「やべ!ファンじゃん!」
「ついに俺たちの時代が……!」
私は準備運動をしながら、テニスコートを見つめた。
あっちは気にしない。
私は女子なんだから。
久々のコート。
大好きなテニス。
まだ打てるかな?
楽しもう。
「安藤さん!
あの、一緒に乱打、しない?」
「お願いします!
あ、私、あっち側行きますね!」
こちら側は男子がたくさん集まっているので、わざと奥に移動した。
これで、近くに男子を感じることはない。
思いっきりやれる。
*** 三ツ橋先輩side
「やっぱうめー」
「最初は外してたけど、普通にラリーしてるよな?」
「てか、フォーム綺麗なんだけど!
いつからテニスしてんだっけ?」
「柔らかい。
やっぱりジュニアか?」
一年たちがボールよりも隣にいるあいつを見ている。
俺がコートに着いたときには、もうすでに隣で乱打を始めていた。
圧倒的にコントロールがいい。
正確にラケットに当たってるし、球もまぁまぁ速い。
フォームは完璧だ。
他のコースで打つみんながボールを飛ばしてしまう中、クロスで打つあいつらだけはしっかりと打ち合いが続いている。
相手も1年で大して上手くない。
だが、あいつの打つ球が良いところに返るから、しっかり打ち合えてるんだ。
「ちっ……」
非の打ち所のない、とはこういうことだ。
これで女テニに入らない方がおかしいと、誰もが思うだろう。
男子のマネージャーなんて、やらせられない。
「咲來ちゃん、スゴいですねー!」
瑞希が隣にやってきた。
「あんなに才能あるなら、もっと早くに入部すればよかったのにね」
はい、と手にボールを握らせる。
「瑞希ちゃーん!」
「あ!夏蓮ちゃん!!」
「練習始まるって聞いたから、見に来たよー!」
「うん!今ちょうど咲來ちゃんが打ち合ってて……」
声だけが、小さく耳に入ってくる。
ムカつく。
手加減してるあいつも、何もかも………。
「えっ……先輩?」
壊してやりたくなる。
気づけば放課後になっていた。
先生が、とりあえず体験入部的にやってみたらと、瑞希ちゃんと私を部活に呼んでくれた。
体育着を来て、私は女子の部活に混じってみた。
………が。
隣の男テニの視線が……熱い。
「ヤベー。
安藤さんがテニスするって……」
「上手いのかな?」
「ずば抜けて可愛い…」
「なんか顔赤くね?」
「赤面性なんだってさ」
誰だ……そんな嘘ついたの。
「金田瑞希です!
よろしくお願いします!」
瑞希ちゃんが頭を下げると、みんなが拍手をした。
「この前応援来てくれた子だよね!?」
「はい!あの試合見て、テニスが好きになりました!」
「やべ!ファンじゃん!」
「ついに俺たちの時代が……!」
私は準備運動をしながら、テニスコートを見つめた。
あっちは気にしない。
私は女子なんだから。
久々のコート。
大好きなテニス。
まだ打てるかな?
楽しもう。
「安藤さん!
あの、一緒に乱打、しない?」
「お願いします!
あ、私、あっち側行きますね!」
こちら側は男子がたくさん集まっているので、わざと奥に移動した。
これで、近くに男子を感じることはない。
思いっきりやれる。
*** 三ツ橋先輩side
「やっぱうめー」
「最初は外してたけど、普通にラリーしてるよな?」
「てか、フォーム綺麗なんだけど!
いつからテニスしてんだっけ?」
「柔らかい。
やっぱりジュニアか?」
一年たちがボールよりも隣にいるあいつを見ている。
俺がコートに着いたときには、もうすでに隣で乱打を始めていた。
圧倒的にコントロールがいい。
正確にラケットに当たってるし、球もまぁまぁ速い。
フォームは完璧だ。
他のコースで打つみんながボールを飛ばしてしまう中、クロスで打つあいつらだけはしっかりと打ち合いが続いている。
相手も1年で大して上手くない。
だが、あいつの打つ球が良いところに返るから、しっかり打ち合えてるんだ。
「ちっ……」
非の打ち所のない、とはこういうことだ。
これで女テニに入らない方がおかしいと、誰もが思うだろう。
男子のマネージャーなんて、やらせられない。
「咲來ちゃん、スゴいですねー!」
瑞希が隣にやってきた。
「あんなに才能あるなら、もっと早くに入部すればよかったのにね」
はい、と手にボールを握らせる。
「瑞希ちゃーん!」
「あ!夏蓮ちゃん!!」
「練習始まるって聞いたから、見に来たよー!」
「うん!今ちょうど咲來ちゃんが打ち合ってて……」
声だけが、小さく耳に入ってくる。
ムカつく。
手加減してるあいつも、何もかも………。
「えっ……先輩?」
壊してやりたくなる。
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