初恋のキミ

天野 奏

文字の大きさ
上 下
55 / 57
ライバルと答え

12

しおりを挟む
…………決めなくちゃ、と思っていたはずなのに………。

気づけば放課後になっていた。

先生が、とりあえず体験入部的にやってみたらと、瑞希ちゃんと私を部活に呼んでくれた。

体育着を来て、私は女子の部活に混じってみた。

………が。

隣の男テニの視線が……熱い。

「ヤベー。
安藤さんがテニスするって……」

「上手いのかな?」

「ずば抜けて可愛い…」 

「なんか顔赤くね?」

「赤面性なんだってさ」

誰だ……そんな嘘ついたの。

「金田瑞希です!
よろしくお願いします!」

瑞希ちゃんが頭を下げると、みんなが拍手をした。

「この前応援来てくれた子だよね!?」

「はい!あの試合見て、テニスが好きになりました!」

「やべ!ファンじゃん!」

「ついに俺たちの時代が……!」

私は準備運動をしながら、テニスコートを見つめた。

あっちは気にしない。

私は女子なんだから。

久々のコート。

大好きなテニス。

まだ打てるかな?

楽しもう。

「安藤さん!
あの、一緒に乱打、しない?」

「お願いします!
あ、私、あっち側行きますね!」

こちら側は男子がたくさん集まっているので、わざと奥に移動した。

これで、近くに男子を感じることはない。

思いっきりやれる。


*** 三ツ橋先輩side


「やっぱうめー」

「最初は外してたけど、普通にラリーしてるよな?」

「てか、フォーム綺麗なんだけど!
いつからテニスしてんだっけ?」

「柔らかい。
やっぱりジュニアか?」

一年たちがボールよりも隣にいるあいつを見ている。

俺がコートに着いたときには、もうすでに隣で乱打を始めていた。

圧倒的にコントロールがいい。

正確にラケットに当たってるし、球もまぁまぁ速い。

フォームは完璧だ。

他のコースで打つみんながボールを飛ばしてしまう中、クロスで打つあいつらだけはしっかりと打ち合いが続いている。

相手も1年で大して上手くない。

だが、あいつの打つ球が良いところに返るから、しっかり打ち合えてるんだ。

「ちっ……」

非の打ち所のない、とはこういうことだ。

これで女テニに入らない方がおかしいと、誰もが思うだろう。

男子のマネージャーなんて、やらせられない。

「咲來ちゃん、スゴいですねー!」

瑞希が隣にやってきた。

「あんなに才能あるなら、もっと早くに入部すればよかったのにね」

はい、と手にボールを握らせる。

「瑞希ちゃーん!」

「あ!夏蓮ちゃん!!」

「練習始まるって聞いたから、見に来たよー!」

「うん!今ちょうど咲來ちゃんが打ち合ってて……」

声だけが、小さく耳に入ってくる。

ムカつく。

手加減してるあいつも、何もかも………。

「えっ……先輩?」

壊してやりたくなる。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

彼女の母は蜜の味

緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

【R18】淫乱メイドは今日も乱れる

ねんごろ
恋愛
ご主人様のお屋敷にお仕えするメイドの私は、乱れるしかない運命なのです。 毎日のように訪ねてくるご主人様のご友人は、私を…… ※性的な表現が多分にあるのでご注意ください

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

処理中です...