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素っ気ない先輩とモヤモヤ
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放課後。
学級委員と体育委員に召集があり、私は教室にいた。
内容は前期末にある体育祭のこと。
明日のホームルームで種目を決めたりするらしい。
色々早いな……なんて思ってたら、なんだか焦ってきた。
「いつでも良い……か」
いつでも、っていうのは、とても曖昧な言葉だ。
どっちでもいい。
居ても居なくても変わらないと、言われてるみたいじゃないか。
「はぁ…………」
「何?恋のため息?」
「っ!桐谷先輩!!」
「スゴ!
顔見なくても分かるの!?」
あ、あはは…と流して、後退りながらカバンを胸に抱える。
「私、結構耳良いんです……どうして、ここに?」
確か、部活がある人は委員会出なくても良いはず……
「うちのクラスの学級委員も体育委員も、みんな運動部だからって来たがらなくて。
誰も来ないわけにはいかないし、俺も体育委員だから、仕方なく引き受けたの」
「そ、そうだったんですね……」
やっぱり、三ッ橋先輩がいないと、緊張する。
でも、前よりは自然に喋れてる方……かな?
「ところでさ、安藤さん、マネージャーやらないのー?」
ビクッ。
「あ、えっと…悩んでて………」
「そっかー。
キョーヤも何も言わないし、止めたのかと思ったよ。
まぁあんなのに遭ったし、しょうがないと思ってたからね」
あんなの……と、硬式の先輩たちが頭に浮かぶ。
「そ、そうですね………」
「あのね、あのあとみんなで掃除して、めちゃくちゃ綺麗になったよ!
ホント安藤さんのおかげ!ありがとね!」
「い、いえ……私は途中までしか……」
「みんな、かなり張り切ってやったからねー。
まぁ、女子の、しかも安藤さんが俺たちの為にやってくれたって思ったからかもしんないけどね。
俺たち単純バカばっかだから、すぐやる気に直結しちゃうんだよね」
「そうなんですか?」
「うんうん。
女子に何かしてもらえるってだけで張り切るよ?
みんな硬式は見ても軟式には興味ない人多いからねー。
だからさ、ありがとね!」
先輩が笑ったのが、なんとなく分かった。
やっぱり、恐いな、と思ってしまう半面、なんか、嬉しい。
「お役に立てたなら………嬉しい……です」
「まぁ、マネージャーはやろうとしたら大変かもだけど、気分が乗ったらまたおいで?」
「あ………」
先輩はそれだけ言って、スッといなくなってしまった。
また行ってもいいんだ。
なんだか、心が軽くなった。
学級委員と体育委員に召集があり、私は教室にいた。
内容は前期末にある体育祭のこと。
明日のホームルームで種目を決めたりするらしい。
色々早いな……なんて思ってたら、なんだか焦ってきた。
「いつでも良い……か」
いつでも、っていうのは、とても曖昧な言葉だ。
どっちでもいい。
居ても居なくても変わらないと、言われてるみたいじゃないか。
「はぁ…………」
「何?恋のため息?」
「っ!桐谷先輩!!」
「スゴ!
顔見なくても分かるの!?」
あ、あはは…と流して、後退りながらカバンを胸に抱える。
「私、結構耳良いんです……どうして、ここに?」
確か、部活がある人は委員会出なくても良いはず……
「うちのクラスの学級委員も体育委員も、みんな運動部だからって来たがらなくて。
誰も来ないわけにはいかないし、俺も体育委員だから、仕方なく引き受けたの」
「そ、そうだったんですね……」
やっぱり、三ッ橋先輩がいないと、緊張する。
でも、前よりは自然に喋れてる方……かな?
「ところでさ、安藤さん、マネージャーやらないのー?」
ビクッ。
「あ、えっと…悩んでて………」
「そっかー。
キョーヤも何も言わないし、止めたのかと思ったよ。
まぁあんなのに遭ったし、しょうがないと思ってたからね」
あんなの……と、硬式の先輩たちが頭に浮かぶ。
「そ、そうですね………」
「あのね、あのあとみんなで掃除して、めちゃくちゃ綺麗になったよ!
ホント安藤さんのおかげ!ありがとね!」
「い、いえ……私は途中までしか……」
「みんな、かなり張り切ってやったからねー。
まぁ、女子の、しかも安藤さんが俺たちの為にやってくれたって思ったからかもしんないけどね。
俺たち単純バカばっかだから、すぐやる気に直結しちゃうんだよね」
「そうなんですか?」
「うんうん。
女子に何かしてもらえるってだけで張り切るよ?
みんな硬式は見ても軟式には興味ない人多いからねー。
だからさ、ありがとね!」
先輩が笑ったのが、なんとなく分かった。
やっぱり、恐いな、と思ってしまう半面、なんか、嬉しい。
「お役に立てたなら………嬉しい……です」
「まぁ、マネージャーはやろうとしたら大変かもだけど、気分が乗ったらまたおいで?」
「あ………」
先輩はそれだけ言って、スッといなくなってしまった。
また行ってもいいんだ。
なんだか、心が軽くなった。
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