初恋のキミ

天野 奏

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素っ気ない先輩とモヤモヤ

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今日の生物は移動教室。

「あ………」
「あれ、三ッ橋先輩だ」
「ああ、あれが!」

みんなで歩いていると、向かい側から先輩が来た。
生物準備室から出てきたところらしい。

「あ、先に教室入ってて!
マネージャーの件で、先輩と話があるの!」
「あ!またその話?」
「はいはーい、行ってらっしゃい」

夏蓮ちゃんに押されるように、みんなが教室に入っていった。

「あ、あの!三ッ橋先輩!!」

走って近くに行くと、先輩は立ち止まった。

「あー、あんたか」

ずっと目が合ってたと思ったけど、先輩は今気づいたように返事をした。
少し頬に赤みがあるが、だいぶ腫れは引いている。

「あの、すみません…私、ずっとマネージャーの申請してなくって……」

「……あー、そう」

ん?
なんか、素っ気ない?
目も逸らされて……なんか、いつもと違う。

「大会前ですし、やっぱり、入るなら今の方が良いんでしょうか?
それとも、今からじゃ迷惑になりますか……?」

「はぁ………いつでも良いんじゃない?
好きなようにやりなよ」

先輩は頭を掻くと、ため息をついた。

「じゃ、俺も忙しいんで」

めんどくさそうに、先輩は去っていった。

何………なんか…………
怒ってるの?

チャイムが鳴って、教室に入る。

「先輩、なんだって?」
「うん、いつでも良いって」
「そっか、良かったねー!」
「うん……でも、なんか雰囲気違った」
「そうなんだ?」
「うん、なんか、分かんないけど…」
「大会前だからみんなピリピリしてるのかもねー」
「あ、そっか………」
「そうそう。
マネージャーになるのは大会終わって3年生引退してからの方が良いんじゃない?
1年の知らない子が入ってくるってのも、またプレッシャーかもしれないし」

和子ちゃんがサラッと言った。

3年生がいなくなったら、か……。
どのくらい本気の部活なんだろう?
先輩が来てなくても問題ないくらいなんだから、大して本気ではないのかな?

それなら、マネージャーはやっぱり、必要ない……のかな?

なんだか、胸の奥が、モヤモヤする。
………何故?


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