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輝く龍に会いました。
水中の夢心地
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ドボン――――
まるで、水に沈むような感覚。
冷たくて、暗くて、心まで冷やされるようだ。
息が出来なくて、苦しくて。
どんどん、光が遠くなっていく。
あたし、死ぬのかな?
てか、死んだのかな?
いや、死んだんだよね?
だって…あんなに勢い良くぶつかったんだもん。
きっと、おとぎ話の三途の川だ。
爽くんは、無事かな?
あたし、ちゃんと助けられたかな?
「そう…く……」
口を開けたら泡が逃げて行って、水が押し寄せてまた苦しさを増す。
死んでも苦しいものなのね。
もしかして、ここって地獄?
手足が動かない。
冷たく、侵食されていく。
ドボン………
目の前が揺れたかと思えば、真っ暗な闇が迫ってくる。
何?
抵抗なんて出来ない。
もう体は動かない。
ただ、いいものなのか、悪いものなのか、よく分からない。
ま、いいか。
もう死んだんだろうし。
黒いものがあたしの手に触れる。
温かいのか、冷たいのか分からない。
ただ、不思議と人の手に感じた。
闇があたしを包み込む。
あたしは目を閉じ、意識を手放した。
***
「死ぬな――――」
声が、聞こえた。
また目を開いた時には、目の前には綺麗なまつ毛。
ぼんやりとしていて、体も動かなくて、これが現実なのか、夢なのかも分からない。
キス、されてる?
唇に触れる柔らかいもの。
優しく触れているのは、きっと、この人の唇。
ようやく、夢なのだと分かった。
もう死んだんだから、こんなの有り得ない。
人は死んでからも夢を見るんだな、改めて気づいた。
そういえば、生きている時も、あたし、誰ともキスした時無かったな…
てか、付き合ったことも、手を繋いだことも無いや。
これって、後悔してるのかな?
だから夢になってるの?
まつ毛が上がり、顔が離れる。
薄く開いた真っ黒な瞳は、あたしの瞳を捕らえて放さない。
全体が見えたと思ったら、ボヤけた視界の中でも分かるぐらいすごく――――綺麗な男の人だった。
死神?
それとも神様?
まぁ、どっちだっていいか。
人生初めてキスされたのが、こんなキレイな人で良かった。
ただ、少し残念なのは…
視界がどんどん狭くなっていく。
周りが徐々に暗くなって、ようやく瞼が閉じ始めていることに気づいた。
この人と、もっと話してみたかった。
恋、してみたかった。
また、闇に落ちた。
………
……………
まるで、水に沈むような感覚。
冷たくて、暗くて、心まで冷やされるようだ。
息が出来なくて、苦しくて。
どんどん、光が遠くなっていく。
あたし、死ぬのかな?
てか、死んだのかな?
いや、死んだんだよね?
だって…あんなに勢い良くぶつかったんだもん。
きっと、おとぎ話の三途の川だ。
爽くんは、無事かな?
あたし、ちゃんと助けられたかな?
「そう…く……」
口を開けたら泡が逃げて行って、水が押し寄せてまた苦しさを増す。
死んでも苦しいものなのね。
もしかして、ここって地獄?
手足が動かない。
冷たく、侵食されていく。
ドボン………
目の前が揺れたかと思えば、真っ暗な闇が迫ってくる。
何?
抵抗なんて出来ない。
もう体は動かない。
ただ、いいものなのか、悪いものなのか、よく分からない。
ま、いいか。
もう死んだんだろうし。
黒いものがあたしの手に触れる。
温かいのか、冷たいのか分からない。
ただ、不思議と人の手に感じた。
闇があたしを包み込む。
あたしは目を閉じ、意識を手放した。
***
「死ぬな――――」
声が、聞こえた。
また目を開いた時には、目の前には綺麗なまつ毛。
ぼんやりとしていて、体も動かなくて、これが現実なのか、夢なのかも分からない。
キス、されてる?
唇に触れる柔らかいもの。
優しく触れているのは、きっと、この人の唇。
ようやく、夢なのだと分かった。
もう死んだんだから、こんなの有り得ない。
人は死んでからも夢を見るんだな、改めて気づいた。
そういえば、生きている時も、あたし、誰ともキスした時無かったな…
てか、付き合ったことも、手を繋いだことも無いや。
これって、後悔してるのかな?
だから夢になってるの?
まつ毛が上がり、顔が離れる。
薄く開いた真っ黒な瞳は、あたしの瞳を捕らえて放さない。
全体が見えたと思ったら、ボヤけた視界の中でも分かるぐらいすごく――――綺麗な男の人だった。
死神?
それとも神様?
まぁ、どっちだっていいか。
人生初めてキスされたのが、こんなキレイな人で良かった。
ただ、少し残念なのは…
視界がどんどん狭くなっていく。
周りが徐々に暗くなって、ようやく瞼が閉じ始めていることに気づいた。
この人と、もっと話してみたかった。
恋、してみたかった。
また、闇に落ちた。
………
……………
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