14 / 30
『白き妖狐は甘い夢を見るか』
5
しおりを挟む
小春は、キスすらも初めてだ。一途に優祈を思ってきたからこそ、今まで誰ともしてこなかった。知識も、当然ながらほとんどない。硬直する優祈の唇に、自身のものをそっと押し当てるだけで終わった。
小春が顔を離すと、優祈と視線が交わった。優祈は怒るだろうか。小春の予想では、許してはくれるが、やんわり諭されそうだというのが一番だった。しかし、これは夢だ。さっきから上手く制御できていない小春には、何が起こるか分からなかった。
「小春は……純粋で、可愛いな」
優祈は頬を緩め、甘やかすように小春の頭を撫でた。
「え?」
「拾った時は、女の子だとは分からなかったんだ。決して、下心があったわけではない」
「ご主人様?」
「成長するうちに、どんどん情が移っていった。今では、可愛くてたまらないよ」
優祈の手のひらが、小春の頬に移動する。すりすりと擦られて、くすぐったさに小春は目を閉じた。やはり、感覚だけはやけに現実味がある。
「そう思っていただけて、嬉しいです」
「小春。僕は君を守らなければならない立場だ。だからさっきは、受け入れるわけにはいかないと思った。でも……」
「でも?」
「正直に言うね。このまま永遠に、小春を僕だけのものにしたい」
「……ご主人様っ」
小春は再び優祈に抱きついた。ぽろぽろと涙を零し、夢から覚めたくないと願った。泡沫の時間に過ぎないけれど、せめて今だけは幸せに浸りたいのだ。
「小春、抱きしめてくれるのは嬉しいけど……その……」
「なんでしょう?」
「手と目のやり場に、困るんだ」
女性の裸には慣れていないのか、それとも優祈の元々の性格か。遠まわしに「妖狐の姿に戻れ」と言われた小春だが、これを好機だと捉えて、優祈の手を取った。それを自身の胸に当てる。温かくて大きな手のひらが、マシュマロのように柔らかい乳房に触れた。優祈は慌てて手を離そうとするが、小春はそれを掴んで逃がさなかった。
「こ、小春っ」
「ご主人様、恥を忍んでもう一度お願いします! 私のことを大切に想ってくださるなら、抱いて、ください……」
互いに顔を真っ赤にして、数秒間見つめ合った。優祈の喉仏が、ゆっくりと大きく動く。唾を飲み込んだらしい。
「本当に、僕でいいの?」
「ご主人様が、いいんです……」
「後悔、しない?」
「はい。絶対に」
「参ったな。そこまで言われたら、我慢がきかなくなる……」
優祈は空いた腕で小春の腰を抱き寄せ、ついばむようにキスをした。小春がしたのとは違い、慣れていて、少し大人な感じだ。小春はうっとりとしてそれに応えながら、掴んでいた優祈の手を離した。
「小春、僕の膝の上においで」
「っ……はい」
小春は優祈にほぼ抱え上げられる形で、胡坐を組んだ優祈の膝の上に跨った。着物が泥で更に汚れるのも気にせず、優祈は小春の肌を撫でていく。
「あ……くすぐったい、です……」
「うん。いろいろ触るから、もっとくすぐったいかも?」
「んっ」
優祈の嬉しそうに笑う声がする。なぜ笑っているのか分からないが、その瞳は小春への愛情に溢れていた。小春がキスをねだると、今度は唇を食むようにして応えてくれる。その間に、優祈の手は小春の胸をまさぐった。
小春が顔を離すと、優祈と視線が交わった。優祈は怒るだろうか。小春の予想では、許してはくれるが、やんわり諭されそうだというのが一番だった。しかし、これは夢だ。さっきから上手く制御できていない小春には、何が起こるか分からなかった。
「小春は……純粋で、可愛いな」
優祈は頬を緩め、甘やかすように小春の頭を撫でた。
「え?」
「拾った時は、女の子だとは分からなかったんだ。決して、下心があったわけではない」
「ご主人様?」
「成長するうちに、どんどん情が移っていった。今では、可愛くてたまらないよ」
優祈の手のひらが、小春の頬に移動する。すりすりと擦られて、くすぐったさに小春は目を閉じた。やはり、感覚だけはやけに現実味がある。
「そう思っていただけて、嬉しいです」
「小春。僕は君を守らなければならない立場だ。だからさっきは、受け入れるわけにはいかないと思った。でも……」
「でも?」
「正直に言うね。このまま永遠に、小春を僕だけのものにしたい」
「……ご主人様っ」
小春は再び優祈に抱きついた。ぽろぽろと涙を零し、夢から覚めたくないと願った。泡沫の時間に過ぎないけれど、せめて今だけは幸せに浸りたいのだ。
「小春、抱きしめてくれるのは嬉しいけど……その……」
「なんでしょう?」
「手と目のやり場に、困るんだ」
女性の裸には慣れていないのか、それとも優祈の元々の性格か。遠まわしに「妖狐の姿に戻れ」と言われた小春だが、これを好機だと捉えて、優祈の手を取った。それを自身の胸に当てる。温かくて大きな手のひらが、マシュマロのように柔らかい乳房に触れた。優祈は慌てて手を離そうとするが、小春はそれを掴んで逃がさなかった。
「こ、小春っ」
「ご主人様、恥を忍んでもう一度お願いします! 私のことを大切に想ってくださるなら、抱いて、ください……」
互いに顔を真っ赤にして、数秒間見つめ合った。優祈の喉仏が、ゆっくりと大きく動く。唾を飲み込んだらしい。
「本当に、僕でいいの?」
「ご主人様が、いいんです……」
「後悔、しない?」
「はい。絶対に」
「参ったな。そこまで言われたら、我慢がきかなくなる……」
優祈は空いた腕で小春の腰を抱き寄せ、ついばむようにキスをした。小春がしたのとは違い、慣れていて、少し大人な感じだ。小春はうっとりとしてそれに応えながら、掴んでいた優祈の手を離した。
「小春、僕の膝の上においで」
「っ……はい」
小春は優祈にほぼ抱え上げられる形で、胡坐を組んだ優祈の膝の上に跨った。着物が泥で更に汚れるのも気にせず、優祈は小春の肌を撫でていく。
「あ……くすぐったい、です……」
「うん。いろいろ触るから、もっとくすぐったいかも?」
「んっ」
優祈の嬉しそうに笑う声がする。なぜ笑っているのか分からないが、その瞳は小春への愛情に溢れていた。小春がキスをねだると、今度は唇を食むようにして応えてくれる。その間に、優祈の手は小春の胸をまさぐった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる