光の屈折

瀬楽英津子

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〜誰にも言えない

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 何度目かの絶頂に、侑斗は切ない泣き声を上げた。

「あッ、あらたッ! もッ……ホントに……やだってばぁッ……」

 悲鳴はとうに通り越し、子供が、えっ、えっ、と喉を詰まらせながら悲しみを訴えるような痛々しい泣き声に変わっている。
 新太の上に跨がり、筋肉の浮いた胸に両手をついてお尻を浮かせながら、侑斗は、容赦なく突き上げる新太の昂ぶりを必死で受け止めていた。
 吐精したのは三回。お尻の中だけでイカされたのも含めると、ゆうに十回は超えている。
 それでも新太の怒張は止まることを知らず、侑斗のお尻を両側から鷲掴みにして広げながら腰を突き立て、イッたばかりの敏感な肉壁をゴリゴリと擦り上げる。
 張り詰めた先端が狭い奥を突くたびに、先走りの混じったローションが肉壁と擦れてグチュグチュと淫らな音を立てる。
 耳の奥にいやらしく絡みつくその音が、ただでさえ後ろめたい行為をよりいっそう汚らわしい淫猥なものに印象付け、侑斗をますます泣きたい気持ちにさせた。

「もっとちゃんと真っ直ぐ座れよ。それじゃ根元まで入らねぇだろう?」
 
 息も絶え絶えに泣きむせぶ侑斗を見上げながら、新太が、前屈みになった侑斗のお尻を指が食い込むほど強く握り締める。
 悪びれもせず悪態をつく新太に侑斗の胸が冷たく波立つ。
 いつもそうだ。
 最初はカッとなって新太なんて死んでしまえばいいと思うものを、新太に冷めた目で見詰められると、怒りよりも淋しさや悲しみが胸に迫る。
 仲良しだった子供の頃から、新太に叱られると何故かひどく落ち込んだ。
 新太が不機嫌そうにしていると胸がぞわぞわし、笑い返してもらえなかったり無視されたりすると、なんて奴だと腹立たしく思う一方で、何か新太の気に触るようなことをしてしまったのだろうかと一日中そればかり考え何も手につかなかった。
 母親に叱られてオヤツを抜きにされるより、先生に叱られて居残り掃除をさせられるより、新太を怒らせて、『もう遊ばない』とそっぽを向かれることの方が侑斗にとってはよほど堪えた。
 新太にだけは嫌われたくないという思いが、心の真ん中にいつもあった。
 親友だから。

「真っ直ぐ座れっつってんのに聞こえねぇの? ほらもっと腰立てて」

 現在と過去との記憶の狭間で葛藤する侑斗をよそに、新太は、侑斗の腰を掴んで上体を起こし、中腰になったお尻を自分の股間にぶつけるように真下に引き下ろした。

「んはあぁぁっ!」

 ズズッ、と新太の長いペニスが奥深くに突き刺さる。
 頭のてっぺんにビリビリとした衝撃が駆け抜け、侑斗は悲鳴を上げながら仰け反った。

「うおっ。めっちゃ締まる。やべぇ……」
 
 根元まで埋め込まれた昂ぶりが、侑斗の感じる部分を擦りながら一番奥の狭い腸壁をこじ開ける。
 自分の体重がもろに乗っかっているせいだろう。未だかつて受け入れたことのない奥の奥まで届いているような圧迫感。
 内臓が熱い。息苦しい。

「も……無理……だからぁ……」

 首を振って抵抗するものの全く聞き入れられず、逆に鷲掴みにしたお尻を後ろから前へ押し出され強制的にグラインドさせられる。
 下からの突き上げは止まず、お尻を手前に寄せるタイミングで、グイッ、グイッと腰を動かされ、そのたびに新太の硬く膨れた先端が内臓をズンと押しながら奥を突く。
 圧迫感が鈍い疼きに変わっていく。
 苦しいのに気持ち良い。
 後孔全体がジクジクと甘く痺れ、それに呼応するように、ペニスが血液を溜めて再び勃ち上がる。

「まだまだ全然元気じゃん」

「んッあ……うそ……そんな……揺らさないでぇ……」

 新太の動きに合わせて反り返ったペニスがビクンビクンと上下に跳ね、赤らんだ先端から精液なのか先走りなのか解らない水っぽい液体がお腹の上にポタポタと伝い漏れる。
 激しい突き上げに、結合部から溢れたローションが会陰と擦れてネチャネチャと糸を引く。
 繋がった部分が熱い。押し上げられた睾丸がズキズキと脈を打つ。

「もう二、三回は射精できそうだな。奥まで突っ込んでやっから、もっと股開いてしっかり座れよ」 

 暴力的な要求に涙を流しながら首を横に振ると、「口答えするな」とばかり、新太が両手で思い切り膝を開いた。

「あひぃッ! やぁッ!」

 バランスを崩して後ろに仰け反った途端、新太の硬い先端が感じる部分を直撃し、身体の奥で火花が散った。

「あッ……あ……」
 
 同時に、ペニスがビクビク震え出し、ぱっくりと口を開いた先端から、何度も射精してすっかり薄まった精液が勢いのない水鉄砲のように、ピュッ、ピュッと飛び出る。
 心の準備もないまま、侑斗は突かれた弾みで射精した。

「ははっ。触ってねぇのに勝手に出てやがる。なんだこれ。これがトコロテンてやつか?」

 ハァハァと喘ぐように呼吸する侑斗を揶揄うように、新太が、お腹の上に飛んだ侑斗の精液を指先ですくって侑斗に見せつける。
 あまりの恥ずかしさに両手で顔を覆うと、新太がすかさず侑斗の腕を握って顔から引き剥がした。

「やだ……見るな……」

「泣き顔ぐらいいっつも見てんだろ? それよか、これは一体何なんだって話しだよ。見てみろ。お前のここ、なんもしてねぇのにダラダラ垂れてんじゃん」

「いや……」

「いや、いや、って、さっきからそればっかだな。てか、俺の質問にちゃんと答えろよ。これ。このトロトロ出てんの、なに? なんで勝手に出てくんの?」

 したり顔の新太を見た途端、それまでギリギリのところで抑えていた怒りや悲しみや恥ずかしさや惨めさといったマイナスの感情が、ごちゃ混ぜになって胸を突き上げた。
「バカッ!」と、発作的に叫び、侑斗は、上半身を捩って新太の手を振りほどいた。

「新太のバカッ! も……離せッ!」

 新太も当然黙ってはいない。
 振りほどかれたそばから恐ろしいまでの反射神経で侑斗の手首を掴み、それをお尻の後ろに回して腕をピンと張らせる。
 そうすることで、侑斗は背中を仰け反らせた状態で固定されることになり、新太のペニスの先がお腹側に当たる。
 新太が意図的にそうしたのは言うまでもない。

「痛ってぇな。 気持ち良くしてもらっといてなに逆ギレてんだ」

「気持ちくなんか……なって……ないッ……」

「ならこれはなんだ?」

「あはぁッ!」

 感じる部分をゴリっと抉られ、侑斗が背筋をビクつかせる。
 ペニスの先から白っぽい液体がまた垂れる。
 トロトロとカリ首を伝う液体と侑斗の顔を交互に見ながら、新太は、「はははッ」と笑いながらさらに腰を突き立てた。

「ほらほら。どんどん出んぞ? ってか、ホントに精液か? ションベンじゃないだろうな」

 ペニスを上下に揺らしながら、侑斗は、唯一の抵抗手段である悲鳴を上げて訴えた。

「も……離して……よぉッ!」

 新太は全く動じない。
 それどころか、侑斗の背中を更に仰け反らせて腰を突き上げる。

「感じまくってんだろ? 正直言えよ」

「知らないッ! こんなのもう嫌だ! 離してッ!」

「テメ、誰に向かって言ってんだ?」

「もう嫌だッ! こんなの、もうやめるッ!」

「やめる?」

 ふと、新太の動きが止まった。

「やめる、って、コレをやめるのか」

 怖い顔。
 先ほどまでとは違う、闇のように暗く淀んだ目。どこか投げやりな、深い憂いを帯びたような目にじりじりと見据えられ、侑斗はたちまち言葉を失った。

「また殴られてもいいってのか!」
 
「ああ」と答えるただその一言が出てこない。
 新太が怖い。
 しかし、それだけではない何かが心に引っ掛かる。
 もうこんなことはしたくないと思う一方で、今ここで新太を拒絶したら、もう昔のような関係には二度と戻れないような気がして最後の踏ん切りがつかない。
 すでに戻れないところまで来ているにもかかわらずどうしてそんなふうに思うのか。その答えを知るのが怖くて、侑斗は考えるのを躊躇った。
 結局なにも答えられず、侑斗は、涙を噛み殺しながら、自分の置かれた状況を嘆くようにしゃくり上げた。 

「バカッ……新太のバカッ……」

 新太は、唇を引き結んでヒッヒッと泣く侑斗を呆れ顔で見た。

「逆らう勇気もねぇくせにふざけたこと言ってんじゃねぇよ」

 蔑むようなその目が、ふと冷たく尖る。

「生意気なヤツには罰を与えなきゃな」

 新太の言葉に、侑斗の背筋がギクリと強ばり涙が止まった。

「罰って……」

「そうだなぁ。そのまま後ろを向いてドアのほうにチンコ向けてもらおうか」

「え……」

 部屋のドアは開いたままになっている。
 つまり外から丸見え。
 侑斗の不安を煽るように、新太が言葉を続ける。

「おばさん、お昼は家に戻って食べるとか言ってなかったっけ。それまでこの状態でいたら面白ぇよなぁ」

 咎めるような厳しい目に、侑斗の心臓がドクンと飛び上がる。

「やめて……」
  
 上ずる声で訴えると、蒼ざめ震える侑斗を面白がるように、新太が、「なんてな」とわざとらしく眉を吊り上げた。

「さすがにそれは勘弁してやるよ。その代わり、このまま自分で扱いてイッてみせろよ」

 ホッとしたのも束の間、新太の口から飛び出した屈辱的な要求に身体がカッと熱くなる。

「どうした、やれよ。それとも、ヤッてるとこおばさんに見られたいか?」

 侑斗に拒否権はない。
 それでも、大人しく従うことは出来なかった。

「ど……して……」

 やりきれない思いが涙と一緒に溢れ出る。
 声を詰まらせながら呟くと、新太が、いつもは力強く印象的な目を暗い穴のように鈍く光らせながら侑斗を見た。

「どうして俺がこんなことするのか教えろって?」

 片側の頬に歪な笑いを浮かべながら言い、少しの間黙り込んだ後、

「親友だから、だろ?」

 皮肉っぽい作り笑いを真顔に戻して、言った。

「親友……だから?」

 一瞬何を言われたのか解らず、侑斗はオウム返しに新太に訪ねた。
 新太は真剣な目付きで頷いた。

「親友なんだから、理解して当然だろ? 俺を理解しろよ。侑斗」

 侑斗は、いよいよ訳が解らなくなった。

「それはどういう……」

 問い掛けたが新太は聞いていない。
 侑斗の戸惑いなどお構いなしに、新太は、お尻の後ろで掴んだ侑斗の手を股間に誘導し、先走りと精液でベトベトになったペニスを侑斗自身の手に握らせる。

「手伝ってやるからいつもしてるみたいにヤッてみな」

「待って……あッ……ちょッ……」

 あれよという間に、昂ぶりを握る手に新太の手が重なり、問答無用に上下に扱き始める。
 再び揺り起こされた快楽に、侑斗の疑問は意識の彼方に吹き飛んだ。
 最初はゆっくり、だんだん速く。先走りと精液を潤滑剤にして、新太が、侑斗の手ごと外側から扱き上げる。
 二重に握られているせいで、いつもより圧がかかった状態で竿の表面の皮膚が擦り上げられ、侑斗のペニスが熱くヒクつく。
 その先端が、やがて、締まりの悪い蛇口のように先走りを滴らせると、新太の手がスッと離れ、侑斗のもう片方の手を掴み上げた。

「こっちは? いつもどうやってんの?」

「どう……って……」

「先っぽいじったり乳首触ったりしてねぇの?」

「そんな……あッ!」

 掴んだ手をペニスの先端に押し付けられる。

「ここ。指先でくるくるされんの好きだろ? 自分でいじってみろよ」

「あんッ……やぁ……」

 鈴口をちょんちょんと突くように指先を操られ、侑斗の泣き声に甘えるような吐息が混じる。
 ねちっこい指使いにペニスが熱く疼き出す。
 操られていたはずの指はいつしか自発的に動き出し、いつも新太がするように指先を立てて鈴口を弾く。
 それが小刻みスピードアップするのを見届けたように、新太が重ねた手をそっと離した。

「そのままいじってろ」

 直後、侑斗の身体がぐらりと揺れ、下から強烈な突き上げが襲い掛かった。

「あふぅぅぅッ!」

 ただでさえ長大な新太のペニスが、一ミリでも深く入り込もうとするかのように侑斗の後孔を突き上げる。
 硬く張った先端が一番奥の狭い腸壁をメリメリと押し広げる。頭の奥がツンと痺れる。お腹の奥が焼けるように熱い。
 ムズムズ、ゾクゾクするような快感がペニスの内側を走り、睾丸が今にも張ち切れそうに膨れあがった。

「ダメっ……そんなしたらすぐイッちゃ……ぁッあ……」

 グイッ、と力強く腰を振られた途端、抑えていた欲望がついに限界を超えた。

「んあぁぁぁぁッ!」

 ビクビクと背中を震わせながら、侑斗は全身で絶頂した。
 新太は、息も絶え絶えに喘ぐ侑斗を見て一瞬動きを止め、しかしすぐにまた腰を動かし始めた。

「やッ……だッ……いまイッたばっか……だからッ……」

「俺はまだだし……」

 訴えたところで新太の突き上げが止む気配はない。
 腰をガッシリと掴まれ、侑斗は、絶頂の続く後孔を新太に激しく突かれながら悶え泣くほかなかった。

「はぅんんッ……う……やッ……や……も……動いちゃ……」

 カリ首のくびれが肉壁を抉るようにズンズン奥を突くたびに、侑斗の肉壁が痙攣し、新太の昂ぶりを締め付ける。
 暴力的なセックスに喘ぐ侑斗同様、新太もまた、侑斗の強烈な締め付けに切なそうに眉を顰めた。

「バカみてぇに締めやがって……俺を追い詰めてるつもりか?」

 意図したつもりはないが、早く終わらせて欲しいのは事実だった。

「も……イッて……お願い……」

 思わず本音がポツリと漏れる。

「は?」

 新太は驚いたように動きを止め、それも束の間、

「俺に命令してんのか? いい度胸してるじゃねぇか」

 いきなり侑斗の腰をグイと股間に引き寄せた。

「あっ! やぁッ!」

「るっせー。お望み通りイッてやるよ!」

「ああぁぁっ、やあぁぁぁっ!」

 再び、猛烈な突き上げが始まり侑斗の身体が飛び跳ねる。

「おらっ! イクぞッ! お前の中に全部出してやるッ!」

「だめ、だめッ! 中に出さないでッ!」
 
 泣きながら哀願するも無駄な抵抗。

「あああッ……イクッ、出るッ、出るッ!」

 絶叫とともに、新太が、一番奥に昂ぶりを打ちつけたまま痙攣し、内臓がキュウッと捩れるような感覚が侑斗を襲う。
 長い余韻のあと、奥に嵌まっていたペニスがようやく引き抜かれると、ゾクゾクとした排泄感とともに後孔から射精したばかりの新太の精液がドロッと伝い漏れ、侑斗は恥ずかしさに唇を震わせた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
 
 翌日、新太は一日姿を見せなかった。

「水守くん? そういやバイク置いてなかったなぁ」

 朝、いつもたむろしている昇降口付近に姿が見えず不審に思っていると、後ろから来た生徒たちが話している声が偶然耳に入り、侑斗は、新太がまだ学校に来ていないことを知った。

「ふぅん。休みかな」「知らね。遅刻じゃね?」

 仲間の不良たちの姿も見当たらない。
 不意打ちを喰らわすつもりで隠れているんじゃないかと周りを警戒しながら恐る恐る自分の下駄箱に近付くが、不良たちはどこからも現れず、隠れている様子もなかった。
 俄かには信じられない状況に戸惑いながらも、侑斗は、もうすっかり朝の恒例行事と化したゲタ箱でのカバンのぶち撒けや弁当の没収などの低俗な嫌がらせを受けることなく教室へ向かった。
 電話も鳴らない。
 呼び出しのメールも来ない。
 移動教室の廊下や昼休みの購買部など、いつもは侑斗の顔さえ見れば因縁をつけてくる不良たちも、新太に気を使ってか、ただ遠巻きに眺めるだけで何のちょっかいもかけてこなかった。
 結局その後も新太からのアクションは無く、侑斗は、おそらく高校に入って初めて一限から六限まで誰にも邪魔されずに授業を受けた。 
 新太と再会しなければ、毎日こうして過ぎていたであろう侑斗の高校生活。このなんの変哲もない普通の高校生活を侑斗はずっと待ち焦がれていた。
 その只中に身を置きながら、一方で、どこかしっくりこない、そわそわとした居心地の悪さを感じていた。
 普段が普段だけに、何もないことに却って違和感を覚える。
 嵐の前の静けさとも違う、胸の奥がざわざわと落ち着かない感じ。
 新太たちの干渉がないからといって侑斗が他の生徒たちと楽しい一日を送れるというわけではない。
 入学早々始まった新太の虐め行為は、クラスメイトたちを暗黙の了解のうちに侑斗から遠ざけ、侑斗を受け入れない空気を作らせた。
 侑斗と積極的にコミュニケーションを取るのは新太と不良仲間だけ。両者が侑斗に関心を示さなければ、侑斗は、学校内では正真正銘の孤立状態となる。
 皮肉にも、それが却って侑斗に自分の孤独の深さを自覚させた。
 新太に呼び出されることも不良たちの相手をさせられることもない、本来ならばホッと胸を撫で下ろすべき状況でありながら何故か気分が晴れないのは、おそらくそのせいもあった。
 憂鬱で堪らない新太の呼び出しも、なければないで、どうしたのだろうと気に掛かる。
 そうでなくとも、昨日、セックスの最中に新太に言われたことがずっと気になっていた。

『親友だろ?』

 言われた時、侑斗はまず、新太の口からその言葉が発せられたことに驚き、それが自分に向けられたものであることにまた驚いた。
 新太に『親友』と言われたことが信じられなかった。
 正確には、あまりにも唐突すぎて何が何だか解らなかった。
 冷静になれたのは、新太が帰って一人になってから。
 浴室で、足元を流れて行く新太の欲望の証を眺めながら、侑斗は、その時のことを思い返していた。
 最初は戸惑い。
 次に、くすぐったいような胸の疼きに襲われ、しかしすぐに脅迫めいた不信感がじわじわと押し寄せた。
 新太に親友と言われたことは正直嬉しかった。
 嫌われているとばかり思っていた。
 虐めも性的な嫌がらせも、自分が新太に嫌われているからこその行為だと思っていた。
 新太がまだ自分を親友だと思ってくれているのなら、今の新太とのこの救いようのない関係にも、僅かばかりだが救われる部分が出てくるような気がした。
 信じたい気持ちが大きいだけに、疑う気持ちがさらに大きくなって襲い掛かった。
 もしも新太の言葉が口から出まかせだったなら。
 迂闊に信じて、実はウソでしたと言われたらどうなってしまうか解らない。それが怖くて侑斗は自分の気持ちを素直に認めることが出来なかった。
 信じたい気持ちと傷付くのを恐れる気持ちの狭間で揺れながら、侑斗は新太の言葉を呪文のように繰り返していた。

『親友なんだから理解するのは当たり前だろ?』
『俺を理解しろよ』

 好き放題しておきながら、これ以上なにを理解しろと言うのか。
 新太の身勝手さに呆れながらも、侑斗の意識は、新太の言葉の意味を理解しようと懸命に思考を巡らせる。
 揺れ動いているとはいうものの、侑斗の気持ちは新太の言葉を信じたい方へと確実に傾いていた。
 昨日の言葉が本心なのか、侑斗は新太に会って確かめたかった。
 それが叶わなかったことが、侑斗をますます孤独にさせた。

 ーーー新太、どうしたんだろ。

 改札口を抜けてすぐの曲がり角、いつもの待ち伏せ場所にも新太はいない。
 立ち止まってバイクの音を探していると、次の電車がホームに到着するアナウンスが響き、もう十五分もそうしていることに気付いて侑斗は慌てて足を踏み出した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 翌日も、その翌日も、新太は学校に来なかった。
 不良たちも何も仕掛けてはこない。
 クラスメイトは相変わらず侑斗を蚊帳の外に置いたまま、虐めもしなければ歩み寄ろうともしない。
 平和だが、どうにも馴染みにくい身の置き所のない空気の中で侑斗は淡々と一日を過ごし、日増しに深まって行く孤独感に背中を丸めながら帰途に着いた。
 そして、新太が学校へ来なくなって四日目の夜、侑斗は、ついに耐えきれなくなって新太に電話した。

「えっと、俺、侑斗です。学校休みだったので……。あの、明日、学校来ますか? 俺、話したいことがあって……」

 慣れない留守番電話にメッセージを残し、新太からの連絡を待った。

 翌朝。結局、新太からの折り返しの連絡はなく、侑斗は憂鬱な気持ちのまま学校に向かった。
 校門をくぐると、昇降口前に不良たちがたむろしているのが見えた。
 新太が来ているのだろうか。
 心なしか浮き足立っている自分に戸惑いながら、侑斗は歩く速度を速めて昇降口へ向かった。

「おー、来た来た。おはよー、侑斗ちゃん!」

 手前まで近付くと、不良の一人が、入り口の扉にもたれていた背中をふらりと起こして侑斗に近付いた。

「挨拶してんのに無視かよ。てか、ひょっとしてこのまま俺らから解放されると思ってた? ざーんねん。まだまだ自由にはしてあげないよー」

 新太の姿は見当たらない。

「新太……み、水守くんは?」

「はぁ? シラねぇなぁ」

 訪ねたところを、ネクタイをグイと引っ張られ至近距離で睨み付けられる。
 そのまま肩を抱かれ、有無を言わさず体育倉庫へと連れ込まれた。
 不良は、昇降口にいた四人。
 体育倉庫の中には誰もおらず、ここにも新太の姿はない。

「水守くんは……」

 再び訪ねると、

「るっせー。水守、水守、しつけぇんだよッ!」

 怒鳴られ、後頭部を鷲掴みにされた。
 男の鼻息がこめかみに当たっている。
 気持ち悪い。
 ギラギラとした、興奮した鼻息だ。

「後で代わってやるから、お前、外、見張っとけ」

「別に俺はいいよ」

 ただならぬ空気に硬直していると、『別にいい』と言った男が入口のすぐ外に移動し、それを合図に、二人の男が侑斗に襲い掛かった。

「やっ! 離……ッ……」

 まるで、予め打ち合わせていたかのような俊敏さで、肩を抱いていた男が、抵抗しようと振り上げた侑斗の腕を掴んで捻り上げ、その隙にもう一人が背後に回って侑斗を羽交締めにして押さえ付ける。
 そうして侑斗を動けなくしたところで、腕を捻り上げた男がおもむろに正面に回り、脚を掴んでズボンと下着を一気に引き下ろした。

「やあッ……なにッ……」

「いいからじっとしてろ!」

 横っ尻を思い切り叩かれ絶句する侑斗を横目に、男は何かを目で探す。

「アレは?」

「マットの端にあるだろ?」

「ああ、アレか……」

 男が手にしたモノを見た瞬間、侑斗の心臓が縮み上がった。

「なにッそれッ!」

「ラブローションだよ。見りゃわかんだろ?」

「……じゃなくて……」

 怯える侑斗を面白がるように男がニヤッと口元を歪める。

「純情ぶってんじゃねぇよ。どうせもう新太にヤラれてんだろ? 俺らにもヤラせろよ」

 言いながら、ローションのキャップを外して指先に垂らす。
「おい」と男が後ろに声を掛けると、侑斗を羽交締めにしていた男が侑斗の両膝をすくって持ち上げ、侑斗は、小さな子供がおしっこをさせられるようなポーズで膝の上に抱え上げられた。

「へぇ~。肛門ってこんな綺麗なんだぁ。てか、こんなちっせぇ穴に俺様のチンポ入んのかぁ?」

「やだやだ! 離してッ!」

 足をバタつかせて抵抗するものの、両膝に嵌った腕はビクともしない。
 そうしている間にも、正面の男は、大きく開いた侑斗の尻たぶをさらに大きく左右に開き、指先に乗せたローションを後孔の窄みに擦り付けた。

「直に触んの、汚くね?」

「ゴム付けっか」

 表面にローションをなぞっただけの窄まりに、男の指が無遠慮に入り込む。

「イッーーー!」

 起き上がろとしたところを力任せに捩じ伏せられ、狭い後孔を無理やりこじ開けられて指先をぐりぐりと回された。

「いッーーーいああああ、あッーーー」

 肉壁に爪を立てられているような痛みに侑斗の身体がピンと硬直する。
 鋭利な衝撃に一瞬息が止まる。
 しかし男は全く手を緩めることなく、むしろ顔を真っ赤にして痛みに耐える侑斗を訝しげに見る。

「おっかしいなぁ。前立腺ってここだろ?」

「やり方が悪いんじゃね? チンポも萎えっぱなしじゃん」

「キツくて動かしずれーんだよッ!」

 動きの激しさに、入り口の粘膜が指に巻き込まれてピリピリ痛む。

「やっ……いッ、痛いッ……」

「うるせぇ! 暴れんなッ!」

 このまま挿入されたら無事では済まされない。
 侑斗の不安を煽るように、男は、今すぐにでも犯してやるとばかりに、片手で器用にズボンを下げ、はち切れんばかりに反り返った股間をこれみよがしに見せ付ける。
 もともと他の不良たちより性欲が強く、侑斗が他の男のペニスをしゃぶっているのを見るだけで興奮し、自分の番が回ってくると、いきなり喉奥を突いてガンガン腰を振るタイプだった。
 侑斗に対する態度も、侑斗への性的な行為をあくまで虐めの延長と捉える他の不良たちと違い、男の態度には、いつもいやらしくねちっこい下心が見え隠れする。
 新太の目を盗んでお尻を撫でてくるのは日常茶飯事。いきなり股間を握られたり、後ろから抱きつかれて乳首をいじられることもあった。
 一度、キスをしようとしているところを新太に見つかりボコボコに殴られたこともある。
 にもかかわらず、性懲りもなくこんな真似をする男の図太さに侑斗は驚愕した。

「こっ、こんなこと……新太が……知っ……たらぁッ……」

「新太ぁ? んなもん関係ねーよ。そんなことより、このキツいの何とかしろ」

 根元まで入れた指を乱暴に折り曲げられ、お腹の奥にビリビリとした衝撃が走る。 
 反射的に背中を仰け反らせると、背後の男が侑斗の肩に顎を乗せて押さえ付けた。

「チンポいじってやりゃいんじゃね? 女も乳首とかいじるだけで濡れてくんじゃん?」

 ほら、と、侑斗の両膝を抱えた腕をグッと持ち上げ、さらにもう一段階股を開かせて股間を突き出させる。 

「さすがにケツん中は濡れねぇだろ」

「わかんねぇよ?」

 少しの沈黙の後、男の生温かい手が侑斗の縮こまったペニスをギュッと握った。

「あひいぃぃッ……」

 ただでさえ緊張したペニスに利き手ではない左手。
 男のやけに熱い手が力加減もなく無遠慮にペニスを掴んで大雑把に扱き上げる。

「いッ……痛いッ……痛いよ……」

 快感よりも痛みが強く出る。
 ペニスを扱くリズムに合わせて後孔に入れられた指がズンズンと奥を突く。

「ローション……ローション、足して……」

 痛みと恐怖に耐えきれずに訴えると、男たちの会話がピタリと止まった。

「ローション足してくれ、だって! 嫌がってるわりにはやけに協力的じゃん?」

 後ろの男が意味ありげに言い、正面の男が、「へぇ」と、意地の悪い薄ら笑いを浮かべる。

「やっぱ、新太とヤッてるって噂は本当だったんだ……。あの野郎、人には、手ぇ出すなっつっといて」

 違う、と、咄嗟の嘘が侑斗は言えない。何も言わない侑斗に、不良たちが、疑惑を肯定したと決定付けるのは当然の流れだった。

「なら、遠慮することないよな」

 言うなり、前の男がローションを逆さまにしてペニスの上からタラタラ垂らす。
 大量のローションが、侑斗の薄肌色の竿から陰嚢を伝い、体毛の無い会陰を滑り後孔へと伝い流れる。
 後孔に入れた指を抜き、代わりにローションの口を窄まりにつけて中身を押し出すと、男は再び指を入れてグチュグチュと掻き回し、もう片方の手でローションまみれのペニスを握り素早く扱き上げた。

「あっ、あああっ、あッ、やッ」

 二つの性感帯を同時に責められ、侑斗の身体が小刻みに跳ねる。

「すっげー滑る。奥までどんどん入る」

「いい感じじゃん」

 さっきまでとは違う反応を男たちは見逃さない。

「シャツ脱がせて乳首触ってやれよ」

「男の乳首触っても楽しくねぇよ。それよかしゃぶらせてぇ……」

「やりゃいいじゃん」

「ほんじゃ」と、後ろの男が侑斗の顔の上に跨り、ズボンと下着を下ろす。
 半勃ちのペニスが頭上から侑斗の唇に迫る。顔を背けると、両側から頭を持たれて喉を思い切り後ろに逸らされ、口に指を突っ込まれて強引に開かされたところへ男の硬く張り始めた先端が割り込んできた。

「んぐうッ!」

 逆さまの状態で咥えさせられるというただでさえ苦しい姿勢の侑斗に追い討ちをかけるように、男が、侑斗の頭を押さえながらピンと張り詰めた喉に容赦なく先端を打ち付ける。
 なんとかして楽なポジションに先端を移動させようと舌を動かすが、逆にそれが刺激となり、男の昂ぶりがメキメキと膨張してさらに喉を圧迫する。
 下からは、もう何本入れられているのかも解らない男の指が手当たり次第に肉壁を突き上げ、力任せに扱かれたペニスが火を噴くように熱くなった。

「ヤベェ……喉、めっちゃイイ……」

 涙と唾液を垂らしながら呻く侑斗などお構いなしに、男は侑斗の喉に腰を打ち付け、やがて、「イクッ! イクッ!」と背中を痙攣させて濃いドロドロの精液を喉の奥に吐き出した。
 男が腰を引き、喉奥に嵌った昂ぶりが精液の糸を引きながらズルリと引き抜かれると、激しくむせかえる侑斗には目もくれず、正面の男が、次は俺の番とばかり後孔に埋めた指を引き抜く。

「こっちもイイ具合に広がった……」

 うっすらと赤い粘膜を覗かせる後孔を眺めながら言うと、男は、侑斗のお尻を太ももの下から抱えるように持ち上げ、充血して膨らんだ窄まりに先端を押し付けた。
 そのまま体重をかけながら侑斗の中に昂りを沈めて行く。

「んっふぅぅぅ……」

 最初はゆっくり。
 途中まで入れたところで一旦止まり、そこから一気に奥まで突き入れる。

「はあぁぁぁぁ、うッ……うあッ……」

 新太のとは違う質感に肉壁がざわめく。
 初めての感覚。
 異物感ではなく強烈な違和感。鉄の棒でも突っ込まれているかのように身体が硬直し、お腹の奥に痛みが走る。
 
「熱ッつ……。なんだコレ。めちゃ気持ち良い……」

 興奮に顔を赤らめる男とは対照的に、侑斗の顔はみるみる青ざめ唇が震え出す。
 身体が受け入れるのを全力で拒んでいる感じ。

「や……めて……」

 腕を叩いて訴えるものの、男は動じるどころか、侑斗の上に覆い被さるようにのし掛かり、根元まで押し込んだペニスを下から上へグイグイ揺すり上げる。
 擦れた肉壁が痛い。
 快楽とは程遠い感覚。全身が総毛立ち、背筋にゾクリと寒気が走る。
 悪寒にも似た不快感に震える侑斗を嘲笑うように、男のペニスが、侑斗の身体の中でどんどん硬く大きくなる。

「これ、めちゃイイ……すげぇ吸い付く……嘘みてぇ」
 
 狭い腸壁一杯に張り詰めた男の昂ぶりが、侑斗の肉ヒダを抉りながら後孔を何度も往復する。
 快感はない。
 あるのは痛みと不快感のみ。
 苦痛に喘ぐ侑斗を、男は、快楽に喘いでいると勘違いしてさらに腰を振る。

「やべぇ。こんなんすぐイッちまう……あぁッ、ヤバッ! イキそ……あぁぁっ、イッ、イクッ! イクッ!」

 やがて、何度も腰を突き出しながら男が絶頂を迎えると、その一部始終を見ていたもう一人が、男を押し退けるように侑斗の前に割り込んだ。

「男には興味無かったんじゃねぇのかよ」

「そうだけど、お前らの見てたらりたくなった」

「このスケベ野郎」

 侑斗の背筋に再び寒気が走る。
 ようやく解放されると思った矢先。不快感は激しい痛みに変わり、不安と恐怖を呼び起こす。
 背中をよじって逃れようとしたが、恐怖に怯えた身体は俊敏には動かず、侑斗はすぐに足を取られてうつ伏せに返された。

「ほら、ケツ上げな」

 床の上にひしゃげる侑斗のお尻をピシャリと叩くと、男は侑斗の股座に手を入れて無理やりお尻を上げさせた。

「後ろから見るとまんま女だ。これならいけそう」

 床に顔を伏せ、お尻だけを上げさせられた格好を取らされた侑斗の肩にかかる長い襟足と、肩甲骨の間から腰にかけての綺麗なS字を描く身体のラインを見ながら男が声を弾ませる。
 女のようだと言われるのは今に始まったことではない。
 しかし、新太に言われるのとは感じが違う。
 同じ台詞でも、男に言われると、震えるような嫌悪感が胸の底から湧き上る。

「おんな……じゃ……ないッ……」

 少なくとも、お前たちの女じゃない。お前たちに女扱いされる覚えはない。腹立たしさと惨めさが嫌悪感を増幅させ、侑斗の胸を締め付ける。

「あ……らた……」

 無意識に、侑斗は、新太の名前を呼んでいた。

「あら……た……助け……て……」

 しかし、侑斗の声は、男の興奮した鼻息に掻き消されて音にはならなかった。

「そんじゃ行くぜッ!」

 床におでこを擦り付けながら呻く侑斗には目もくれず、男は、侑斗の小さな窄まりをお尻の肉ごと指で開き、張り詰めた先端をズブズブと押し込んだ。

「んぁあああぁーーぁああーー!」

 再び、肉壁を抉られるような痛みが侑斗に襲い掛かる。
 痛い。苦しい。息が出来ない。
 男が奥へ奥へと肉壁を擦り上げるたび、胃の辺りがムカムカして酸っぱい唾液が込み上げる。

「うわっ、マジ、やらけぇ! 気持ちィィ!」

 腰を持たれて背中に乗っかられ、獣のように犯されている自分が気持ち悪い。
 自分が汚れていくような気がする。
 これ以上汚されたくはない。
 他の誰にも触れられたくない。

「あら……た……」

 朦朧とする意識の中で、唇がひとりでに動いて新太の名を呼んだ。

「あらた……あら……た……」

 男は構わず、侑斗の腕を掴んで上半身を引っ張り起こし、膝立ちにさせた状態で後ろから羽交締めにしながら腰を突き上げる。
 身体が真っ二つに裂けるような衝撃が脳天を突き抜ける。

「新太……」

 どれだけ呼んだか解らない。そもそも声になっていたのかさえも解らない。
 しかし、しばらくすると突然表が騒がしくなり、侑斗を後ろから犯していた男が羽交締めにしていた腕を離した。

「新太……お前、もう学校出てこないんじゃ……」

 直後、「グワっ」という呻き声を上げて男が仰向けに倒れ、手を離された反動で床の上にうつ伏せに倒れた侑斗の目の前に大きな手が差し伸べられた。

「ボケっとしてねぇで早く起きろ」

 新太だ。
 言われるまま、大慌てで下着とズボンを履き、床の上に投げ出されたシャツとブレザーを拾い、袖だけ通して体育倉庫を出た。
 新太に手を引かれながら校門を走り抜け、通学路の途中にある空き地に停めたバイクに跨り街へ走り出す。
 新太は何も話さない。
 侑斗もまた、訳も分からないままバイクの後ろに乗せられ、気が動転して何を話せばいいのか解らなかった。
 バイクのエンジン音と頬を切る風の音だけを聞きながら、侑斗は、新太の背中にしがみつき、流れていく景色を目で追った。

 バイクは侑斗の知らない道を進み、繁華街らしき路地の一角にある建物の駐車場でようやく止まった。

「ここは?」

「ホテルだ」

 あまりにもサラリと言われ、侑斗は面食らった。

「ホテルって……こんなとこ来たら捕まるよッ!」

「うるせぇ! さっさと付いて来い!」

 凄味のある声に侑斗の頬が引き攣る。
 新太は怒っている。
 面倒をかけたのだから当然だ。
 この前みたいに酷いことをされるかも知れない。
 それでも助けてもらえたことは嬉しく、その反面、嬉しく思う自分に戸惑った。
 不安と期待に震えながら、侑斗は、先を行く新太の後を追った
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