永久(とわ)に咲くらむ

瀬楽英津子

文字の大きさ
上 下
1 / 4

第一話〜紅い花

しおりを挟む
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とばりの向こう

宇野 肇
BL
あの方の心が閉ざした瞬間を覚えている。 敬愛と恋情との区別も曖昧な時分のことだ。 「結婚しようとも貴方ほど愛せる人はいまいよ」 冗談めいていながらもまごうかたなき本心だった。それを、あの方の想い人は笑い飛ばしたのだ。 「そういうことは好いた女に言うのだな。男同士で寒気がするわ」 その言葉は、彼の人なりの冗談であったのだろう。表情は柔らかく、しかしどこか呆れたような色を滲ませていた。 気にすることなどない一幕のはずであった。ただの言葉遊びに過ぎぬ、他愛のない遣り取りのはずであ った。 しかしながらその頃すでに己の性癖――同じ男に性の欲求を抱くということを感じ始めていたあの方にとって、彼の人の言葉は強い拒絶となり、あの方を酷く萎縮させた。あるいは、彼の人は彼の人の想いを感じ取られていあのかもしれない。今となってはもう、確かめようのない話ではあるが。 そのようにして、あの方はそっと心を閉ざされた。誰にも気づかれぬように、美しく気高いヴェールで幾重にも覆い隠してしまわれた。 表面上は何も変わらないまま、誰にも見せぬ心があることさえも気づかれることの無いよう、厳重に、そして自然に。

蜘蛛の糸の雫

ha-na-ko
BL
◆R-18 ショタエロです。注意必要。SM表現、鬼畜表現有り。 苦手な方は逃げてください。   「なぜか俺は親友に監禁されている~夏休み最後の3日間~」スピンオフ作品 上記作品の中の登場人物、谷垣隼人の父、谷垣弘和とその秘書手島友哉の過去のお話しになります。 ----------------------------------- 時代は1987年 バブルの真っ只中。 僕は手島友哉(てしまともや)。 10歳。 大金持ちの家の使用人の息子だ。 住み込みで働く父さんと義母さん。 ある日、お屋敷でのパーティーで皆から注目されている青年を見た。 スラッと足が長く、端正な顔立ちは絵本に出てくる王子様のようだった。 沢山の女性に囲まれて、とても楽しそう。 僕は思わず使用人用の宅舎から抜け出し、中庭の植え込みの茂みに隠れた。 姿が見えなくなった王子様。 植え込みから顔をだした僕は、誰かに羽交い締めにされた。 これが運命の出会いとも知らずに……。 ※このお話の中ではハッピーエンドとはなりません。 (あくまでもスピンオフなので「なぜか俺は親友に監禁されている~夏休み最後の3日間~」の作品の中でとなります。) ※青少年に対する性的虐待表現などが含まれます。その行為を推奨するものでは一切ございません。 ※こちらの作品、わたくしのただの妄想のはけ口です。 ……ので稚拙な文章で表現も上手くありません。 話も辻褄が合わなかったり誤字脱字もあるかもしれません。 苦情などは一切お受けいたしませんのでご了承ください。 表紙絵は南ひろむさんに描いていただきました♪

押しかけ贄は白蛇様を一途に愛す

阿合イオ
BL
白蛇(しろへび)様、と呼ばれる蛇神を信仰する村で暮らす旭は、六十年に一度白蛇様に捧げられる贄になるために、病弱なフリをして暮らしてきた。 小さい頃に助けてくれた大蛇の白蛇様に、恩返しがしたかったから。 十年の努力が実り、ついに旭は白蛇の贄になることができた。 再会した白蛇は、美しい男の姿で旭の前に現れる。 「俺は贄を必要としていない」と言われた旭は、白蛇の説得を試みるのだった。 自ら命を捧げるために押しかけた贄と、一途な献身を受けて白蛇が贄を愛するようになるまでの話。 ※印は背後注意です。(ぬるめのも含む)

その、梔子の匂ひは

花町 シュガー
BL
『貴方だけを、好いております。』 一途 × 一途健気 〈和孝 × 伊都(梔子)〉 幼き日の約束をずっと憶えている者同士の話。 梔子の花言葉=喜びを運ぶ・とても幸せです --------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。 お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

大正石華恋蕾物語

響 蒼華
キャラ文芸
■一:贄の乙女は愛を知る 旧題:大正石華戀奇譚<一> 桜の章 ――私は待つ、いつか訪れるその時を。 時は大正。処は日の本、華やぐ帝都。 珂祥伯爵家の長女・菫子(とうこ)は家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立し、女学校においても友もなく独り。 それもこれも、菫子を取り巻くある噂のせい。 『不幸の菫子様』と呼ばれるに至った過去の出来事の数々から、菫子は誰かと共に在る事、そして己の将来に対して諦観を以て生きていた。 心許せる者は、自分付の女中と、噂畏れぬただ一人の求婚者。 求婚者との縁組が正式に定まろうとしたその矢先、歯車は回り始める。 命の危機にさらされた菫子を救ったのは、どこか懐かしく美しい灰色の髪のあやかしで――。 そして、菫子を取り巻く運命は動き始める、真実へと至る悲哀の終焉へと。 ■二:あやかしの花嫁は運命の愛に祈る 旧題:大正石華戀奇譚<二> 椿の章 ――あたしは、平穏を愛している 大正の時代、華の帝都はある怪事件に揺れていた。 其の名も「血花事件」。 体中の血を抜き取られ、全身に血の様に紅い花を咲かせた遺体が相次いで見つかり大騒ぎとなっていた。 警察の捜査は後手に回り、人々は怯えながら日々を過ごしていた。 そんな帝都の一角にある見城診療所で働く看護婦の歌那(かな)は、優しい女医と先輩看護婦と、忙しくも充実した日々を送っていた。 目新しい事も、特別な事も必要ない。得る事が出来た穏やかで変わらぬ日常をこそ愛する日々。 けれど、歌那は思わぬ形で「血花事件」に関わる事になってしまう。 運命の夜、出会ったのは紅の髪と琥珀の瞳を持つ美しい青年。 それを契機に、歌那の日常は変わり始める。 美しいあやかし達との出会いを経て、帝都を揺るがす大事件へと繋がる運命の糸車は静かに回り始める――。 ※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。

白い化け物は彼を愛せない

COCOmi
BL
外見異端児(アルビノ)x次男←長男・三男。 白髪赤瞳の貧乏人だった来は突然妾の子と判明し、街で有名な大地主の家に迎え入れられる。 三兄弟がすでにおり優しい次男に少しつつ惹かれるも、ある事件をきっかけに地下へ長い間閉じ込められてしまう。来の次男への想いは次第に憎しみと変化していき…。 次男を巡った深い執着と愛。その行く末は。 ※攻めが暴力を振るわれたり監禁される場面があります。ただし性的な要素はありません。 ※攻め視点で基本話が進みます。暗い展開が多いです。 完結はしていませんが、来の屋敷編までの掲載となります。続きはもしかしたら更新されるかもしれません。

少年売買

papporopueeee
大衆娯楽
 とある偉い人が宣いました。 「未成年の男性相手の性交って、合意の上なら問題なくなくなくない?」  そんな言葉がまかり間違って民衆の支持を得てしまい、あれよあれよと言う間に法律改定、ひいては現代社会を侵食してしまいまして。今では堂々と少年の水商売が横行する風景が日本の常識となりました。  うら若き少年達は親のお手伝いなんぞよりも払いの良いお姉様方に媚びを売ってお小遣いを稼ぎ。  マダム達は美麗な少年としけこむために勤労に励んで社会進出。  これはそんな情勢の中でも必死に己の貞操を守る一人の少年のお話です。

繋ぐ

花町 シュガー
BL
『どうか、君の未来を守らせて。』 俺はここ最近、不思議なおっさんにストーカーされている。 まったく意味がわからないけど、なにか理由がありそうで…… ---------------------------------------------------- ※「それは、キラキラ光る宝箱」とは? 花町が書いた短編をまとめるハッシュタグです。 お手すきの際に覗いていただけますと幸いです。

処理中です...